北上さまに癒されたい。
ただそれだけ。


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疲れてるんだよ、俺。
そんな衝動で書きました。



北上さまに癒されたい。

 私が艦娘の提督に就任して早くも10年の歳月が流れた。

 

 現在の私の階級は少将。今となってはベテラン提督の端くれと呼ばれるに相応しいだけの戦歴を重ねている。トップを走る提督には到底敵わないが、私は今の日々が充実している。

 

 今日も月例で行われる大本営での会議を終えた私は、鎮守府へと戻ってきたばかりだ。すっかり夜も更け、部下である艦娘たちはほとんどが寝てしまったようだが……私の執務室には灯りが点っていた。

 

「あ、おかえりー提督。待ってたよー」

 

 そこにいたのは、ソファに寝っ転がって、いつもと変わらずのん気な声を出す北上さま。

 

 

 

 

 

「あああああああ、つかれたよおおおおおきたかみさまあああああああ」

「……帰ってきていきなり私にダイブってどーなのさー、提督ぅ?」

 

 大本営の会議で上司と同僚にこってりと絞られてボロボロだった私は、寝っ転がる北上さまに思わずダイブ。

 北上さまは嫌がる様子も見せずに受け入れてくれた。北上さまマジ北上さまである。

 

「すまん、疲労と欲望がおさえられなかった」

「素直でよろしい……よろしいのかなこれって」

 

 そう言って首を傾げつつも、帽子を取った私の頭をすぐさまナデナデしてくれるのだ。流石はマイフェイバリット秘書艦&嫁艦である。

 ああ、北上さまの太ももが心地良い。

 

「だってさ、元帥(じょうし)が言うんだ。もっと戦果を挙げろって。早く担当海域を攻略しろって」

「うんうん」

「うちは艦娘に無理をさせない方針なのにさー、担当海域だって定期的に前衛掃討作戦を行ってるから、敵が早々に攻めてくる事も無いしさー」

「うんうん」

「そんな事情も知らないで、みんなしてもっと頑張れとか弛みすぎだとか、酷いことばかり言うんだ」

「うんうん、提督が優しい性格なのは私がよーく知ってるよー」

 

 母親に語りかけるように、私は北上さまに色んな愚痴をこぼす。

 

 我ながらこれが駄目人間の所業であることは、よーく分かっているのだ。

 でも提督という仕事はストレスが溜まるんだ。遠征の計画立案や新規開発建造の手配、資材の管理から大本営での会議。何から何までやらなきゃいけない提督は大変なんだ。

 仕方ないじゃないか、たまには北上さまに思いっきり甘えたって!

 

 北上さまにこんな事をするようになったのは、ちょうど1年前からだ。仕事とストレスが溜まりすぎてソファの上でグッタリしていた私を、北上さまは優しく膝枕をしてくれたのだ。

 

 そりゃあもう次の日にはケッコン指輪送ったね。

 

「提督はいつも頑張りすぎだからさ、今日は私の膝枕でゆーっくり休むがよいぞー」

「……ありがとう、北上さま」

 

 北上さまの優しさに思わず涙が出る。

 

「今度休みを取って、温泉にでも行こうねえ」

「温泉かぁ……いいなあ、行きたいなあ」

「だから、明日からまだ頑張ろ? 今日はこのまま甘えていいからさー」

「ああ、そうだね。ありがとう、きた……かみ……さま……ぐぅ……」

 

 北上さまの優しい声と膝枕が心地良く、私はそのまま深い眠りに落ちてしまった……。

 

「……あらら、今日は『夜戦無し』ってわけね。ま、いっか。おやすみなさい、提督」

 


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