なんとかすぐに『最新話』を無事に更新をすることが
できました‼︎
今回は『10262文字』まで頑張って書きましたが
豆腐のようなクソナメクジメンタルの自分はきちんと
面白く書けているのかとても心配になります……(汗)
少なくて本当にすみません……(笑)
【お気に入り】や【しおり】、【投票】そして
【感想】などいただければ豆腐のようなメンタルで
脆い自分も更に『創作意欲』が増していきます。
面白く出来ているかどうか心配でいっぱいですが
一生懸命にたくさん書きました。
最後まで読んでいただければありがたいです‼︎
更新作品は『デート・ア・ライブ ■■■の精霊』
や『転生したらスライムだった件 ■■の魔王』、
『五等分の花嫁 繋がり合う絆』をしていますので
そちらも良ければお願いします‼︎
次回の更新は『新年度』の予定となりますので
よろしくお願いします‼︎
『ごめん……黒鉄。俺はもう、お前と以前みたいに
仲良くできない』
「──────ッ⁉︎」
昔の事を思い出してしまったせいか、無意識に
握りしめた手を開くと、手のひらはじっとりと
汗に濡れている。
(何で今更、去年の事を今になって……)
『アイツと仲良くすると、理事長に睨まれるらしい
みたいだぜ』
いつだっただろうか、そんな噂が流れ始めたのは。
ただ一人、実践教科を受けさせてもらえない生徒。
名目上は『能力不足につき危険』という理由などを
語ってはいたが、そんな言葉がただの誤魔化しなど
でしかないことは、当時の教師陣の態度知っている
者ならば誰もが感づいていたことだ。
『黒鉄一輝に関われば内申が悪くなる』
そんな噂が囁かれ、皆から距離を取られるのも当然
の成り行きだった。
その噂を誰一人疑わなくなり、ルームメイト以外の
人間が軒並み一輝から距離を置くようになっていた
頃、そんな一輝に、とある珍しい人物が声を掛けて
きたのだ。
その人物の名は、
一輝たちの世代の『首席』であり、一年生として
『七星剣武祭』出場を果たした
正直、一輝はその頃から、この男に良い印象を
持っていなかった。
普通の生徒は自衛のために一輝から遠ざかることは
しても、積極的に一輝に攻撃を仕掛けてくることは
なかったのだが、桐原は違ったからだ。直撃攻撃など
はしないものの、教室などで自分の取り巻きの女の子
たちと、わざと一輝に聞こえるように大きなその声で
一輝を中傷したり、クラスメイトたちに一輝が不利に
なる噂を広めたりと、色々嫌がらせしてきた。
何故そんなことをするのか。
別に恨みを買った覚えはない。実際恨みなんてない
だろう。
ただ、一輝はそのとき誰からも守ってもらえない人間
であった。一輝になら何をしてもいいという空気など
が蔓延しており、そういう人間に対して必要以上に
辛辣に当たる人間はどこにでもいる。
桐原という男はそういう人間だった。ただそれだけの
ことだろう。
そんな人間が自ら話しかけてくる。
当然ろくな用件ではないと思った。そして、案の定、
ろくでもない話だった。
『そうやっていつまでも先生たちの言うことに従って
いるだけじゃ、一生かかっても先生達に君のそんな
実力を認めさせることは不可能だろう? だからさ、
今ここでボクと決闘をしようじゃないか』
七星剣武祭出場を果たした自分といい勝負したなら、
先生たちも能力不足だなんて言えないはずだ。そんな
内容をさも一輝を心配しているんだと気遣わしげな
風情で提案してきた。
とても一輝には受け入れられない提案だった。
校内とはいえ、教師の許可無く戦闘を行えばそれは
処罰の対象。一輝が少しでも不祥事をやらかせば、
黒鉄本家と繋がっている理事長は嬉々として一輝を
退学に追い込むだろう。
そして、桐原の狙いもそこなのだ。
あのとき、広場には複数の教師の気配があった。
いずれもいつも辛く当たる理事長一派。
おそらく、桐原の背後には彼らの存在が
あるのだろう。
それを悟り、一輝は申し出を断ってその場を後に
しようとした。だがそのとき───
『そんなこと言うなよ。ボクはクラスメイトとして
君が心配なんだ』
踵を返した背に、桐原が
射撃を打ち込んできたのだ。
一輝は決闘の申し出はおろか、自身の
すらいない。なのに、だ。
「あのときはさすがにびっくりしたな……」
桐原の行動もだが、誰一人桐原を戒めなかった周囲
の反応にも驚いたものだ。
近くにいた生徒も、様子をうかがっているそんな
教師たちも。
あのときほど、自分の立場というものを思い知った
ことはない。
自分の孤独を噛みしめたこともない。
特に教師達は、桐原の挑発に一輝が乗ってくることを
期待すらしていただろう。
黒鉄本家から一輝をプロの魔道士にはしないようにと
頼まれている彼らにとっては、退学は一番大きな戦果
なのだから。
もちろんそれは一輝も理解しているので、彼は何十発
矢を打ち込まれようと、決して《陰鉄》を呼び出しは
しなかった。『回避』すら戦意ととられるその可能性
があったから、避けることすらしなかった。
故に一輝は好き放題矢で穿たれ、そしてその場で意識
を失ったが……一切の戦意を見せなかったことが校内
のカメラに映像証拠として残っていたので、処分など
をされることはなかった。
しかし、一方的に攻撃していた桐原も『厳重注意』
というそんな名ばかりの罰則で済まされてしまった
ことから、はじめから理事長側と密約を交わしていた
ことは明らかである。
「……思い返せば思い返すほど、ろくでもない
毎日だったな」
嫌がらせはその一回に留まらず、徐々に苛烈に、
徐々に陰湿になっていった。
最初の頃は一輝の境遇を憐れんでくれていた生徒たち
も少なからずいたが、少しずつ彼らも教師や桐原たち
が作り出す空気に呑まれていき、そんな光景に対して
何の疑問も持たなくなり───
やがては唯一最後まで一輝の友達でいてくれたそんな
一緒のルームメイトの男も、苦しさを噛み殺すような
表情で、一輝の元から離れていった。
怒りなんて微塵も湧かなかった。
唯々、申し訳なさで胸が張り裂けそうになって
しまったことを、一輝はよく覚えている。
それ以来、ルームメイトと話すことがなくなった。
彼が話しかけてくることもなければ、一輝も努めて
彼を無視するようにした。
彼は優しいから、一輝が話しかければ無視はできない
だろうから。
やがて彼は進級し、一輝は留年するという形で会う
ことすらなくなったわけだが───
しかし、とうすべて終わったことだ。
一輝はもう気にしていないし、最近では夢を見るまで
は思い出しすらしなかったこと。
なのに何故………。やはり桐原と話したからか。
(まあ、わからないなら考えてもしかない、か)
それに、今はもう何も関係ない。
あの理事長は去り、一輝を妨げるものはいない。
後は結果を出すだけ。そう、ただそれだけだ。
一輝は拳を握りしめて、感じた。
決戦の日の始まりを───。
今日、黒鉄一輝のすべてが試される。
選抜戦期間中は、授業は午前中のみとなり、
午後からは夕方まで選抜戦が行われる。
一輝の出番は十三時半。それなりに早い組みだ。
昼食を腹にしっかり詰めるのも微妙な時間帯なので、
その日の食事は学食で提供しているゼリー食などで
済ませ、一輝とステラ珠雫、そして有栖院の三人と
共に自分の試合が行われる第四訓練場に足を運んだ。
時刻はすでに十三時。リング上では一輝よりも早い
組みの試合がすでに行われていた。
出場する人間は十分前までに控え室で待機する必要
があるが、まだ二十分も余裕がある。
出場する人間は十分前までに控え室で待機する必要
があるが、まだ二十分も余裕がある。
観客席でしばらく、他人の試合を友人達と共に眺める
のも悪くないだろう。
事実、ステラや珠雫はそのつもりだった。
だが、一輝は──
「じゃあ僕は少し早いけど控え室に行くよ」
「え? ここで他の人の試合の人の見ないの?」
「うん。今は自分の試合に集中したいしね」
すでに一輝は対桐原用に自分自身を
他の人間の試合を見てそれを崩すことを嫌ったのだ。
「じゃあ、行ってくるよ」
「お兄様。必ず勝ってくだいね。信じてますから」
「昨日もアイツの前で言ったけどアタシ達は全員
揃って七星剣武祭に出場するんだから、情けない
試合をしたら許さないわよっ」
「……気をつけてね」
三者三様の励ましに頷きを返し、一輝は控え室に
向かった。
「一年一組・黒鉄一輝さんですね。確認などの内容が
終わりました生徒手帳をお返しします」
控え室前にある受付カウンターの女性職員は、一輝の
生徒手帳を手元の端末にかざし、試合のための手続き
を済ませると、手帳を済ませると一輝に返却した。
「では初戦に限り、『選抜戦』のルール説明などを
させていただきます。『選抜戦』は七星剣武祭と同じ
実践形式で行われる、一対一での決闘です。制限時間
は無制限。ギブアップあり。実践形式でありますので
《幻想形態》は使用したりなどはしません。そのため
場合によっては命の危険などを伴います。もちろん
そのような事故がないよう、試合会場には教師や職員
が詰めており、その時の試合の状況と場合によっては
レフェリーストップでその時の試合を止めることも
ありますが、それでも生徒の皆さんに絶対の安全性を
など保証するものではありません。それらのリスクを
踏まえてなお、試合に参加する意思があるのでした
のなら、お手元にある手帳のディスプレイに表示を
されているそちらの『はい』のボタンを。そうでない
のならば、『いいえ』のボタンを押してください。
ただし、一度『いいえ』を押せば次回から抽選では
弾かれるようになり、『選抜戦』への再エントリーは
できなくなるのでご注意してください」
一輝は迷うことなく『はい』のボタンを押した。
「うははー。即決とは男だねぇ〜少年♪」
「?」
突然かけられたじゃれつくような声に振り返ると、
そこには桜を描いた白地の着物に、目に鮮やかな
紅の羽織を合わせた小柄な女性が立っていた。
丈に合っていないダボダボの着物と、そのあどけない
少女の相貌から、とても幼い印象を受ける女性だが、
彼女は学生ではない。そして、一輝は彼女の存在を
知っていた。
「西京寧々さん……ですよね?」
「おんやぁ? うちの名前をご存知で?」
「去年の世界各国のオリンピック日本代表選手で、
KOKトップリーグの選手でもある《夜叉姫》という
名前を知らない人なんてこの学園にはいませんよ」
KOKとは、『King of Knights』という伐刀者同士の
格闘競技のことだ。
今世界で一番人気あるスポーツで、一年放送権料が
三兆円を超えるという。
そんな競技の花形とも言えるトップリーグで活躍し、
東太平洋圏最強とも称されている現代スター選手を
知らない学生騎士はいない。
あと、彼女は私生活がかなり爛れてることでも有名
らしく、よくワイドショーで話題などになっている。
もっとも、それは目の前に言うようなことではない
のだが。
「でも、どうして現役のプロがこんなところにいる
んですか?」
「もちろん、黒鉄一輝……君に会いに来たのさー」
「僕に?」
「そうそう。なんかくーちゃん……ああ、神宮寺の
ことねー。くーちゃんが目をかけてるFランクって
のがどんなのか、見に来たってわけ」
「はぁー……、でも確か学園は部外者立ち入り禁止
だったと思うんですけど」
「それはもーまんたい。くーちゃんが使えねー教師
クビしまくって人手がなりねーってんで、
よしみで暇なときに手伝いに来てるんよ。ちゃんと
教免も持ってっしね」
「ああ、そういう話ですか」
黒乃が理事長に就任した折、旧理事長派の教員を
大量リストラしたことは一輝も知っていたので、
すぐに合点がいった。
「あとはまあそのついでに、美味しそうな若いツバメ
をつまみ食いしたり……と、こりゃ言っちゃいけねー
だっけか。今のナシね」
「き、聞かなかったことにします」
「うはは。気の利く男は好きだよ少年。あと勇敢な
男もね。
が義務付けられてっから、結構土壇場などになって
戸惑う子って多いんだよ?」
実戦となればどうしても流血が伴う。
例えば今一輝の目の前に居る西京寧々が戦っている
『KOK』のリーグ戦でも、腕や足が切り飛ばされてる
シーンは珍しくない。それらなどはiPs再生槽を使えば
十分程度で完治する負傷ではあるが、人間の腕が切断
される光景はやはり衝撃的なものだ。そのイメージを
自分に重ねれば、新入生たちが怖じ気付くのも当然と
いえる。
「それを微塵も迷わずに即決とかマジかっけー」
「魔導騎士を目指すと決めたその時から承知している
ことですから」
「承知していても怖じ気づくのが人情ってもんさね。
さすがくーちゃんが目をかけてる人物なだけのことは
あるねぇ。……それによく見たら結構可愛い顔してる
しねぇ。──ねえ少年」
瞬間、先ほどまでニメートルほどの間合いがあった
西京との距離がゼロになった。
「えっ」
いつの間にか懐に入られていたことに驚く一輝。
そんな彼の胸に西京はしゃなりと身を寄せ、
上目遣いに誘惑する。
「どうよ。今夜あたりうちの部屋で特別事業を──」
「貴様、ウチの生徒に何をしている」
そのとき、ドスの利いた声が西京のうなじに
かかった。
その声の主は眉をひくつかせたスーツ姿の女性。
理事長・神宮寺黒乃だった。
「うわっ、びっくしたー。やめてよくーちゃん。
いきなり人の後ろに立つのはさぁー。驚いて思わず
思わず殺しちゃうところだったよ」
「私が貴様如きに殺されるものか。それよりこんな
ところで何をしている。貴様には第四訓練場の解説
と監督を任せたはずだが?」
「あー。うん。でもあんまりにもしょっぱい試合を
やっているモンだから暇でさー。だからちょっと、
お花を摘みに来たついでにくーちゃんのお気に入り
をチェックしに来たんよ」
「べ、別にお気に入りというわけではない!」
ゴツン、と低い位置にある西京の旋風を殴ると、
黒乃は少し恥ずかしそうな、彼女にしては珍しい
表情で一輝に向き直る。
「すまんな、黒鉄。変なのが絡んで集中を乱して
しまった」
「い、いえ。ちょっとびっくりしましたけど、
大丈夫ですよ」
「今持って帰るからコイツの世迷言は気にするな。
ほら持ち場に戻れ歩く降雪猥褻罪!」
「あーあーっ、わかったわかったから着物
ひっぱんなー。たっけーんだぞ〜これぇぇ」
ずるずると黒乃に引きずられいく西京。
そのまま見送ってよかったのだが、一輝は最後に
声をかけた。
「さっきのお話ですけど、遠慮しておきます。
今夜はみんなで祝勝会をしますので」
自分が勝つと、言外に述べて。
「うはは。予定が入っているならしゃーないねぇ。
残念無念。ならその分、試合の方で思う存分うちを
楽しませてよね。少年の試合、うちの担当だからさ」
ぴっ、と長すぎる袖口から細い人差し指を出して一輝
を指し、含み笑いを浮かべると、西京はカランコロン
と天狗下駄で軽快なそんな足音を立てながら黒乃と共
に去っていった。
(どこまで本気なのか……、掴み所ない人だなぁ)
ただ、強いことだけは肌身に感じた。
(……さっき、いつの間にか寄りかかられていた)
あそこまですんなり懐に入り込まれたその経験は、
一輝には無かった。
あれは何かの体術だろう。おそらく古武術系の歩法の
一種。どういうからくりかまではわからないが──
「……って、いけない。今は目の前の試合にちゃんと
集中しないと」
目と目を合わせた相手に知覚されることなく間合いを
詰める歩法。
興味がある技術だが、すぐ実践できるようなものでも
ないだろう。
なら、今はおいておくべきだ。
大事な試合を控えているのだから。
そう気持ちを切り替え、一輝は控え室に踏み入る。
控え室は数個の長椅子、あとは壁に貼り付けられた
姿見があるだけの、特に見るものもなどない殺風景
な空間だ。
しかしその奥に異様なプレッシャーを放つ小さな
ドアがある。
その先には、自分の公式デビュー戦の舞台がある。
(……やっとここまで来たんだな)
七星剣王。学生騎士の頂点へ至る道。
その初めの一歩。
ここに来るまでに……色々あった。
家や、時間や、友達……色々なものを無くしてきた。
それでも諦めず、歩み続けたからこそ今日、
この瞬間。
この扉の向こうで、桐原との戦いが自分を待っている。
これまでの自分が意義のあるものか、それとも──
全てが無意味とされるのか。
それが試される瞬間が───
ド ク ン。
「え───」
そのとき、途端に、あまりにも唐突に、心臓が
跳ねた。
(な、んだ…………これ)
視界がぐらぐらと揺れる。
色彩が水で滲んだ絵の具のようにぼやけて、
気持ち悪い。
自分の身体に何が起こったのか。何が起こって
いるのか。
わからない。
わからないが、──喉がひどくて渇いている。
水。水を飲まなければ──
そう思い、一輝は持ち込んだペットボトルの
キャップを開けようとする。
だが、思うように動かず、ペットボトルを床に
落としてしまう。
転がるキャップ。零れる水。濡れる靴。拭かなきゃ。
なにで? なんで? いやそんなことよりも喉が──
『一年・黒鉄一輝君。二年・桐原静矢君。試合の時間になりましたので入場してください』
「っ⁉︎」
アナウンスが一輝の意識を表層に引きずり出す。
慌てて時計を見れば、時刻はもう十三時半。
早めに来たはずなのに──
(一体何分、ここに立っていたんだ………)
「く………」
(……まさか、緊張してるのか…………?)
落ち着け。落ち着け。一輝は心臓の上を押さえ、
自分に念じる。
動画を見て相手の呼吸はもう見切っている。
敵が用いる射撃の強さも、角度も、移動傾向も、
すでに分析してきた。
桐原の
すでに見えている。
何度もシュミレーションし、その工程に通りに身体
を動かすビジョンはでき上がってた。
大丈夫、当たり前のことを、当たり前にやればいい。
そして勝てばいい。
勝てば、堪え忍んだこれまでの苦労は報われる
のだから。
無駄になったりしないのだから──!
そう強く念じ、跳ね回り始めた鼓動を押さえつけ、
一輝はリングへと扉を開いた。
『さあ、第三試合が終わり、ついに本日の第四試合が行われるわけですが、すごい人入りです! やはりこの試合は注目が高いのか! 実況は引き続き、私、放送部月夜見が、解説は西京寧々先生が担当します! さあそれでは注目の選手の紹介です! 昨年に一年にして七星剣武祭という快挙を成し遂げ、またその一回戦で優勝候補の一人とまで言われていた文曲学園の三年生をワンサイドゲームで打ち破った前年度首席入学者! 決して無理はせず、勝てる相手から確実に勝つ。そのスタンスでここまで公式戦・交流戦ともに『無傷』のパーフェクトゲームを貫く姿から強くついた二つ名は《狩人》! 七星剣武祭代表最有力候補の一人! 二年・桐原静矢選手!』
実況の紹介に合わせ、リングに立つ桐原が
手を上げる。
すると観客席から黄色い声援歓声が上がった。
『さすが桐原選手。その容姿の良さで女子受けは抜群です!』
『うちはもーちょっとワイルドな方が好みだけどね!』
『西京先生の好みは聞いてません』
『さいですか』
職務放棄して逃げ出していたことを根を持っている
のか、月夜見は西京を雑にあしらいつつ対戦相手の
紹介に移る。
『さあ、この《狩人》に対するのはなんとFランク騎士! ですが、侮ること無かれ! 彼はただのFランクじゃない! おそらく、ここにいる殆どの人がすでに知っていることでしょうが、なんとあの黒鉄一輝選手はあのAランク騎士《紅蓮の皇女》ステラ・ヴァーミリオンを相手に模擬戦で勝利を収めているのです! あの映像で見せた強さは本物か! それともただの《
紹介され、一輝は軽く観客に会釈する。
(すごい人だ…………)
これだけの人間に見られながら戦うのは初めてだ。
なんだか、とても落ち着かない。
さっきから、まるで他人の身体に入ったみたいに、
心と体に距離がある。
意識に白い靄のようなものがかかって、考えを上手く
組み立てることができない。
突然狂い出したコンディションに戸惑う一輝に、
桐原が語りかける。
「前ボクが
くせにさ」
「……あれは、また別の話だよ」
「そうかい? まあなんでもいいけど。でもこの場に
出てきたからには……
受け取って構わないよな?」
「今更言葉する必要があるあるのかい」
「結構」
僅かに言葉を交わし、二人は開始線に立つと、
「来てくれ。《陰鉄》」
「さあ狩りの時間だ《朧月》」
双方、己の
一輝は黒い鋼の黒刀を、桐原は翠の色をした弓を
手にし、
『それでは本日の第四試合、開始です!』
試合の火ぶたが切って落とされた。
それと同時に桐原の姿がリング上から消えて
無くなる。
『おおっと桐原選手、試合開始からいきなり出してきました! 《
『厄介な能力だよねぇ〜。
『はい。去年の七星剣武祭一回戦で桐原選手と戦った文曲学園の三年生は、近接での一撃必殺を選手得意とするタイプでしたが、広範囲に攻撃する技を持っておらず、一方的に敗れてしまう。黒鉄選手が広範囲攻撃を持っているのか! それが試合を左右すると言っても過言ではないでしょう!』
狩人は深い森に姿を晦まし、物陰から獲物に弓を
引き絞る。
その姿を捉えることはもはや不可能。
故にその射撃を止めることは誰にも構わず、何もない
はずの空間突如魔力の矢はそんな一輝の死角から背中
を穿つ!
──はずだった。
「そこォ!」
『打ち落としたァァァ! 黒鉄選手、見えない敵から射撃を刀で打ち落としました!』
『いや、それだけじゃ終わらないぜつっきー。見ろ』
西京の言葉通り、一輝はただ見えない死角からの
射撃を打ち落としただけでは大人しくならなかった。
すぐさまに身体を独楽のように素早く回して回転を
すると、まっすぐ何も無い空間目掛けて駆け出した。
その方向には、矢が飛んできた方向。
確かに桐原の姿は見えない。だが──矢は別だ。
(矢が飛んできたその場所から射撃手の場所や位置が
割り出される。《
注意深く矢が現れた瞬間を見極めれば位置を探り出す
ことは可能。
その射撃から相手の方角を、矢を勢いと角度から距離
を逆算する。
それが一輝の《
「セェアッ!」
一輝は
振るう。
だが刃をは無空を薙ぎ、何も無い空間からはらりと、
制服の切れ端が舞い落ちる。
「ふぅ。危ない危ない。初見で姿を消した上での死角
から攻撃を、打ち落とすだけじゃなく、こっちの位置
まで見切ってくるとは、大した集中力だ。それが心眼
なのかな?」
「そんな大したものじゃないよ」
になった声に一輝一輝は謙遜を返す。
だが慎ましい言葉とは裏腹に、一輝は確かな手応え
を感じていた。
(これでいい!)
試合前、突然コンセントレーションが乱れたのは
予想外だった。
だけど事前に考えてきた
的中した。
次は必ず捕まえる。その気概をもって、一輝は集中を
高め二射目に備える。
「おーおー、怖い目だ。
「当然だよ。今は試合なんだから」
「ふむ。つまり、黒鉄君はボクに勝つつもりでいる
ということか」
「…………そうでなければここには来ないよ」
「……フフ。フハハ! なるほど確かにその通りだ。
……留年して少しは身の程を弁えるようになっている
かもと思って思っていたのが、やはりバカにつける薬
はないらしい。まるで変わっちゃいない。あの頃の君
のままだ。実に、──実に不愉快だよ」
桐原の声に殺気が籠る。
おそらく二射目を構えた頃だろうと一輝は予測。
どの角度から射撃にも対応できるように集中力を
研ぎ澄まし、知覚網を張る。
「不愉快だと思うなら、その手の弓に
撃ち放てばいい。僕はその悉くを打ち払おう」
挑発を攻撃を誘いながら、一輝は己の集中を高める。
次は矢を知覚した瞬間に《一刀修羅》を使って、
逃げる隙も与えない。
この勝負はここで決める!
「フフ……気合いの入った顔だ。確かに黒鉄君の剣
の腕はすさまじい。それはボクも認めるところだよ。
だが悲しいかな、そんな
である
クズに毛の生えた程度の無能力者のFランクに、
ボクの
「やってみなければわからないよ」
「ああそうとも。だから今から、───
瞬間、一輝の右太ももに風穴が空いて、大量の血が
吹き出した。
「───は?」
それは本当に唐突だった。
突然右太ももに焼きごてを押しつけられたような
痛みが走り、一輝の脳を刺した。
「ぐ、ああぁ!」
予期せぬ激痛に苦鳴を漏らす一輝。だが痛み以上に、
驚きが勝る。
(何があった⁉︎)
一輝は研ぎ澄ました集中力でありとあらゆる攻撃に
対応できる状態にあった。
なのに何故、今自分が傷を負うようなそんなことが
起こるのか。混乱する意識の手綱をなんとか手放して
しまわないように握りしめ、一輝は突然風穴を開いた
太ももを見下ろす。
「!」
見れば、そこには空中に不自然に止まる血の飛沫が
ある。
透明の何かに纏わりつくように。
手を伸ばし、掴めば手応えがあった。細く長い、
質量を持つ魔力の感触。
「ま、さか………っ」
よぎる一輝にとって
現実的だった。
「君が思っている通りだ。今年の
ボクの放った矢もステルス化できる。わかるかい?
つまりボクの攻撃は
最後まで読んでいただきありがとうございます‼︎
これからも皆さんが『応援』をしていただければ
『更新』の頻度が更に上がるそんな可能性がある
かもしれません‼︎
『他の投稿作品』もあるので是非ともそちらも
楽しんで見ていただければ本当にありがたいです‼︎
それでは、2026年の新年もよろしくお願いします‼︎