ケイオスオーダー 異世界英雄のホーリーグレイル!! 作:グレン×グレン
稀代の魔術師に教えを受けた魔術使いVS人生を捧げて鍛え上げた、稀代の魔術師殺し、ファイッ!!
放たれる機関銃の弾丸を俺は全力で回避。反撃として三門ほどイーヴィルバレトを展開すると攻撃を叩き込む。
それを相手は高速移動で回避。〇トリックスみたいな躱し方してるんじゃねえよ。
明らかに瞬間瞬間で動きが速くなりすぎている。おそらく速度強化系のスキルか宝具を持っていると考えるべきだな。
そして明らかに怪しいのはその武装構成。
ナイフとキャリコとかいうサブマシンガンを中心にして戦闘する英雄なんて聞いた事がない。
キャリコって使い勝手の悪いサブマシンガンだったはずだ。それをメインウェポンにして、歴史に名を遺すような活動をした英雄なんていたか?
……考えられるとすれば俺や二世と同じ疑似サーヴァント。しかし目的が読めない。
アインツベルンの女を狙う理由がよく分からん。其れも、聖杯の現出を阻止したいようだが、どこで知った?
この時代の連中だと、間桐が勘付いている程度だって話じゃなかったのか?
と思ったらナイフが飛んできたので俺はそれを回避する。
そして気づいた瞬間には、敵アサシンは一丁の銃を構えていた。
中折れ式の大型拳銃。其れも銃身からして魔術的な加工が施されていると思しき弾丸だ。
………おそらくあれが奴の最大火力か。
俺は慢心する事なく装甲版を出すと、それを更に魔術で強化して受けの耐性に回る。
回避してもいいが流れ弾で被害が出てもあれだしな。ここは受け止める方向で―
その瞬間、意識が一瞬飛んだ。
Other Side
その光景を見た瞬間、アイリスフィールは一体何が起きたのか分からなかった。
攻撃を防禦したはずの謎のサーヴァントの体が裂け、鮮血がほとばしる。
そのまま崩れ落ちるそのサーヴァントを半ば無視して、赤フードのアサシンはこちらに銃火器らしき物を向ける。
「これで終わりだ。君に罪はないが、君の死こそが事態解決の最短過程だ。悪く思うな」
「私を忘れるな!!」
しかしセイバーの攻撃を受け止める必要に迫られた為、アサシンは攻撃を中断する。
「面倒だな、騎士様とかいうのは正直嫌いなんだ。騎士道武士道誇りに矜持と、戦争を酷くする事しかしない」
「……私が言えた義理ではないが、誇り高く騎士達の規範を侮辱するのはいただけませんね」
睨み合うセイバーとアサシンは膠着状態に陥るが、しかしそこに変化があった。
というより、いわゆるホラー映画のような展開だった。
「……おい、なにしてくれてんだこの返り血フード」
その言葉と共に、ボロボロになっていた助けてくれたサーヴァントが幽鬼のように立ち上がる。
そしてそのまま、遠慮なく回し蹴りを叩き込んだ。
「何だと!? 全身の筋肉と魔術回路を寸断されて、何で動ける?」
「魔術を経由して魔術回路を攻撃する類の装備のようだな。……生憎その手の攻撃を考慮した防御礼装を試作していてな」
アーチャーありがとう!! こんなところで役に立ったぜ!!
最も試作品だったからダメージがないわけじゃないが、治癒可能な範囲内だ。是なら戦える。
「セイバー! この攻撃をされたらそこのアインツベルンは防げない。お前は護衛に集中しろ!!」
さて、それじゃあ第二ラウンドと行きますか―
「……どうやらこれ以上は面倒な事になりそうだ。一旦退くか」
―と思ったら、速攻でアサシンは離脱していった。
……割り切りが早いな。ちょっとつんのめったが、これは―
「無事か兵夜!」
「ひょ、ひょうや! 二世とエミヤを連れて来たわよ!!」
「ふむ。どうやらこちらに気づいて即座に離脱したか」
なるほど、こっちが増援を引き連れてきた事を察知したってわけか。
「……あの時のサーヴァント。聖杯の力もなしにこれだけの数をどうやって……!?」
アインツベルンのお姉さんが狼狽しているが、しかし二世が手で制す。
「待ちたまえアインツベルン。我々は君達と矛を構えるつもりはない」
……先日、一戦交えたばかりな気がするんだが。
「波止場の戦いについては、止むに止まれぬ仕儀あってのこと。少なくとも、現段階でセイバーに脱落されるとこちらも困るのだ」
「確かに、その通りですね」
と、二世の言葉にセイバーが同意を示す。
「波止場の戦いにおいても追撃をせず、その他にも戦力がいたにも関わらず挟撃を行わなかった。聖杯戦争での勝利を狙っているなら、これは不自然です」
「……つまり、どういう事なのかしら?」
アインツベルンの姉ちゃんの言葉に、セイバーも少し首を傾げる。
「それはわかりませんが、自らの勝ち筋をあえて遠ざけている手緩さがあります。……できれば、敵か味方かをはっきりしてもらいたいところですが」
「なに。敵味方の区別など、情勢次第でいかようにも転ぶものだ。ましてやバトルロイヤル形式の戦いなら尚更だろう」
と、エミヤが微妙に皮肉を持ってして告げる。
そして肩をすくめた。
「まあ、私達は聖杯争奪戦そのものとは別の目的で動いていてね、我々の目的の為には、そこのセイバーが無事でいる事が必要条件だと言っておこうか。……これぐらいが限度かね?」
「そうだな。偽りなく語れる事実は、今のところそのあたりが限界だろう」
エミヤの確認に二世がそう頷いて、あちら側もよく分からないなりにある程度は事情を組んでもらったようだ。
とは言え微妙な展開にはなっているのも事実。さて、どうしたものか……。
「ならば、ここではっきりと確約しましょう」
と、そこでオルガが前に出る。
「私はアニムスフィアの魔術師です。魔術教会天体科の名において、セイバーの消滅を阻止する為に可能な限り尽力する事を誓いましょう。どうしてもというのなら、魔術的な制約を掛けてくれても構わないわ」
「アニムスフィア! 時計塔のロードの一つが、何でエルメロイが参加している聖杯戦争に?」
「それについては諸事情あるので言えないわね。ごめんなさい」
さて、これでどうなる? 後々ややこしい事になりそうなんだが……。
「いいわ。明確にアインツベルンの障害とならない限り、今後は手出しを控えましょう」
おお、色よい返事。
「よろしいのですか、アイリ?」
「ええ。我々としても、優先して打倒するべき相手はほかにいるわ。助けてもらった借りもあるもの」
よし、これでセイバー陣営は当分警戒しなくてもよさそうだ。
まあ、あのアサシンがこのお姉さんを狙っている以上、一定の注意はしておくべきなんだがな。
「さて、それでは失礼する前に一つ」
と、そこで二世が疑問を口にした。
「どうもあのアサシン、こちら側の目的に密接に関わっている節がある。君を狙ってきたようだが、心当たりはあるかね?」
その言葉に、お姉さんは困り顔をする。
「いいえ全く。ただ……」
ただ?
その後、アインツベルンはすごく困り顔をして、苦笑を浮かべた。
「あの人を一目見た時、初めて会ったのに因縁深い人のような気がしたのよ」
……何それ。運命の赤い糸?
「まるで彼に私が殺される為だけにこの場に居合わせたかのような……」
そりゃまた、なんというか難儀な感覚だな。
アインツベルンが送り込んだんだから優秀な魔術師ではあるんだろうし、何らかの未来予知でもしたのだろうか?
……しかしまあ、本当にあれだな。
あのサーヴァント、おそらくこの特異点のカギを握っている存在だろう。
できる限り早急に、決着をつける必要があるな、これは。
と、いうわけで何とかしのぎ切りました。
いえ、魔術回路そのものの攻撃を防ぐための礼装とかは一応発想はありまして、出番があれば出したかったんですよねぇ。来るとわかっていればメディアなら作れそうだし、ケイオスワールド関係ならアザゼルとアジュカがいるから、どんなのが出てきても驚けないです。
そんなわけで、出す機会に恵まれたので出してみました!!