ケイオスオーダー 異世界英雄のホーリーグレイル!!   作:グレン×グレン

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そしてついにローマへと向かいます!!


立花「おしえて、アザゼル先生!」 兵夜「やめとけ、実験台にされるぞ」

 

 そんなこんなで三日後。

 

 俺達は、ついに新たなる特異点の場所の精査に成功した。

 

 その間俺は何とかカルデアを一通り掃除することに成功した。不眠で活動できるサーヴァントだからこそできることだといっておこう。

 

 ………次に召喚するチャンスがあれば、今度は家事の道具を持って行って触媒に使おう。

 

「それはともかく!! 次はどこだロマニ」

 

「ああ、次は一世紀のローマだよ。かつてのヨーロッパの超大国だね」

 

 なるほど、確かにローマはかなり影響力がある場所だ。

 

 なにせ―

 

「世界最大の宗教であるキリスト教の聖人、イエス・キリストを処刑した国家。……その後の伝承も踏まえれば、間違いなく特異点になるだけのものだが、流石にまずくないか?」

 

 基本善良である立花やマシュに、イエス・キリストを処刑させろ……とかまずくないだろうか?

 

 ここにいる人もヨーロッパ系が多いだろうし、すなわちキリスト教徒も多いだろう。

 

 これは、精神的にきついはずだが―

 

「いや、幸い年代は数十年後の西暦60年。ネロ・クラウディウスの時代だね」

 

 そうか、それはよかった。

 

「ローマ! ねえロマニ、私も行ってみたいな! ネロ帝とは話が合うと思うんだよ!」

 

「おお、その時代のローマか! 俺、ネロとは戦ったことあるぜ?」

 

 と、天災二人が騒ぎ出すがあんたらはカルデアの修復とか色々あるだろうが。

 

 ん? 待て?

 

「アザゼル先生。ネロ皇帝と会ったことがあるんですか?」

 

 すっかりアザゼルに馴染んだマシュが訪ねる。

 

 それに対して、アザゼルはあっさりと頷いた。

 

「ああ、ほら、ブディカとか聞いたことねえか?」

 

 ブディカっていうと……?

 

「女王ブーディカ。ちょうどこの年代にローマに反乱を起こした女王だね。ほら、英語じゃ勝利はビクトリーっていうでしょ? それの語源」

 

 解説ありがとう。そうか、そんな人物なのか。

 

「当時は通信技術も未発達だったからね。現地担当のスエトニウスの圧政をきっかけとして、彼女達が起こした反乱はローマの歴史でも有数の反乱だよ。ネロ帝も監督不行き届きの責任はあるといえ、いい迷惑だったろう」

 

 うんうんと、ダ・ヴィンチちゃんが頷くが、アザゼルは少し首を振る。

 

「いや、実はこっちの世界では色々と事情が違ってな。ぶっちゃけ三大勢力の代理戦争だったな」

 

「先生質問でーす! 代理戦争っていっても、当時のローマはキリスト教を迫害してたって聞いてますけどー?」

 

「はっはっは。確かに教会や天界の連中は関わってねえが、三大勢力にはもう一つあるだろ?」

 

 と、立花の質問に答えるように、アザゼルはホワイトボードを取り出す。

 

「当時、ヨーロッパには神滅具……聖書の神が作った神すら殺せる兵器があってな。それが俺らの世界のブディカとネロに宿されたことで、三大勢力はそれを確保しようと躍起になったのさ。……結局はブディカが死んじまったことでお流れになったが、ヤンチャしてた当時の俺らは色々と大暴れしてたもんさ」

 

 そういや、当時は色々とやってたみたいだな。

 

 しかし、そうだったのか。

 

「それで? お前らはどうしてたんだよ」

 

「ああ。真っ先にブディカに接触してパトロンになったぜ? 最も、悪魔や天使やらの介入を防ぐので手いっぱいだったがな……」

 

 少し思うところがあるのか、アザゼルは少し遠い目になった。

 

「いや、思い出すとホントよく和平できたな。俺らも数千年かければ成長できるってことかねぇ」

 

「和平する気のない連中が、ことごとく離反してくれたおかげもあるがな。そいつらで勝手にぶつかって共倒れになってくれれば言うことなしなんだが」

 

「うっわぁ、お兄ちゃん黒い」

 

 否定はしないさ。

 

「話を戻すよ。まあ、何分大昔だから正確なところはわからないけど、同じように女王ブーディカに聖杯が援助している可能性もあるか」

 

 ロマニが解析を続けながら、そう推測する。

 

 確かに、当時のローマの弾圧は相当酷かったらしいからなぁ。

 

 とはいえ、ブーディカの報復は関与のしようがない民間人にも徹底して及んだらしいし、流石に見過ごせんか。

 

 歴史を変えるわけにはいかないが、歴史を変えるほどの所業には積極的に介入できるのは良いことだ。

 

「それで? 今のところは聖杯の位置とかは?」

 

「残念だけどそこまでは。とはいえ、フランスの時も考慮すれば、人理を歪める要因が持っている可能性は大きいね」

 

 俺はロマニと話しながら、さらに作戦を詰めていく。

 

「転移場所は首都ローマを予定している。とはいえ、あまり正確に転移できるかはわからないから油断は禁物」

 

「ああ。それに、俺達の格好だと怪しまれるからな。できれば当時の服を用意できればいいが……」

 

「流石にそこまでは困難だね。現地で何とか調達してほしい」

 

 つっても当時は服なんて高級品だろうに。盗めと?

 

 しかし、ローマは大国だから物資もそこそこあるだろう。

 

 何とか調達できれば今後がかなり楽になるはずだ。

 

 そんなことを話し合っていると、立花が手を再び上げる。

 

「あ、でも味方のサーヴァントもいるんだよね? だったら彼らの協力とか取れないかな?」

 

「それはわかるが、敵のサーヴァントの可能性もあるから油断は禁物だ」

 

 ロマニの言う通り。敵もまたサーヴァントである以上、うかつに接触するのはかえって危険の可能性もある。

 

 そういえばその辺考えてなかったな。まずはサーヴァントより現地の人々の話を聞く方が先決か。

 

「ドクター。カルデアの方で、サーヴァントが敵か味方か判別する方法はありませんか?」

 

 マシュがそう聞くが、しかし難しいだろう。

 

 当然、ロマニとアザゼルも難しい顔をする。

 

「発想としては良いと思うけど、何分精神的なものだからね。……七割方敵だと判断できたなら伝えるけど、やはり現地の君たちの目で判断する方が正確だと思うよ」

 

「ああ。反動として召喚されたサーヴァントが、人理焼却側につくという可能性もあるしな。こっちのサーヴァントの人格がわからねえ以上、判断は難しいぜ」

 

「……そうですね。倫理的に無理のある願いなのはわかってました。それでも―」

 

「危ない可能性は、下げた方がいいもんね」

 

 と、立花がマシュに頷いた。

 

「所長やお兄ちゃん、マシュはともかく私は人間だからねー。危ないことになると足引っぱっちゃうから」

 

「いえ、先輩は問題ありません。私が全力で守りますから!!」

 

 おやおや、微笑ましい。

 

「いつも無茶をさせてすまないね、皆。僕もできる限りバックアップするから頑張ってくれ」

 

 ロマニがそう言いながらオペレータ席に座り、そして準備は整った。

 

「それでは、ランスロットさん。レイシフト先ではよろしくお願いします」

 

「Arrrrrr……」

 

 なんか、飼い主と忠犬みたいな感じになってるな。

 

 そういえば、鎧も似たような感じだし、もしかしてマシュに憑依したサーヴァントって……円卓関係?

 

「それじゃあ、行くわよ」

 

 そして、それまで黙っていたオルガが口を開く。

 

「私達から見れば昔も昔。奴隷制が顕在していた場所だけど、其の辺りについては口出ししてはだめよ。……未来を変えることは、カルデアには赦されてないんだから」

 

 オルガ……。やっぱり元帥のことが尾を引いているな。

 

「あまり無理するなよ。ま、俺は技術者系のサーヴァントして召喚されたから戦闘能力はかなり落ちてるから任せるしかないんだけどな!!」

 

「そこ、開き直らない!!」

 

 アザゼルに速攻でツッコミが飛ばす。

 

 あ、オルガの調子がいつもに近づいた。

 

 こういう遠慮なく張り倒せるところも、ある意味この状況では好都合か。

 

 ……さて、行くか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フランスでも見ましたけど、これが、自然なんですね……」

 

「ん? レイシフトで緊張した?」

 

 ローマに到着して、取り合えず俺達は辺りを見渡す。

 

 特に、なんというかマシュが圧倒されているというかなんというか。

 

「ああ、マシュは色々あって自然には慣れてないのよ。あまり気にしないで」

 

 と、オルガに言われるが、また少し様子がおかしい。

 

 ……そういえば、サーヴァントの憑依じゃなくデミ・サーヴァントなんだよな、マシュは。

 

 ……ロマニやダ・ヴィンチちゃんがいるから大丈夫かと思ったが、やはり魔術師の組織だということか。

 

「まあ、個人の意見を無理やり通せるわけないよな、二代目となると」

 

「……ありがとう。いつも気を使ってもらって悪いわね」

 

 まあ、その辺については気にするな。

 

 死んだところを無理やり生かしている責任というものがある。それ位のアフターサービスはさせてもらうさ。

 

「ま、適度に依存してくれ」

 

「ええ、ちょっと頼りにさせてもらうわ」

 

 まったく、この子は色々と背負わされすぎだろう。

 

 ちょっと本気で同情するぜ。

 

「フォー……ンキュ、キュ?」

 

 と、そこに小動物の鳴き声が一つ。

 

 って、フォウ?

 

「フォウさん!?」

 

「今、マシュの胸から出てこなかった!? ずるい!!」

 

「前から思ってたんだが、立花、お前レズか?」

 

 っていうか、何時の間に潜り込んだ、この小動物。

 

「失敬な。私はバイだ!!」

 

「あ、そう」

 

 論点はそこではないが、流石俺の妹……性癖的にクセが。

 

 さて、それはともかくとしてどうしたものか。

 

「まあ、一回戻るのもあれだし連れていくしかないか」

 

「そうね。立花、しっかり捕まえておきなさい」

 

「はい所長! わーふわふわー」

 

 確かにモフモフしたら楽しそうだ。

 

「まあ、狭い場所より広い場所の方がいいか」

 

「それについては同意なのです」

 

 俺も苦笑するが、それにマシュが同意する。

 

「戦いは怖いですが、外の世界を知るのはとても楽しいですので」

 

「そうね。マシュにはいい経験じゃないかしら」

 

 そうオルガも微笑するが、しかし上を見上げるとため息をついた。

 

「……あれがなければ、もっと良かったんでしょうけど」

 

 そこにあるのは巨大な光帯。

 

 フランスでもあったアレが、ここでもしっかり存在していた。

 

 やはりあれは人理焼却に関わっているようだ。この調子なら、七つの特異点全てに存在していると考えていいだろう。

 

「ドクターの話だと、確かアメリカ大陸と同じぐらい大きいんだっけ? 誰が作ったんだろうねぇ」

 

「ああ、こんなことができるの、サーヴァント級の化け物がゴロゴロしているD×Dでもいるかどうか。……マジでトリプルシックスがほしいな」

 

 正攻法じゃ勝てる自信がないぞ。どうしたもんか。

 

 まあ今はまだそんなことを考えている余裕も中。

 

「……そもそもロマニ? 首都ローマどころか街の姿形も見えない丘陵地帯なんだけど」

 

『あれ? そうですか? ……おっかしいなぁ、そこは首都ローマ郊外にあたる場所だ』

 

 ふむ、やはり転移座標がずれているのか。

 

「まさかと思うけど、時代までずれてないでしょうね?」

 

『それは大丈夫です。ローマ帝国第五代皇帝、ネロ・クラウディウスが統治する時代ですよ』

 

 ふむ、ネロ・クラウディウスか。

 

 確か、キリスト教を弾圧した所為で暴君と呼ばれていた人物だな。

 

 とはいえ、当時のキリスト教徒はかなり悪質なことをやっていたという話もあるし、宗教問題は根深いということでスルーしようか。

 

『しかしどうして首都がずれたんだ? 千年に皇太后アグリッピナを毒殺したとはいえ、今はまだネロ危急の時代ではないんだけどな』

 

「単純に考えれば、それこそまさにローマの人理崩壊の危機だということだろうがな」

 

 首都が移動するほどの事態が発生していると考えるべきか。

 

「さて、とりあえず全員周囲を確認。何かあったらすぐに教えて……」

 

 そこまで言いかけて、俺ははたと気が付いた。

 

 そういえば、なんだか向こうが騒がしい。

 

「多人数戦闘のものと思われます。丘の向こうのようですね」

 

「Arrrrrrrrr!」

 

 マシュもそれに気づき、ランスロットはマシュを庇う様に一歩前に出る。

 

『いやいやおかしい! この当時に首都ローマの近辺で戦争があったなんて話は聞いたことがない』

 

「つまり修復案件だね! 見に行こう!」

 

 立花が素早く判断すると、一歩前に踏み出そうとする。

 

「いや、あなたが一番安全確保しなといけないから」

 

 とっさにオルガが首根っこを引っ掴んで、俺達が前に出る。

 

 そこに映ったのは―

 

「「うぉおおおおおおおおおお!!!」」

 

 赤と黄金の意匠で身を包んだ者達同士による、激戦だった。

 

 しかし、誰が見ても分かるぐらいお互いの戦力差が大きい。

 

 通常、戦力差が三倍もあったら決着があっさりつくのが戦争の常識だったりする。

 

 そんな中、戦場での流れが拮抗している理由は、たった一人の少女の存在によるものだった。

 

「……ロマニ、妙に無双している奴がいるんだが、サーヴァントか?」

 

『いや、反応はないね。驚くべきことに、アレはただの人間だ』

 

「そうか。まあ、そういうこともあるだろう」

 

 何事も例外というのはよくあることだ。そういうものだ。

 

「神代から大して離れていない時代なら、生身でサーヴァントクラスの戦闘能力が発揮できるものがいる可能性もあるだろう。俺の業界なんて、純粋な人間としての技術だけでサーヴァントどころか神すら倒せる化け物がいてなぁ」

 

 あのふんどし、ちゃんと封印されてるんだろうか。

 

「言ってる場合じゃないでしょう! ロマニ、どっちがレフの味方かわかる?」

 

『無茶を言わないでくれマリー! ……あ、でもサーヴァントの反応を確認、数の多い方に参加してる!!』

 

 なるほど、つまりはそいつが最強戦力か。

 

「方角的には数の少ない方がローマ側にいるな。おそらく、そっちが被害者の側だろう」

 

 この時期のローマの首都が蹂躙されれば、人理に悪影響が出る可能性が高い。

 

 つまり、この場合の選択肢は―

 

「マスター命令! みんな、数の少ない方に味方するよ!!」

 

 ああ、立花も十分状況把握ができてるようで何よりだ。

 

「OKOK。其れじゃあ行くぞ!!」

 

 さて、それでは勢いよく介入するとしますかね。

 

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