人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜 作:札切 龍哦
トトロット【妖精國に現れた旅人ども!ボクだ、トトロットだ!どうやら警告を無視して滞在し、妖精どもの為にアレコレやっているようだな!】
〜ストームボーダー
トトロット【警告は確かにした筈だ。それを聞き入れなかったということはもう容赦はいらないものとする!ならばボクは人類に仇なす厄災として、汎人類史に攻撃を開始する!】
〜アヴァロン
トトロット【具体的には、ケルヌンノスの溜め込んだ呪いを一斉に開放することにより、汎人類史を侵し破壊する手段を取るつもりだ!積もりに積もったケルヌンノスの呪いはハンパじゃない。如何なる手段でも祓うことも、退ける事も不可能だ!】
〜天の祭壇
トトロット【それが嫌なら、ボクを倒し止めるしか無い!厄災は剪定されるなんて思うなよ、人類の脅威として、既に設定され倒すしかないんだ!いいか!汎人類史を救いたければ、ボクを倒しケルヌンノスを祓うしか道はない!】
【大穴にて厄災は溢れ出す!黄金の旅団よ、止められるものなら止めてみろ!妖精は滅んだ。なら次は…!】
【トネリコを受け入れなかった、お前たち人間の歴史をボクは否定する!!止められるものなら、止めてみろ!!】
〜
……辛かったろう。怒りと呪いを振りまくのは。
もういいぜ。後はボクに任せるんだわ。
お前が目にかけた『あの妖精』を助けてあげな。
ボクの怒りと絶望に、力を貸してくれてサンキュー。
あばよ──ケルヌンノス。
『トトロット…!あなたは自らを倒させようというのですか。我々カルデアの手で…』
トトロット渾身の宣戦布告ながら、モルガンにはあっさりと真意を見抜かれる。トトロットという恩讐の厄災は汎人類史への攻撃を宣言した。
だが、本当に滅亡を願うものがこのような優しい宣戦布告をする筈がない。わざわざ大穴、居場所を示してまで呼び込んだ理由はただ一つ。オベロンを除き、最後の妖精を討伐させる気なのだ。最後の厄災…恩讐の厄災、トトロットという妖精を。
「似合わぬ悪役など気取りおって!自己犠牲も大概にするがいい、トトロット!!」
「いやそれ、あなたも含めた救世主御一行全員に刺さりますから…」
CCAのぴしり、とした突っ込みにライネックはしょげ返る。そう。救世主の仲間達は、誰よりも仲間を愛するあまり全く自身を省みない。自己犠牲、自己献身。騎士としては最高だが、人としてはあまりいい生き様とは言えないだろう。
『だけど、全くのハッタリという訳じゃない。スキャンしてみたところ、ケルヌンノス神の遺体らしき大穴に燻るものの全長は軽く数十キロを越える大きさだ。カース・ロンギヌスに加え、あれほどの呪いをバラまかれたら…』
『聖杯から溢れた泥など比較にならない大災害が世界を満たし、道連れに汎人類史は滅びてしまう。…どの道、トトロットはなんとかしなくちゃいけない障害ということよ』
ロマニ、オルガマリーは告げる。彼女こそ、赦免に立ち塞がる最後の障害。妖精が乗り越えなくてはならない、罪の証。救世主への仕打ちを怒る、恩讐の厄災。
「止めよう。彼女だっておんなじだよ。この妖精國で、素晴らしいものや輝かしいものは全て汚れるしか無かった。九割の汚濁に塗れてしまった、眩い一割の宝物。救世主トネリコの大切な宝物。倒して終わりなんて、出来るわけがない」
『我が妻…』
「私も同意です。聖剣を担った以上、目に映る全てを救い、照らさねばなりません。力を振るい、退けるは厄災。救うべきは、誇らしき騎士なのですから」
巫女の遺体は浄められ、精神は正しく死を迎えた。だが、魂は生きている。ケルヌンノスへと赦しを伝えるために、灯火を宿しているのだ。
なればこそ、ケルヌンノスの下へ向かわねばならない。いよいよ赦免の旅はすべての元凶、原罪の地へと向かうに至ったのだ。赴くは、トトロットの待つ大穴。いや、死骸を拒み続ける干上がりし海。
「皆さん、気をつけてください。厄災と成り果てたケルヌンノス神はあまりにも強敵です。魂の大半は砕けてしまっていても、積み重なった呪いと怒りは満ちている。楽園カルデアの戦力でも、決して楽観視できる相手ではありません」
キャストリアが、神妙に告げる。そう、それはまるで体感したかのようにかの祭神を語る。
「エクスカリバー、そしてコールブランド。楽園の手には楽園の妖精の本懐たる二振りの聖剣があります。それらを駆使する騎士王様。そして、マスターのリッカちゃん。全ての鍵は、二人が握っています」
「勿論、解ってる。どこの世界、どんな世界でも。ブリテンを救い世界を切り拓くのはアーサー…ううん。アルトリア・ペンドラゴンしかいないって!」
「マスター…。えぇ。その信頼と期待があれば、私と聖剣、聖槍を始めとした輝きは十全に振るわれましょう。お任せください」
「それだけじゃないぞ。星のバッタ、アビス・ヴォーティガンとかいうのも残ってる。あたい的には、こっちのほうが多分やべぇと睨んでる」
チルノ…星の氷精となったオヤブンが冷静に告げる。そう、トトロットを蝕む存在は一つではないのだから。
「でも、やらなくちゃ!もうこれ以上、トネリコ様を哀しませたくないから!」
「そうだとも。ケルヌンノス様と巫女、ブライド様に誓ってやり遂げる!」
「ま、ハッピーエンドは目の前なんだ。どうせならとことん欲張ろうぜ。始まりの妖精騎士だけ仲間外れなんてありえねぇぜ」
「おおっ!!エクターの分まで、トトロットに説教をかましてくれる!」
妖精達の気持ちは一つだ。トトロットを助け、ケルヌンノスを祓い、そして星の蝗を破砕し、異聞世界術式を起動する。これこそが、最後の戦いとなろう。
『ケルヌンノスは優しい我等の友達よ。彼とルイノスがいてくれたから、私達は正しく聖剣を作ることができた』
『あんな痛ましい呪いの姿、見ていられません!私達の友達は、何処にいても私達の友達です!』
『誰かを怒ることも辛がっていた程のお人好しだ。オレたちはだからこそ彼を愛した』
『巫女と同じだ。憎しみに落ちていい魂ではない』
『みんなと一緒に私達も頑張るよ!だからお願い、ケルヌンノスを止めて!』
『うん。きっと…彼は解ってくれる。僕達に、最後の助けをもたらしてくれるよ』
「…こんな事を言えた立場ではなくても、言わせてほしいわ。勝って、カルデアの皆。負けないで、妖精の皆。私達の愚かさを乗り越えて、その先があるのだとどうか見せて。…当たり前に滅びるのではなく。愚かしさの果てに、妖精たちはめでたしめでたしに辿り着けたのだと、どうか…」
頭を下げるオーロラの顔を、チルノは上げさせ頷く。
「今更部外者みたいな事を言うな。足を引っ張らず、輝きを肯定するお前は、立派ないい妖精だ」
「…チルノ、オヤブンさん…」
「お前も一緒に赦されよう。そのために、これからも力を貸してくれ。いいな?」
「…はい。ありがとう。…ごめんなさい…」
「そういう時は、ありがとうだけでいいんですよ!オーロラ様!」
「そうです。風の妖精は、誰もが羨む美しい方なのですから!」
「ウジウジしてたら湿っぽいだろが。申し訳ない、そう考えた時点でこっちのゴミとはもうちげぇんだよ」
「…う、うむ。美しい。しかし美しい…」
「皆…」
「モルガンが見定めたあなたを信じるよ。カルデアはオーロラを歓迎します!」
「頭オーロラなんて最悪の罵倒の意味、変えてやろうよ!キャストリア的に言い出したの私だけど!」
「…えぇ。心から、精いっぱい頑張るわ…」
『よしよし。風の妖精の美しさに心が付いてき始めてるわね…これなら…』
『ヌン?』
「自分で美しいとかいうの?とケルヌンノス様が…」
『い、いいでしょう!?事実だもん!』
「……。ウーサーとして、聖剣使いとして。本当に、長く短く有意義な旅だった。それも終りが近いのなら、オレも全力を尽くそう」
「頼みますよ、ウーサー。汎人類史を救った聖剣の担い手。あなたの力と想いも、決してブリテンの聖剣に引けを取りはしないのですから」
「身に余る言葉だ、騎士王。…全霊を尽くす。妖精達と共に!」
「えーっと、私もなんだか気の利いた言葉言ったほうがいいかなぁ?えーと、ファイ!オー!!」
『…お前は勝利のドラミングでも披露していなさい。ただでさえゴリラ気質なのですから』
「ホオウッ!?誰がブリテンのゴリラウホッ!!ゴリラは優しく賢い森の賢者ウホッ!!」
『では、あなたは楽園のゴリラでよろしいでしょう。優しく賢い。自慢の妹です』
「………………そっかぁ(納得)。えへへ、そっかぁ…」
『ふふ。──カービィ』
『ポヨ?』
『玉座を、頼みます』
『…ポヨ?』
『おーい諸君!そろそろアトランティス・ボーダーに乗り込み給え〜!』
『一気に大穴に向かいますよ!カース・ロンギヌスも気がかりですし、なんだか大地が震えてますしー!』
「わかった!ゴルドルフさんにシオンちゃん!行くよ皆!皆で、ごめんなさいしにいこう!!」
「「「「「「おーっ!!!!」」」」」」
赦免の巡礼は最終局面へ。
──救世主、その数千年の旅が今、終わる。
大穴上空。
リッカ「これが、大穴。ケルヌンノス様が燻る、干上がりし海…」
マシュ「妖精達の死骸を拒否し続ける、呪いの根源…」
オーディン『こちらオーディン。湖より君達を見ている。いよいよ決戦か。長いようで、あっという間だった』
ニミュエ『マーリンを3人も…うふふ、羽振りの良い方々は好きよ』
マシュ(あっ、捕まってしまったんですね!)
リッカ(南無南無…)
騎士王(残念ながら当然の結果です、マーリン…)
オーディン『気付いているだろうが、トトロットはヴォーティガーン、ケルヌンノスの呪いを引き受けた状態だ。故に彼女をうまく引き剥がせば勝機はある。聖剣も二振りあるのだ。必ず…』
ルル『大穴より超高エネルギー反応!!』
ロマニ『ケルヌンノスかい!?』
オーディン『いや、ケルヌンノス神は核を有していない。動くはずが────』
──カルデアが捉えしは、穴より生え出る無数の腕。呪いの腕。
モルガン『あれ、は──』
鎧は更に禍々しく。背中には呪いの腕にて作られし翼。そこにいるだけで時空を歪める、超密度の呪厄。
ムニエル『かっ、かはっ───!』
アカネ『うぶっ…!!』
エル『アカネさん!?ムニエルさん!?』
オルガマリー『映像を切って!直視してはいけないわ!師匠、フィルターを!』
ダ・ヴィンチちゃん『解った!…おぞましい、なんてレベルじゃない。オガワハイムのガイアもどきクラスの質量だ…!』
それは、ケルヌンノスが紡いだ呪いの結晶。
妖精達の育てた罪。
モルガン『あぁ…トトロット…』
騎士王(聖剣が…啼いている…)
妖精の成れの果て。ケルヌンノスの怒りと呪いの具現にして顕現。
──全ての命に、呪いあれ。カルデアが討ち果たすべき、人類の脅威。
…恩讐の厄災が、顕現する。
【裁断厄災女王】
【TOTOROT】