「......」
海の上で朝を迎え、目を覚ますアルバート。
朝日の光を浴びに甲板に出れば
「おはよう、アルバート。」
「...ああ...おはよう...ふぁ...」
ブランの姿が有った。
気だるげにアルバートは返事して、手を当てて欠伸する
「まだ眠そうですね~」
「寝起きは誰だってそうだろ...」
欠伸した後は、完全に目を覚ましてない身体を伸ばす
「んー......っと...」
僅かにフラつきながらも伸びを済ませると、ブランが一言
「アルバート」
「...何だ?」
「昨日の事を想っての提案ですけど」
一息ついてブランが続ける
「...シューヴァに、船上で稽古つけてもらうのは、どうでしょう?」
「......は?」
理解出来なかったのか、アルバートは思わず声が出る
「...何言ってんだ?」
「陸上では、十分に扱える剣術も、海上では全然勝手が違いますからね。」
「...アレで酷い出来だと分かっただろ?」
「いえいえ、海上での訓練をこなせば自由に動けるようになりますよ。」
「そう言う物なのか。」
「そう言う物です。」
前向きにブランは語る、そんな姿勢をアルバートは少しは見習おうと
「...なら、一回試してみるか。」
直後、船内から外に出る、誰かの足音が聞こえてきた
「シューヴァ。」
「...訓練ですか。」
「...聴こえてたのか。」
静かに肯定の意を見せるシューヴァ、ブランは船の手摺にもたれ、観戦を決め込む
「...それが貴方が考え導き出した答えなら、付き合います。」
シューヴァは肩幅ほどに足を開き、腰を落とし、膝をある程度曲げて、右手を前にして構える
「......」
アルバートは、剣先を地走らせ、斬り上げる。
「...ふっ!」
シューヴァに容易く見切られ、太刀筋を逸らされると、顎を引っ掛ける様にチョッピングライト気味の掌底、怯んだ所を透かさず巴投げ
「っ!!」
「...終わりです。」
冷淡なトーンで、関節を極めてナイフをアルバートの首元に突きつけるシューヴァ。
「昨日と比べて1つマシになりましたが、全てにおいてダメです。」
シューヴァは、ゆっくりと立ち上がって、服を軽く払って整える
「...では、失礼。」
アルバートは倒れたまま、雲1つ無い青天を眺めている
「......はぁ...」
そして、溜め息
「全てにおいて...ダメか...」
瞳を閉じて一言呟く
「...アルバート」
手を差し伸べるブラン
「............クソッ...」
拒否を諦めたようにアルバートは手を取り立ち上がる
「...アルバートは急ぎすぎですよ、ゆっくりでも良いので確実に実力を付けましょう。」
「...気楽に言ってくれるよ...」
落胆したアルバートをよそに、船は目的地であろう都市に近づいていた