ケイオスオーダー 異世界英雄のホーリーグレイル!!   作:グレン×グレン

29 / 43
アルテラと聖杯の組み合わせにより大被害発生。さてさて、兵夜たちは大丈夫か?


兵夜「そっちは任せたぜ、妹よ」 立花「それ死亡フラグぅ!?」

 

 

 あまりに莫大な魔力の奔流に、俺は近くにいたオルガを連れて即座に全力後退。

 

「マシュは立花を守れ! こっちはこっちで何とかする!!」

 

「は、はい! 宝具、仮想展開……!!」

 

 星の聖剣の全力を受け止めたマシュの宝具なら、立花をカバーするぐらいなら何の問題もないはず。

 

 問題はこっちだ。射線から逃れたとはいえ、果たして間に合うか―!!

 

「おお! これぞまさしく圧政者の輝き! 圧政者よ、汝を抱擁せん!! それこそ……愛!!」

 

 なんかデカブツが俺達を通り過ぎて行ったので、思わず盾にしました。

 

 ……のちに味方のサーヴァントだと聞いて、流石に悪いと思ったのはここだけの話だ。

 

 だが、それでもその奔流は莫大で、俺達は勢いよく吹っ飛んだ。

 

「きゃぁあああああああああああああああ!?」

 

「しっかり掴まっていろ、オルガ!!」

 

 オルガをしっかりと抱きしめながら、俺は奔流を何とかしのぐ。

 

 そして力の波動が消え、振り向いた俺達の目には酷い破壊の痕跡が残されていた。

 

 ……連合ローマ帝国首都が、灰燼と帰している。

 

 相手の射線上にあった都市の部分は跡形もない。

 

 なんだこの火力は、マジで星の聖剣に匹敵する火力じゃねえか!!

 

「アザゼル! 立花とマシュは!?」

 

 星の聖剣の全力すら防げるんだから大丈夫だとは思うが、しかし流石に心配だ。

 

 俺が現界に支障をきたしていない以上大丈夫だとは思うが、しかしこれは―っ

 

『安心しろ。マシュも立花もランスロットもネロも無事だ。……ブーディカがギリギリで間に合ってな、相乗効果で何とかしのぎ切った』

 

 その言葉に、俺は安堵の息を漏らす。

 

「……そう、よかったぁ」

 

 オルガも一安心したのか、地面にへたり込んだ。

 

 ああ、どうやら何とか無事なようで何よりだ。

 

 だが、通信越しのアザゼルの声はかなり緊張感が漂っていた。

 

『残念だが事態は深刻だ。……召喚されたサーヴァント、アルテラは現在首都ローマの方向に向かって進軍中だ。あの女、徒歩でローマを潰しに行きやがった』

 

 おいおいおいおい。流石にまずいぞ。

 

 これだけの疲弊状態で首都が壊滅すれば、ローマ帝国は確実に終了だ。

 

 これならまだネロを殺された方がましじゃねえか!

 

「仕方がない。すぐにでも追わないとまずいな」

 

『ああ。……と、言いたいがそっちは立花に任せろ』

 

 なんだと? とは思ったが、すぐにどういうことか理解する。

 

 足音が、聞こえた。

 

 そこにいるのは、ぼろぼろになった赤い髪の女。

 

 ブディカが、そこに立っていた。

 

 攻撃の余波でこちらに吹き飛ばされたらしい。つまりは、死に体だ。

 

 しかし、それでも彼女の目からは憎悪の炎が残っていた。

 

「……どけ。ローマを蹂躙するのは、私のやる事だ」

 

「いや、そういうわけにはいかないな」

 

 まったく。面倒な事になったもんだ。

 

「立花、聞こえるか?」

 

『うん! なにかなお兄ちゃん?』

 

 元気そうな声で何よりだ。

 

 だから、ちょっと無茶振りしよう。

 

「スマンが野暮用だ。……アッティラは任せる」

 

『……OK。そっちは任せたよ』

 

 ああ、察しのいい妹で助かるぜ。

 

 俺は通信を切ると、静かにブディカを見据える。

 

 彼女のローマに対する恨みは正当で、彼女はローマに復讐する権利があるのかもしれない。

 

 だが、それは俺達の世界のローマであって、このローマじゃない。

 

 この世界のブーディカがローマを救う事を選んでいる以上、彼女の行動は余計なお世話に過ぎない。

 

 それを、見過ごすわけにはいかないさ。

 

 元より、彼女は俺の世界の住人。俺が来た事で向こうの警戒心を強めてしまったというのなら、その責任は俺が果たす他ない。

 

「……さあ、聖杯戦争を始めよう。……お前の八つ当たりはここで終わる」

 

「終わらんさ。我が復讐はこれから真なる意味で始まるのだから!」

 

 そして、俺のローマにおける最後の戦いが始まった。

 




セプテム編の最終章スタートです。

神殺しの聖槍vs神喰いの神魔。果たして勝利の女神はどちらの神を倒すものに!!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。