人修羅とガラクタ集めマネカタが行く 幻想郷紀行 作:tamino
幻想郷の管理人こと八雲紫と出会い、
幻想郷の情報を教えてもらう代わりに能力を制限されることに。
ひとまずは活動の拠点を探すためにも人里へ向かう。
ガラ「おお!着いたね!ここが人里かな?」
ピク「なんだか不思議なところね~。建物が全部木でできてるわ!」
シン「……なんだか懐かしい雰囲気だな。昔旅行した時に見た街並みたいだ」
ガラ「なんだか珍しいものがたくさんありそうな予感!さっそく行ってみようよ!」
駆けだしそうなガラクタ集めマネカタを、シンが引き留める。
シン「ちょっと待ってガラクタ君。
はやる気持ちはわかるけど、まずは宿を探さないとね。
しばらくここが拠点になるんだし」
ガラ「あ、それもそうだね!」
ピク「じゃあ宿まで行きましょ!レッツゴ~!」
ガラ「そうだね!レッツゴー!」
駆けだしそうな二人を、またもやシンが引き留める。
シン「ちょっとちょっと二人とも。
ボクたちまだ宿の場所知らないじゃない」
ピク「あー、それもそうね!」
ガラ「おー、言われてみれば!」
シン「……それじゃまずは誰かに聞いてみよう」
???「ちょっとあんた達。外来人?」
シン「?」
シンが仲魔たちと漫才めいた会話を繰り広げていると、
いつの間にか隣にカラフルな格好をした女の子が立っていた。
シン「……えーと……あなたは?」
???「人に名乗るときにはまず自分からって教わらなかったの?」
自分から話しかけておいて中々挑戦的な態度だ。
まあボルテクス界ではいつもの事だったので、なんということもないのだが。
シン「それもそうですね。ボクの名前は間薙シンです」
???「ふーん。マナギシン?変わった名前ね。」
比那名居天子「私の名前は比那名居天子。普段は天界に住んでる天人なのよ。驚いた?」
シン「……天使?……天界?」
天界に天使と、あまり歓迎できない言葉が出てきた。
もしやこの女の子、YHVHに関係ある者か?
天子「天界ってあまりにも暇だからこうやってたまに下界に遊びに来るのよね~。
ところでアンタ外来人なの?」
……どうやら思っているような相手ではないらしい。
今の天界は闇の勢力が侵攻した時のダメージで、暇なんて言っていられない状態である。
彼女の言う天界と、シンの知る天界は別物の様だ。
シン「ええと……外来人ってなんですか?」
天子「あー、その質問が来るってことはアンタ外来人ね。
その格好変だし。お供に妖精と半マスクなんて変すぎるし」
ピク「ム!アンタ私達バカにしてるわね!」
ガラ「半マスク……?それってボクのこと……?」
天子「変なもの変って言って何が悪いのよ」
場の空気がよくない……ここは執り成しが必要だろう。
人里に来て早々に戦闘などしたくはない。
シン「まあまあ……二人とも落ち着いて。
キミも……ええと、比那名居さんだったっけ。あんまり煽らないであげてね」
天子「フン……まあいいわ。
ところでアンタ幻想郷に来る前って何してたのよ。
とてもじゃないけど普通の生活してたって感じじゃなさそうだけど」
シン「……デビルサマナーをやってました。二人はボクの仲魔です」
確かに今のシンの服装は人里では珍しいようだし、仲魔も連れている。
おかしなヤツとして疑われるのは当然だろう。
ここは事を荒立てないためにも、紫の言う通りデビルサマナーとして振る舞うべき。
本当のことを話しても狂人と見られるのがオチだ。
天子「デビルサマナーって悪魔召喚師でしょ?なんでわざわざ幻想郷に来たのよ?」
シン「……いや、ちょっと宝探しに……」
ガラ「そう!お宝を探しに来たんだよ!」
天子「……へ?宝探し?」
ピク「そうよ!私達珍しいものを探しに来たの」
天子「……宝探し?……デビルサマナーが?なんで?」
彼女は困惑した顔をしている。
頭の中でデビルサマナーという肩書と宝探しという目的が全くかみ合っていないようだ。
そりゃそうだろう。
シン自身も説明しつつ『無理があるなー』と思っている。
シン「……まあ変だとは思うけどね。別にそれ以上の目的はないよ。
幻想郷に危害を加えるつもりもないし」
ガラ「そうだよ~。荒っぽいことなんてしないよ」
天子「……ふ~ん、信用できないわね」
ピク「ちょっと!シンの言うことが信用できないっていうの!?」
ガラ「本当なのにー……」
天子「会ったばかりのどこの誰ともわからないヤツを、いきなり信用できるわけないじゃない」
いぶかしげに目を細めつつ、こちらを見つめる少女。
初対面なので当然と言えば当然だが、全く信用されていないようだ。
天子「しかもデビルサマナーが宝探しよ?フツー裏があるでしょ」
シン「……」
天子「……だから幻想郷で悪さできないように、私が監視することにしたわ」
シン「……へ?」
天子「アンタ達も幻想郷のこと知ってる私が一緒にいたほうがいいでしょ?
ついてってあげるって言ってんのよ。感謝なさい」
なんだかよくわからないが、天子がついてくることになった!
……大丈夫だろうか?
ピク「ね~シン、いいの?勝手なこと言ってるけど……(ボソボソ)」
シン「うーん……まあいいんじゃないかな。知識のある人がいてくれた方がいいし(ゴニョゴニョ)」
ピク「えー……まぁシンがそう言うならしょーがないか(ボソボソ)」
シン「悪いね、ピクシー。新しい仲魔が増えたと思って我慢してよ(ゴニョゴニョ)」
天子「何コソコソ話してんのよ……まあいいわ」
天子「それでアンタ達これから何するつもりだったの?
私が声かけた時はボーっと突っ立ってたけど」
シン「ああ、ボクたちここに来て間もないから、まず宿をとろうとしてたんですよ」
天子「ふーん。宿ね。ま、順当よね。ところでお金は持ってるの?」
ガラ「持ってるよ!ホラ!」
天子「……なにこれ?全然見たことないわ」
ガラ「あれ!?ここってマッカ使えないの?」
天子「……マッカ?アンタ達ホントにどこから来たのよ……」
どうやら貨幣にマッカは使えないようだ。
マッカが無くても生活に困るわけではないが、
人里を拠点に、となると、それでは不便だろう。
何か手を考えないと……
天子「お金がなくて暫く人里に滞在したいってことなら、
稗田家に挨拶しといた方がいいわね」
シン「稗田家?」
天子「人里の顔役よ。
そこの当主に話つけとけば人里でも自由に動けるわ。
アンタ達ただでさえ怪しいんだから、そういうのって大事よ。」
シン「成程。確かに実力者へのあいさつは大事だね。
比那名居さん、教えてくれてありがとう」
天子「べ、別にお礼なんて言われても何も出ないわよ。
まあ私は心が広いから、そこまで案内してあげるわ。感謝しなさい!」
ガラ「わー、本当に!?ありがとう!」
天子「せいぜいはぐれて迷子にならないようにすることね!行くわよ」
人修羅移動中……
天子「着いたわ、ここよ。大きいお屋敷でしょ」
ガラ「わ~、こんなに広いところに住んでるんだ!偉そうだね!」
天子「実際偉いわよ。
それじゃ私はその辺でぶらぶらしてるから、話つけてきなさい」
ピク「あら?アンタ着いてこないの?」
天子「別に私がついてく必要ないでしょ?顔が利くってわけでもないし」
シン「ここまで案内してくれただけでも十分だよ」
天子「じゃ、せいぜい頑張ってらっしゃい」
天子は行ってしまった……
シン「それじゃ稗田さんとやらに会いに行こうか。
豊かな宝探しライフを送るためにも、気合い入れていこう」
ピク「ハ~イ」
ガラ「おー!」
ココでの交渉が幻想郷での動きに大きく影響してくるだろう。
通したい要求としては、
まずは行動に制限がかからないのが第一。
次いで通貨の確保と住まいの確保を打診するつもりだ。
そんなことを考えながら玄関で呼びかけてみたところ、
使用人と思われる女性が取り次いでくれることとなった。
使用人に招かれ、屋敷内の客間に案内される。
シン「驚くほどあっさり面会できることになったな……」
ガラ「すごい順調だねー」
ガララッ
???「お待たせいたしました」
ついに当主との面会かと思ったが、
障子を開けて入ってきたのは小さな女の子だった。
???「初めまして。私が稗田家当主、稗田阿求です」
シン「……!?
……キミ……いや、あなたが?」
稗田「……その反応も久々ですね」
あまりにも想像と違う相手で驚いてしまった。
当主というにはあまりにも若く、まだ子供と言える年齢であろう。
シン「ああ、すいません。当主というからには大人が出てくるものと思っていました」
稗田「まあそう思うのも無理はありません」
稗田「貴方達のことは八雲紫から聞いていますので、
どういった経緯で幻想郷にいらっしゃったのかは把握しています」
シン「紫さんから……」
ガラ「え?なんでボクたちがココに来ること、紫さんが知ってるの?」
ピク「なかなか油断ならないわね~」
紫には人里に行くように、としか言われていない。
稗田家に来ることが決まったのは天子と話した後だ。
それなのに稗田家に話がついていたということは、
こちらの行動を読まれていたということだろうか?
それとも単にイレギュラーな出来事は稗田家に報告する決まりでもあるのだろうか?
……どちらにせよ八雲紫は人里の顔役たる稗田家から信頼されているのは間違いない。
流石は幻想郷の管理人と言ったところか。
稗田「それで本日うちにいらした用件をお聞きしてもいいですか?」
シン「ああ、それでは改めて自己紹介を。
ボクは間薙シンといいます。デビルサマナーをやっています」
ガラ「ボクはガラクタ集めマネカタです!」
ピク「ピクシーよ!ヨロシクね」
シン「本日はいくつか相談したいことがあってお邪魔しました。実は……」
人修羅説明中……
稗田「……事情は分かりました。人里での活動は好きになさってくださって構いません。
もちろん常識の範囲内で、ですが」
シン「ありがとうございます」
稗田「それと通貨と宿の手配ということですが、こちらも問題ありません。
……ただし無条件で、というわけにはいきません」
シン「当然ですね。こちらもそう考えていました」
シン「これでいかがでしょうか?」
ドサドサァッ!!
そう言うとシンはポケット(異空間)から、テーブルに山ができるほどの宝石を取り出した。
幻想郷での宝石の相場はよくわからないが、
ボルテクス界では価値のあるものだったし、これだけあれば大丈夫だろう。
稗田「ええっ!?こ、こんなにたくさん受け取れません!!」
シン「あ、やっぱり幻想郷でも宝石は価値があるんですね」
稗田「私も詳しい価値はわかりませんが……これは明らかにもらいすぎです!!」
シン「そうですか?ボクたちは全然かまいませんが……」
稗田「……この半分もあれば1年分以上の家賃と生活費にはなるでしょう。半分だけで結構です」
シン「そうですか。それでは半分で」
手持ちの宝石で活動資金は何とかなったようだ。
ホッと一息、である。
稗田「はい、それで大丈夫です。
……ではこれで交渉はおしまいということで。
お帰りの際に宿のカギと地図、それに当面の生活費をお渡しします」
シン「ありがとうございます」
稗田「構わないですよ。
こちらとしてもいただくものはいただいたので、恩に感じてもらう必要はありません」
シン「そうだとしても、いきなり訪れた相手にここまでしてくれるのはありがたいです」
稗田「……丁寧な方ですね。
それでは今日のところはここまで、ということで。
日が暮れてもいけません。寄り道せず宿へ向かうといいでしょう」
ガラ「阿求さん、色々ありがとうございました!」
ピク「また何かあったら、よろしくね~」
稗田家を後にする3人を使用人に見送らせた阿求。
交渉が一段落し、物思いにふける。
……八雲紫から変わった外来人が来たとの連絡は受けたが、
これほど変わっているとは思わなかった。
見た目、仲間、物腰、肩書き、目的……すべてがちぐはぐな印象を受ける。
阿求の記憶の中の何人かの悪魔召喚師と照らし合わせても、
シンたちはそのどれとも異なっているように思える。
……違うなりに一番近いものを感じるのは葛葉一族であろうか。
阿求は歴代の稗田家の記憶をすべて受け継いでいるため、
実年齢からは想像できないほど聡明である。
さらにそれだけではない。
最後に頼りになるのは知識よりも直観であることも理解しており、
知識一辺倒というわけでもない。
当主として実に優秀だ。
そんな阿求から見ても、シンたちについては全く背景が見えなかった。
何かを隠しているのは間違いないが、それをどこまで探っていいのか……
とにかく人里の管理人としては、今後の動向に注意していくほかない。
特に忙しくもないが、悩みの種が増えるのは喜ばしくないな、と
ため息をつく阿求であった。
つづく
略称一覧
シン…間薙シン(人修羅)
ピク…ピクシー
ガラ…ガラクタ集めマネカタ
天子…比那名居天子(ひなないてんし)。幻想郷の天界に住んでいる、自由奔放な天人。
たびたび人里に現れては、暇つぶしをしている。根はいい子。
稗田…人里の顔役である稗田家、その当主。実年齢は10歳ほどだが、自身の能力により、先代の記憶をすべて受け継いでいる。