ケイオスオーダー 異世界英雄のホーリーグレイル!!   作:グレン×グレン

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再びメタ題です。


立花「すいません! うちの家系うっかりが多いんです!」 ロマニ「ああ、そういえばそうだったね!」

 

「ちょ、ちょちょちょマシュ!! マシュ止まって!!」

 

 立花は慌ててマシュを止めようとするが、しかしオルガマリーがそれを止める。

 

「落ち着きなさい立花!! 兵夜はやられてもカルデアに帰還されるだけ。ダメージが大きいから即時の復帰は難しいでしょうけど、それでも消滅するわけじゃないわ!!」

 

「だけどお兄ちゃんが!!」

 

「そうです! このままでは兵夜さんが!!」

 

 ジャンヌも扉を開けようとするが、サーヴァントとして完璧な状態でないことが災いなのか幸いなのか、オルガマリーの力でも取り押さえられていた。

 

 とはいえ、マシュとしても気が気でない。

 

 最初の作戦では、強引に包囲をくぐった後で撤退戦に移行する話だった。兵夜も装甲車に飛び乗る手はずだったのだ。

 

 それが、ふたを開けてみれば兵夜が独断で足止めに残っている。はっきり言って自分でも止まってないのが不思議だった。

 

 と、いうより騎乗スキルがあるといえど運転なんて初めてなので色々と成れてないことが大きい。このままだと事故を起こしてしまいそうだ。

 

『言っとくけど戻ったら駄目だからね! 君達は倒されたらそれで終わりなんだ。こういう時の消耗戦は、カルデアの正規サーヴァントである彼の役目だ』

 

「そんな!! お兄ちゃんを見捨てるなんて!!」

 

「そもそもこうなったのは私の所為です! 殿を務めるのなら私が!!」

 

 立花もジャンヌも納得できていないが、しかしロマニの声は緊張感があふれていた。

 

『それに、あの場に残しておくわけにはいかない。……新たにサーヴァントの反応が三人出てきた。これはかなり危険だ』

 

 その言葉に、立花は背筋が凍りそうになる。

 

 ただでさえサーヴァントがマシュも入れれば八人も一堂に会したイレギュラー。その上で更に二騎も追加など、悪夢でしかない。

 

 そんな状況に、再会するはずがなかったのに再会できた兄を置いていくことに、立花は強い罪悪感を感じ―

 

『それに、もしかしたら無事逃げ帰ってくるかもしれないよ?』

 

 ロマニの声に、目を見開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ジャンヌ・オルタは心底からイラついていた。

 

 目の前にいるのはサーヴァントは、ルーラークラスのクラス特性である程度把握している。

 

 ……もっと早く正確に把握するべきだった。心底後悔した。

 

 ステータスそのものはそこまで高くない。EXも実際はD相当であり、ステータスは高くてBだった。

 

 宝具がEXなのは驚異的だが、それも雑魚散らしに特化した宝具と蹴り技。ならば武器の間合いで挑めば十分対応できる。

 

 そう、その間合いこそが問題なのだ。

 

「ああ、言い忘れていたがこういう礼装もあるんだ」

 

 その言葉と共に、地面が急激に隆起する。

 

 それにより武器の間合いを取り辛くなったのが原因で、一気に状況は彼に有利になった。

 

 少しずつ後退しながらの、ガトリングガンによる牽制に終始するアーチャーは、非常に強敵だった。

 

 廃墟という障害物の多い環境での戦闘はむしろこちらにとって有利だと判断したが、それは完璧に誤りだった。

 

 時に瓦礫を足場にし、時に手で猿のように駆け上がる。

 

 敏捷ランクだDだとはとても思えないような軽快な機動。そこに大量のガトリングガンによる牽制。

 

 接近戦主体の英霊は接近できず、遠距離戦が可能なサーヴァントもこの弾幕の中では狙いが定まらない。

 

 吸血鬼の特性で霧となれるヴラド三世も、また接近を困難としていた。

 

 その特性は単純明快。目の前のアーチャーは、躊躇することなくガーリックオイルを頭からかぶったからだ。

 

 吸血の伝承(レジェンド・オブ・ドラキュリア)。攻勢に広まった吸血鬼ドラキュラのイメージを具現化する、ヴラド三世の宝具。

 

 死徒ととしての吸血種ではなく、のちの口伝によるドラキュラ像を自身に付与するその宝具は、霧と化すことにより弾幕を交わすというメリットを生んでいるが、それ以上にデメリットが大きすぎた。

 

 その為吸血鬼の伝承で出ている弱点も影響を受ける為、これにより接近しずらいという悪影響が生まれてしまった。

 

 そのくせ、あの男は聖水らしきものを魔術で操作して防御を行っている。

 

 如何に魔術を無効化しても、聖水そのものをかぶってはヴラド三世にはダメージが大きい。これによりヴラド三世も杭による遠距離戦を強いられるが、しかし乱戦状態では広範囲攻撃はできない。

 

 完膚なきまでにアーチャーの目論見にはまったようだ。あの男、最初から徹底的に時間稼ぎに徹するつもりだろう。

 

「なるほど。確かに未来で英霊になるということは、過去の戦争や戦いなどの資料が豊富だということ。……過去使われた策をかき集めることで、対抗手段を構築することもたやすいというわけですか」

 

 認めよう。どうやら彼は強くはなくてもしぶといサーヴァントだ。

 

 これが闘争を愛し、強敵との殺し合いを好む英雄ならば喚起するのだろうが、ジャンヌ・オルタはそうではない。

 

 彼女がしたいのは戦争ではなく報復。すなわちフランスの蹂躙である。

 

 多少手応えがあるのはかまわないが、しかし物には限度がある。これは硬すぎて中々呑み込めない。

 

「……ったく、うざいわねコイツ」

 

 舌打ちを一つし、ジャンヌは戦い方を変えることにする。

 

 サーヴァントとマスターのパスで情報が筒抜けになりそうだが、しかしこのままこいつの好きにさせるのも気に食わない。

 

「……喜びなさい、あなた向きの相手です。……狩りの時間ですよ、バーサーク・アーチャー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 思ったより何とかなった!!

 

 対吸血鬼用の装備はルーマニアの一件でため込んだままにしていて正解だった。おかげでもろに一人抑え込んだよ。

 

 どうやら、ヴラド三世はサーヴァントとしての側面が強く出てくるタイプらしい。

 

 体から杭を射出してくるが、一発当たった程度ではそこまで酷い事にはなってない。ルーマニアでマリウスが使用した時よりもダメージは軽い。

 

 偽聖剣もない時に、劣化再現しているマリウスの時よりもだ。

 

「なるほど。吸血鬼のウラド三世ではこれが限界か。悪いな、俺は吸血鬼対策は万全なんだ」

 

「……ほう? 貴様は私の別の側面を相手にしたことがあるのか。それは羨ましい話だ」

 

 吸血鬼が使用してきたことについては黙っておくとしよう。

 

 流石にちょっと可哀想だ。

 

「まったくもう。男の血はあまり好みではないのに、更に殺すのにも手こずるなんて嫌な話だわ」

 

「こちらとしては無駄な殺しをせずに済んでありがたいが、しかし倒せないというのはもどかしいな」

 

「その程度で済んで羨ましいわ。こっち何てなんか知らないけど倒したくても倒しちゃいけないような気がしてモヤモヤしてんのよ」

 

 サーヴァント達が次々に言葉を放つが、まあこの場合は得意気にするべきか。

 

 とはいえ、どうやら約一名を除いてまともならこんなことしないようなサーヴァントだ。……できれば一人ぐらい楽にしてやりたいが。

 

 確実にそれができる攻撃の間合いに、相手は入ってくれない。どうやらあの黒ジャンヌはルーラーとしての能力をある程度持っているようだ。

 

 これは、まずいな。

 

 奥の手の存在を既に感知されている以上、向こうのうかつな接近戦闘は挑まないはずだ。

 

 色んな意味で一人ぐらい倒したいところなんだが、これだとできない―

 

 と思った瞬間、魔力反応が発動する。

 

 服に搭載されている自動防御機能が発動したが、しかし抑えきれず矢が背中に刺さった。

 

「……忘れてた、聖杯戦争は七騎で行う戦争だった」

 

 ジャンヌ二人にサーヴァント四騎。これで数は六。

 

 まだ一人残っている可能性は、考慮するべきだったか!

 

「来なくそ!!」

 

 俺は反撃の弾丸を即座に放つが、すでに視界にはその姿はない。

 

 と思った瞬間、さらに矢が腕に突き刺さった。

 

 ええいまたか! まさか何人もいるとでもいうのか!?

 

「残念だったわね、この女男! いくらすばしっこくても、それ以上に俊敏に動ける奴がいれば、アンタを倒すことは不可能じゃないのよ!!」

 

 ふむ、ということは、いま攻撃しているのは一人だけか。

 

 何人もいるわけじゃないのは幸運だが、しかしだからといって事態は好転しない。

 

「……立花! そろそろ潮時だ!! 令呪を使って俺を転送してくれ!!」

 

 これ以上はまずい。そろそろ逃げ時だ。

 

―え? 令呪ってそんなことできるの?

 

―できるにきまってるだろう。説明聞いてなかったのか?

 

 まったく。令呪の絶対強制を舐めてもらっては困る。

 

 やろうと思えば自決を命じることもできるんだ。それがあるからこそ、俺はわざわざここまで一人で足止めなんてしてるんだろうが。

 

『いや、冬木ならともかく、カルデアの令呪はそこまで強力じゃないよ? さすがにこの距離を転送するのは不可能だよ?』

 

 ………………………………………

 

「あ、ゴメンうっかり」

 

『ええええええええええ!? そんなうっかりってぇええええええええ!?』

 

『あなた何うっかりしてるの!? 馬鹿なの!?』

 

『ゴメンお兄ちゃんは本家の色濃くてぇええええええ!!!』

 

「こんなバカにここまで引っ掻き回されてたっての? うそでしょ……っ」

 

 上から順番にロマニ・オルガ・立花・オルタである。

 

 いや、ホントすいませんね。どうせ俺はうっかりですよ。

 

 だがこれはさすがにまずいな。

 

 実はさっきのツッコミの合間も容赦なく狙撃が飛んできており、動きにくい。

 

 このままだと確実に死ぬ。いや、消滅してもカルデアに帰還することになるだろうから大丈夫だろうけど、それはともかくとしてこれはまずい。

 

 ま、まさかうっかりが原因で特異点の修復が不可能になるとかさすがにまずい!!

 

「……立花。駄目なお兄ちゃんで、ごめんな」

 

『知ってたよ、バカぁ!!』

 

 うん、そうだよね。こっちでも死因同じだったよね……。

 

「皆さん? このふざけた男は念入りに殺しましょう。遊びなく、全力で、心臓と頭をぶち抜きなさい」

 

 サーヴァント六騎がかりは、流石に死んだぁああああああ!!

 

 ―その瞬間、俺と敵の間にガラスの薔薇が突き刺さった。

 

「―何?」

 

『兵夜君! 今君の近くに、サーヴァントが二騎更に追加だ!! ……戻ったらお酒の準備をしておくよ……』

 

「いや、ロマニ。……どうやらやけ酒の準備はまだ早いようだぞ?」

 

 このタイミングで、なぜ邪魔をするかのように行動をする?

 

 理由として最有力なのは―

 

 この薔薇を投げ込んだのは、ジャンヌ・オルタの味方ではない。

 

「―この街のありさまも、その戦い方も、思想も主義も優雅ではありません」

 

 カツ、カツ、カツ、と靴音が鳴り響く

 

 それはまるで戦場に似つかわしくない音。そう、まるで舞踏会に参加するお姫様のような音だ。

 

 その音に視線を向ければ、そこには道化師のような男を引き連れた、ドレス姿の少女がいた。

 

「善であれ悪であれ、人間はもっと軽やかにあるべきものなのに、血と憎悪でその身を縛ろうとするなんて」

 

 そう嘆くドレスの少女に、ジャンヌ・オルタ達は身構える。

 

「……サーヴァント、ですか」

 

 警戒する様子から見て、これはジャンヌ・オルタの想定外であることは分かる。

 

「……あー、お嬢さん? これは味方ってことでいいのかな?」

 

「ええ、そうよ。正義の味方として名乗りを上げるだなんて、すごく喜ばしいわ!」

 

 なんか緊張感がないんだけど、これは余裕なのか油断なのか。

 

 だが、敵サーヴァントの方は意外と動揺している者がいた。

 

「貴女は、マリー・アントワネット!?」

 

 敵のセイバーが度肝を抜かれるが、マリー・アントワネットって戦闘関係の逸話あったっけ?

 

 あれ? もしかしてあまり状況変わってない?

 

「あの、マリー・アントワネット王妃? あの、アブないですから下がった方が……」

 

「あら、私の名前を呼んでくださるなんて嬉しいわ。……でも、それは聞けません」

 

 いや、どう考えても前線戦闘型のサーヴァントじゃないよね!?

 

 だが、この状況下で気丈にもマリー・アントワネットはまっすぐジャンヌ・オルタを見据えていた。

 

「わたしがその名前である限り、愚かだろうと私は私の役割を演じます」

 

「……ハッ! 革命を防げなかった愚鈍な王妃様がよく吠えるわね」

 

 ジャンヌ・オルタはあざ笑うと、そのまま炎を巻き上がらせる。

 

「何もわからず首を落とされた王妃様に、私の憎しみが理解できるとでも? よくもまあそこまでおごれますね」

 

「なら、ぜひ教えてくださる?」

 

 敵意を強く見せつけながら睨み付けるが、マリー・アントワネットはしかし一歩も引かない。

 

「……なんですって?」

 

「教えてほしいの。憧れの聖女であるジャンヌ・ダルクが何故八つ当たりをしているのか。理由も、真意も何もかも、分からないのなら分かるようにするのが私の流儀ですから」

 

 そして、ビシリと指を突き付ける。

 

「そして、貴方を体ごと手に入れるわ!!」

 

「『まさかの百合発言!?』」

 

 俺とロマニのツッコミがシンクロする。

 

「……あ、失敗失敗。今のは「わたしの足元跪かせてやる!!」って意味ですからね?」

 

『ぼくの中のマリー・アントワネット像が、音を立てて崩れていく……』

 

 ロマニ、スマンがそんなことはどうでもいい。

 

「―ハッ! とんだ茶番ね。ならあんた達は私の敵ってことでいいわけね?」

 

 おお、ジャンヌ・オルタがすごい口調になった。

 

 これ、もしかして味方が増えただけで状況悪化してないか?

 

「サーヴァント。全員総出であの連中を始末しなさい!!」

 

 やっぱり怒ってるな、コレ。

 

「あの、王妃? これどうしますか?」

 

「そうですわね。ここは戦場ですし、語らいはこの辺りにするべきでしょう。―まずは彼女が殺めた人々への鎮魂が必要不可欠」

 

 いや、そんなことをしている余裕は欠片もないんだけど。

 

 だが、しかしそこでさっきまで黙っていた男が一歩前に出た。

 

「そういうことなら任せたまえ。宝具死神のための葬送曲(レクイエム・フォー・デス)

 

 その男が指揮棒を一振りした瞬間、荘厳な音楽が鳴り響く。

 

 あ、これ俺でも聞いたことある。

 

 ってことはこの男は、モーツァルトか!!

 

 そしてその音楽が重圧を作り出したのか、ジャンヌ・オルタ軍勢の動きが目に見えて悪くなった。

 

「それでは皆様、オ・ルヴォヴァール!」

 

「さて、それじゃあ逃げるよ! 君も来るんだ!!」

 

「言われなくても!! それと俺の仲間のところに走ってくれ!! 誘導頼む、ロマニ!!」

 

 このチャンスを逃がす他はない。

 

 いったん撤収!! その後、作戦会議を開いてから反撃開始だ!!

 




はい、恒例のうっかりです!!

カルデアの令呪は冬木のそれよりレベルが低いことは訓練されたFGOファンなら知っての通り。しかし兵夜はうっかり聖杯戦争でのレベルを想定していました。おかげでいきなり敗退するところでした。

因みに、五対一でここまで善戦できたのは偏に相性ゆえ。

多重ガトリングによる超高密度の制圧射撃と、アーチャーとアザゼルの合作による装備によって相手の特異な間合いに追い込まれなかったこと。あととっさにマリウスとの戦闘で吸血鬼対策をぶちかましたことで、それを打開しかねなかったヴラド三世の接近を阻害したことがあの長時間戦闘を可能としました。

そうでなければさすがに持たないです。なにせ今の兵夜には知名度補正が足りないですから。
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