ケイオスオーダー 異世界英雄のホーリーグレイル!! 作:グレン×グレン
それは、傍若無人を言葉にしたかのような男だった。
見ただけで俺は全てを理解した。そう、俺はこんな奴の目を知っている。
……魔法少女が絡んだ時のセラフォルー様や、なんか思いついた時のアザゼルのような奴だ。具体的に言うと、人の迷惑考えずに完全に自分のペースで行動している状態の奴。
しかも流れからしてこいつライダーだよ。
……なんだろう、話が分かるってのが不安なんだが。
話聞いて、自分のペースに強引に持っていきそうな気がするんだが。
「こ、このタイミングで……っ」
しかも二世が今までにない表情であれになってやがる。
なんだ、なんだなんだ!?
「……おぉう?」
と、牛車越しにこちらを覗き込んだサーヴァントっぽい大男が、首をかしげる。
「これはあれだな。やはり戦端は開かれていたようだぞ、坊主」
「……あっれ~? 一番乗りだと思ったんだけどなぁ」
と、ひょっこり顔をのぞかせながらサーヴァントにそう返すのは―――――
「「「「「「「……っ」」」」」」」
俺たちは、軍師に視線を向ける。
そして、サーヴァントのマスターに視線を向ける。
そして、すべてを大体察した。
ああ、そういやそうだ。
二世は聖杯戦争を無傷で切り抜けたことで評価が上がったという話があるんだから、マスターとして参戦してないとおかしいんだよな、コレ。
ライダーが安全牌だと断言したのはあれか、よく知っているからか。
ということはセイバー陣営ともそれなりに交流があったということでいいのか、コレ。
「な、なんか状況がすごくややこしいことに!」
立花がそう絶叫するのも無理はねえ。
これ、本当に絶叫したくなるぐらいカオスになりかねねえぞ。
「に、二世、ここは―」
とりあえず指示を仰ごうとしてオルガが振り返り―
「なぁにが一番乗りだ、このたわけ!!」
―それより早く二世の罵倒が射出された。
「う、うわぁ!? なんだよいきなり!!」
ホントいきなりである。
あのすいません軍師。ちょっと現状は交渉する方が重要なのですが……。
「この戯けが、まさかと思うが「川の残留魔力をしらべて痕跡を探す」などという三流以下の方法でも見つけられるような場所を、ほかの連中が見つけていないなどと本気で思っているのか、ぁあん!?」
……どうやってここ見つけたんかと思ったら、そんな初歩の初歩をあえて使ったのかぁ。
「着眼点は悪くないな」
「そこは同意見だ」
「そ、そうかしら。下策も下策な気がするんだけれど……」
俺とエミヤが思わず納得するなか、オルガはよくわかっていないのかちょっと首をかしげる。
「そんな事をしなくても、もっとうまく探せる方法はある気もするのだけれど」
「いや、物事に対処する方法というものは、状況によって最適が変わるものだ。例えば食べ物を温めるにしても電子レンジがいちばんに思われがちだが、携帯性を考慮するべき戦闘糧食の場合は水で反応する薬品を使う方が効果的なことは多い」
「そう言う意味じゃあ、そこ迄的外れでもないだろ。この工房は一流の方法だと逆にコストも手間もかかるからな。ローコストで発見できたことは褒められてしかるべきだと思うが」
と、エミヤも俺もはっきり褒める。
いや、ホント真面目な話。魔術師としてのすごさを競う大会じゃないんだから、一番すごい魔術を使うっていう考えは切り離すべきである。
「同じ結果を出したのならば、大規模発電施設を湯水のごとく使っている我々よりも、彼の方が圧倒的に安上がりだ。コストパフォーマンスという観点から言って、彼が圧勝しているな」
「だよな。俺ら無駄で踏みまくってるよなしな」
「兵夜もエミヤも、こんな稚拙は方法をわざわざ褒めるな!!」
二世の怒声が俺らにまで叩きつけられた。
そしてなんていうかものすごく苛立たしいものを見るかのような勢いで、指を突き付ける。
「第一この小僧は、一から十まで幸運に助けられただけの小童にすぎん。……特にエミヤ! 貴様十年前の若造が同じように評価されて冷静でいられるのか、あぁ!?」
「失礼した。口をつぐませてもらう」
エミヤが裏切った!?
「いや、実力を過信してなくても無理無茶無謀をぶちかますあいつはある意味まだましだ。コイツはたまたま結果が伴ったというだけで自らの実力を過信する当たり始末に負えんのだ、始末に!!」
「……それは違う。あの未熟者とは異なり、彼は自ら命を懸ける覚悟もあり、そのうえで自分の命を大事に思う人として当然の感覚も持ち合わせている。あの未熟者の欠陥品の下位互換あつかいは甚だ不愉快だ」
と、思ったら喧嘩始めた!?
「ええい、封印指定確実の異能を持ち合わせ、世界との契約とは言え英霊の座に迎え入れられたものが何をほざくか……」
「何を言う、かの諸葛亮孔明に選ばれ、数多くの優秀な魔術師を世に送り出してきたあなたに比べれば、奴などへっぽこ依然というもので……」
なんか口げんかが加速していく!?
「ど、どうしましょう!? 二世さんとエミヤさんが、なにか私達ではよくわからない次元の口争いを!!」
「……なんだろう、黒歴史的な、アレ?」
「自発的に黒歴史を語って、相手の株を上げていくスタイルの喧嘩なんて初めて見たわね」
マシュに立花にクロもどうしたもんかと困っている。
……とりあえず話を進めよう。
「あ~。スマンがここにいたキャスターのサーヴァントは俺たちが倒したんで、残念ながらお引き取り願えると助かる」
「は? いや、目の前にキャスターのサーヴァントがいるみたいなんだけど………んん!?」
ライダーのマスターがそう言いかけ、よく目を凝らす。
そしてその瞬間、後ろに下がって牛車から落ちかけた。
「ぅうううううわぁ!?」
「これ坊主。落ちるところではないか」
と、サーヴァントに支えられるが、まったく気にしていない。
「きゃ、キャスターが二人にアーチャーが三人!? しかもエクストラクラスが一人ぃ!?」
……あ、気づかれた。
「お、お、お、お前ら一体何なんだよ!? キャスターのやつが反則技でも使ったのか!?」
やばい、どうしよう。
「シャラップ!! そもそも我々が聖杯に呼ばれたサーヴァントでないことに気づけ!! あと件のサーヴァントは本当に仕留めてるんだよ!!」
口論中の二世が再び罵声を吐くスタイルに変化した。
つってもそんなこと信じろと言われてもかなり難しいわけで―
「みたいだのぉ。是では報酬とかいうのはあきらめた方がよさそうだ」
と、ライダーがあっさりとみて発現した。
「な、なんでわかるんだよ?」
「そりゃぁあ、坊主。こいつらがこの工房とかいうのを障害物あつかいしとるからだよ」
そういうと、ライダーはこのあたりを見回した。
「この化け物共がキャスターの用意した番犬なら、キャスターの一向に襲い掛かる必要がない。そもそも制御すら失って居る感じで、余らの妨害をする形でもなかった。こりゃすでに工房の主はくたばっておって、意気揚々と凱旋するところだと考えた方が正しいだろうて」
そういいながら、「ちがうか?」といわんばかりに視線を向けられて二世は何処か得意げになった。
「なるほど。やはりあなたは話が分かるようだ」
「因みに、そこに倒れている男がキャスターのマスターだ。魔術の適性があっただけの連続猟奇殺人鬼だそうだよ」
と、エミヤが謎のサーヴァントの存在ですっかり忘れていたキャスターのマスターを縛っていた。
いつの間に……。
「分かったかね、そこのへっぽこ魔術師。貴様は基本何もできないのだから、偉大なサーヴァントの言葉を少しは鵜呑みにするぐらいでちょうどいいと知るがいい」
そしてその隙を逃さず二世がライダーのマスターをなじり始め―
「とりあえずそこのしかめっ面よ」
そこにライダーが割って入った。
「な、なにかね?」
「さっきから余のマスターにあたりがきついが、それはつまり……」
そしてその瞬間―
「―この征服王イスカンダルと矛を交える気があるとみてよいか、ん?」
すごい密度の戦意がたたきつけられた。
「「「……っ!?」」」
オルガや立花やマシュが気圧され、俺とエミヤがとっさに前に出る。
おい、二世! どうするんだオイ!? これどう考えてもあんたのディスりのせいだぞ!!
「な、なんでそうなる!? 貴方とてどちらの言い分に理があるかの判断はわかるだろうに!」
「それはそれだ。仮にもこの坊主は余のマスターである。それも、敵サーヴァントの根城を見つけ出すという戦果をあげたばかりのな」
そういいながらライダーは自分のマスターの背中をばんとたたき―
「そいつに喧嘩を売るというのなら、そりゃサーヴァントとして黙って見過ごすわけにもいかん。違うか?」
………。
「二世。ド正論きたぞコレ」
「どうすんのよ。これ、戦うことになりそうなんだけど」
俺もクロもどうしたもんかとなるが、二世が全く役に立っていない。
「……な……ぁ……」
二世は、真っ白になっている!!
仕方ない。ここは助け舟を出すか。
「あ~、二世? とりあえず俺たちの方針は、「ライダー陣営との戦闘は可能な限り回避」だったはずだよな?」
そういいながら俺はとりあえず一歩前に出る。
俺の人材選別感が告げている。このオッサン、予定調和とかあまり好きじゃないタイプだ。
波乱万丈な人生こそを好む。イッセーよりヴァーリと組んだ方が相性がいいタイプだな。
つまり、したでに出すぎて貢物を出してくるとさらに状況が悪化しかねない。
「すまんが、俺たちもいろいろ都合があってな。今の段階ではあんたらと戦闘することができないんだ。見逃してくれると助かるんだが……」
さて、できるか……?
「何だ、つまらん。ちったぁ骨のあるやつだと思ったのだがな」
何とでもいうがいい。リスクしか生まない戦闘を行うほど、こっちは戦闘狂ではないのだよ。
「あ……が……」
そして二世、もうアンタ黙れ。
「なんだよ逃げるのか? やーい腰抜けー」
「こら調子に乗るな」
あ、ライダーのマスターがデコピンで吹っ飛ばされた。
「なんて儚い生き物……」
「フォ~ウ」
立花とフォウの悲しげな声が、排水溝にこだましていった。
まあここは原作とそう変えられませんから、こんな感じです