そもそも、そんなことする予定なかったって言ったら誰が信じてくれるんだろう。
何故私はこんな場所にいるのだろうか。
紅月カレンは真剣にそう考えていた。
「まずは、エントリーNo.1!優勝候補でもあるカレン・シュタットフェルト選手でーす!」
誰がエントリーしたのよ。誰が優勝候補よ。
カレンとしては、エントリーした覚えなど全くない。
やんわりと断ろうとしたのだが、強引どころか、ほとんど強制的に参加させられてしまったのだ。それにも関わらず
ウンザリした目でカレンは横を見る。
「ルルーシュ様を奪っちゃイヤー」
「何だよ、カレンさんも結局顔なのかよ!」
「憎しみで人が殺せたら……」
「信じらんない……絶対にルルリヴァが至上だと思ってたのに」
何故私が恨まれなければいけないのだろうか。若干恨みの方向がアレな人たちもいる気がするが、理不尽にも程がある。
加えて、腹立たしいことに、カレンの怒りを向ける方向がないのだ。
1番の元凶は会長と彰なのだから、この二人に怒れば良いと思うかもしれないが、会長に何を言ったところで無駄であろうし、彰に至っては論外である。
何故止めなかったのかとルルーシュに文句を言うことも考えたのだが、どうしてもできない。私以上に頭を抱えて、優勝賞品と書かれた王冠を被り、哀愁漂う姿で矢倉の上に座らされているルルーシュを見ているからだ。とてもではないが、文句など言えない。むしろ、同情すら沸いてくる。
「はあ……」
結局黙って勝つしかないのだ。負ければ、お母さんとお兄ちゃんの看病をすることができなくなるのだから。
とはいえ、勝つのも、それはそれで悪いと思っているのだ。何故ならば……
「続いて、二番人気!ルルーシュは渡さない!シャーリー・フェネットです!ルルーシュとの付き合いの長さを考えると、どっちが勝ってもおかしくありませんね」
「か、会長!?そんなんじゃないですから!!」
シャーリーがいるからだ。
私と違って本当にルルーシュのことが好きだということが目に見えて分かるシャーリーを差し置いて、私が勝つというのは非常に申し訳なく感じる。
まあ、杞憂だとは思うが。私よりも確実にルルーシュのことを知っているだろうし。
「最後に、大穴!ニーナ・アインシュタイン!正直、出たのがびっくりです!てか、何で出たの!?」
「譲れないものがあるんでしょう。私には分かります」
何を適当なことを言っているのだ、あいつは。
最後の参加者であるニーナの紹介も終わり、ようやく大会が始まる……始まってしまった。
「では、第一種目は……クイズです!」
「「「クイズ?」」」
「そうです。ルルーシュのことを一番知っているということをここで証明して貰います。ちなみに、全部で4問あります。一番得点の少ない人が脱落して上位二名には次の勝負をして貰います。」
いきなりの難問である。
そんなことを言われてもルルーシュのことをほとんど知らないカレンに分かるはずもない。
(まあ、良いか……無理なら、無理で頭を下げて頼み込めばルルーシュと彰なら別の方法を考えてくれるでしょ)
カレンはほとんど諦めてクイズの後のことを考えていたが
「第一問。ルルーシュのスリーサイズは?」
その内容に思わず頭を目の前にある机に強打する。
涙目になって周りを見ればルルーシュとシャーリーも似たようなことになっていた……というか
「「「ちょっと待てーーーー!!!」」」
カレン・ルルーシュ・シャーリーの叫びが見事なシンフォニーを奏でた。
「え?何か?」
司会の熊が如何にも不思議だという感じを出して頭を傾けている。その仕草に可愛いという人もいたが、中身の本性は可愛いという概念と反対側にいる人間である。
「何がじゃないで……ないと思うんですけど。そ、そのルルーシュ君のスリーサイズ何て分かるわけありませんし」
「そ、そーだよ!分かるわけないじゃん!」
「その通りだ!俺ですら知らない情報だ!答えがないものをクイズにして良いわけないだろ!」
三人の叫びは最もである。しかし
ピンポーン
え?という顔をした三人は、その発信源を目で追うとニーナが眼鏡を光らせていた。
そして……
「上から90・70・86です!」
「ニーナ選手大正解!三つともピタリ賞なので五ポイント獲得!」
「流石ですね。大穴の選手だけあります。さて、次のクイズは」
「「「いや、ちょっと待てーーー!!!」」」
「さっきから何なんですか、あなた方は。妨害ですか?」
「妨害でも何でもない!何なんだ、その数字は!何でお前らは正解を知ってるんだ!」
「ていうか、おかしいと思うんですけど!?何その具体的な数字!?怖いから聞きたくないんだけど、何でニーナはそんなこと知ってるの!?」
「いやん、聞かないでよ恥ずかしい」
「もうキャラブレブレじゃない!もう原作見てる人だってあんたが誰か分かんないわよ!」
「妄想という名の想像力は無敵なのよ……」
「お前は俺を脳内でどんな姿にしてるんだ!?」
「はい。クイズ中は静かに。常識ですよ?」
「常識を宇宙の彼方に放り投げてるお前に言われたくない!!!」
「ちなみに、こちらが答えを知っているのは屋敷に忍び込んでルルーシュに気付かれないようにサイズを測ったからです。さあ、これで良いですか?」
「「「常識どころか、普通に犯罪行為じゃねぇか!!誰かあいつを捕まえろーーー!!!」」」
「会長権限で許可したから無罪です。さあ、第二問はこれだ!」
「俺のプライバシーはどこへ!?」
この第一問のクイズで、ルルーシュ・シャーリー・カレンの三人は否応なく悟った。
(((このクイズこれから先も絶対に普通じゃない……)))
まあ、ぶっちゃけ今更ではあるのだが
こちらも今更ですが、ルルーシュのスリーサイズの情報は捏造です。