魔法科?うるさいそんな事より都牟刈だ!!   作:益荒男

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 エタッたと思った?実は俺も思ってた。

 久しぶりすぎて「生きとったんかワレエ!?」なんて想っている人が大勢だとおもいます。なんかこう、はい、上手くやる気が起きずスランプで文が浮かばないっていうのがありまして。と思ったら三日くらい前から「あ、今おれスッゴい小説書きたい」とか思い始めまして、はい。

 あ、皆さん。バトル・イン・ニューヨーク、周回はどんな感じですか?今回はボックスガチャ式なので林檎かじりながら何時も以上に頑張っている所です。けど超高難易度がガンホーゲームじみてきていると思ったのは私だけでしょうか?


 そんなこんなで最新話投稿です。どうぞ





普通の主人公より主人公ぽいサブキャラの方が人気でやすいってそれいち(偏見)

 

 

 ♪~~

 

 ♪~~

 

 

 授業終了の時刻となり放送が入った。それを聞いてテキストの表示されたウィンドウを閉じる。やはりと言うか、流石魔法科第一高校。授業のレベルは中学と比べ物にならない程に高い。ここで学べることは他では決して学べないものだ。だからこそ学びがいがある。自分の家に恥じない人間である為に、そしてアイツをいつか超える為に、今という時間を決して無駄にしないようにしなければ。

 

(と、昼食をとらないと。食堂も早く行かないと混んでしまう。・・・久しぶりにアイツを誘うか。そろそろまたやろうと思っていたしな)

 

 頭でそんなことを思い浮かべながら、隣の1―Bの教室へ向かおうと席を立つ。するとポッケに入れていた携帯端末から一通のメールがきた。送り主は先日アドレスを交換した西城レオンハルト。『せっかく仲良くなったんだし、一緒に昼食でもどうだ?』とのことだ。光井と北山にも声をかけて欲しいとも書かれていた。だがその二人は今日は別の友人と屋上で持参した弁当を食べるらしい。別の奴と一緒しようとしていたし、どうしようかと悩んでいると、そう言えばと一つ思い出す。

 

(千葉が確か、この前見せた動きに興味を持ってたよな?なら)

 

 レオに光井と北山は来れない、それともう一人増えるかもしれないという旨のメールを送る。直ぐにきた返信を見て僕は2ーBの教室へ向かおうとした。

 

「あ、森崎君。なんか先輩が君を呼んでくれって」

 

「ん?わかった直ぐに行く」

 

 なんだろう、入学早々先輩から世に出されるような問題を起こした覚えは・・・あるな。けどあれは生徒会長が不問にするって言ってたし、だったら別件か?教室を出ると、体格のふた周りほど大きい男子生徒がいた。この人が僕を呼び出した先輩だろう。

 

「お、君が森崎君かい?」

 

「はい。1ーAの森崎 駿です」

 

「俺は2ーDの沢木 碧だ」

 

「よろしくお願いします、沢木先輩。それで僕に何か用ですか?」

 

「ああ、実はだね・・・」

 

 

 

 

 授業が終わり、昼休みの始まりを告げるチャイムがなる。どうやらいつどこの時代や世界でもチャイムの音は同じらしい。つまり疲れる、憂鬱になる。そんな感情のまま電子コンソールの埋め込まれたデスクに倒れこむ。

 

(やっと終わったぁ、授業キッツいなあ・・・)

 

 いやさあ、中学と高校で勉強量違いすぎない?それなりに覚悟はしてたけど、想定の範囲外もいいとこだっつーの。流石の財団もガチで驚きの声を上げるくらいだ。六番目の戦場はまだですかねえ(怒)。どっかからか益荒男の電波を拾ってきた気がしたが、突っ込む気も起きない。

 このまま倒れ込んでいるままでいたいが、空腹を訴える俺の腹がそれを許してくれそうにない。今すぐ腹を満たしたいが弁当は今朝の鍛錬で熱が入ってしまい長引いたせいで持ってきていない。父さんが見せてくれた『縮地・無拍子連脚』、後もう少しで何かが掴めそうだったのに・・・。

 ともかく今はこの空腹をどうにかしなければ。金は持ってきてるし、無難に購買か食堂に行くとしようか。人ごみは大嫌いだが仕方ない。てかここの食堂を利用するのは初めてだな。さて、早めに行かないと直ぐに混んでしまうというしさっさと・・・あれ?制服のポッケに手を入れても、本来そこにあるはずの財布の存在を感じることが出来ない。もしかしてオレ、財布忘れた?・・・マジかぁ。もういいや、もう考えるのも億劫になってきた。大人しくここで寝ているとします

 

「おい政狩、一緒に食堂行かないか?」

 

 モブ崎様、あなたが神か

 

 

 

 

 

 

「で、僕に奢ってくれとせがんできた訳か。その朝の訓練に熱を入れるのもいいが、もっとあとのことを考えて行動しろ。今度同じようなことがあったら僕は助けないからな」

 

「ああ、次は気をつける」

 

 つまり今回は助けてくれんですね。突き放しているように見えてしっかり助けてくれるモブ崎、いや森崎様マジツンデレ。

 

「金は明日・・・は土曜日だから、月曜日に返してくれたらいい。それと実は別のクラスの奴と一緒に食べることになっていてな。本当ならお前に確認をとってから連れて行こうと思ってたんだが、こうなった以上、無理にでもついて来てもらうぞ」

 

 え、まじ?そんな話聞いてないんだけど。まあ背に腹は代えられんか。適当に自己紹介してからは空気に徹することにしよう。

 

「なにがいい?あまり高いのは止めてくれよ」

 

「天丼定食で」

 

「了解、僕も同じのにするか」

 

 食券を2枚勝った森崎の後ろについていき、そのまま窓口から定食を受け取る。食堂は予想通りというか、かなりの数の生徒でごっちゃになっている。思わずうへぇ、と辟易すてしまう。うん?ほう、たかが学校の定食だとあまり期待していなかったが、なかなかいい匂いがするじゃないか。蓋をされたどんぶりから漏れる微かな匂いが食欲をそそる。これは考えを改めなければならないか。

 ん?そう言えばさっき森崎、確認をとってから連れて行こうとか言ってなかったか?それに無理にでも付き合ってもらうとかも。つまり、元から俺をその他のクラスの奴に紹介しようとしてたってことだよな。なんで?

 

「なぁ森崎、なんで俺をその他クラスの奴に合わせようとしたんだ?」

 

「えっああ、前に政狩の動きの真似事をしたときに、その中の一人がこれに興味を持ってて。彼女も政狩と同じ武芸者で、もしお前が良ければ紹介しようかなと思ってさ」

 

「ふーん、ちなみに何やったの?」

 

「中学の頃に僕がやられた『歩法』ってやつ。お前のと比べたらお粗末が過ぎるけど」

 

 そう言うことですか。しかし『歩法』に興味を示すなんて、そいつも結構どっぷり武に浸かっているな。森崎も彼女って言ってたから女か。ほーん、こんなことがなかったら間違いなく断ってただろうけど、仕方ないか。人間空腹には逆らえません。

 

「あ、いたいた。おーい森崎こっちこっち」

 

「お、そこか。すまん待たせたな」

 

「気にすんなって。それより早くこっち座れよ。立ったままだと疲れるだろ」

 

 そんなことを思いながら人混みをかき分けて進んでいく森崎の後ろについていたら、こいつの名前を呼ぶ声が耳に届く。顔は人混みで見えないがどうやらあのゴツい奴が森崎の知り合いらしい。うっわ暑苦しそう。アイツとはなるべく話さないようにしよう。それにしても、お粗末ながらも『歩法』の影を見抜けるほどの女武芸者か・・・

 

 なんか嫌な予感がしてきた。

 

 こんな感覚は前にも味わったことがある。そんな気がしてならない。具体的に言うと、初めて司波深雪や九重八雲と会った、また会うことになってしまったときみたいな感じ。つまり原作キャラと遭遇する予兆のようなモノ。あれ?じゃあ何で森崎の時は何も感じなかったんだ?いやそんなことはどうでもいい。ともかく今はここから離れなければ。これまで自分の勘を信用しなくていい方に転んだことなんてないんだよ!

 

「なぁ森・・・」

 

「お、後ろの奴がお前の言ってた?」

 

「ああ、政狩刀弥といって僕の中学からの知り合いだ。無愛想だけど悪い奴じゃないから」

 

 ちょおま、なに勝手に紹介しちゃってんですか!?もう離れられなくなるじゃん!人多くて迷惑でしょアピールしようとしてたのに!いや待て落ち着け、まだここにいるのが原作主要メンバーと決まった訳じゃない。こんな奴アニメにいたよーなとか感じたけど気のせい気のせい。まず森崎が主要メンバーと仲良くなってる訳ないし。たぶんきっと大丈夫なはず・・・

 

「へえ、よっ、俺は西城レオンハルト。レオでいいぜ、よろしくな」

 

 はいアウトー!問答無用で現実逃避の余地を振り切ったー!知ってましたよどうせそんなオチだって!てかなにお前ら仲良くなってんだよツンケンしろよ!そっちは一科がなんだって唾吐いて森崎は強キャラ(かませ風)オーラで見下しとけよ!何で原作と色々違ってんですかねえ!?

 

 ・・・あれ?なんかあの兄妹いないみたいじゃね?いるのはがたいのいい暑苦しいのとこっちをガン見している赤毛の短髪と大人しそうなメロン2つぶら下げた眼鏡の三人だけ。周りに空いてる席もここだけだから後から来るってこともないだろう。つまり、ここにあの超危険兄妹達は現れない?

 

 

 …ふう、なんか疲れた。もういいや、あるがままを受け入れよう。お兄様がいないなら正直大抵なんとかなるだろうし、今は適当に返事だけしてやり過ごそう。それによくよく考えたら森崎が原作とキャラ違うのも間違いないなく俺のせいだし、完全なる自業自得じゃねえか。もう後のことは知らねえ。どうにでもなあれ。

 

「あ~、政狩刀弥。よろしく」

 

「おう。んじゃそっちのこと、なんて呼べばいい?」

 

「どうとでも、好きにして」

 

「わかった、なら刀弥って呼ば「ねえ!」ってうお!?」

 

 俺と西城レオンハルトが簡単な挨拶を済ませていると、横から大声で赤毛の短髪が割り込んできた。何だっけ?確か千葉なんとかって名前だったと思うんだけど。てかコイツさっきから俺のことガン見しながらフリーズしてたよな?今俺の中でこの女の評価は完璧なる変人なんだけれども。てか早く飯を食わせろ、ずっと腹減っててもうそろそろ限界なんだよ。

 

「おま、おいエリカ!急に乗り出してくんじゃねえ!危うく味噌汁零すとこだったじゃねーか!」

 

「それは悪いけど、今はそれどころじゃないのよ。突っかかってくるのは後にしてちょうだい!」

 

「原因作ってんのはお前だろ!」

 

「あたしは千葉エリカ。ねえ、さっそく聞きたいことがあるんだけど」

 

「聞けよ!」

 

 うっさい喧しい。耳がキンキンするからそんな近くで騒ぐな。あとさっさと飯を食べさせろ。

 

「あなたの名って本当に『政狩』なの?」

 

「は?」

 

 何でこの千葉某はそんなことを聞いてくるんだ?なぜそこまで俺の名前を気にする…って、そう言えばこの女って確かアニメで大太刀振ってたりしてなかったか?それに家の取引相手にも同じ千葉って人がいたような。

 …あ、あーねそういうこと。こんなところにまで繋がりがあるなんて、もう仕組まれてんじゃねーのと思うまであるのだが。

 

「ああ、俺は『政狩』の人間だ」

 

「山中で刀鍛冶を営んでいるあの?」

 

「間違いじゃなきゃ、そっちの家とも取引したことがある」

 

 そこまで言い切ると、目の前のコイツが急に物凄くいい笑顔を浮かべてきた。このあと何をお願いされるか、もう何となく予想ついた。

 

「ね~?一つお願いがあるんだけど~?」

 

「なに」

 

「私に一本刀を打っ」

 

「無理」

 

「ちょっと、せめて言い切らせなさいよ!」

 

 やなこった。何で俺があんさんなんかの為に刀を打たにゃあならんのか。例えいくら金積まれたってやるもんか。てか今は何時でも刀打てるって状態じゃないし。次に刀鍛冶に専念できるのはたぶんゴールデンウイークあたりだろうからな。てかもういいから天丼食わせろ天丼を。

 

「ぶー、でもまあそりゃそうよね」

 

「エリカちゃんって、彼と知り合いなの?」

 

「ん?いえ、私が一方的に知っているだけよ。親が彼の所に世話になってたり、それに彼の家って一部の間じゃ物凄く有名なのよ」

 

「有名って、さっき言ってた刀鍛冶ってやつか?」

 

 メロンぶら下げた眼鏡が俺と千葉の関係を伺っているが知ったこっちゃねえ。俺の目は前に置かれた丼の中身に釘付けだ。なんだこれ、メチャクチャうまそうじゃん。ぷりっぷりのとろたまに太い海老天、そして香ばしい出汁をかけられた極上の天丼。見ているだけで食欲をそそる。見た目がこんなに素晴らしいんだ、味も期待できるぞ。では、いただきます。

 

「そうよ、彼の家『政狩』はずっと昔から刀鍛冶を営んでいるの。それも只の刀鍛冶じゃない。何者にも縛られず山中にひっそりと暮らし、自分の腕をひたすらに高めていく。彼らの打った刀は他の追随を許さないほどに美しく、そして恐ろしいと言われているわ。表に出ることは滅多になく、その実態は謎に包まれている。けど、刀に携わる者でその名前を知らない者はいないでしょうね」

 

「へー、なんか凄そうな家だな」

 

 あーんパクッともっぐもっぐゴクリンチョ。・・・ん?なんだこの味は。いや、不味くはない。不味くはないんだけど、その、何というか。これ本当に天丼ですか?

 

「凄そう、じゃない。実際にとんでもなく凄いのよ。ここまで長い歴史を積み重ねて、今もなお続いている刀鍛冶なんて恐らく政狩以外には存在しないわ。彼らの銘が入った刀だってとんでもない価値がついているんだから。具体的に言うと私が聞いた中での最高はゼロが八つも並ぶわよ」

 

「ゼロが八つって、つまり億!?」

 

「え、嘘だろたった刀一本で!?」

 

 いや、これは天丼じゃねえ。天丼の形をした別の何かだ。食えば食うほどその味が滲み出てきやがる。この、なんだ?コンビニにおいてある弁当群と言えばいいのか。ぶっちゃけていえば不味くはないけど身体に悪そうな味というか。この天丼、見かけはいいが味がダメだこりゃ。

 

「お前って、そんな凄い奴だったのか。前々から普通じゃないとは思ってたけど。お前が武術をやってるのもそれが関係あるのか?」

 

「・・・んあ?何が?」

 

 ごめん。ヘルシェイク矢n、じゃなくて天丼のあまりの意外さに気を取られてて全く聞いてなかった。てか森崎はこの天丼を食べて何の違和感を抱かないのか?

 

「・・・なんか、こう言っちゃ悪いんだが、とてもそんな風には見えねえな。そういう奴ってもっと堅い人間ってイメージじゃね?」

 

「ん~まあ言いたいことは解るわ。ついさっきまで私も、もっと職人感があるキャラだと思ってたから」

 

「ふ、二人とも、そんなこといっちゃ政狩君に失礼だよ・・・!」

 

 なんかキャラが違うと初対面の男女にdisられた。そこのメロンが言う通りちょっと失礼過ぎやないですかね。え、実際そうだから仕方がない?そんなー。いやね、確かに自分でも・・・止めとこう。この話題について考えてると気分が悪くなる。なんだろう、この、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()感じ、気持ち悪い。いっつもこうだ、そして決まって思考を止めると収まり始める。まあいいや、もうこの気持ち悪い天丼モドキも食い終わったしさっさと退散するか。

 

「ごちそうさま。森崎、俺は先に戻っておく」

 

「あ、ちょっとまて。放課後僕のところに来てくれ」

 

「えっなんで?」

 

「風紀委員からの呼び出しだ。そっちには三年の渡辺先輩が行ったって聞いたけど」

 

 風紀委員?あ、それってまさか入学式のやつか?あれ俺お断りしたはずなんだけどなあ。去り際また声をかけさせてもらうとか言ってたけど。うへえ、面倒だなぁ。けど先輩、それも委員会から直々に呼ばれておきながらボイコットってのも絶対後がしんどいよなぁ。

 

「ん?なに、お前ら風紀委員になんのか?」

 

「教師からの推薦でな。僕は一応入るつもりだよ。で、政狩、聞いているのか?」

 

「わかった、終礼が終わったらそっちに行く」

 

 しょうがねえってか、元から拒否権なんてないか。向こうに行ったらお断りしますってキッパリ言おう、そうしよう。

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

「森崎、お待たせ」

 

「来たか、それじゃあ行くぞ」

 

 そして午後の授業を経て放課後。約束通り終礼後に一組に向かって森崎と合流する。なんか教室の中で人集りができてるけどなんだあれ?まぁどうでもいいか。森崎の後ろに着いて風紀委員の本部に向かう。別校舎に向かって数分歩き、目的地の扉の前に立つと森崎はノックをする。

 

「すいません、1-Aの森崎と1ーBの政狩です。どなたかいらっしゃいますか?」

 

「お、来たか。入ってくれ」

 

「では、失礼します」

 

「失礼します」

 

 森崎の後に小さく挨拶をし、扉を潜る。うわ、なんじゃこりゃ。机のうえは書類の山でほぼほぼ表面が見えなく。床にはさらに書類やCADらしきものが散乱している。これ最後に掃除したのいつなんだよ。部屋の隅とか絶対Gとかが潜んでんぞ。森崎もこの惨状に開いた口が塞がらないといった感じだ。なんか現実を突き出されて夢が壊れたみたいな顔をしている。

 

「よう森崎君、それとそっちは初めてだね。俺は2-Dの沢木 碧。よろしくな」

 

「あっはい。1ーBの政狩刀弥です。よろしくお願いします」

 

「ああ。二人とも、少々散らかっているが緊張せずにくつろいでくれ」

 

「は、はあ・・・」

 

 これが、少々?そしてどこで寛げばいいんですかねえ?椅子に座ったら書類で前が見えないし、床は机の周り以外書類が山積みでおかれているし、ってどんだけここの人間は書類をため込んでんだ!?ちっと整理をしろよ!あれか、散らかってないと安心できないみたいな人間の集まりなのか!?

 

「ん?あぁちょっと待っててくれ、よっと」

 

 こっちがどうすればいいのか分からないのを察してくれたのか、沢木先輩は適当に重ねた紙束を机の上から床に下ろす。おい、それでいいのか風紀委員。こういうのに限って重要な物が奥に眠ってたりすんだぞ。

 

「ふう、よし。どうぞ、そこに座ってくれ」

 

「・・・では、失礼します」

 

 よし、じゃねえよ。この人の部屋汚さそう(小並)取りあえず言われた通り先輩の対面に座る。

 

「今日ここにきてもらったのは姐さん、委員長の渡辺先輩との顔合わせと、俺達の仕事の説明、そして実際に見学してもらう為で、」

 

「あの、すいません」

 

 危ない危ない、このまま聞き続けていたら何時いえるか分からない。ここは今すぐにでもハッキリと断っておこう。

 

「俺は既に、渡辺先輩にお断りすると伝えた筈なんですが」

 

「えっ!?」

 

「ああ、それは勿論聞いている。だけど姐さんはかなり君に入れ込んでいるようでね。あれで諦める気は無いみたいなんだ」

 

 だるっ!めんどくさっ!

 

「何故でしょう」

 

「それは俺にも分からないな。俺は姐さんに説明だけでも聞いてもらえって言われただけでね。取りあえず、今日一日だけは俺の話に付き合って欲しい。その上で改めて断るなら姐さんも諦めるだろう。勿論興味を持って気が変わったのなら、そのまま誘いを受けるといい。どうだろう?」

 

 ・・・いやぁ、そこまで言われたら断れないでしょう。

 

「わかりました。では、このまま説明を受けさせていただきます」

 

「よし!それじゃあ早速説明させて貰おうか」

 

 はあ、今日は一部の鍛錬は諦めるか。まあこれを聞いた上で断るなら諦めると言っているのだから、聞いていて損にはならないだろう。興味を持つことなんて微塵の可能性もないけどな。悪いがそういう委員会とかは無しの方向でお願いします。てか帰れるのいつになんだろう。あんまり遅くなると夕飯の準備が出来なくなっちまうんですが。

 

 

 てか森崎、さっきから俺をチラチラと見てくるのはなんなんだ?

 

 

 

 

 

 

 

(なんだよ政狩のやつ、変に期待させや・・・いや、期待なんて、端からしてないけど)

 

 まあよくよく考えれば、それも当然か。コイツが風紀委員なんて興味を持つことすらないだろう。コイツとの付き合いもそこそこある。だからそんなことは解っていた。だから俺は一緒にやれるなんて期待してもいなかったし、政狩が断って残念がってもいないのだ。いないったらない。横目で隣の顔を見やる。真面目に先輩の言葉を聞いているように見えるが、考えているのは恐らく今日の特訓とかのことだろう。

 

(コイツは何時も、どこか遠くを見てる。多分、それはコイツにとって、とてつもなく大きいもの。勉強とか魔法とか、そんなものは比べて小さ過ぎるから、正直どうでもいいとすら思っている)

 

 もしかしたら、僕のことさえも

 

 

 政狩は、僕にとっての友達だ。

 

 口には絶対に出さないけども、気に食わないところもあるけれども、一番親しい友人だと思っている。

 

 政狩は、僕にとってのライバルだ。

 

 中学のとき、僕に勝てるのはお前だけだった。僕と同じ場所で戦えるのはお前だけだった。

 けど、お前は多分、僕が思っているよりずっと強くて、何時も手加減している。

 

 だから、政狩は僕にとっての目標だ。

 

 いつかお前に追いつきたい、隣に並びたい、追い越したい、勝ちたい。そして言ってやるんだ。ついに勝ったぞ、お前の負けだって。これまで散々苦汁をなめさせられた分、コイツに悔しいって想いをさせてやるんだ。

 

 そしたら漸く、俺とお前は、対等になれるような気がするから。

 

「よし、こんなところだな。俺からするのはこれでお終いだ。何か質問があるなら遠慮なく言ってくれ」

 

 だから政狩、先ずは

 

「すいません、沢木先輩。質問じゃないんですけど、一つお願いさせて欲しいことが」

 

「ん?なんだ森崎君」

 

 

「僕と政狩に、模擬戦をさせてくれませんか」

 

 

 僕のことをしっかりと見てもらうぞ、政狩。

 

 

 

 

 

 あとそのぽけぇとした顔はやめろ。いつも結構イラッてくるんだ。

 

 




 
 次回 森崎、死す デュエルスタンバイ!


 剣ディルの要求素材、えげつな過ぎません・・・?120超えが三つって・・・。まだふじのんのスキルも8,2,6だし、今回のイベントで証集めないとヤバ・・・


柳生さん「これより後は、貴殿を主としてお仕え致す。如何なる命にも従う所存」


 モウヤメテエエエエエ!!けど来てくれてありがとうございます!!!






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