ケイオスオーダー 異世界英雄のホーリーグレイル!!   作:グレン×グレン

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魔人柱出現!


さて、其の間兵夜は何をしているでしょうか?


兵夜「これが、改造の力だ!!」 レフ「貴様、それでも正義の味方の味方か!?」

 いくつもの目玉が規則性をもって並ぶ、漆黒の肉の柱。

 

 その吐き気を催す醜怪さに、本当に立花は胃から消化物を戻しそうになる。

 

 だが、それ以上に悲しみとも怒りともに憑かぬ感情が浮かび上がった。

 

「ふざけるな! そんな醜い化け物になるのが愛なわけあるか! あんたも、そんなものになってまで何がしたいんだ!!」

 

 パレットを取りこぼしながらも、しかし立花は気丈に問い質す。

 

 人間であったはずのものが、人間を辞めてまで人類どころかその歴史まで滅ぼした。

 

 その理由が全く持って分からない。理解したくもないが知らなければならない。

 

 だが、その返答は嘲笑だった。

 

「ハハハハハ! 目的はとうに済んでいると言ったはずだ! 君が言うべき言葉はこうだよ、立花くん!!」

 

「何だよ?」

 

「……いったいどんな理念で滅ぼしたのか、だよ!」

 

 心底から馬鹿にした口調でそう言い切り、そして攻撃を行う。

 

 その目が立花を見て輝くのと、その間にマシュが割って入るのは同時。

 

 そしてその瞬間、衝撃が響き渡った。

 

「ぅう!」

 

「マシュ!?」

 

「……もっとも、私には言う義理も権利もないわけだがね」

 

 その言葉とともに、瞳がぎょろぎょろと動きながら攻撃の衝撃を放つ。

 

 それをネロも荊軻も回避するが、しかし目の数が多いこともあって、接近できない。

 

 加えて、その攻撃力は高密度。一撃でももらえばサーヴァントといえど一撃で吹き飛びかねないほどだった。

 

『チッ! 一発一発の攻撃力が並の宝具の真名開放に匹敵してやがる! あの野郎、どんな絡繰りで化けやがった!?』

 

『っていうか七十二柱だって? だとすれば、彼の言う王とは―』

 

 通信越しからそのデータに警戒心をむき出しにするアザゼルと反して、ロマニは明らかに狼狽していた。

 

 とはいえそれも仕方がないだろう。

 

 七十二柱の魔神を従える存在。そんな存在、魔術の世界に生きる者ならばすぐに分かる。

 

「……魔術王、ソロモンが人理焼却の犯人だとでもいうの?」

 

 あり得ない、とは言い切れない。

 

 少なくとも、サーヴァントを如きと言い切れるような存在など、人類史に名を遺す英霊の中でも規格外の存在でなければならないだろう。

 

 かのソロモンならば、これだけの存在を呼び出す事が出来ても不思議ではない。

 

「流石にそれぐらいはオルガなら知っているか! だが、不用意に王の名を口にすると呪われるぞ?」

 

『どこのスリザリンの後継者だよ。とはいえ、こいつはまずいな』

 

 センサーを最大動員しながら、アザゼルはぼやく。

 

 この魔神柱とでも形容するべき存在は、シャレにならない規格外の存在だ。

 

 もしこの柱がD×Dに現れれば、まさに神クラスの猛威として暴れまわったことだろう。

 

 通常の聖杯戦争ならば、召喚されたサーヴァントが全員総動員して戦わねばならないほどの脅威だった。

 

 視界に映った場所を爆破する能力。更にサーヴァントすら害する広範囲に展開する謎の煙。極めつけに目玉の数が多すぎる所為で死角を突く事も困難。

 

 柱という形をとっているがゆえに動かないのは好都合だが、拠点防衛を通り越した拠点そのものによる防衛陣地は、この上なく強大だった。

 

『チッ! コイツぁ流石に想定外だ! 神クラスはこの世界には維持できないんじゃなかったのか!?』

 

 観測機器越しに状況を把握するアザゼルも、流石にこれには焦りの色を隠せない。

 

 神クラスのポテンシャルを秘めている兵夜は、そうでない側面を人間の幻霊で強化することによって、英霊として召喚している。アザゼルにしても技術者の側面を抽出することで召喚可能な状態にまでレベルを下げているのだ。

 

 そんな中、神クラスの化け物が目の前で暴れている。

 

 この事実には、アザゼルとて流石に驚愕する他ない。

 

 アザエルや兵夜の弱体化はカルデアの召喚システムの影響もあるが、しかしそれにしても敵の召喚技術の高さが分かるというものだ。

 

『とはいえそんなコードネームを与えられてるってことは、比較的上位の使いっパシリってことらしいな。……ちょうどいい、ぶっ倒したらそのまま生け捕りにするか、最低でも生体サンプルを回収しとけ。俺が解析する』

 

「何を言ってるのよ! そんな簡単に対応できるわけがないでしょう」

 

 他人事の気配がにじみ出て、オルガマリーはアザゼルに叱責の声を飛ばす。

 

 サーヴァント級二人、デミ・サーヴァント一騎に正規サーヴァント二騎がいる状況下で、しかし優勢なのはレフの方。

 

 生半可なサーヴァントを遥かに凌駕するその戦闘能力。本当に神霊がいたとしても、手こずる事受けあいの存在だ。

 

 そんな化け物相手に人が必死に戦ている時に、通信越しにのんきな事を言われてしまったのだ。久々にヒステリーを起こしたくなる。

 

 だが、そんな悲鳴じみた怒声にも、アザゼルはどこ吹く風だった。

 

『安心しろよ。……もう終わる』

 

 その言葉と同時に、確かに全て終わった。

 

冥府へ誘う死の一撃(ハーイデース・ストライク)

 

 その言葉とともに、魔神柱が爆ぜた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なん……だと!?」

 

 破裂する魔神柱が崩壊し、そしてレフの姿があらわになる。

 

 そして、それをなした影は即座に振り向くと、聖槍の一撃を光の棍で防いだ。

 

「……よぅ、無事かお前ら」

 

そう答えながら足を下したのは、ボロボロになっている兵夜の姿だ。

 

 全身に切り傷が生まれているが、しかし致命傷は回避しているのか、動きに違和感は発生していない。

 

 そして、何よりも目立っているのは、背中から生える翼だった。

 

 まるで鴉のような黒い翼が、兵夜の背中から生えていた。

 

 それはおかしいことだ、

 

 兵夜は人間から悪魔に変質したものだ。それゆえに、生えるのは蝙蝠のような悪魔の翼である。

 

 なのに、今兵夜から生えているのはそれとはまったく異なる鳥のような翼だ。

 

「兵夜、貴方……なにしたの?」

 

「ああ、ちょっと神器を弄らせてもらった」

 

 口から流れる血をぬぐいながら、兵夜はしかし笑みを浮かべる。

 

『ハーロットの肉体ベースが魔王レヴィアタンの末裔だったんでな。魔王血族の血を材料にして作られる神器のドーピング剤を、ダ・ヴィンチと一緒にちょっと改造しておいたんだよ』

 

『何分消滅するサーヴァントに肉体を薬剤の形で残すのは困難極まったから数は少ないけど、まさかドンピシャで必要な事態に陥るとはねぇ』

 

 はっはっはと笑い合う天才二人をBGMに、新たな乱入者が現れる。

 

「どういうことだ! なぜ私の聖槍が効かない!?」

 

 信じられないものを見るような眼で、ブディカが兵夜を睨み付ける。

 

「神であり、悪魔であり、そして龍である貴様が、我が聖槍の一撃に耐えられるわけがない! なぜそれだけ喰らって平然と戦えるのだ!!」

 

「知れたこと。……今の俺は堕天使だからな」

 

 黒い堕天使の翼を広げながら、兵夜はそう勝ち誇る。

 

「俺の通常神器、天使の鎧(エンジェル・アームズ)の亜種禁手、完全たる堕天使への覚醒(フォーリン・エンジェル・プロモーション)! 一時的な措置なうえに能力も低下するが、天敵が天敵でなくなるという事は、それだけの価値があるという事だ」

 

 平然とそんなことを語る兵夜に、その場にいる全員が目を見開いて……ドンビキした。

 

「貴様、正気か?」

 

「失礼な。そんなもん保有しているかどうかは自分でも疑問に思っている」

 

 レフをあっさりと一蹴し、兵夜は鋭い視線をレフに向ける。

 

「さて、それじゃあそろそろ終わりにしようか。聖杯を渡したうえで全部白状するっていうなら、殺すのだけは勘弁してやってもいいが……」

 

「舐めてもらっては困る。万が一の事態を想定した動きは、私にだってできるのだよ」

 

 その言葉とともに、聖杯から新たなる魔力が放出される。

 

「これは! 新しいサーヴァント!?」

 

「ふはははは! その通りだ。そして、こいつを倒すことは貴様らにはできん!!」

 

 驚愕するマシュを嘲笑するレフの声とともに、そのサーヴァントは姿を現す。

 

 全身に刻印が刻まれた、浅黒い肌の少女。

 

 だが、その佇まいは自然体のようでいて隙が無く、放たれる気配は明らかに強大。

 

 それは、下手をするとロムルスすら上回っているのではないかと思わせるほどの高い出力を発揮していた。

 

「私の勝ちだ。このセイバーは破壊の大王にして純然たる戦闘王。星が遣わした文明の破壊者そのものなのだから。根底に破壊を刻み込まれているこれを、貴様らがどうやって止めるというのだ? ローマがこれに滅ぼされるのは、運命以外の何物でもなのだから」

 

 そう高らかに告げるレフの言葉は、勝利の確信に満ちていた。

 

 それはすなわち、サーヴァント複数体分の力を保有している自分よりも、ローマを滅ぼす事においては優れているという事の証明。

 

『……なるほど、フン族の王、大王アッティラか。東西ローマ帝国を滅ぼしたとまで言われるそいつなら、対ローマ特攻ぐらいは持ってるかもな』

 

「中々の知恵袋を持っているようじゃないか。だが、この場からどうすることもできないのならば意味はない」

 

 アザゼルの推測を暗に肯定しながらも、しかしレフは動揺の色を見せない。

 

 それほどまでに、勝てるという確信があるからこその発言だった。

 

 よほど勝てるという確信があるからか、非常に饒舌にまでなっている。

 

「貴様ら人間の文明では、こいつを倒すことなどできはしない。なぜなら、こいつは文字通りの文明の天敵なのだか―」

 

「―黙れ」

 

 そのレフのセリフは、体ごと文字通り一刀両断された。

 

 後ろに立っていたアッティラが、三色に輝く剣を鞭のように振るい、レフを切り捨てたのだ。

 

 あまりの事態に、全員が動きを一瞬止めてしまう。

 

 ……そして、その隙が致命的だった。

 

「これが、聖杯か」

 

 そう、彼女は聖杯を手に取ってしまう。

 

 そして、挙句の果てに聖杯がアルテラの体の中に吸収されていく。

 

「―私は、フンヌの戦士である」

 

 そして、静かにアルテラは告げる。

 

「そして、大王である」

 

 放たれるのは、敵意とはまた異なる気配。

 

「この西方世界を亡ぼす、破壊の大王」

 

 殺意とも、また違う感覚の気配。

 

「お前達は言う。……私は、神の懲罰なのだと。神の鞭なのだと」

 

 そしてその次の瞬間、莫大な魔力が放たれた。

 




切り札:別の禁手の確保

とまあ、こんな感じで切り抜けました。弱体化は免れませんが、天敵オブ天敵がいる状況下では、弱点を突かれないというのは大幅にのし上がります。








そしてセプテム編の山場、VSアルテラ……は立花たちの役目です。








兵夜は、ここまでして対策を万全にしたあの女の始末がまっています。
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