ケイオスオーダー 異世界英雄のホーリーグレイル!! 作:グレン×グレン
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兵夜とバーサーク・アーチャーの戦闘は、実のところバーサーク・アーチャーの方が有利だった。
なにせ彼女の真名はアタランテ。ギリシャの神話に伝わる最高峰の狩人の一人だ。
ジャンヌ・オルタは見事に皮肉を叩き付けた。
彼の挑発の通りに、神代の英霊をぶつけてきたのだ。
この場における最新対最古の戦いは、最古の方が優勢だった。
彼女はギリシャの狩人の中でも最高峰。そして、兵夜との相性が抜群にいい。
なにせ彼女の敏捷性は、弓兵の中でも最高峰。しかもただ速いのではなく俊敏であり、放たれる弾丸の雨を器用に躱して攻撃を叩き込んでいる。
また、あらゆる障害物を飛び越えて移動できるアルカディア越えと先手を取らせて確認してから先回りする追い込みの美学を持つ彼女にとって、弾幕と策で勝負する兵夜はやりやすい相手だ。
例え神代にモノと見まごうばかりの礼装をもって障害物を作ろうと、彼女にとってしてみれば楽に対応できるもの。
例え策をもってして、それを先回りして攻撃する。
バーサーク・サーヴァントの中で珍しい龍に由来しないサーヴァントでありながら、そうであるがゆえに龍に対して相性のいい兵夜と相性がいい。
いうなれば、最新鋭の戦闘機とハリネズミの如く武装した古き戦艦の戦い。
まともにやり合えばアタランテの方が遥かに有利だった。
「ええいちょこまかと!! 少しは当たれよこの雌犬!!」
「狗ではない、獅子だ。とはいえ、今はまさに狂犬だがな!!」
ゆえに、アタランテは躊躇なく弓を放つ。
それを兵夜は楯を使って防ぐ。
この戦いで兵夜がここまで粘れるのは、ひとえに一対一の戦いだったからだ。
ゆえにイーヴィルバレトの弾幕を収束させることができ、それゆえにアタランテといえどかなりの接近を許さない。
そして兵夜はアタランテに集中することができるので、神の権能すら使うことによって彼女の位置を見逃さない。
それが、攻撃が放たれることを即座に把握し、そして楯で防ぐまでの時間をかけることに成功していた。
さらにこの盾も特注品。
異世界の神の技術の模造品、人造神器であるこの盾は内側から外の様子を透かして見ることができる。
おかげで視界が狭まらず、どこに向かって矢が飛んでくるのかを把握しやすかった。
とはいえ、このままでいえばジリ貧。向こうは一発も当たってないのに対して、こちらは少しずつだがかすめている。
塵も積もれば山となる。このままでは、どちらが先に倒れるかはほぼ確実だった。
「兵夜!!」
ゆえに、その均衡を逆転させるのはお互いにあらず。
明確な、第三者の存在だった。
「オルガ!?」
あの馬鹿! なんでここに来た!?
このサーヴァント、どう考えても神代のサーヴァントだ。
おそらく敵陣営でも強者側。しかもおそらく俺と最も相性がいいタイプだ。
そんな奴相手にフォローをしている余裕は欠片もないぞ!!
「下がれオルガ!! 俺も流石にフォローしてる余裕が―」
「それは呑めないわ!」
あっさり切り捨てないで!?
「私はカルデアの長! 私は人理存続の責任者なのよ!!」
放たれる攻撃を何発も喰らいながら、しかしオルガは顧みない。
「その私が、人理の救済を前に何もしないだなんてできるわけがないでしょう!!」
ああ、この子頭いいけど意外とお馬鹿だ。
こんなところで、ド根性を見せなくてもいいだろうに。
「だから私は逃げません。今この場に戦う力を持っている以上、人理救済から目を背けるわけにはいかないわ!!」
なるほど、どうやら一皮剥けたようだ。
なら、この際頼るとしますかね!!
「オルガ! 戦闘中だがよく聞いてくれ!!」
二人掛かりで攻撃を叩き込むが、しかし相手もさるもの全然当たってくれない。
だが、やりようはある。
「お前の体として俺が提供した偽聖剣は、七つの機能を持っている」
「七つも? またすごいわね」
「その件についてはまた後で。とにかく、その剣の機能の一つに敏捷性強化がある。……他はいい、それを引き出すことに専念しろ!!」
「わかったわ。解析するから少しだけ時間を稼いで!!」
「任せろ!!」
ならばこちらも出し惜しみはしない。
「貴様は好ましくない。なんというか鼻につく」
「原始人には科学の匂いはお気に召さないか? 悪いがこれが俺の戦い方でね!!」
武装を変更。盾を放し、展開するのは特注品のグレネードランチャー。
さらに、遠慮なく光の槍も大量展開。
―立花、少し魔力を浪費するが我慢しろ
―うぇええええええ!?
悪いが全力で行くぞ。遠慮は欠片もしない!!
喰らうがいい、最新科学武装フルバースト。
「一斉射撃!!」
「……ふん、甘い」
しかし、それすらアーチャーは見事に躱す。
器用に身をひねり、グレネードすら軌道を見極めてさらりと滑るように最小限の動きでかわし―
「かかったな」
直後、グレネードが爆発した。
魔力感応式の特注の近接信管だ。効くだろう。
そして、その一瞬が勝負を分ける。
「舐めるな。この程度で英霊は―」
「―そうでしょうね」
その一瞬、動きが止まれば十分だった。
ああ、オルガ。
お前はやっぱり優秀だ。頼りになるよ。
「馬鹿な!? この私の速さについてくるだと!?」
「一瞬だけならね!!」
オルガはすぐに組み付いて、アーチャーの動きを封じ込める。
とはいえ体術の心得など欠片もないオルガでは、十秒停めれたら十分だろう。
だが、それさえあれば十分だ。
「砕け散れ、狂える弓兵。お前の慟哭はこれで終わる」
その一瞬で俺は間合いに飛び込み、遠慮なく切り札を開放する。
「
最大火力で、俺は彼女の霊核をぶち抜いた。
「……まったく、とんだ茶番だった」
そんな苦笑と共に、バーサーク・アーチャーは消滅した。
すぐに周囲を確認するが、既にこの辺りはフランス軍の方が優勢だった。
とりあえず、呼吸を整えるだけの時間はあるのだろう。
「し、死ぬかと思ったわよ……っ」
その所為か、オルガは息をつきながらへたり込んでいた。
「……お疲れ、オルガ」
俺は苦笑して、その手を差し伸べる。
「……ええ、これが終わったらシャワーを浴びたくて仕方がないわ」
その手を握り返しながら、オルガは苦笑を浮かべた。
意趣返しがもろに聞いた兵夜。バーサーク・サーヴァントの中では、最も相性が悪い相手でした。
それを打倒できたのは、ひとえにオルガマリーの奮戦あってこそ。さあ皆さん、徹底的に褒め倒してあげましょう