真・誤解†夢想-革命?- 蒼天の覇王   作:キンシャサ・ニーストライク
<< 前の話 次の話 >>

3 / 19
第三話.金持ちにタカる男

「ぽち兄様、この蜂蜜も食べるのじゃ!」
「美羽さん、ぽちさんに無理矢理勧めはいけませんよ?」
「うう……、麗羽姉様。ぽち兄様は妾に蜂蜜を勧められて喜んでおるに決まっておるのじゃ!」
「ごめん美羽ちゃん、もう結構お腹一杯かな」
「なんと!」

 驚く美羽ちゃん可愛い。
 ぽちが割りといつもどおりに袁家にお茶しに来たら、美羽ちゃんこと袁術公路が来てました。袁家にお邪魔すると美羽ちゃんにもよく出会います。ぽちが出会った頃は、美羽ちゃんは麗羽さんの事苦手だったのだけれど、ぽちが誘い三人で一緒にお茶を繰り返してたら徐々に打ち解けて仲良くなってきているようだ。しかも麗羽の高飛車な性格が美羽の面倒を見る事でお姉さん補正が掛かり少しずつ矯正されつつあるという。
 タダで美味い物を食べにきているだけのぽちだが、麗羽と美羽の仲の悪さが次世代の懸念であった袁家にとって二人を繋ぐ鍵となり麗羽の成長にまで繋がったぽちの存在はとても大きかった。茶菓子が美味いからというだけで四世三公の名門である袁家に出入りしまくっている男は袁家の懸念を晴らす救世主となり元来優秀であるその血が覚醒しつつある切っ掛けとなったのである。

 後、袁家に出入りする頻度が上がるに連れて、見た目だけはいいぽちに沢山来ていた縁談が落ち着いてきました。皆、下手に袁家に目をつけられたくないからね。美味しい茶菓子をタカりにくる事で名家の後ろ盾を知らずに得た男、ぽち。


「うう……、ぽち兄様、ごめんなさいなのじゃ」
「あはは、でも美羽ちゃんに勧められて嬉しかったよ?」
「ほんとかや? もっと誉めてたも!」
「美羽さん?」
「わっ分かっておるのじゃ、調子に乗ってはいかんのじゃな」
「はい、良く出来ました」


 窘めつつも誉める麗羽と、麗羽に頭を撫でられ嬉しそうにする美羽。二人共にぽちが出会った頃よりほんと人格がまともになってきている。これ二人が成長した後、袁家に隙は無いなと他人事のように考えるぽち。将来姉と対立する可能性なんて微塵にも考えてないぽちは、頭すっからかんでも数で押してくるだけで強敵だった相手を超強化した上で大陸最大最強タッグを作ろうとしているなんて塵程も思いもしないだろう。頭残念だからね。

 普通に考えたら袁紹が優秀になったら曹操が詰みそうである。覇王様が覇王出来ない。あとついでにこのまま美羽が麗羽と共に人格が成長すれば登場していない孫策も詰む。ていうか謀反企む必要が無くなる程度にまともな娘になりそう。三国志ってなんだっけ。
 お茶菓子を摘まみに来るだけで本来の恋姫の歴史を大幅に変えつつある男、ぽち。恐ろしい男である。



「そういえばぽちさん、貴方の家の推薦や袁家の推薦を辞退なさったそうですね?」
「あー、その節はごめんなさい」
「いえ、気になさらずとも大丈夫ですわ。ぽちさんの器量を思えばあの位では確かにわたくしも低いのではと思いましたから。ですが、まさか文官として下級仕官の試験をお受けになっていたなんて思いもしませんでしたわ」
「兄様、何故兄様がそのような位の試験を受けたのじゃ!?」
「美羽さん。ぽちさんはね、男性の身で自らの力だけで駆け上がって行くつもりなのですわ」
「なんと! さすが兄様なのじゃ!」


 違います。まずうちの家や袁家に用意された地位が高すぎて仕事こなせる自信がまったくなかったんです。特に袁家な。雑用係である舎人とかでええねん。書庫の整理とかがええねん。いくら官位なんて金で買える時代だからっていきなり司馬とか出来るか! 軍統括、賞罰、人事、祭祀などを行う軍事行政官なんてド素人にやらせる発想頭おかしいと思う。袁家が与している派閥の編成に組み込まれるのは間違いないだろうけど、俺が派閥崩壊の切っ掛けになる未来しか見えない。殺されるわそんなもん。

 ていうかそもそも働きたくない。なのでこの間受けた試験も白紙で出したので就職失敗は確定的……!! まあどうせ真面目に受けても分からなかったけど。いやー国の為に働きたかったわー! でも落ちたらしょうがないわー! 残念だったわー!


「ぽちさんなら当然の事ですが、筆記は合格だったようですからあとは面接だけですわね」

 ……は? 白紙で出したのに?

「試験、かなりひねくれていたそうですわね。合格者がまさかぽちさんお一人だなんて」

 そうかそうか。まさか正解が無回答とか誰も思わないだろうね。え? ほんとに?

「不思議そうな顔をなさってますわね。周りがぽちさん程優秀では無かっただけですわ」

 いやいやいやいやいや。ていうかおかしくない?下級文官の採用試験で筆記一人だけ合格とかおかしくない? 採用枠イカれてる。

「本来ならコネや金銭の無き者を落とす、建前だけの試験だったそうです。それを知った時は流石に呆れましたわ。まさか正面から突破する者が現れるなどと思っていなかったようで宮廷ではちょっとした騒ぎになっていますわ」

 まさかの悪目立ちですやん。

「兄様なら当然なのじゃ!」


 何故か自慢気な美羽ちゃん可愛い。ていうかこれ面接すんごく嫌な予感がしてきた。

「今回の試験、袁家とか曹家から何かしてないですよね」
「いえ、わたくし達も、貴方の家もぽちさんを信じていますから」

 なんてこった。くそ、それを理由に辞退しようと思ったのに!



 この時のぽちは、まさか司馬のほうがましだったと思う事態になろうとは露程も思っていなかった。まあ普通に考えたらそうだろうね。