「とは言っても、既に十年...神秘性や正当性は何処へやら、もうただの宗教戦争だな」
背凭れに深く凭れ掛かり、呆れるように言い放つアルバート
情報収集も一段落か、ランバートも腰掛けてこう続ける
「俺はそう言う戦争に参加する気は無いよ」
「...同感だな、こう言う戦争に利益なんて見出だせない」
ランバートはウイスキーを、アルバートはブランデーを頼む
ちなみにランバート自身は下戸でもなく、少量なら飲めるとの事。
何故下戸かと呼ばれるのか、ランバート曰「赤の他人との酒や付き合いの為の酒は不味くて呑めた物じゃない」だそうな。
「互いが互いに「正義だ」と騒ぐから戦争も長期化するんだよ」
と溜め息交えてうんざりしたように話すランバート
「戦争に正義も悪も無いけどな...まぁ、Blind Justiceって言葉なら有るが」
と、アルバートの変わった言い回しに、ランバートは思わず失笑し
「...お前、そう言うの好きだな」
「うるせー」
とか言って笑って茶化すランバート、それを傍目にアルバートはブランデーを飲み干す
「まぁ、落ち着いてコレを飲めるって事は、それほど酷くはないって事か...」
と一言呟けば頃合いとばかりに席を発ち、勘定を済ませて、小気味良いベルの音を鳴らして外へ出る
扉のすぐ目の前に人影
「船長、整備、及び出航準備が整いました。」
「っ!...全く、驚かすなよ...」
突然現れた気配にアルバートは驚き、一方のランバートは平然としている
彼女の名はシューヴァ、ズボンと完全に閉じたジャケットは濃紺で統一、髪は栗色、眼は右が黒、左が茶のオッドアイ、長身でプロポーションも良し。
ただ、欠点が一つある
「私は貴方を驚かせるつもりで来たわけでは有りません。」
機械レベルで真面目人間という事、アルバートにはどうも苦手な人種らしい。
「出航の準備は完了しました、船長、指示を。」
「後で指示するよ、今は待機してな。」
「了解。」
良い具合に砕けた口調のランバートと、いっそ清々しい位に砕ける気配のないシューヴァ、正反対だからこそ相性も良し。
...多分。
「...てかお前、即出航じゃないのか?」
「一つ用件があってな。」
「何だ?」
改めてアルバートを見て
「船旅しないか?アルバート」
「......は?」
いきなりの提案に突拍子も無い声が出る
「...雑すぎて泣けるスカウティングだな、それとも人員不足か?」
「ただの親友のよしみさ」
何かを見透かしたようなランバートの眼を、アルバートは睨むように凝視する
その間、十数秒。
根負けしたのか、溜め息ついて
「...分かったよ、どうせ暇だし」
「決まりだな♪」
と言うわけで船旅の始まり。
序章としては程よい長さかな?