人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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食堂

Uオルガマリー『オゾウニ…モチモチした食感が侮れないわね…これも正月に必要な儀式だと言うのね。人間の文化は中々侮れないわ…』←また来た

(…そういえば、アイツに言われていた事があったわね。確か…)



「来訪ついでに、貴方様が挑むとされる英霊…いわゆるグランド候補の存在も確認しておきましょう。敵を知り、己を知れば百戦危うからずという言葉があるのです、お嬢様」



『言っている意味はよく分からなかったけど、要するに藤丸の友人のカルデアの戦力把握に努めろと言うことでしょう?誰も彼も正月で浮かれている今がチャンスということね』

(容易いことよ。再びの来訪に震えなさい楽園カルデア!別に忘れてたとか、また来たかったとかでは全くないのですからね!)

ルゥ『おぉ…』←隣でうどん食べてた

(あれ?あの人もミラボレアス(現象)なのかな?)

サンブレイクのマスターランクをカンストさせたら遅れてしまったので、メッセージ、感想返信は今からと明日にかけて行います!


ユナイテッド・エデン・カルデア・イン・プレジデント

「さて、確かグランドクラスが私に立ち向かう資格のある7騎という話だったわね。残念ながら藤丸のカルデアには呼び寄せる技術も触媒の石も枯渇していたようだけど、ここには一騎くらいはいる筈でしょう。躊躇いなく視察してやるわ」

 

日を跨いでまたやってきた大統領。ラスプーチンの言葉と願いを華麗にボイコットしてしまっていたため、慌てて戻ってきたのだが本人的には優雅で余裕あるつもりである。彼女は若干記憶喪失気味なため、夢で見た抑止の決戦英霊、グランドサーヴァントの所在を確認しに再びの視察である。

 

「まぁ、カルデア同士が敵対っていうのは杞憂だろうけど。一応別の奴らに喚ばれて立ち塞がってきた際には情報が必要でしょうしね」

 

そう確認し、メモ帳を見やる。そこにはグランドクラスが並んでおり、所在がどうかの確認表ともなっている、発見できたら、×マークを入れていく予定だ。

 

「資格なんて見れば解るのよ。まぁそんな人類の悪あがきなんてそうそういるわけが…」

 

「温羅、桃源郷には帰省した?」

「おうよ。お前もじいさんばあさんに顔出してやれよ?はるえとかあきとか、めちゃくちゃ喜ぶぜ?」

「えへへ、ならお供の皆と一緒に行こうかな」

 

「…グランドセイバー…グランドバーサーカー…よね、今の」

 

ステルスしている大統領の眼前を歩き去る女性の武者と雄々しい4本角。それぞれグランドクラスの資格を有する英霊であることを認識したオルガマリーは大統領的に困惑を隠せない。

 

(なんで当たり前のようにグランド二騎が闊歩しているのかしら…というか両方とも純人類じゃないわよね。星側の存在よね?ま、まぁ…レアケースなんでしょう)

 

まさかそんな偶然が2度も起きるはずがない。きっとあれらが楽園とやらの最高戦力だ、そうに決まっている。時空分けてこんなに違うはずもない。大統領はそう認識した。

 

…したの、だが。

 

『うむ。数多の願い、数多の信仰が芽吹き世界を彩る。これこそ絢爛の歴史。美しき浪漫である』

 

(グランドランサー…グランドランサーよねあの鎧。ローマ?ローマって何?)

 

空中に鎮座する黄金の偉大すぎるローマ、ロムルス・クィリヌス…グランドランサーを一目で発見し。

 

「今日こそナンパが成功しますように!あとリッカちゃんがアルテミスの気まぐれに巻き込まれませんように!」

「ダーリン?最初の願いも最後の願いもどういう事かな〜?」

「いでででで待って待って待って!願いを傍受するのやめてー!」

 

(グランドアーチャー…)

 

むくつけき筋肉と女神が戯れる様子に、グランドアーチャーたる資格の色彩を見抜きその軽薄さに距離を置き。

 

「我が魔王。我が魔王をモチーフにした福笑いはかつてない大好評となっております。顔面ライダーは大いに跳ねた様子」

 

【フハハハ。子供たちの正月の楽しみの一端になったのなら何よりだ】

 

(顔にライダーって書いてあるわ…グランドライダー…)

 

鎧を纏った、ただならぬ威圧感を放ち顔にライダーと書いてある存在にグランドライダーの気配を感じ取り。

 

「シバ、見てほしい。子宝成就の御守を買ってきたんだ。今はまだだけど、必ず子供を授かるってボクは決めている。その日と、ボクを信じて待っていてくれるかい?」

「勿論です、私のロマニ。偉大なるあなた、素敵なあなた…ふふふ、養育費を張り切って貯めちゃいまーす!」

 

(人間に転生したのね、ロマ…いえ、グランドキャスター…。良かったわね、ただの人間)

 

王ではなく、確かな命として妻と共に二人きりの時間を過ごしている存在に確かなるグランドキャスターの資格を感じ取る。その身は英霊ではなく、人間であることを認識したオルガマリーは驚きつつも、まるで見知った相手に送る祝辞を述べた。その意味を把握せぬままに。

 

【…………………………】

 

(ぐ、グランドアサシン…鐘の前で何やってるのかしら…)

 

言葉通り、鐘の前で沈黙している骸骨の戦士をドン引きしながらも見やる。幽谷に蔓延る闇そのもののような存在にグランドアサシンの資格を見出し、お近付きにならないようにひっそりと距離を取る。

 

(どういう事よ!?こちらのカルデアはなんだか資格候補者が完璧に揃っているじゃない!?)

 

まさかそこまで用意周到だと思わずたかを括っていたら、集合していたグランドクラス連中。決戦術式調整で再召喚されれば、あっという間にグランドクラスのサーヴァントに取り囲まれてしまうだろう。今の記憶喪失気味で下降しきった戦力では手こずる…いや、決死の戦いになること必至である。

 

(藤丸のボーダーにいたのは10から12程。こちらのカルデアは軽く一万は越えている。何なの?まさかこれら全てが私の対策の為に用意されていたというの?Uオルガマリーに対抗する政党を超結集させていたというの?)

 

そんな訳はない、と大統領は否定する。何故ならこのカルデアは別世界のカルデアであり、大統領が出現した兆しもない。藤丸がいるカルデアに自身が降臨したのが始まりであり、アンブレイカブル・ワンである以上そうそう降臨するはずがないのだ。まさか楽園カルデアがアンチ大統領だったなどという最悪の可能性を捨て、桜餅を食べながらオルガマリーは思う。

 

(なら一体誰を想定していたのかしら…地球人類の保護や未来の保障ならこんな戦力は不要なはず。一体なぜ…)

 

そんな疑問を浮かべるオルガマリーであったが、その事実の片鱗は即座に理解される事となる。彼女はまた、異なるグループを見つけたのだ。

 

「ねーフォウ先輩。カルデアの者ってゲーティアだよね?なんでロマンさんの真似してフラフラしてるんだろうね〜」

(こっちのゲーティアと違って成仏したわけじゃないしなぁ。いや、むしろ条件が合ったら出てくるのか?アイツ)

 

「!?ビーストⅠの話を、幼体とⅣが話している…!?」

 

藤丸リッカからは完全に羽化したビーストの気配であり、そうでない感覚を感じていたが、目の前の少女と手乗り獣は正真正銘、ビーストクラスの資格を有している存在であることを見抜く。しかし驚きはそこでは終わらない。

 

『やはり…年越しの活気は、好きですね』

「そうでしょう、ティアマト様。初日の出を見ると思い出します。私を救ってくださったお医者様。シャナ姫様の御姿を…」

「げっ、ビーストⅥから連絡きてますよ皆さん…カラオケですって。参加したくないんですけどぉ…」

「まぁまぁカーマ殿。まだまだ正月の雰囲気は続きます。のんびり、新人を歓待して差し上げましょうではありませんか」

「うーん、グドーシさんがそう言うならokです!返信返しておきますねー!」

 

(ビーストⅡとビーストⅢが、ビーストⅥのカラオケの誘いを受けている…?)

 

「買い出しはこれでいいか、母よ。腕によりをかけた餅、期待している」

【うん、任せておけ。素晴らしいお餅を皆にも食べさせてやろうとおもう】

 

(更に、非公式ナンバリングのビーストまでが楽しそうに正月を楽しんでいる……???)

 

世界を滅ぼす要因も、世界を救う要因も全部纏めてひっくるめているような異常事態っぷりに、Uオルガマリーの認識は混乱を超えて思考停止する寸前の領域にまで達する。敵対した場合、負けるはずはないにせよこれらが一斉にやってくるのだと思うとその意味不明さにフリーズしてしまう自信がある。それ程までに、ここのカルデアは何もかも全てがおかしかった。

 

「……よし!方針が決まったわ!」

 

(このカルデアとは率先してさらなる友好条約を結ぶべきに!私のやるべきことは彼等に勝つことではなく、彼等を敵に回さないことよ!)

 

意味不明すぎて恐いわ、このカルデア!流石の宇宙大統領も、世界を救う側と滅ぼす側を結集させて違和感なく成り立たたせる多様性の極地めいた楽園に恐怖を懐き、細かい思考を放棄し雑煮の摂取に戻る。

 

(別に怖いわけじゃないわよ、怖いわけじゃ…というか本当、この節操の無さでなんで組織として成り立っているのか。それが一番恐いわ…)

 

三が日。そんな年の初めに、歓楽と畏怖を楽園にてたっぷり味わった大統領。

 

帰宅した際に、藤丸に伝えたという。

 

『フレンドは大切にしなさい』

 

そのアドバイスに、あちらの藤丸とマシュは不思議そうに首を傾げるのでありましたとさ。




Uオルガマリー『でも凄く気になるわ。これだけカルデアを進歩し強化し、ここまでの一大組織になったその経緯が知りたい。大統領としての国家運用にそのノウハウを取り入れたいのだけど…』

(流石に国家機密よね…このまま中枢に入れるかしら…)

ルゥ『この叙事詩を読むといいよぉ』

Uオルガマリー『ひゃぁっ!?びび、びっくりしたぁ!?貴女は…この時空のアンブレイカブル・ワンかしら?』

ルゥ『私はルゥだよ〜。そんなことより、お正月はこれを読もうよぉ』
Uオルガマリー『…無料配布!?こんな分厚い電子データ冒険譚が!?編纂者は馬鹿なの?馬鹿なのね!?』

ルゥ『比類なき馬鹿だよ〜。でも、だから皆が支えてくれているんだぁ』

Uオルガマリー『そういうもの…。じゃあ、付き合ってくれるかしら、こちらのアンブレイカブル・ワン』

『いいよ〜』

──こうして、視察に来たUオルガマリーは近くにいたルゥと一緒に、無料配布されている楽園カルデアの軌跡を読み解いていくのでありましたとさ──

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