ケイオスオーダー 異世界英雄のホーリーグレイル!! 作:グレン×グレン
本格的に…………出せるっ!!!
「皆の者、急ぐぞ!! 我らが同胞を救うのだ!!」
規格外の速度で走るオフロードカーの車上で、ネロはそう啖呵を切った。
啖呵を切ったが、しかし立花は何も言えない。
「堕ちる落ちる落ちる揺れる揺れる揺れる!!」
「先輩落ち着いてください! ここは私が支えますから」
舗装もされてない荒野を、F1マシンもかくやの速度で全速力で進めば当然非常に揺れる。
既に頭を天井にぶつけること三回。こぶができていた。
そんな環境で堂々と車上に入れるネロはいったい何者なのか。実は竜の血を引いているとか何かじゃないだろうか?
そんな疑問がふと浮かぶが、しかしすぐに頭を振って吹き飛ばす。
何よりも気を付けるべきは、そこではないのだから。
「急ごう、お兄ちゃんを助けないと!!」
『ああ、急いでくれ! そろそろ追いつかれる!!』
ロマニが焦った声を告げるほどにまで事態は急を要していた。
帰還していた遠征軍を救助したは良いが、すぐに緊急事態が勃発した。
連合ローマ帝国の首都を発見して帰還していた兵夜とオルガマリーが敵に追撃されているというのだ。
そのクラスはランサー。驚くべきことに、科学と神秘を複合させて産まれた最新鋭の装甲車を相手に、走って距離を縮めてきていた。
このままでは間合いに入りかねないところまで来ているらしく、非常に危険だ。
ゆえに、緊急用に兵夜が立花に残してくれていた軍用バギーを使って移動しているのだが、それでも距離を詰めるには時間が足りない。
そこで、ランスロットの力を借りたのだ。
ランスロットの宝具、
無手の状態で其の場にあるものを武器としたり、相手の武器を奪って事態を打開した逸話に由来する能力。
その効果は、彼が武器と認識するものを触れた時点で自分の宝具にすること。
これによって宝具と化したバギーは、荒野を桁違いの速度で移動するという偉業を成し遂げた。
そして、視界にボロボロの装甲車が見える。
「あった! あれだよ、ネロ!!」
「うむ! ならばあとは助けるのみ―」
その瞬間、光が放たれた。
それはまるで光の刺突剣。
刃渡りは少なく見積もっても数十メートル。
それが、装甲車を見事に貫いていた。
「お兄ちゃん!?」
立花が悲鳴を上げる中、装甲車が爆発する。
その爆炎を突き破って、オルガマリーが姿を現した。
そして、その背には兵夜が担がれていた。
『マリー!? 君、まさかそんなことができる度胸があったなんて!』
「後で覚えてなさいロマニ! それより!!」
地面に激突と形容した方がいいような着地を行いながら、オルガマリーは顔を青くする。
「兵夜が大変なの! 攻撃は避けたはずなのにいきなり気絶して―」
「Arrrrrr!」
オルガマリーの言葉を遮って、ランスロットが前に出る。
そして、彼が兵夜に貸し与えられた剣と槍が激突した。
「―ふむ。ここで殺せればよかったのだが、どうやらこちらが不利のようだな」
素早く飛び退ったそのサーヴァントは、赤い髪をなびかせながら息をついた。
その赤い髪を見て、立花達は一人のサーヴァントを連想する。
「……ブーディカ?」
あり得ない。
顔つきも、気配も、その佇まいも何もかもが違う。
似ているのは、赤い髪という共通点ぐらいだろう。それ位しか似ているものがない。
だが、しかし何故か彼女を想起させる。
そして、それ以上に危機感が身を焦がす。
それを生み出すのは、そのサーヴァントが手に持っている獲物だった。
まるで黄昏とでもいうべき槍。蛇の頭部を串刺しにしているような意匠を持つその槍はとても恐るべき気配がする。
しいて例えるならば、星の聖剣が近いだろう。
冬木にて自分達を追い込み、フランスにて自分達の勝利の一手となったその聖剣を思い起こさせる。そんな、槍だった。
「貴様、何者だ。余のローマを蹂躙する、連合ローマ帝国のサーヴァントとやらか!」
ネロがその剣の切っ先を突き付ける中、そのサーヴァントは心底愉しそうな顔をした。
「……その通り。私はローマを滅ぼす者だ。ローマ同士が滅ぼし合うのを見るのは楽しかったが、しかしそれ以上に自分で滅ぼすのはやっぱり楽しいな」
彼女から放たれる気配に、全員が息を飲む。
それに、立花はとてもよく覚えがあった。
「……恨んでるの? ローマを」
そう、それはジル・ド・レェが放つ気配によく似ている。
憎悪。其の二文字以外で形容できない気配が、彼女からネロに向かって放たれていた。
「ネロが女だろうが何だろうが関係ない。私にとって重要なのは、ローマが滅びるというその最大の事実のみ」
ニタリ、と頬を吊り上げながら、そのサーヴァントは槍の切っ先を突き付ける。
「連合が正統を蹂躙し尽くしてからアイツを殺してやろうと思ったが、私が先に貴様を殺して統合させるのもいい気分だ」
「アイツ? それが、連合ローマ帝国のトップか!」
「先輩、気を付けてください。どうも彼女、その連合ローマ帝国すら滅ぼす気に思えます!」
立花をカバーできる位置に待機しながら、マシュはそんなサーヴァントの言葉に首を傾げる。
連合ローマ帝国のサーヴァントでありながら、彼女は連合ローマ帝国すら滅ぼそうとしている節がある。
それが何故かが分からない。
そう、彼女達では分からない。
だが、すぐにその答えはこの場にいない者から教えられる。
『……この反応は、なるほどな。全員、その槍を兵夜に近づけさせるな!』
アザゼルの声が激しく飛ぶ中、そのサーヴァントは懐かしいものを見たかのような表情を浮かべる。
『何なんだいアザゼル? 確かにこの反応、星の聖剣に匹敵もしくは上回る反応だけど―』
『上回るのは兵夜を相手にした時だ! とにかく兵夜とその槍は相性が悪い!!』
ロマニの言葉を遮りながら、アザゼルが大声を飛ばす。
その声を聴いて、サーヴァントはその表情から険の色を大きく減らす。
代わりに浮かべるのは苦笑。
痛快な皮肉をぶつけられたかのように、彼女は苦笑を浮かべていた。
「久しいな、アザゼル。まさか、こんな形で私たちが再会するなどとはな」
そう言葉を継げると、彼女は後ろへと飛び退る。
同時に、その姿が薄くなっていく。
「霊体化!? ドクター、すぐに追跡を―」
「その必要はない。私は連合の首都で貴様らを待とう」
マシュの言葉を遮り、その女性は笑みを浮かべる。
「気が変わった。奴と貴様を潰し合わせてから、その勝者を私が殺す。この方がよっぽど面白そうだ」
「それを、なんで態々言うのさ!」
立花はそれが分からない。
それを知ってしまえば、必ず警戒される。
尋常な勝負という柄とも思えなかった。そう思えるぐらい、彼女は手段を選んでいない。
その問いに、その女性は笑みを浮かべた
「なに、恩人との再会を恵んでくれた者に対するせめてもの礼儀だ。もっとも、邪魔をするなら殺すがね」
その言葉を最後に、サーヴァントは姿を消す。
「……消えた。叔父上のように、逃げたのか?」
『その様だね。それでアザゼル。……彼女は何者だい? そして、槍を兵夜君に近づけさせないようにした理由は?』
困惑するネロに応えながら、ロマニは多少緊張した口調でアザゼルに質問が飛んだ。
沈黙は僅かに数秒。
『あの槍は、
アザゼルが語るのは、もう一つの歴史。
『こことは異なるもう一つの地球。そのローマとロンディウムの戦いは、イエス・キリストに連なる聖槍と聖杯の戦いだった』
彼が語る歴史を、立花達は知っている。
それは、出発前にアザゼルに聞いた戦いだった。
『聖杯を手にした皇帝は、その力を使って龍の力を兵士に付与、それによる質で敵を蹂躙した。その怒りが、あの女に龍殺しの力を覚醒させたんだ』
そう、彼は確かに言っていた。
彼の世界の皇帝ネロは、聖杯を保有していたと。
そして、聖槍を保有していたのは。
『―奴の名前はブディカ。その皇帝と争った、聖槍ロンギヌスの保有者だ』
ようやく聖槍が登場しました。
いや、皆さん考えてください。ここで曹操が出てきてもリアリティというなの創作物における説得力がない。そして型月世界でのロンギヌスは出てきそうで出てこないから出すのはためらわれるでしょう?
前からやってみたかったことの一つ、「ぼくがかんがえたろんぎぬすのばらんすぶれいかー」を出すにはどうすればいいかと考えながら、FGOを見てふと思い至ったのです。
あ、そうだ!! この流れなら神滅具持ちのサーヴァントを一杯出せるぞ!! ………とね!!