世界でただ1人のLv.9   作:しぐ

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短いです。ご了承を


七話

「さあ、こっからは足を止めちゃだめだよ!」

 

 走りながら、フィンがそう告げた。

 当たり前だろう。ここからは58階層のボス、砲竜の補足範囲だ。

 この階層に足を踏み入れるからには58階層を攻略する実力を持っていたわけだ。

 少しでも足を止めたりするとほら、この通り。

 

「まずい、補足された」

 

 フィンが急かしみんなが足を早める。

 そして、階層を無視して放たれる砲竜の炎弾に、俺は打ち上げられた。

 

「いやっほう!」

 

 まあ、俺にとってはただの遊戯である。

 気分は打ち上げ花火。だが、砲竜のクセに俺を狙うとは不遜なので、プチっと頭を潰しておく。

 打ち上げ花火で遊べるのは一匹につき一回。そしてその一匹を倒すと他の竜は警戒して殆ど撃ってこないのだ。これはフィン達への砲撃も減るか? ちょっと短慮が過ぎたな。

 

「さて、フィン達は先に行ったか」

 

 砲竜の補足範囲(こんなところ)で足止めをするわけにはいかないからな。

 しかし一匹殺しただけで怖気付くなんてなんて臆病なヤツらなんだ。

 

「お? 分断されたか」

 

 ちょうど半々くらいにわかれた様だ。フィンとしても本意じゃないだろう。大方誰かが落ちたからそれに付き添ったとかそんな感じか。そういえばリヴェリアの後継者とか言われてるエルフがメンバーに入ってたな。ふん、凛々しさが足りないぞ後継者。もっともリヴェリアは可愛らしさを凛々しさで隠しているところがまたなんとも言えない雰囲気を醸し出していて。うおっ、また狙ってきやがった。野郎、上等じゃねえか!

 

「そんなに下に来て欲しいなら行ってやるよ」

 

 

 

 下に落ちると、ガレスが無双してた。俺もやりたい。じゃなくて、ガレスがいるなら手助けが必要になる事は無いか。

 

「よっと」

 

 無謀にも俺に近寄ってきた砲竜を叩き潰す。

 

「目上の人には伏せをしろって習わなかったのか」

 

 叩き潰しておきながら言う台詞じゃないが言ってみたかった。次は生きてるヤツにやろうと思ったけどさっきの攻撃が圧倒的過ぎたのか、こっちに近寄ってくるヤツがいない。全部ガレス達の方に向かって行ってるんだが?

 もう一匹ぐらいきてくれてもいいのよ? 今なら無慈悲に殺したりとかしないからさ?

 

 そんな俺の祈りは通じず、一匹も寄ってこないが、代わりに見た事のない芋虫が寄ってきた。

 

「なにこれ、新種?」

 

「それ、体内から腐蝕液だすよー!?」

 

「おっ、情報サンキュー!」

 ティオナがすかさずこちらに情報をくれる。こんな気配りが出来るところは素晴らしい。ポイント高いぞ。胸無いけど。

 

「なんか憐れみの視線感じる!?」

 

「変な事言ってねえで手と足を動かせバカゾネス!」

 

「なにおう!?」

 

 うむ、楽しそうでなによりだ。万一があるかもしれないと考えたが喋る余裕があるなら大丈夫か。

 

「しっかし、たくさんいるな」

 

 こんな芋虫如きの腐蝕液が俺に効くとは思わないが、かかったら服が汚れてしまうな。

 

「なら━━」

 

 パァン、と音を立てて芋虫は弾けた。

 腐蝕液も全部蒸発させる勢いで蹴ればいいだけだろう?

 

「こいつら警戒心とか無いのな!」

 

 どんなモンスターも大抵は数匹殺せば警戒心を抱くもんだが、コイツは生物としての何かが破綻してやがる。

 殺しても殺してもこっちに向かってくる数が消えない。それどころか増えてくる。

 

「はっはぁ! 楽しいじゃねえか」

 

 芋虫(おもちゃ)がわざわざこっちに来てくれるんだ。遊ばないのは損だろう?

 

「ほらほらほらぁ! もっと出てこいよ!」

 

 砲竜はガレス達に任せるが、芋虫は面白いので俺が引き受けた。割といたと思ったんだが、興が乗って潰し過ぎた。もう残ってないんだ。

 58階層から降りてくるヤツらも一匹残らず消してるからさすがに供給量が足りなくなって来たというところか。

 

「いやー、面白い敵だった」

 

 なんか大量発生してるっぽいから見つけたら狩ろう。ちょうどいいぐらいに蹴らないと腐蝕液が全て消えないから威力の調節に役立つ。芋虫にはお似合いの末路だ。

 

「おっと、そろそろ来るか……?」

 

 フィン達の到着だ。ロクに休憩もせずに急いで降りて来たのだろう。随分早い到着である。

 

「━━あれ、ハルはこっちに来てたのか」

 

「まあな、芋虫狩りしてた」

 

 まだ砲竜達と戦ってるガレス達がいるが、俺がいる事で一安心とみたのだろう。それからこの階層にいる砲竜を全滅させるのにそう多くの時間はかからなかった。

 

「……少し休憩しよう。この先に行くのはそれからだ」

 

 各々が床に座って水分補給をしてる最中、俺は気になっている事を告げる。

 

「フィン気付いてるか? あの先、何かおかしいぞ」

 

「ああ、ゼウス・ファミリアが残した情報によると59階層から先は僕らLv6でも動きが鈍る極寒地帯━━」

 

「まあ、俺は大丈夫だけどな」

 

「━━ハルは例外だから置いておくとして。59階層と繋がっている此処もかなり温度が低いと聞く。だけど、今はどうだ?」

 

「むしろ暑いくらいだよ?」

 

「アイズが敵に言われていた『59階層に行け』と言ってた原因があの状況を作ってるんだろうね」

 

「ふーむ……」

 

 訳知り顔で頷いてみるが詳しい事はよくわからない。敵? うちのアイズを付け狙う敵がいるならそれは滅ぼさなきゃいけない案件だぞ?

 

「まあ、ハルはわからないよね。でも僕たちも詳しくわかってるわけじゃない。取り敢えず休憩は終わりにして、先に進もうか」

 

 決意を目に、片付けをして皆が立ち上がる。

 そう、決戦の時は近い━━。




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