人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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マルタ(洗礼担当)「ちょ、何あれ!?キャラってフォローできないくらいじゃない!素じゃない!リッカ!なんで止めなかったの!?」

リッカ「・・・はい。今回のソロモン王の台詞は、シバにゃんの台詞は完全に二人に任せました。だって、だって・・・」



「リッカ君。もしよかったら、ソロモン王の台詞は僕が改編しても構わないかな?」

「?いいけど、どして?」

「あぁ、ほら。僕は神の意志の代行者で、自分の意思を持つことは許されなかったって前に話したろう?だから無感情で、言われたようにしか生前は話せなくて。シバの問い掛けにも、神の与えられた知識を返しただけだった。・・・だけど、今はロマニとして、きちんと自分の意志があるし自分の心がある。だから──」

『シバの言葉に、今度こそ自分の言葉で応えたいんだ。例えそれがお芝居の中でも・・・自分を愛してくれる相手に返す言葉が、神からのカンペを見ながらなんて有り得ないだろう?』



リッカ「止められるわけないじゃん・・・ッ!!シバにゃんと仲良く台本に向き合って台詞の一つ一つ考えてッ!『君に向ける言葉はボクのものだよ。今度こそ、誰でもないボクの、ね』なんてシバにゃんにささやくロマンを見たらほわぁあぁあぁあぁあぁあぁ!!!(尊死)」

ムニエル「ヌッ!!(絶命)」

マルタ「無粋な事を言ってごめんなさい!思う存分──演じなさい!本当の自分をッ!!」

カドック「わかったから静かにしろ!始まるぞ!裏方として成すべき事を為すんだ!」

ぐっちゃん「私と項羽様だって負けてないから!!!!」

カドック「何に張り合う!?何故張り合う!張り合う!?」

アナスタシア(アイス食べ係)「まだまだね、カドック」

カドック「何がだ!?」


昼 劇演目──ソロモンとシバの三つの問いかけ 謎掛編──

「何はともあれ、長旅本当にお疲れ様。無駄に贅沢な宮殿で、長い疲れを癒してほしいな。ほら、砂漠の行軍とかすっごい手間だったろう?」

 

「ご、ご機嫌麗しゅうソロモン王陛下!陛下へのお目通りが叶い、全ての疲れも吹き飛びます!今吹き飛びました!ひわっと!」

 

漸く巡り逢いし、女王とソロモン王。女王にとっては初対面に他なりませんが、ソロモン王はそうではありません。顔を合わせるのは初めてではありますが、知る機会は沢山あり、存在していたのです。

 

 

「なんか・・・イメージと違うけど、優しそう!」

 

「ふわっとしてるよね!王様っぽくない!」

 

(ありがとう青少年、ロマンにはそれが最高の誉め言葉なんだ・・・ムニエルが後で握手してあげるからな!)

 

 

「エルサレムに持ち込まれる質の高い香料、貴石は決まって南の王国からやってくる。私はしょっちゅう訪ねたものさ、旅人や商人にね。すると彼等は決まってこう答えるんだ。南方の王国に凄く美人で、確かな鑑定の目を持ち、優れた交易を取り仕切る女王がいるんだって。色々想像したり、像を作ったりしてイメージしてたんだけど・・・いやいや、本当に美人だね!凄く綺麗で、まるで砂漠に咲く花だよ!」

 

「・・・・・・ひわわ・・・~」

 

(女王!台詞、台詞!)

 

「はっ!?も、もったいない過分な御言葉プライスレスっ!私こそ、私こそ王の威厳あるゆるふわっとした姿は、想像を遥かに越えておりました!」

 

 

ゴルドルフ(売店)「ソロモン・・・いや!ロマニ・アーキマン!やけに言い慣れているのはやはり愛多き王だからかね!見なさい、シバとは対照的に照れも恥じらいも見られん!童貞と見せかけてあれはかなりやる男ムーブだよアレは!」

 

ダ・ヴィンチ「そうだねぇ。でも、今のアイツはずっと生き生きしてる。生前と今のロマニの言葉は、込められた意味がずっと違う筈さ。伊達に脚本を改修していない、ってところだね」

 

 

「門前払いの件は本当にごめんよ。そのお詫びとして、私がエルサレムの宮殿を案内しようと思うんだけど、それで許してはくれないかい?」

 

「えっ!?陛下自らが!?それはそれはなんと喜ばしき事でしょう!?そ、そ、それでは!是非是非!よろしくお願いされてもよろしいでしょうか!?」

 

「いいよー。美人の女王さまと御同伴出来るのは私の喜びでもあるからね!王の役得だなぁ!」

 

 

「ソロモン王さまやさしーい!」

 

「私も案内してほしいなぁ・・・」

 

「まぁ・・・!それにしてもティテュバ、あなたと女王様、とてもそっくりではないかしら?」

 

「光栄ですわ、お嬢様。ラヴィニア様も楽しんでおられますか?」

 

「えぇ。ソロモン王は、なんと言うか・・・変な人なのね」

 

 

 

二つの国の王と女王は歓談を交わしながら、エルサレムの宮内を巡りました。興じられた躍りや琴、供される数々の料理。どれも見事で素晴らしきものでした。

 

琴奏者(CGアクター・カルデア職員シルヴィア)「武術一辺倒じゃないのよ?ヒーリングミュージックだって出来るのだから」

 

料理人(CGアクター・カルデア職員ガストン)「夜食の腕が、役に立つ日が来るとはな・・・」

 

そして、更にシバの女王に強い感銘を与えたのはあの羊飼いも口にしていた神殿です。王の宮殿よりも、遥かに高くそびえるエルサレムの神殿の偉容。その広大な祭壇上で行われる燔祭の供犠。業火の中で焼尽される供物。生け贄の動物。豪華な捧げ物の数々。神の食物とされ、東方の三博士も贈り物に選んだ乳香はさながら薪のように惜し気もなく焚かれるのでした。

 

カーマ(焔エフェクト)(大丈夫なんでしょうね、フォウさん・・・)

 

フォウ(生け贄の動物)(安心しろ、ボクは焼かれようがなんだろうがエアの下へ還るだけだ!劇だからって手を抜くんじゃない!ベストを尽くせ人類愛!!)

 

(はいはい・・・)

 

数々の驚異の光景を目にする中、シバの女王はソロモン王に向けてそれとなく小さな『問い』を投げ掛けました。女王がはるばるエルサレムを訪れたのはまさにこの問いの為。彼の王の知恵を計り、真価を見定めること。求めて止まぬ、真の答えを得る事。砂漠を越えて携えてきた女王の問いは、聖書学者によれば二つであるとも19であったとも。

 

「ソロモン王?パンはパンでも、食べられないパンはなんでしょう?」

 

「それはフライパンだねぇ。ほら、固いだろう?」

 

「ソロモン王?上は洪水、下は大火事とはなんでしょう?」

 

「御風呂かなぁ。ほら、お湯を入れて、下は火でお湯を沸かすだろう?」

 

 

リッカ「ちょっと待って!?アレなぞなぞじゃない!?誰アレ考えたの!?」

 

マシュ「はいっ!ソロモン王のみが答えられるような、とても難しい問題をこのマシュがマシュっとセレクトしました!」

 

「なすびぃ!ま、まぁ受けてるし・・・いいかな!」

 

「興味本位で、フェルマーの最終定理を考案もしていましたが・・・」

 

「止めて!特異点どころじゃなくなっちゃう!」

 

 

 

 

しかし、そのことごとくに見事な答えを返すソロモンに、女王は改めて驚嘆いたします。そして・・・

 

(この方なら、きっと。あの三つの問い掛けにも、素晴らしい答えを返してくれるはず・・・!)

 

女王は、胸に秘めた最も重要な『三つの謎』を彼の王へと託す事を決意するのです。

 

「ソロモン王。改めて、貴方にお尋ねしたい事がございます」

 

「──いいよ。じゃあ、それなりの席を設けようか」

 

ソロモンもまた、高貴なる客の求めに応じ。玉座の前に、双方の大勢の家臣が居並ぶ場を設けました。

 

互いの王の資質が問われる、決して過ちの許されぬ謎掛け。人々は固唾を呑み、玉座は静まり返りました──

 

「───偉大なる王よ。全イスラエルの部族の長よ。限りなき知恵の覇者よ。どうかこの問いにお答えくださいませ。その知恵を、あなたのお客人にお授けください」

 

「いいよ、おいで。この世の全ての疑問と難題に、真の叡知にて応えよう。我が両手には、我が身には、全ての智恵と解答が宿る。我が言葉は、君の抱える闇を照らし、霧を搔き消し、波を鎮め、輝ける朝日が如く君の心を照らすだろう──」




リッカ「うわぁ・・・真面目なロマンとシバにゃん凄い。会場静まり返っちゃったよ・・・」

レフ板所長「ゆるふわであろうとも、彼はギルに並ぶ王。決めるべきところは決めるということよ」

カドック「なんなんだ、君のその飽く無きレフ板への拘りは・・・?」

マシュ「かつて御機嫌王にも問い掛けた事がある三つの問い。それの答えは一体・・・、・・・あれっ!?」

リッカ「どったの!?」

マシュ「み、三つの問いの場面の台詞が書かれていません!今ドクターらは、完全に台本抜きで演じています!」

「問いは答え用意してないってこと!?」

ギル(カルデア待機)『そうでは無かろう。この場面は演じるのではない、かつての場面の『再現』であるという意志の表明なのだろうよ。互いのかつての記憶が色褪せていれば破綻する。これは劇の名目を借りた、在りし日に交わした記憶の情景を興しているのだ』

リッカ「本気も、本気って事だね・・・!頑張れ、二人とも・・・!」

ムニエル(百年の恋はあっさり冷めるんだ。切った髪に気付かないとか結婚記念日忘れるとか。そんなんで生涯の愛をほざいたカップルが別れるのをごまんと見てきた!・・・頑張れロマン!アンタの未来の分岐点だぞ・・・!)

マーリン「問題です。女王のスリーサイズは」

フォウ(黙っとけ!!)

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