人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜 作:札切 龍哦
「ハッ、大言壮語を掲げる有象無象もいたものだ。この!太陽の化身!万物万象を統べる絶対たるファラオたるオジマンディアスを差し置いて万象を騙るものがいるとはな!」
「ははっ、ファラオ・オジマンディアス!あなた様こそが万物の支配者!真なるファラオ!如何いたしますか?不敬ものを罰されに?」
「いや――万物の悦楽、その言葉が些か余の興味を引いた!真意を確かめに行くぞニトクリス!その言葉の真偽を!ラーの輝き!!ウジャトの眼が見定めようぞ!!ついてこい、ニトクリス!」
「ははっ!ニトクリスめはお側に!」
――――整理券にて待機――――――
「なんと――――――!?」
「・・・うむ、考えて見れば当然ではあるな。よし!ニトクリス!待つぞ!」
「は、はい!」
「うむ、待つもよし!具体的には6つめの特異点までか?それとも速まるか?フ、フハッ!フハハハハハハハハハハハ!!」
「このっ、このっこのっこのっ!!」
「チッ、鬱陶しいですわね……この、『私』!」
火花を散らす槍と杖。冷たい鉄のドレス、鉄の杖を構える婦人
コケティッシュな衣装に身を包んだ、竜の角を生やし、尻尾を振るう赤髪の少女
「先輩!」
「エリちゃん――!」
お互いがお互いを睨み、憎み、意地をかけた戦いが繰り広げられる場所に、マシュとリッカが、参じるのだった
「それは私の台詞よ!なんで、なんであんたがサーヴァントに……!!」
尻尾を大きく振るう
「ハッ、あなたがそれを言うの?――愚かしい!」
それを、ハイヒールで思いきり踏みつけ縫い止める。飛び散る鮮血
「ぐぁあぁうっ!!」
「私はカーミラ、誰もが怖れる吸血婦人。私は反英霊として恐怖を喰らった存在」
爪を伸ばし、エリザベートを切り刻む
「貴方を逃がさぬ罪の具現――決して変えられぬ、エリザベート・バートリーという存在の末路――!!」
「――はぁあぁぁあ!!」
槍を振り回し、力ずくでカーミラを突き放す
「そんな私を、過去である証のあなたが否定しようだなんて……筋が通らない、可笑しい話ではなくて?」
突きつけられ、悔しそうに唇を噛むエリザベート
「……解ってる。あんたは私。変わり果てた私の結晶。けして眼をそらしちゃいけない、向き合わなきゃいけないアタシの罪――」
――カーミラ。真名をエリザベート・バートリー。永遠の美という妄執に取り付かれ、娘という娘、少女という少女の血を求め、あらゆる拷問の果てに殺した『血の伯爵婦人』――
その末路は、ただ一人の少女を取り逃がし悪行が白日の下に曝され、監禁されそのまま果てたとされる
唾棄されるべき怪物。倒されるべき反英雄
――少女の行き着く果て。終わりのなき可虐と罪禍の終着駅
眼をそらすことは許されぬ、生ける人生の弾劾の結晶
手にした槍が震える。体の震えが伝播する
「あんたを否定するのは、私の全て、私のかつてを否定するも同じことでしょう――」
――震えを、振り払う。前を向く
自らの過去に、怪物に槍を突きつける
「でも!だからといって自分の不始末を放ってはおけない!――これがどんなに醜い自己欺瞞だとしても――アタシは叫ぶわ!」
吠える。自らの罪に、克己と意地を
叫ぶ。決して譲らぬ、プライドを――!
「アタシは――あんたにはなりたくないって!!」
「どこまでも馬鹿な娘……頭が痛いわ。不愉快だわ――死になさい!」
空から飛来するアイアンメイデン、迫り来るかつての拷問器具
「――子ジカ!!」
槍を振り回し、薙ぎ払い、距離を放ちマスターに寄りそう
「力を貸して!私がたまーに夢見るあの子リスにはグレードが落ちるけど、アンタ、ガッツはもう超がつくぐらい一流だし!」
手を差し出す、マスターに、その手を
「私におもいきり歌わせて!アタシのわがままを貫かせる力をちょうだい!」
「――もちろん!なんたって私は、ギルとマシュのマスターだからね!」
リッカの姿が変わり、アトラス院独特のデザインの制服に姿が替わる
「スキル発動!『イシスの雨』!」
総てを癒す、恵みの雨が、エリザベートのデメリットスキルを一時的に打ちはらう!
「――ありがと。頭が、スッキリしたわ」
雰囲気が変わるエリザベート。落ち着いた、知的な風格を漂わせる
「頭痛がなくなったわ。――これなら、全力でやれそう!」
一息のうちにカーミラに飛び掛かる。振り回し、切り裂き、薙ぎ払い、打ち払うエリザベート必殺の戦術メドレー!
「急に、動きが……!こいつ!」
「アタシ、状況判断は的確なのよ?頭痛が収まったなら、アンタなんて敵じゃないから……!」
槍を離し、尻尾で、爪で、頭突きでお尻で、自らの未来をうちのめす!
「調子にのって!」
背後から、猛烈な勢いでアイアンメイデンが叩きつけられる!
「あぅっ――!!」
「総ては幻想の内――けれど少女はこの箱に――!」
「解ってるわ。そーいう手口だっていうのはね」
素早く槍をつっかえ棒にして、アイアンメイデンの開閉を阻む!
「チッ、互いの手はお見通しというわけね――!」
「もちろん。だからこその私でしょ?」
「――では。見せてあげるわ……あなたが積み上げてきた罪の果てを――!!」
カーミラの足元から血が沸き立ち、おぞましく婦人を彩り、輝きを増していく――!
「来るわね。子ジカ、見ていて。――これが私の、フィニッシュナンバー……!」
「オッケー!ADとして見ててあげる!」
「先輩!?」
「AD――ふふ、マネージャーを挙げないのが奥ゆかしいわねっ」
「――血よ、血よ、血よ……!永遠の美、久遠の宴!――老醜は時の果てに――!!」
放たれる呪詛。強迫観念にすら通ずる、吸血婦人の矜持――!
「今回は特別に、貴方に向けて歌ってあげる。哀れな私に、愚かな私の罪の結晶に――!」
槍を突き立て、先端に立つエリザベート。その背中から、アンプに改造された巨大な城が顕れる――!
『あれはチェイテ城!ハンガリーにてエリザベートが居城にしたとされる彼女の住処だ!』
『――なんで、アンプなの?』
感嘆するロマン、困惑するオルガマリー
「ノリよ。――さぁいくわ。私の十八番、フィニッシュナンバー!」
おもいきり、息を吸い込むエリザベート――練り上げられ、異界化された肺から放たれるドラゴンブレス――!!
「『幻想の鉄処女』――!!」
巨大なアイアンメイデンが、エリザベートを取り込まんと迫る――!!
「――『鮮血魔嬢』!!LAAAAAAAAA――――ッ!!!」
――もはや衝撃波、超音波、破壊の嵐、拷問の大波濤
カタチをなした莫大な音量のブレスが改造アンプチェイテにより増幅され、反響され――
『ぐっわぁあぁあぁ!!耳がぁあぁあ!上手い下手じゃなくて単純に音量がぁあぁ!!』
『宝具って皆こうなのー!?』
「宝具、展開します――!!」
「これが、アイドル――!」
――辺り一体を吹き飛ばす――!!
「――ごっふ!!」
血を吐き倒れるアマデウス
「まあっ、どうしたのアマデウス!?」
「――む……このデスボイスは。本領を発揮したか、エリザベート」
遥か天空のヴィマーナ。耳に届く雷鳴がごとき声
「――如何なる理由かは知らぬが、少しは聞けるではないか。爪の先程腕前をあげたと見える。まぁ黄金Pとしては落第もいいところだが」
――こんな空にまで届く声って……音響兵器か何かなのか……?大地の形が解るくらい離れてるのだが……
「いつかカルデアに、アイドルをプロデュースしてやるのも悪くはないかもしれんな。最低でも我のレッスンの栄に預かるには、マリー並のカリスマかオルガマリー並の勤勉さがなければ認めんがな!ふははははは!」
――アイドル?マギ☆マリみたいなやつか?というかプロデュースまでやってたんだこの王様……
ワイバーンを蹴散らしながら、王は高らかに笑うのであった――
「――未来が過去を否定するのではなく、過去が未来を否定するだなんて……」
――破滅のライブに曝され、消滅が始まるカーミラが自嘲する
「――なんて愚か、なんて無様――でも、だからこそ……」
――最期に浮かべる表情は
「こんなにも、眩しいのね――」
――笑顔であったのだ
「さよなら、変えられない未来の私。……私は、歌い続けるわ。それが、私の決めた生き方だから」
寂しげに、呟くエリザベート
「……よーし!スッキリしたわ!ありがと、子ジカ!」
「うん!お疲れさま、エリちゃん!」
――将は、ほぼ総てが討ち取られ
残すは――中核を残すのみ――!
「どこもかしこも、自分との争いが好きなものだ・・・ろくなものではないのに、な」
「ハム、ハフハフッ、ハフッ」
「あぁ、解っている。・・・難儀なものだ、英雄というのはな」
「ハム、ハフハフッ、ハフ」