「で、どーすんのよ?」
「あぁ?」
あれからどれくらいの時間が経ったか……。暗闇の空間で二人の押し問答はまだ続いていた。
「いや、あぁじゃなくて、そろそろ腹ぁ決める時じゃないっすか?」
「決めねぇよ! 元の世界に帰せ……つーか、なんかキャラ変わってない? 喋り方そんなラフな感じだったっけ? なんか……もっとこう、神々しい感じだった気がするんだけど、バ神様」
チャラく、且つ適当な感じになったバ神様のキャラの変貌にツッコむ銀時。
「気のせいじゃないっすか? もともとこんな感じだったっすよ、つーか今、バ神様っつったろ、お前マジ
チンピラ紛いの口調でキレるバ神様。
もはや、最初のキャラの原型を留めていないご様子。
「やってみろよォ~。お前がワンパン入れようと考えてる間にもう俺はお前のみぞおちにワンパン入れてるからねェ~、お前は地に伏せてるからねェ~」
両腕を組みながら、銀時も中学生のような口調で言い返す。
「いやいやいやいや、おまえのワンパンなんて俺に届かないから。その前に俺のパンチがめり込んでるよ、お前の顔面に」
と、バ神。それに銀時も負けじと張り合う。
「なーに言ってんの? 言っとくけどお前なんか俺の脳内ではもう四、五回はKOしてるからね。なんなら今ここでやるか? いいんだぜ俺は……! いつでも拳は温まってるからよォ」
中学生のようなやり取りをする二人。しかし、収拾のつかない状況に痺れを切らしたバ神が話を本筋に戻す。
「だぁ~ッ! もういいよ、長いし。もうワンパンでもアンパンチでも食らってやるからよ~、世界救いに逝ってくれよ~、頼むから一生のお願い、300円あげるから」
「逝ってくれってなんだよ! 死にに逝かせる気満々じゃねーかァッ!」
シャウトする銀時。
「うるせーなぁ……ただの言葉の綾だろうが! というか言わせてもらうけど、俺、適当にお前を選んだわけじゃないんだぜ?」
意味深な口調で銀時に告げるバ神。
「あ? どういう意味だ?」
眉間にしわを寄せながら聞き返す彼にバ神が答える。
「最初に言ったろ? お前は選ばれし者だと……。お前には救世主に選ばれるだけの力と理由があるんだよ」
「……力と理由?」
訝しげな顔をする銀時。
「ああ、そうだ、まずは力! お前はかつての攘夷戦争で、敵味方双方から白夜叉と恐れられるほどの実力の持ち主だった! その力はきっとテルカ・リュミレースを、あのーなんかこう、あーだらこーだらして救ってくれるんじゃないかなーって、俺は見込んだわけよ」
と、自信ありげに説明……? するバ神だが、いやいやいやと銀時が水を差す。
「適当だな……おい。確かに白夜叉ぁ~とか言われて恐れられてたけどよ、それも今は昔の話だからね……。相当腕鈍ってんぞ」
「何言ってんの!? あんたはやればできる子だって、お母さん知ってるんだから! 大丈夫よ、ピンチになっても主人公補正やらギャグ補正やらが護ってくれるからっ!」
「なんでお母さん口調!? お前みたいな小汚ねぇ母ちゃん持った覚えはねーよ! あと最後すんごい身も蓋もないこと言ってるし!」
なぜかお母さん口調やらメタ発言やらで励ますバ神に銀時が激しくツッコむが。
虚しくもここでお開きの時間がやってきたのだ。
「はいはい、もうそろそろ時間だから逝って来い」
ダルそうな軽い口調でバ神がそう言うと、暗闇だった空間が光出していくではないか。
なにが起こったのか頭がついていかないままの銀時は焦った様子で言う。
「えッ!? ェ! おい、なんで逝く感じになってんの? 俺OKサインなんか出してないんだけど! つーか力は聞いたけど肝心の理由を聞いてねーんだけど! なんでこんな目に遭わなきゃいけねーんだ! 答えろやバ神!!」
怒る銀時に対して、バ神は至極落ち着いた口調で答える。
「ア? 理由? ああ、それはお前がすんげぇ~暇人だったからだ。時間だけは無駄にすんげぇーあり余ってるんだから救世主にうってつけじゃね? みたいな」
「オイぃぃぃぃッ!! どんだけしょうもねー理由で救世主に選ばれたんだよ俺ァ!! もうちょいマシな理由取って付けてくれてもいいんじゃないのォ!? そんな救世主、昼間のパチンコ屋からいくらでも調達できるよォ、そんな悲しい救世主、聞いたことないよォ!!? やるにしてもモチベーション上がんねーよ! つーかやるなんて一言も言ってねーし!!」
銀時の叫びを無視してバ神は話を勝手に進める。
「ああ、あと、あっちの世界でも困らないように、これ渡しておくわ」
「あ、なに……? て、なにこれェェェッ!!?」
驚愕の声を上げる銀時。それもそのはず、彼の股間がいきなり発光していたのだ。
決して得たいの知れない病気を貰ってきたとかではない、バ神の仕業である。
「お前のチ○コに特殊な紋章を打ち込んでおいたから、それがあれば向こうの世界の文字や言葉も理解できる。便利だろ?」
「なんで、チ○コだァァァァ!!? 手の甲とかでいいじゃん! 場所を選べやァッ! なんでよりにもよってここッ!?」
「嫌がらせ☆」
それはもう楽しそうにおちょくった様子で答えるバ神。
「殺すよッ! ホント殺すよォお前ッ!!」
怒る銀時に構わず、バ神はまとめに入る。
「さぁ、逝くのだ! 救世主アホの坂田! 災厄を打ち払いテルカ・リュミレースをどうか護ってくれ……生きとし生けるもの、心あるものの安寧を祈る」
「何綺麗にまとめてんの!? 生けとし生けるもの、心あるものの安寧の前に俺の安寧を返せェェェッ!! おい!! 誰か!! 助けて!! 俺を元の世界に帰してくれェェェェ!!!」
裏返った声でシャウトした侍の声はやはり誰の耳にも届かず、眩い光の中に吸い込まれていくのであった。
編集が(以下略