真・誤解†夢想-革命?- 蒼天の覇王   作:キンシャサ・ニーストライク
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第二話.日向ぼっこ

「ぽっちー! 居るっすか~!」

 大きな声で叫びながら部屋へやって来る元気系天然美少女、曹仁子孝こと華崙。これは捕まったら面倒だと曹操の弟ぽちは部屋から脱出しようと窓から身を乗り出した。

「あー、居たっすー!」
「なんでそっちから来るの」

 部屋の窓から華麗に脱出しようとしたら、何故か窓側から現れた華崙に捕獲された。華崙は別にぽちの行動を先読みした訳ではない。なんとなく窓側からやってきた。なんとなくで行動しその動きが功を奏す女、華崙。ぽち程度がどうこうできる相手ではない。

「ぽっちー、今日は良い天気っすよー! 一緒に日向ぼっこするっすー!」
「華崙、また柳琳に怒られるよ?」
「じゃーあー、柳琳も誘うっす! 皆で一緒にするっすー! ぽっちが誘ったら柳琳も断らないっすよー!」


 満面の笑みでなんかぎゃーぎゃー言ってる華崙。この前屋根の上で二人で寝てたら柳琳に涙目で怒られたのをもうお忘れか。ぶっちゃけ何かに目覚めそう……じゃなかった、まあ忘れてそうだよな、この娘はと思うぽち。でもぽちは日向ぼっこは自体は嫌いではない。むしろ大好きである。時間を無駄に使ってる感がとても良いのだ。しかも柳琳の涙目とかいうご褒美付き……駄目だ。やはりぽちの中に何かが目覚めようとしている。


「姉ーさーん! 何処に行ったのー!」
「あ、柳琳! こっちっすよー! ぽっちの部屋っすー!」

 柳琳こと曹純子和が華崙を探して部屋にやってきた。いつもの事である。いつも大変だね柳琳。

「ああもう姉さんったら、またぽちさんに迷惑掛けて……」
「迷惑なんてかけてないっすよー? そーれーよーりー、今から三人で日向ぼっこするっすー!」
「姉さん、屋根に登るのは止めてってあれほど……」
「えー、いいじゃないっすかー。気持ち良いっすよー? ね、ぽっちからも言ってくれっすー!」

 そんな無茶なとぽちは思ったが、キラキラした目で見つめてくる華崙に逆らえず、とりあえず言うだけ言って、柳琳からの駄目! じゃあ解散! でいいかと言う思考で柳琳に声を掛ける。

「あー……、俺も柳琳と一緒がいいなー。日向ぼっこ気持ち良いよ?」
「……ぽ、ぽちさんがそう仰るのでしたら」
「あーそうだよね。じゃあしょうがな……え?」
「おー! さっすがぽっち! じゃあさっそく柳琳も行くっすよー!」
「きゃ! ちょ、ちょっと姉さんったら引っ張らないでー!」


 え? 柳琳止めてくれないの? と一瞬呆気に取られたが、自分で言って今さら訂正する訳にもいかず、しょうがなく華崙に引き摺られる柳琳を追い掛ける事にした。実に性格が似てない姉妹である。あれ? 周りに性格似てる兄弟姉妹居たっけか? えーっと、華琳姉と俺、春姉と秋姉、華崙と柳琳、異母だけど麗羽さんと美羽ちゃん。お? 麗羽さんと美羽ちゃんくらいしか似てないなこれ。などとどうでも良いことを考えながらぽちは二人の後を付いていった。



「皆で日向ぼっこ気持ち良いっすねー!」

 華崙の声が空に響く。ちなみに華崙が全裸になるのは柳琳が必死に止めていた。まあしゃあない。華崙は可愛いが色気が皆無である。実に健康的な肢体をしている。間違いなく脱がれたらフルに勃つな! 男の子なら当たり前! 色気ないって言ったじゃないかって? それとこれとはまた別なんです!

「たまにはこういうのも悪くないわね」
「まあたまになら……でも日射しで肌の日焼けが気になりますわ。お姉様やぽちの美しい肌が焼けてしまいます」
「ふふ、栄華らしいわね」

 屋根に向かう途中で出会った華琳姉と栄華こと曹洪子廉に、止めて欲しいと願いを込めながら一緒に日向ぼっこでもどう? と声を掛けたら何故か快諾された。解せぬ。ていうか日射し気になるとかぼやくならせめて断れや栄華。男嫌いであるはずの栄華、俺がいるから拒否してええんやで? まあ栄華から拒絶された事なんてないけど。少女趣味の危ない娘で、普段男性に対して物凄く辛辣である彼女だがはじめて会った時から普通に優しくしてくれている。俺の顔立ちが姉に似ているせいだろうか。


「はぁ……」


 お天道様を見上げて、ぽちは一人ため息をついた。いや、美女四人に囲まれて幸せですよ? しかし贅沢言うなら親戚じゃないほうが良い。後、振り回されないほうが良い。ついでに言えば寝転がって飯だけ食べさせてもらえるヒモになりたい。私は貝になりたい。


「どうしたのぽち?」
「いや……夢ってどうせ叶わないんだろうなって」

 華琳姉の問いに正直に答えた。曹家にいる限り、きっと働かされるんだろうなぁとぽちは考える。きっと何処かで大ポカをやらかすまでは労働を強いられる未来が待っているのだ。ヒモになりたい。働きたくない。

「このまま皆で居られたら幸せだろうなぁ……」

 この屋根に張り付いたまま、太陽を浴びぼーっと日向ぼっこを続けたい。そうすれば無理矢理仕事をさせられ、そのうち重大な間違いをやらかして皆に白い目を向けられる事もないだろう。そういう未来、絶対やってくる。考えるだけで憂鬱と、素直に告げるぽちに華琳が答える。

「何を言っているの? ぽち」
「華琳姉?」
「私達も、春蘭も秋蘭も、ずっと貴方と一緒よ」

 違うそうじゃない。そうじゃないんだ。後、それはそれで迷惑です。華琳姉は早く弟離れしてどうぞ。

「そうっすよ! ぽっちは不安なんすね! なんだか良く分からないけどぽっちの不安は私が取り除いてあげるっす!」
「華崙……」

 じゃあとりあえずいつも無理矢理連れ回すの辞めてくれないかな華崙。最近は華崙のノリに付いていけなくなりつつある。

「だっ大丈夫ですよ! ぽちさんには皆が付いてますから! 私も頑張ります!」

 グッと両の拳を握り、励ますように言ってくれる天使。じゃなかった大天使柳琳。癒し枠。どうか養って下さい。


「……もしかしてまたぽちに縁談でも来ましたかお姉様」
「……ええ、勿論断ったわ。知っていたのねぽち」

 勿論知りませんとも。ていうか本人に確認しろ。いい物件だったら喜んで寄生しに行くぞ俺は。そしてどう思ったら今の流れから察する事が出来るの栄華や。低脳を持って生まれた俺にどうか教えて。

「……それは断って良かった話ですの?」
「栄華、貴女ぽちを手放してもいいと言うの?」
「そんな訳! でもその手の話を無下に断れば曹家の立ち位置が危ぶまれますわ」
「大丈夫よ。……麗羽が、袁家が話を付けてくれるらしいわ」


 知らない所で何か話が進んでいる。もしかしてあれ? この前麗羽さんの所にお茶しに行った時に言われた「心配しなくても大丈夫ですわ」とかいうあの謎の言葉はもしかしなくてもこれの事かな?


「あの、お姉様」
「言わなくても分かってるわ柳琳。……あまり麗羽に借りは作りたくないわね」
「まあ借り返せなくなったら俺が袁家に──」
「「「「駄目よ!(っす!)((です!))」」」」


 凄い剣幕の皆に怒られたぽち。曹一門、やはりぽちに対してめっちゃ過保護である。


「……やはり家の力を上げなければぽちさんを守れませんね、お姉様」
「ええそうね栄華、その為には皆の協力が必要よ。皆も聞いたでしょう? ぽちの願いを」
「皆一緒っす!」

 ああ違うんだと思うぽちだが、この場で否定してもろくな事にならないというのが自身の経験で分かっている為、だんまりする事に決めた。

「ぽちさん、良かったですね」

 ニコッとぽちに笑いかける柳琳。そんな笑顔見せられたら実は出ていきたいなんて言えねえ。言える訳ねえ。もうなんかなんて言えばいいか分からないし、やるせなくなってとりあえず皆にやけくそでニコッと笑って見たら皆笑顔を返してくれました。