俺は日本解放戦線の桐島彰。
幼馴染みでもない四聖剣の人達と藤堂さんの部屋に遊びに行った俺は、黒ずくめのお茶菓子とお茶を発見した。
お茶を飲むのに夢中になっていた俺は背後から近寄ってくるその場の流れってやつに気が付かなかった。
俺はその空気に流されて、目が覚めたら
ブリタニア軍に潜入捜査をしていた!
日本人が潜入捜査をしていると奴等にバレたら回りの人間にも危害が及ぶ。
卜部博士の助言で正体を隠すことにした俺はモブのブリタニア兵に名前を聞かれてとっさに
コナン=エドガワと名乗り、父親が探偵をやっているというそのモブのブリタニア兵に取り入って潜入捜査をすることに成功した。
まだ潜入捜査の成果は出ていない。しかし、父親が探偵をやっているというモブのブリタニア兵の名に懸けて必ず成果をあげてやる。
ブリタニア兵になっても頭脳は同じ!迷宮なしの
「おい、そこのお前!何をしてる!ボサッとするな!」
「は!申し訳ありません!キューエル殿!」
はい、止めます。真面目にやります。大人しく潜入捜査をしますよ。
心の中で俺はため息を吐く。全く面倒なことになったもんだ。
「だ」
「第七世代ナイトメア」
「ランスロット」
「だと……!?」
いやあ、流石四聖剣の皆さんだ。仲が良い。まさか、四人で一つの文章を喋るとはねぇ。俺はそんな心底どうでも良いことを考えながら自分で淹れたお茶を飲んでいた。旨いなぁ。
「「「「そんなノンビリしてる場合か!!」」」」
本当に仲が良いことだ。まあ、落ち着いて下さいよ、どうせ今焦った所でできることは限られてるんですから。
俺がそんなことを言うと卜部さんが反論してきた。
「限られてることはないだろ!お前ならこの状況が分かってるはずだ!こっちが、必死で第六世代ナイトメアを超えるナイトメアを作ろうとしてるのに、向こうは既に第七世代ナイトメアを作っていたんだぞ!」
「まあ、まだ量産は無理みたいですけどね。詳しいことは流石に知らんすけど。もし量産化の目処が立ってるならもっと噂が広がってるはずですし」
「何を言っとる!量産が無理でも、もし、その機体にエース級の奴が乗れば手がつけられんぞ!」
「もし、じゃなくてほぼ確実にエース級の奴が乗りますよ。それもナイトオブラウンズクラスが。しかし、それならランスロットとは随分と凄い名前をつけたもんですね。裏切ることが前提とか?こっちは助かりますけど」
「そんな皮肉を言ってる場合か!乗るパイロットは決まっているのか?」
「流石にそこまでは。まあ、決まってたら厄介なことこの上ないですけどね。幾らこっちが有利でも一機で状況をひっくり返せる存在ですからねぇ」
「なら早く攻めこむべきだろ!今ならまだ十分に勝機がある!そうだろ?」
「無理です」
ずずーっとお茶を飲む。ちょっとは冷静になりましょうよ。お茶でもどうです?そう言って全員にお茶を淹れて渡すが誰も飲まない。悲しくなった。
「無理ですってお前!前に勝機はあるって言ってたじゃないか!あれは嘘だったのか!?」
「いえ、本当ですよ」
そんなことで嘘をついてもしょうがない。
「じゃあ、何で!?もしかして、その新しいナイトメアが原因か!?」
「それ以前の問題です」
四聖剣の皆さんは「はあ?」という顔をしてるが、藤堂さんは俺の言葉にハッとした顔になり、喋り出した。
「いや……そうか、だからなのか、桐島?お前は、だからこそ会議でこの話を言わなかったのか?」
そういうことです。流石藤堂さん話が早い。
俺が無言で頷くと藤堂さんは「やはりか……」と呟いて深く項垂れる。
しかし、話についていけていない四聖剣のメンバーは焦りながら聞いてくる。
「いやいや、二人だけで話を進めないで下さいよ!一体何の話をしてるんです?俺たちにも分かるように話して下さいよ!」
「そ、そうですよ!何がやはりなんですか?」
「このまま普通に攻め込めば100%負けるって話ですよ」
俺は至って冷静に淡々と事実を述べる。
「何でだよ!お前の話だと勝機はあるんだろ!?だったら」
「条件が違いますよ」
俺は側にあったお茶菓子を食べながら卜部さんの言葉を遮る。
その俺の言葉で真意に気付いた朝比奈さんは呟くように言う。
「そうか……租界の階層構造」
その朝比奈さんの言葉で言いたいことが分かった他の四聖剣の人達も苦い顔になる。そういうことですよ。
「ただでさえ、人数も武器の質も劣る俺たちがあんな場所に立て籠られたらどうしようもないです。戦いにすらならないです。ただの虐殺になります」
まあ、それでも行きたい奴を止める義理もないのだが、流石に長年同じ釜の飯を食べてきた者達を見殺しにする気にはなれない。
「なるほど……確かに、草壁中佐達なら強行手段を主張するだろう。それを止めるために会議ではこの情報を隠していた訳か」
「正確には少し違いますけどね」
パンっという音を鳴らしながら、お茶菓子のせんべいの袋を開けながら喋る。
「少し違う?」
朝比奈さんが怪訝な顔になる。旨いな、このせんべい。
「それは草壁さんを舐めすぎです。あの人なら、勝ち目がないことくらい流石に分かりますよ」
藤堂さんのような才能やカリスマ性はないが、自ら前線に出て死地を幾度も潜り抜けてきた人だ。成功率が一%ならやるだろうけど、絶対に負ける戦いに挑むほど馬鹿じゃない。
「は?じゃあ、誰が主張するんだよ?」
「正確には、草壁さんの下に付いてる過激派の連中です」
俺の発言に藤堂さんまでもが疑問符を浮かべた顔になる。あんたも分かってなかったんかい。
駄目だ、この脳筋たち。早く何とかしないと。
「この日本解放戦線には二つのグループがあります」
しょうがないので、一から説明する。誰か、政治ができる奴を連れてこい。
「一つは藤堂さんのグループ。これは言わずもがな。四聖剣の皆さんが筆頭ですね」
これが日本解放戦線の主流派。片瀬さんもこのグループ寄りだ。
……まあ、ぶっちゃけ藤堂さんを頼りにしてるだけだけどねあの人。そもそも、あの人に指導力があったなら、
こんなことにならなかった訳で。
「そして、もう一つが草壁さん達のグループ。テロを推進する過激派です。問題はこのグループが草壁さんを信じているんじゃなくて、自分達が思い浮かべた草壁さんを信じていることから生じているんですよ」
全員が更に疑問を深めた顔になる。
「このグループはほとんど全員日本の力を信じています。日本が本気を出せば、ブリタニアは倒せるとね。ここまでいくとこれは妄想です。狂気と言い換えても良い」
まあ、これは藤堂さんのグループにも言えることだが。言ったら怒るから言わないけど。全員が藤堂さんなら何とかしてくれると思っている。最早宗教である。藤堂教とかどうだろう。……入りたくねぇ。
「まあ、そうかもな。んで?この連中がどうしたって?」
「草壁さんはこの連中の蓋なんですよ。本人が自覚してるかは知らないですけど」
「蓋……だと?」
「ええ」
藤堂さんが渋い顔になる。ある程度言いたいことは伝わったらしい。
「草壁さんがある程度過激なことを実行してくれるから、こいつらのガス抜きになってるんですよ。その草壁さんまでもが自分達の行動を支持しないとなれば、こいつらは勝手に動きます。蓋からはみ出してね。そうなったら、制御不能です。何をするか分からない」
そうなったら、日本解放戦線というか、片瀬少将も終わりだろう。内部分裂何て問題を引き起こせばキョウトのジジイ共が黙っているはずがない。何だかんだでお人好しなあのロリ姫なら分からんが。
「なるほどな……そんなことになれば日本解放戦線はガタガタになる。片瀬少将の責任問題にもなるしな」
「それくらいで済めば良いですけどね」
片瀬少将に日本を解放するだけの手腕がないことなど、キョウトにも分かっている。
良くて左遷だが、最悪の場合………
「どういう意味だ?」
良く分からないという顔の卜部さんに何でもないと返事をする。今言っても信じないだろ。不信感を生むだけだし。
「うーむ、ならばどうするか。藤堂中佐。とりあえず、桐島に潜入捜査をさせて新型の状況だけでも確認させますか?」
「うむ。それが良いだろうな」
「え?ちょっと待って?何この流れ?」
真面目な話をしてたら急に無茶ぶりな話がきた。何それ、聞いてないよ?
「まあ、こいつならブリタニア兵に変装するの何か訳ないですし、大丈夫でしょ」
「いや、行かないっすよ?俺は基本的に命を大事にで行動してるんで」
幾ら変装したって敵陣のど真ん中に潜り込むのは色々大変なのだ。そんな面倒臭もとい危険なことをしたくはない。
「行けばお前の有給を倍にするぞ」
「喜んで行かせて頂きます!」
今考えると餌に釣られた感が凄いな。
まあ、いいや。俺は生きて帰ったら有給を使ってエンジョイするんだ。
……まあ、生きて帰る前にどこ行けば良いかすら今は分からんのだが。
ぶっちゃけ、迷子である。
しょうがない。適当な人でも探すか。
そう思って基地の内部をうろついていたのだが、丁度良い人がいない。怪しまれずにすむから、できれば名誉ブリタニア人が一番良いのだが……あ、いた。
「おい、そこのお前!」
「は!何でございましょうか!」
「特派とやらに用事があるのだが、それがどこか分からん!案内しろ!」
ブリタニア軍人が名誉ブリタニア人の日本人に話しかける演技をするのは非常に楽である。
メチャクチャ偉そうに振る舞えばそれっぽく見えるのだから。
実際、目の前の日本人も全く疑っていない。チョロ過ぎである。
「承知致しました!私
枢木スザクが責任をもって案内致します!」
困ったもう一人の主人公登場!
どんな扱いにしようかなぁ