「いーやーじゃ! 久しぶりに会ったのにもうちょっといてもいいと思うのじゃ! ……ぽち兄様、わらわが嫌いかえ?」
「俺が美羽ちゃんの事嫌いな訳ないよ」
「だったらもうちょっとわらわと遊んでたも!」
「また来るから、ね?」
二ヶ月程無駄飯食らい、じゃない滞在した袁術の地を離れ袁紹の元に向かうと告げたぽちに袁術が珍しく駄々を捏ねていた。あらあらと笑顔で見守る張勲にぽちが目線で助けてと言っても張勲は微笑むだけである。わがまま言う美羽様可愛いくらいにしか思ってないから仕方ないね。
「絶対! 絶対じゃからの!」
「うん、またね」
二ヶ月の間に孫家と仲良くなったぽちの描写は悔しいからカットするが、呂布にしこたま鍛えられた孫家の武将の武力が上昇したり、孫子について周瑜や陸遜から問われ、姉が注釈つけた孫子をうろ覚えで答えてなるほどさすがと感心されたり、孫家の末っ娘の「大きくなったらお嫁さんになる!」宣言に対して軽くいいよーと返してしまったり次女としょっちゅう飯食べに行ったり、長女が既成事実作ってしまえと閨に忍び込んだり色々な事があったが、呂布の鉄壁ガードによりぽちはちゃんと童貞のままです。呂布の存在がある限り安心だね!
まあ色々な事があったのは間違いないがようやく更なる無駄飯食らいをする為にぽちは袁術の地を旅立ち袁紹の元に向かった。筈なのだが何故か楽進、李典、于禁のいる町にたどり着いて色々あって三人を加え旅立った。そしてここから何故か袁紹の地に辿り着かずに各地でまるで水戸黄門のような活躍を残し後の世で「曹犬世直し行脚」と呼ばれる旅が始まろうとしていた。そして袁術の元を出て一年、ぽち達一向は大陸の何処からも噂が聞こえなくなった。
「おーっほっほっほ! おーみこーしワッショイ! おーみこーしワッショイ!」
と言って街中を御輿に乗り爆走したり、無駄に兵士の装備を金ピカにしたりする袁紹さんはこの世界にはいない。あんな派手な喧嘩御輿みたいなものは当然作ってないし、兵士の装備は品質は大陸最高クラスではあるが、見た目は派手というより質実剛健、見た目より機能性に金が使われている。城内も来客を通す場所や玉座はそれこそ見る人が見れば唸る絢爛さがあるが、それも必要と思われる箇所のみで袁紹自身が使っている執務室も使っているものこそ最高の品質のものではあるが、それは部下が自分より上の物が使えなくならないように配慮してあるだけで無駄な金使いがほとんど無い。
砂漠にオアシスを掘ろうとすれば人手が必要となり、そこで人が生きていく為には飲食が必要になり、衣食住全ての需要と供給が生まれる事が分かっている袁紹は積極的にインフラ整備を行い仕事を作り、仕事が無い民に優先して仕事を与え金の流れを廻した。
この基本方針を元に動いているのが田豊元コウとネコ耳フード荀彧文若の両軍師である。ネコ耳、袁紹が正しい意見をちゃんと聞いてくれる人なので出ていかなかった模様。二人の献策を袁紹が色付けする事が多い。献策に色付けされる事に関して両軍師は納得して受け入れている。それは例え名家の生まれの両者であっても金の使い方にしても、更に視点や物事を捉える規格というものが袁紹が上を行く事が多いからである。
例えば川の氾濫を押さえる堤防を作る工事をしたいと献策をする。ならば川沿いに丘を作り桜を植え桜並木通りを作り、人通りを増やせば人通りで道も丘も自然と固まる。噂が人を呼び春になれば大陸中から人が集まる大陸屈指の桜の名所にするようにとの指示となり袁紹から帰ってくるのだ。勿論、一度袁紹からgoサインが出れば大陸屈指の賢者である二人が完璧に纏め上げる。人が増え続け発展途上である曹操の地や幼い君主を皆で支え笑顔溢れる袁術の地、人も豊富で、民優先で大陸屈指の資金を潤沢に使い政を行う袁紹。そして三ヶ所とも一つの共通の絆で結ばれている。もう他の所の出番は無いと思うわ。
「なあ斗詩、麗羽様もしかして機嫌悪くないか?」
「文ちゃん、もしかしなくても麗羽様機嫌悪いよ」
「……やっぱりぽち様の件?」
「うん、まだ見つからないみたい」
ぽち、袁術の地を出て袁紹の元へ行くと言って既にこの時二年が経過していた。
「桂花」
「は。大陸中に人を放ち探してはいるのですがまだ曹犬様の足取りは掴めてはいません。曹犬様程の人、何処かしらにいらっしゃれば噂くらいは立つ筈なのにこれだけ探して見つからないとなると。……洛陽の動きが怪しいとの話もあります」
「ありえませんわ。あの何進程度にぽちさんが謀られる訳がありません。というか何進も間違いなくぽちさんの行方は掴めていません。何故なら未だに反曹犬連合というものを画策、……いや、あれは恐らく余りに反曹犬連合というものが作れなかった為にもはや意地で固執しているだけの愚物ですわ」
「麗羽様。その反曹犬連合の件、目処が立ったみたいです。恐らく近く使者が洛陽から来るかと」
「……まったく、ぽちさんに拘り過ぎて時勢も読めぬようになるとは大将軍が聞いて呆れますわ」
ちなみにぽちが来ると聞いて、ぽちの宿泊用の邸宅を立てぽちの生活の為だけの用水路を作りぽちの食事専用の畑を作らせたのは袁紹である。この時、初めて袁紹の指示にネコ耳が疑問に思ったのは仕方ないと思う。他の事は優秀なのだがぽちが絡むとぽんこつになる所はぽちの姉と一緒なのだ。
「使者が来たら斬りなさい」
「宜しいのですか?」
「当然ですわ。それと挙兵の準備を。漢王朝を我が物とする逆賊、何進から皇帝をお救いするのが漢の臣としての務め」
「はっ」
建前は尤もではあるが恐らく曹犬様の件が無ければ挙兵まではしなかったであろうなと、ネコ耳がならば袁術や曹操の元へ派兵の協力を要請せねばと考えていた所にとんでもない情報がネコ耳の元へやってきた。
「麗羽様、報告します! 董卓、馬超の涼州連合が洛陽を強襲した模様です!」
「なんですって!」
ここから後の歴史家が、いや今までの曹犬の行動全部信じても流石にこれは盛りすぎだろと言われる戦いが始まってしまうのであった。
↓以下駄文
完結見えてきた。犬→猫→? ぽちの最終進化を当てれる人、凄いと思います。ヒントは人→聖人君子→? です。
※完結した後書くか悩んでいる物をいくつか挙げてましたが、指摘を頂いた為、活動報告に移します。