DRAGON QUEST -ダイの大冒険- 神が投げた小石たち 作:大岡 ひじき
「わたし達はパプニカ王都近くの山で、修業の仕上げをしていたの。
そしたら、王都の方から火の手と煙が上がるのが見えて」
「恐らくは魔王軍の襲撃だろうと判断して、その中心にいるだろうダイのもとに、彼女の呪文で瞬間移動した…のだが。
そうか、ダイの使う剣はまだ手に入っていなかったのだな。
大切な時に騒がせてしまい、申し訳ない」
傍の相方にちらりと視線をやって、銀髪のイケメンが小さく頭を下げる。
「あ、いえ。
本来なら戦いの場にいる筈の勇者様をお引止めしているのは、我々の都合ですので」
あの後、唐突に現れた男女を小屋の外に出して、あたしが代表して話を聞き、互いの状況を確認しあっていた。
あのまま屋内にいては、先生もダイも集中力を乱されかねなかったからだ。
てゆーか、知っている顔が現れて嬉しそうだったダイはともかく、ロン先生や何故か母を連れて戻ってきた父の呆気にとられた表情と、次の瞬間母が父の脇腹に食らわした肘鉄の鋭さは、ちょっとよそのひとにはお見せしたくなかった光景だ。
多分その一連の流れの主な原因になっただろう魔族の美女は、うっかり彼女に見とれた男どもの反応を、魔族の自分の外見を怖がっていると解釈したようで、しきりに恐縮していたけど。
いや怖がらねえわ!
よく見て、うちの師匠生粋の魔族だからね!
ん、まあ先生に至っては、突然現れた2人が自分の作った武器を持っていたのを見て、最初だけ警戒してたのもある。と思いたい。
元々は魔王軍に卸した武器だからね。
だとしたら魔族だから警戒したって見方も、あながち間違いではないのか?
それにしてもこのひと、自分の魅力に対する自覚が壊滅的なまでに薄いぽい。
ポップが言った残念な美人の意味が、この短い時間の中であっさり理解できた。
間違いなく、このひとが『グエン』だ。
「でもポップに妹さんがいると聞いた事はあったけど、まさかお会いできるとは思わなかったわ〜」
「オレは初耳だ。もっともポップはオレに、自分の話などそもそもしてはこないが」
「わたしが聞いた時も、うっかり口が滑ったくらいの感じだったわね。
あらやだ、あの子思ったよりも秘密主義!?」
「そういうことではないだろう。
それよりも、離してやれグエン。
無理に平静を装ってはいるが、明らかに戸惑っているだろう。
その…リリィ。重ね重ね申し訳ない」
あ、いえ、別に嫌ではないっていうか、御褒美ですよ?
なんか知らないけど抱きつかれて、大きいおっぱいがほっぺたに当たってる状況とか。
前世にあった、サクサクして美味しいけど齧ったそばからポロポロ崩れるあのお菓子とか与えたら、食べこぼしが胸に乗るタイプだなこれは。
あたしは全部床に落ちるけど、ってやかましいわ。
「あはは、ごめんなさいね、リリィ。
わたし、妹って存在が、なんだか目新しくて。
ラーハルトが居たから、弟ならなんとなくわかるのだけど」
…は?ラーハルトって、鎧の魔槍の持ち主だったひとだよね?
つまりこのひと、ラーハルトのお姉さんってこと?
「彼女は、あなたの妹ではなくポップの妹だ。
そもそもラーハルトは、あなたを姉とは思っていなかったようだが」
「…仕方ないわ。
境遇が似ていたとはいえ、元々は赤の他人だし、あの子と暮らしていたのは、ほんの半年程度の間だけだもの」
「オレが言っているのは、そういう意味ではないのだが…」
どうやら違うらしい。紛らわしいな。
けどそうか。
元々知り合いだったから、ラーハルトはヒュンケルでなく、このひとに魔槍を託したんだ。
「まあどちらにせよ、兄妹というのがどういうものなのかは、オレには判らん」
「あなたはアバンの使徒たちの中の、一番上のお兄さんのようなものじゃないの。
あ、もし上が欲しいのならば、わたしをお姉さんと思ってくれて良くてよ?」
「弟妹より手のかかる姉など要らん」
「酷っ!!」
ヒュンケルが頭痛を堪えるような仕草で眉間のシワに指を当てる。
てゆーか、作中でのヒュンケルは、誰に対しても一歩引いた、クールな表情を崩さなかった筈なんだが、このヒュンケルは若干キャラが違うような気がする。
ツッコミに容赦がないし、
このパターンは身近にあった気がしなくもないがそこからは全力で目をそらしつつ、今こうして会話を交わすのを見る限り、確かにこの二人、マァムの言う通り精神的な距離が近そうに見えるな。
…と言っても色っぽい話ではなく、ヒュンケルは否定したがそれこそ姉弟か、或いは親友みたいな関係性の。
ただ、それは前世を含めた人生経験で、ある程度人間を観察してきたあたしの視点だからわかる事であって、そもそもそういったことには年齢を考えても不慣れなマァムから見れば、確かに仲が良さげなお似合いの二人に見えるんだろう。
こういう、男女関係すっ飛ばして親友になっちゃった奴らって、意外と厄介なんだよなあ。
主に互いの彼氏彼女がヤキモキするって意味で。
しかもどっちも美男美女だから余計な。
周囲の心の平穏のためにもうお前らでくっついちゃえよと誰もが思うし、実際一通りの修羅場を意図せず巻き起こしたら、なんかなし崩しにくっつく可能性のあるパターンでもあるんだけど。
「リリィは魔界の名工のお弟子さんなのね。
わたしは、ダイのパーティーに加わる以前は、尼僧として旅をしながら各地の専門家を訪ねて、それぞれのお仕事についてのお話をうかがっていたの。
パプニカの戦いを終えて無事に帰ったら、あなたの先生とあなたにも是非、お話を聞かせていただきたいわ」
「…さりげに死亡フラグ立てんのやめてもらっていいですか」
「しぼうふらぐ?何それ?」
「…何でもありません」
実はさっきから会話しつつ、神様のタブーに抵触しない範囲で、ちょいちょい前世ワード挟んでたんだけど、そのどれひとつとして、グエンは反応を示さなかった。
知っててとぼけている可能性もなくはないが、このひと腹芸とか得意なタイプには見えないし、そこは深読みする必要はない気がする。
『グエン』があたし同様、転生者である可能性を考えていたのだが、どうやら違うらしい。
だがこのひとが物語にとっての異分子である事は、その自覚があろうがなかろうが間違いないし、聞いた限り変化が起きているのは、このひとが関わった部分だけだ。
神様の意志と全く無関係な存在とは考えにくい。
まあでも、それは今考えても仕方ないか。
「…それはともかく、おふたりの武器は我が師ロン・ベルクの傑作、鎧の魔剣及び魔槍とお見受けします。
あたしも話に聞くだけで実際に見た事がないので、戦闘準備がてら、鎧化するところを見せていただけないでしょうか?」
あたしがダメ元で頼んでみると、
「いいわよ。じゃちょっと離れてて…
「…
あっさりとグエンは了承してくれて鎧化を実行、ヒュンケルもそれに続く。
って意外とノリいいなヒュンケル!
魔剣と魔槍、ふたつとも
続いて鞘部分が大きく展開したかと思うと、金属のベルトのような形状に一旦変形したそれが、装着者の身体に巻きつく。
… なるほど。
この方式ならサイズ調整も自動なわけだ。
あたしはその光景を見ながら、『みる』を展開した。
『魔界の名工ロン・ベルクの傑作、【鎧の魔槍】と、その対の【鎧の魔剣】です。
ともに、材質は究極まで硬度を上げたミスリル銀。
鞘中央に配置した赤魔晶に『メタスラのかけら』、
…ちなみにこの発想は、これを作成した時のロン・ベルク先生の自分ブームが『分解・変型・合体は男のロマン』だったからのようです』
…これは聞かなかったことにしておこう。
前からちょっと思ってはいたけど、ロン先生のセンスは若干厨二ちっくだ。
『魔剣は防御力重視、魔槍は機動性を重視したデザインですね。
魔槍には各部に細かい武器が仕込まれており…』
ここは聞いても覚えられないので省略。
『ちなみに魔槍の方、現在は実際のマスターから、事実上貸与されている状態ですね。
本人は死を覚悟した際、その自身の代わりにと、彼女を守る意志をこの武器に伝えたようです。
本人は実際には現在、【戦闘不能】なだけの状態ですが。
なんというか、その意志にすごく深い執ちゃk…思い入れを感じます。
彼女の事、すごくすご〜く、好きだったんでしょうねえ…』
…待て。今、執着って言おうとしたよなお前。
てゆーか、ひょっとしてさっきのヒュンケルが『ラーハルトはグエンを姉とは思っていない』って、そういう意味だったのか。
女として愛していたら、姉だなんて思えないよな。
まあラーハルトの事は今はいい。
そろそろ、送り出さねばなるまい。
何せパプニカは今滅亡の瀬戸際で、うちの兄たちが必死に戦っている最中なのだから。
一刻も早く、彼らの助けが欲しいところだろう。
「ありがとうございます。大変参考になりました。
お引止めしてしまって申し訳ありません」
改めて、うちの先生は天才だと思いつつ、持ち主たちに頭を下げる。
「いいえ。
…出る前にダイに挨拶しても構わないかしら?
これから剣の誕生を見守らなければいけないのなら、声をかけて安心させてあげたいの」
それはこちらからお願いすべきことだ。
頷いて、返事がわりに小屋の扉を開けると、中から全員の視線がこちらに集中するのがわかった。
椅子から跳ねるように立ち上がったダイが、真っ直ぐグエンの胸に飛び込…えっ!!?
「グエン!パプニカが…レオナが危ないんだ!!
ポップ達が先に帰って、戦ってくれてるけど…」
だが男の子に腰に抱きつかれても動じることなく、グエンはダイの頭を撫でる。
「話は、リリィから聞いたわ。
これからわたしとヒュンケルも駆けつけるから、心配しないで」
…いや、このひと無防備過ぎじゃない?
相手は、そろそろ思春期迎える少年だよ?
どうなのと思いつつヒュンケルの方を見ると、どうやら既にその光景に慣れきっていると見えて、まったく何の疑問も抱いていないように頷いている。いいのかヲイ。
「安心しているがいい。
おまえの道を拓くのが、オレ達の役目だ」
「ヒュンケルのお陰で、わたしだって強くなったんだから!
あなたは剣を完成させて、最後の一番格好良いところで、颯爽と登場してちょうだい!」
グエンはそう言って綺麗に片目をつぶってみせる。
…美女のウインクいただきましたごちそう様です!
そしてダイの身体を離して椅子に座り直させてから、ウチの両親それぞれに頭を下げた後、最後にロン先生に向き直った。
「…よろしくお願いします、ロン・ベルク。
あなたの打つその剣は今、この地上全ての希望です」
その言葉と真剣な眼差しを、先生はさっきの一番カッコいい表情で受け止めて、頷いた。
「ああ、大船に乗った気でいろ。
期待以上のものを完成させてみせる!」
…けど、あたし知ってますからね。
ダイがグエンと話してる間、ちっさな声で、
『…女が身につけるとああなるのか…ならば胸部のデザインを少し手直しした方が…仕込みナイフの位置とか、男と違って角度がつく分、若干取り辛そうだし…』
とかぶつぶつ呟いてたの。
何はともあれ、その場の全員が決意を新たにした空気になる。
って母さん、アンタ今んとこ、ここに何にも用事ないじゃん…。
「…さっき聞いた話からすれば、転移の目的座標は、ポップにしておくのが一番確実かな。
じゃ、行くわよヒュンケル!」
「応ッ!」
グエンが伸ばした手を、ものすごく自然にヒュンケルが取る。そして。
「ダイ、また後でね!…リリルーラ!!」
…来た時と同じように唐突に、2人の姿はその場から消えた。
一瞬『悟◯の瞬間移動?』とか思ってしまったあたしは悪くない。
「……作業を続けるぞ。
ダイ、気を取り直して、しっかり見ていろ。
オレとおまえの、地上最強の剣が生まれる様を」
「はいっ!!」
元気に答えたダイの声に、もう焦りはなかった。
おっぱいは偉大だ。って違うか。
あと、あのグエン姐さんは多分だが、普通に無自覚な人たらしなんじゃないかと思う。
☆☆☆
パプニカに現れた岩の巨人が現した真の姿、無数の砲門を抱えた巨大な城から、飛び出してきたガストの大群とやり合いながら、次の手をおれは考えていた。
数が多過ぎる…!!一気に…アレを…!!
そこまで考えた時、ランカークス村に行く前に、ちょっとだけ顔を出して様子を見に行った師匠マトリフの顔が浮かぶ。
・・・
「フィンガー・フレア・ボムズを使ったんだってな…」
洞窟の隠れ家の中で、それだけはしっかりとした寝台の上で半身を起こした師匠が、おれに問う。
確かにロモスの武術大会で、ザムザに飲み込まれたダイを吐き出させるのに、氷炎将軍フレイザードの技だったそれを使ったのは確かだが…なんで師匠がそれ知ってんだ?
「ああ…話に聞いただけで、実際に使うところは見たことねえんだけどよ。ま、なんとか…」
「二度と使うな…」
言葉自体は淡々としていたものの、そこに込められた静かな気迫に、おれは思わず息を呑んだ。
「なっ…なんで!!?」
「あの技は禁呪法に近い…。
生死をかえりみない化け物だからできるんだ。
…並の人間が使うと、寿命が縮まるぜ」
マジかよ!
一度しかやったことがないとはいえ、知らずに随分おっかない事をしてたんだと、冷や汗が出る。
「いかに仲間のためとはいえ、そんな無茶を続けていると、いずれ…」
そこまで言ったところで、突然師匠が咳込んだ。
テランでの戦闘の後から、急激に覇気が弱っちまったと思ってはいたが、口を押さえた指の間から滴る血を見て、只事ではないと感じる。
否、考えてみれば、この人は齢百を数える老人なんだ。
これまでも弱った身体に鞭打って、気を張って生きてきたところに、あの戦闘が引き金となって、その蓄積が一気にきたんだろう。
「師匠…!!まさか、あんたも…!!!」
「近いな、この調子じゃ…だが縮まって百年なら長過ぎるぐれえだ。
アバンやロカの事を思えばな…」
師匠は言いながら口を拭い、半身を起こしているのも辛くなったのか、寝台に横になる。
そうして姿勢が落ち着くと少し楽になったようで、師匠はおれにもう一度目を向けると、どうしようと彷徨ったままだったおれの手を、思いのほか力強く握って、言った。
「ポップ、おまえはまだ若い。
無理せずとも、いずれは強力な呪文が身につく…」
それは命を削るほどの無茶をするなという、忠告というよりもむしろ懇願だった。
・・・
けど。
「いずれじゃ困るんだっ…要るのは今だぜ師匠ッ!!!」
命を削る決意をして、右手に魔法力を込めようとした時に、ふと別の声が思い起こされた。
『命を粗末にするなって言ったでしょ!
あなたの事を好きな人たちの顔を思い浮かべなさい!』
聞いた話じゃ自分だって、命と引き替えにしておれを助けようとしたらしいじゃねえか。
あんたの方がよっぽどとんでもねえよ。
けど、その黙ってりゃ無駄に綺麗なのにどっか残念な女の顔を思い浮かべたら、ちょっと冷静になった。
魔法は、発想力と集中力!
馬鹿にしてた補助呪文だって、使い方でいくらでも決め手になり得ると、あいつの戦い方で思い知った筈だ。
「
まずは、自分の素早さを上げる呪文を唱える。
自慢じゃないが、おれは逃げ足の速さなら誰にも負けねえかんな。
これで必死に躱していたガストのマホトーンを、余裕でさばけるようになった。よし。
「
更に、襲いかかってくるガストどもに、同士討ちを起こさせる呪文をかけてやる。
奴らは目に見えてまごまごしだし、互いにマホトーンをかけあい始めた。
これでおれの行動に、ますます余裕が生まれる。
そこに、
「ベギラマ───ッ!!!」
通常よりも集中に時間をかけて溜めた魔法力を、高熱に変換して叩きつけると、ガストの群れは悲鳴を上げて霧散した。
どんなもんだ。
そう簡単におれたちを殺れると思うなよ魔王軍!
おれがガストを一掃したのを見て、下で鎧兵士の大群と戦ってる仲間たちの動きも変わる。
「唸れッ!!真空の斧ッ!!」
クロコダインのおっさんが斧の効果で鎧兵士の動きを止め、マァムがそれを拳で砕く。
…あいつの馬鹿力、本気で化け物じみてきたな。
それにチウやバダックのじいさん、あと、ベンガーナ戦車部隊の隊長も続いた。
だがやはり一体一体潰してくと時間がかかる。
そして幸い、おれは自分の敵を片付けて幾らか余裕がある。
「みんな〜〜ッ!!散れっ!!!」
さっきと同じように集中に時間をかけて魔法力を練り、それを爆発力に織り上げていく。
おれの声に従って全員が、鎧兵士の群れの中から撤退した。
全員、話が早くて助かる。
仲間たちが充分に距離を取ったのを確認して、おれは手の中の魔法力を眼下に叩きつけた。
「イオラ──ッ!!!」
鎧兵士の群れは、おれの爆裂呪文の一撃で、全て細かい破片と化した。
「見たか、全滅だぜっ!
さあ、残るはあのデカブツだけだ!!」
だが。
「それで勝ったつもりか…愚か者どもめが…!
我が魔影軍団は不滅の軍団!!
暗黒闘気のある限り、何度でも甦る…!!!
この鬼岩城の右胸に位置する
この鬼岩城を引っ張り出してきた魔影軍団長ミストバーンというやつの声が、おれ達にとって残酷な事実を告げる。
いくらやっつけても減らねえなんて…!!!
おれ達の魔法力や体力には限界がある。
対して、やつらの軍勢は無限…!
「…もう…ダメかもしれねえっ…!!」
思わず口をついて、そんな弱音が漏れたのと、新たに現れた鎧兵士の群れが襲いかかってきたのは、どちらが先だったか。
だが次の瞬間、圧倒的な力が大地を割り、切り裂かれた地面が、鎧兵士の群れを呑み込んでいく。
これは……大地斬!!?
「こら。情けないこと言わないの。
らしくなくてよ、ポップ?」
「仮にもアバンの使徒を名乗るなら、この程度の敵で泣き言を言うな…!!」
おれのほぼ真後ろで聞こえた声に振り返ると、そこにいたのは、構えた剣を地面に突き立てた鎧の男と、その側で手を振る軽装鎧の女。
おれ達全員が注視する中、男の方が地面から剣を引き抜きながら、感情を抑えた声を発した。
「……すべて、倒せばいい…!
たとえ、奴らが何百回生きかえろうとな!!」
「ヒュンケル!グエン!」
「来てくれたかっ!!!」
おっさんとマァムが2人に駆け寄り、呼びかける。
…相変わらず、狙ったタイミングで出てきやがる。けど。
「うるさすぎて修業に没頭できなくなったから、黙らせに来たのよ!」
「…一度、目的地を間違えて別の場所へ行ったがな」
「それ今言う!?」
この残念なオネーサンのせいで、今ひとつかっこよく締まらねえ事には、ちょっとヒュンケルに同情した。
ポップはマトリフ様にすすめられてありとあらゆる呪文の契約は済ませてたとの事なので、この話では魔法使い系に適性のある補助呪文は、あまり使わないだけで修得はしてる設定にしてます。
というかグエンの視点が刺激になったマトリフ様がその重要度を見直した事で、ポップに早い段階で契約させてました。
ポップ自身はやはり攻撃呪文よりは下に見ていたから、それまで使う機会はそれほどなかったけど、そのおかげで今回フィンガー・フレア・ボムズを使わずになんとかしたという、これも小石が描いた