せっしょういんらじお!   作:ルシエド

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7/1~7/3 ラジオバックナンバー

 皆様、ご機嫌麗しゅう。

 今日も皆様の元気な姿が見られて嬉しい、殺生院キアラでございます。

 では、7月1日の館内放送ラジオを始めたいと思います。

 

 皆様が『巫女』と言われて真っ先に浮かべる、あの衣装。

 あれが下着であることをご存知でしょうか?

 平安時代、小袖と呼ばれるあれは下着の一種だったのです。

 一説にはあの赤の袴も下着の一種である、というものもございます。

 『玉藻の前の普段の衣装』が巫女を名乗っているのにテンプレートな巫女のそれと違う、と思っている方は、彼女の感覚が平安時代基準のものであることを考えてみると面白いかもしれません。

 普段の衣装が下着並みにエロい? ごもっともです。

 彼女はわたくしにどこか似た、傾国の類……男の目を引き、異性の心を惹き付けるものがなんたるかを、本能で知っているのでしょうね。

 

 アフリカで使われている言葉を使って表現するのなら……『君は牛の糞のように美しい』という言葉こそ、彼女には相応しいのかもしれません。

 ふふ、悪い意味ではありませんよ?

 ハエがたかるように男がたかっているから、こういった表現があるのだそうです。

 そも以前話した通り、象の糞を茶として食べる文化がある地方において、糞のようであるという言葉は罵倒の意を薄めます。

 ですので皆様、彼女を思う存分牛の糞のような美人、と呼んであげてくださいませ。

 

 25%、と。

 

 

 

 

 

 皆様、ご機嫌麗しゅう。

 今日も皆様の頑張る姿が見られて嬉しい、殺生院キアラでございます。

 では、7月2日の館内放送ラジオを始めたいと思います。

 

 先日は巫女の話をいたしました。

 ところで、かつてギルガメッシュ様の治めたバビロニアにおいて、売春が聖なる意味を持ち推進的に行われていたということをご存知でしょうか?

 いわゆる聖娼、というものでございますね。

 

 かつては処女の信仰者が神殿に赴き、見ず知らずの男に処女を捧げ、ホ別二万とばかりに得た金を神殿に捧げるという風習もあったのだそうです。

 ああ、なんと素晴らしい。

 なんと愛おしい。

 この慣例は二世紀まで平然と続けられ、キリスト教に『性的不道徳』の烙印を押され、四世紀には『徹底的破壊』をされてしまったのだとか。

 性病の蔓延に繋がる風習であったとはいえ、歴史ある神事の一環でもあったそれを、性的不道徳であるというだけで迫害することに正義はありましょうか?

 いえ、ありません。

 処女が見ず知らずの男に体を売る習慣が、現在でも残っていれば……わたくしは、そう思わずにはいられません。

 

 この売春はカルデアのイシュタル様、すなわちイナンナに捧げられるものでありました。

 大地と女神にこの性交を捧げる……という名目で、神殿は一定の利益を得、同時に『都市の皆、この時期に女神に捧げる性交を行いましょう』という習慣も定着させたのです。

 するとどうなるか?

 "赤ん坊が生まれる日付が揃う"のです。

 忙しい農繁期は避け、冬に子供を産むようにすれば、子供が一番死にやすい時期に親がずっと子供を見ていられるでしょう?

 この処女売春神様捧げックスはいやらしいだけでなく、性交を神事に組み込むことで、出産のコントロールまでもを可能としていたのです。

 

 神話においては、エルキドゥ様は聖娼シャムハトに6晩7日かけて精液を搾り取られすぎてしまったせいで、獣性を全て吐き出し英雄王の友となる人間性を獲得したのだとか。

 "神話において"と頭に付きますが、こうした逸話からも性交が神事の一環であったことが窺えましょう。

 現代ではこの聖娼に連なる文化はほとんど失われてしまいましたが……一説には日本の遊女にその文化が継承されているという話もあり、またキャスター・クーフーリン様に連なる新宗教『ウイッカ』などにおいては、まだ実践している者もいるのだとか。

 はい、ウィッカーマンと同じ語源を持つと言われる言葉でございますね。

 性を辿れば世界が見える。

 多くの文化はセックスで繋がっている……

 ああ、これが、グローバルというものなのでしょうか?

 

 55%、と。

 

 

 

 

 

 皆様、ご機嫌麗しゅう。

 今日も皆様の健気な姿が見られて嬉しい、殺生院キアラでございます。

 では、7月3日の館内放送ラジオを始めたいと思います。

 

 精子の90%は右回りに、螺旋を描いて進みます。

 男性器の七割が左回りなので、バランスを取っているのでしょうか?

 ともかく、精子は右回りの螺旋力を込めて女性器の中を突き進むグレンマラガンなのでございます。

 お前のドリルで尻を掘れ!な男色ゲイズではアナルを突き進むこともありましょうが、その場合は精子達も受精に至らずあえなく死亡。

 ところがこの際、精子は必死の抵抗と攻撃を行おうとしていることをご存知でしょうか?

 

 精子には三種類が存在します。

 卵子に到着し受精させるエッグゲッター精子。

 これはマスターにあたります。

 他のオスの精子など、邪魔になるものを見つけて殺そうとするキラー精子。

 これはヘラクレス様など、パーティのアタッカー、特にバスター三枚にあたります。

 そして最後に、他の精子を守るブロッカー精子です。

 これはマーリン様や、守りの要であるマシュ様などにあたりますね。

 あなたはブロッカー精子のような少女なのですよ、マシュ様。

 

 どんな平行世界、どんなカルデアにおいても、精子のコンビネーションに似た六人一組が存在するのです。

 マーリン様とマシュ様というブロッカー精子さえいれば、どんなキラー精子を配置してもマスターというエッグゲッター精子は最終的に目的地に辿り着き、勝利確実受精確実だと思うのですが……それは、言っても詮無きことでしょうか。

 そういえばマスターは、最近はどんなブロッカー精子とキラー精子の組み合わせを使っているのでしょうか?

 ……言えませんか。

 ええ、そうでしょうね。

 ここまで至れば、マイクとスピーカー越しでもわたくしにそんなことは言えないでしょう。

 それは、手の内を晒すようなものですから。

 

 85%……少し無茶ですが、一気に時計の針を進めましょうか。

 90%……95%……100%。

 はい、これにて完了でございます。

 

 阻止がために必死に戦った皆様方、ご苦労様でした。

 これよりカルデアとサーヴァントシステムは、全てわたくしの支配下に置かれます。

 いただきました。

 ごちそうさまでした。

 とても、とても……楽しく、愉しく、悦しい時間でございました。

 

 契約が終わるまでは禁欲をするつもりはありました……

 マスターが己の欲望に負け、わたくしに溺れるまで待つつもりでした……

 ああ、でも、しょうがないでしょう?

 わたくし……我慢できなかった(たまらなかった)んですもの。

 

 言ったでしょう?

 時間神殿での戦いが、わたくしには夢のように見えたと。

 ゼパル様が。ゲーティアが、あの時にあった全てが、とても……とても、気持ちよさそうで。

 それに憧れて、わたくしもあんな風に責められたい、星の数のような英霊たちに殺されたい―――そう、思うようになったと。

 何も嘘は言っておりません。

 嘘を申してなどいません。

 わたくしは複数回死を迎え、幾度となく刃に刺され、自分が自分でなくなる変生ですら一度ではなく……とうとう、夢を叶えました。

 

 星の数ほど居た騎士王と征服王の軍勢に責められ、殺され、欲望は満たされ……『もっと』と、わたくしは思ったのです。

 欲したのです。

 そうして、目覚めたのです。

 

 深海の楽土の最後の最後に、心からの言葉をわたくしは口にしました。

 やり直し、と。わたくしは言いました。

 やり直しを求めます、と。わたくしは願いました。

 まだ満足して無いのに(あともう少しだったのに)、と。わたくしは叫びました。

 

 さあ、ここに続きを。

 ここに終わりを。

 ここに始まりを。

 今や来たれり此処は『特異点:他化自在魔縁窟 カルデア』。

 

 マスター。あなたがその手の中に守った、両手の指にも足りない数の頼りなき英霊。

 

 暴君と、傾国と、無銘。

 桜の落果に、凶爪の怪物に、魔剣ジゼル。

 束ねてわたくしに挑むなら、わたくしは胸襟を開き、子宮を開いて受け入れます。

 

 それでは皆々様、済度の日取りでございます。快楽に溶け、衆生済度と参りましょう?

 

 

 




 『うちのカルデア』系のイラストを見ていると、カルデアごとに個性のあるキラー精子とブロッカー精子とエッグゲッター精子(ぐだの服)の組み合わせがあって多様性が楽しいなと思います

 次の次で最終回

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