ちょっと?変わったコードギアス   作:はないちもんめ

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102 下を向いてると下しか見えない。上を見たかったら前を見ろ。

「随分と浮かない顔をしているな。解放戦線の指揮権まで貰ったと言うのに」

 

C.C.が指摘しているように、ルルーシュの顔は晴れない。全ての作戦が順調に進んでいるというのにだ。

 

藤堂から連絡が入り、解放戦線の指揮権を一時的に譲渡するのでゼロが指揮を取って欲しいと連絡が入ったのが先程のこと。

 

何故、自分がナリタにいることがわかったのかと聞くようなことはしない。向こうには彰がいるのだ。自分の行動を先読みしたのだろう。あいつなら、それくらいは易い。

 

その証拠に「これは貸しだ」と彰に連絡をすれば了承の連絡が入った。

 

「当たり前のことだからな。あの状況であれば他に選択肢はない。追加の報酬といえば、彰に貸しを押し付けたくらいなものだ」

 

その展開を読んで、ルルーシュは最初から井上に解放戦線と連絡を取るように伝えて準備を進めていた。お陰で、スムーズに解放戦線はルルーシュの指揮を元に動けるようになった…最初の展開が酷すぎて時間稼ぎくらいしかできないのが悲しいところではあるが。

 

「だが、予想通りの展開ではあるのだろう?何故、そんな顔をしている?」

 

「…別に浮かない顔などしてはいない」

 

「大方、紅蓮の搭乗者の件だろう?マーヤでは問題があるからな」

 

当初、ルルーシュは紅蓮の搭乗者をマーヤに任せる気であった…が、本人の性格の問題で当事者以外の多数から反対意見が寄せられた。

 

そのうちの幾つかはルルーシュであっても、反論が難しいものだ。

 

対して、カレンを搭乗者とする案については余り反論が上がってこない。

 

兄代わりの扇ですらも、「まあ、マーヤちゃんを乗せるよりは…」といった反応である。

 

「そんなにカレンが心配ならば、最初から騎士団に入れなければ良い。お前のその中途半端な覚悟がこの結果を招いた」

 

「無茶を言うな。カレンは初期メンバーだぞ。そもそも、追い出したとてアイツが対抗活動を止めるとは思えん。無意味な行為だ」

 

カレンが黒の騎士団から出たところで反政府活動を止めるとは思えない。であれば、ルルーシュと一緒にいた方がまだ安全とも言える。

 

「それに、そもそも問題ない。既に別のパターンを考えてある」

 

「別のパターン?」

 

そうC.C.が尋ねると、タイミング良く部屋の扉が開く。そこにいた予想外の面々にC.C.は軽く目を広げ、驚く。

 

「おー、此処にいたのかゼロ」

 

「さっさとユキヤのデータを渡して戻るぞ。早くしないと戻る道もブリタニアに塞がれる」

 

「はいはい。わかってるよ」

 

「…何で此処に三馬鹿がいる」

 

「誰が三馬鹿だ、ゴラァァァァァァ!!」

 

「馬鹿はユキヤとリョウだけだ!私は違う!」

 

C.C.から浴びせられる謂れのない暴言に、リョウとアヤノは声を荒げる。だが、それを無視するかのようにゼロは話を引き継ぐ。

 

「私が呼んだ。ユキヤにこれからの作戦の被害範囲の策定を依頼していてな」

 

「こんなことしたの初めてだから、自信ないけどね。参考程度にしといてよ?」

 

「十分だ」

 

原作と違い、精神的に余裕があったルルーシュは自分がこれから行う作戦の懸念点である周囲への被害を意識できていた。

 

ゼロはユキヤからデータを受け取り中身を軽く確認する。

 

「ふむ…問題がない粒度だ。報酬は何時もの口座に振り込んでおく」

 

「毎度。持つべきは気前の良い依頼人だね」

 

「もう一つの依頼に関しても準備ができているのか?」

 

「もうやってるよ。まだ時間がかかりそうだけどな」

 

もう一つのゼロからの依頼ー近隣住民の避難も問題なく進んでいるらしい。黒の騎士団から戦力を割けなかった関係で何でも屋のリョウ達に頼んだのだが、流石に仕事は早い。

 

「佐山リョウ。お前に、もう一つ仕事を頼みたい。報酬は避難誘導の10倍出す」

 

「ほぉ。随分と気前が良い話だな。どんな依頼だ?」

 

「こちらが所持している最新のナイトメアに乗って欲しい。お前の操縦技術があれば問題ないはずだ」

 

「阿呆か。断るに決まってんだろ」

 

考えるまでもなく、即答した。余りの速断にゼロも少し言葉が詰まるが、即座に詰め寄る。

 

「報酬に不満か?なら、更に積むことも吝かではない」

 

「そういう問題じゃねぇよ。最新鋭のナイトメアだぁ?そんなもんに乗れって言われて急に乗れるわけねぇだろ」

 

最新鋭のナイトメアということは当然、スペックも跳ね上がっている。それに乗らだけならばともかく、戦場で動かすとなれば当然慣れやマニュアルの読み込みも必要になる。その場しのぎで何とかなるようなものではない。

 

「分かっている。だが、マニュアルはあるし、今までの戦闘経験もお前にはある。ある程度乗りこなすことはできるはずだ」

 

「ある程度…ねぇ。そりゃ、ある程度は乗れるかもしれねぇが、お前んとこのカレンを乗せた方が何倍も上手く扱えると思うがな。ありゃ、マジもんの化け物だぜ」

 

リョウもカレンの練習相手として、何度かナイトメアでの戦闘をしてことはあるが、そこで本物の才能というモノを知った。そんな選択肢を持っているのならば、自身に頼る必要はないと断言できる。

 

「…カレンでは戦闘経験に不安がある。実戦でいきなり試すわけにもいかん」

 

「誰だってそりゃ初めてはあるだろうよ。カレンにとってはそれが此処だってだけの話だろ」

 

誰だって初めての壁はある。それから逃げようとしたところで、次にまた似たような壁にぶつかるだけ。そもそも、これからの戦いに備えて本格的な戦闘というものを黒の騎士団のメンバーに叩き込むこともナリタ攻防戦の狙いの一つだったはずだ。ルルーシュの言葉は完全に矛盾している。

 

リョウは面倒くさそうに頭を掻く。仮面で顔は見えないが、ゼロの心情など手に取るように分かる。

 

「特別扱いしすぎだろ。アイツだって戦士だ。危険だって承知で、お前についてるはずだぜ?」

 

「そんなものは分かっている」

 

「分かってねぇよ。一ミリも分かってねぇ。どんな綺麗事言おうとも、お前らがやってるのは命の取り合いだ。他人の命を奪っておいて、自分だけビビってんのか?そんな都合の良いもんじゃねぇよ、戦場ってのは」

 

E.U.時代からリョウは数えきれない戦場を経験している。そこにあるのは死に絶望に虚無。希望などはない。

 

「まあ、私は親友としてそこまでカレンを心配してくれてるのは嬉しいけどな。粗末にするようなら、この場でぶん殴ってる」

 

側で聞いていたアヤノはゼロの迷いに好感を感じていた。迷うのは大切だからだ。その迷いは決して責められるようなものではない。ただ、指揮官には許されないというだけの話だ。

 

「そりゃ、前提の話だよ。その上で、頼って、頼られなきゃならねぇ。なんでも一人で何とかしようとするから、抱えきれなくなるんだよ」

 

「その結果、何かを失ったとしてもか?」

 

「そうならないようにするのが、お前の仕事だろうよ」

 

その通りだ。その通りなのだが…イレギュラーが発生するのが戦場なのだ。イレギュラーの対応まで全て自分で行うなど、無理に決まっている。

 

「何でお前一人でやんなきゃいけねぇんだよ」

 

リョウが呆れ顔で呟く。

 

「仲間はお前とカレンだけじゃねぇだろうが。俯いてないで顔あげてみろよ。俯いたままで止まってるから、周りのもんが見えなくなるんだよ」

 

「うわ、偉そう」

 

「自分に酔ってない?あー、やだやだ。人間、年をとるとダメだね」

 

「うっせぇぞ、お前ら!!大体、俺はそんな年じゃねぇ!」

 

アヤノとユキヤに茶々を入れられたリョウは青筋を浮かべる。そもそも、らしくないことを言っているのは自分とて理解している。

 

「ま、アレだよね」

 

ユキヤが話をまとめるようにゼロに話しかける。

 

「どうせ、どんな選択をしたって何かしら後悔はするんだから諦めれば?その後悔をバネにして生きるしかないでしょ」

 

「身もふたもないなお前…」

 

ユキヤの今までの発言を全て無駄にするような発言に、アヤノの顔が引き攣る。

 

「だって、そうじゃない。金は貰ってるし、値段分のフォローはするけどね」

 

「少しは取り繕えお前は!何か良いこと言った感を出してるリョウを見習え!」

 

「だから、そう言うことを言うんじゃねぇよ!」

 

結局、揉めだした3人に頭が痛くなったゼロは早々に追い出し、依頼場所の方に行かせた。

 

落ち着いたが、結局問題は何も解決していない。無駄な時間を過ごしたルルーシュであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カレン。準備は良いか?加減を間違えるなよ。それ次第で無駄な被害が出かねない」 

 

「わかってるわよ」

 

紅蓮に乗ったカレンはゼロとの会話を終え、準備に取り掛かる…が一人になると先ほどの己の言葉とかを振り返ることになってしまい、顔を赤くする。物凄く臭いことをやってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カレン。やはり、お前に紅蓮に乗ってもらうことにした」

 

「当然よね」

 

ふん、とカレンは鼻を鳴らす。自他共に認める黒の騎士団最強のパイロットである自分がエース機に乗らないなどあり得ないとの考えからだ。

 

「だが、一つだけ条件がある。これを飲まなければお前にパイロットは任せない」

 

「条件?」

 

「ああ。今後、お前には様々な命令を下すだろう。だが、そのどんな命令よりも今から俺が言う命令を最上位に置け。最悪、それ以外の命令は無視しても構わない」

 

そこまで言われては流石にカレンも身構えざるを得ない。

 

「どんな命令なのよ?」

 

「生きろ」

 

「は?」

 

「今後、何があっても自分の命を最優先に行動しろ。何を捨てたとしても生きろ。それが、お前を紅蓮に乗せる条件だ」

 

その命令の意味が理解できなかったカレンはポカンとした顔を浮かべる…が、笑みへと変わる。

 

不器用すぎるだろう。この彼氏兼、主君兼、恩人は。

 

「その命令を聞いたって良いわ。だけど、条件がある。アンタも生きなさい。それが条件よ。それとね…」

 

カレンはそっと拳を前に突き出す。

 

「それは命令とか条件じゃないわよ。そういうのは約束って言うのよ。約束しましょう。私は死なない。アンタも死なない。これが約束よ」

 

ルルーシュは暫くカレンの拳をじっと見つめるが…諦めたようにため息を吐く。

 

「ああ…約束だ」

 

そう言うと、ルルーシュはカレンの拳と自身の拳を合わせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

何と臭いことをしてしまったのだろうか。

 

勝手に一人で照れているカレンだが、その照れに笑みが混じる。

 

「ま、気にしてる場合じゃないか。約束は守らないといけないしね」

 

紅蓮が輻射波動の準備を始める。今までも様々な対抗活動を行った思い出が蘇る。だが、本格的にブリタニアと正面から衝突した記憶は殆どない。これがある意味、もう一つの始まりだ。

 

「覚悟しなさいよ…ブリタニア」

 

輻射波動が発動し、ナリタを土砂崩れが襲った。

 

 

 

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