東方花憑伝 作:残念美人布教教会関東支部支部長斎藤宰慈
いきなり狼擬きに襲われたかと思ったら、体が勝手に動いて狼擬きを殲滅してしまったのだけど、神様擬きからの伝言である程度は体が勝手に動く(自衛の場合のみ)こと等を脳内再生されていたら、いつの間にか弟子が出来てたのだけども、仕方無いなんて言わないわよ。
この体は私の意思を言葉に反映するときにフィルター(若干の辛口or毒舌)を通すらしく、若干勘違いされてしまいそうで悩んでるのだけど、私の普段の口調と似ているから別に良いのではないかと悩んでるわ。
とはいえ、少女(妖怪)に名前が無いのは流石に困るわよね。
でも、流石に適当に名を授けるのはアレだと思うのよね。
まあ、そんなわけで、前世の親友に名前を借りようと思うのよ。勿論、少しだけ変えるわよ。
「【八雲 紫】と名乗りなさい。貴女は名無しでしょう?何時までも名無しだと呼ぶのが面倒だわ。良いわね?」
「は、はい!ありがとうございます!!」
縁の奴も紫みたく素直で感受性豊かなら良いのだけど、縁は胡散臭くて策謀かなのが美貌を台無しにしてるのよね。その癖、結婚できないと愚痴を溢すのは流石にどうかと思うわ。
まあ、紫は縁みたく胡散臭くは成らないと思うけど、何故か私の勘が『諦めろ』と囁くのは無視した方がいいのかしら?
「さっさとこんな場所は移動するわよ。適当に旅をすることにするわ。最近は大和がどうのと騒がしくなってきたから、未だに侵攻されてない土着の頂点が座する地として有名な諏訪の國に行こうと思うのだけど、何処か行きたいところは有るかしら?」
「ありません!」
…………無いとはっきり言うのは良いのだけど、自信満々に言うのはどうなのかしら?
まあいいわ。
土着の頂点がどの程度なのか、確りと見させてもらうわ。
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諏訪の國を治める神は、確か祟り神の頂点であるミシャグジを従えているという噂が有ったわよね。
可能ならば、ミシャグジの支配権を奪いたいところだけれど、まずは噂の神を見てからでなくては流儀に反するのよね。
私の流儀は簡単なのだけど、今は置いておくわ。
「わぁ。幽香さん!こんなに活気が溢れてますよ!」
「そうね。確かにこのくらい活気があるのは珍しい方じゃないかしら。まあ、国を治める者として活気溢れる国を作るのは常識の範疇よ」
「そうなんですね!」
余計な一言が入ったような気がするのだけれど、この程度なら無視してもいいわね。
それよりも、紫は無邪気なのは良いのだけど、私の神気で覆ってるとはいえ妖怪であることは変わらないのだから、この地の神にちょっかい掛けられるかもしれないのはわかってるのかしら?
まあ、もしもの時は私がどうとでも対処するとしても、彼女にはその考えがない、とは言い過ぎかもしれないとしても、薄いのは確かだわ。
「見てください!あんなに階段が長いですよ!300段は有るんじゃないですか!?」
なんだか、私がお義母さんをやってる気分だわ。………前世では結婚すらしてなかったというのに。
まあ、悪くはないわね。
「そんなに走ると転ぶわよ」
「わかりま───きゃあ!」
「まったく、だから言ったじゃない。ほら、掴みなさい」
「うぅ。ありがとうございます」
年の離れた妹が居たらこんな感じなんでしょうね。
この体の年齢はわからないけれど、大体に20歳程度だと思うのよね。まあ、紫の見た目は15歳程度だから有り得ないことはないわね。勿論、年齢だけ見ればだけれど(実年齢は置いておくとして)。
「少し、気遣いが足りないんじゃないかしら?」
「幽香さん?」
「ありゃ、気づいちゃッたか~」
「気付かれないと思ってたのなら、早めに就寝することを推奨するわ」
確かに強大な神ではあるのだけれど、私が押し付けられたのは最盛期の信仰を一身に受けた状態のガイアと同等の能力なのよね。まあ、何が言いたいのかと言えば、貰い物とはいえ、それを持っている私からすればやはり劣る。そういうことよ。
「………わたしゃ別に疲れてる訳じゃないんだけど。
まあいいや。で、何のようかな?」
「私の用件は簡単よ。
少しの間、此処に滞在する許可を取りに来たのよ」
「あれ?大和の神じゃないの?」
「詳しく聞かせなさい。気分次第で助けてあげるわ」