ちょっと?変わったコードギアス   作:はないちもんめ

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シリアスで終わるのって難しいですね


18 優しさが別の人にとって優しさとは限らない

「もう少しで着きますから、もう少々お待ちください」

 

予定通りにブリタニア軍の内部に潜入。特派への侵入もここまでいけば順調にいけそうだ。しかし、昔の捜し物がこんな所で見つかるとは

 

枢木スザク

 

今は亡き枢木首相の唯一の息子。

 

その血筋から、日本解放戦線の御輿に丁度良いと思い、探していたのだが、藤堂さんの命令により止められてしまった。片瀬さんがリーダーよりも、よっぽど注目が得られると思うんだけどなぁ。

 

そのことを一度ロリ姫にも相談したのだが、あの人にしては珍しく断固反対という態度だった。

 

理由は「自分の責任から逃げた人だから」ということだった。何の話だ。まあ、予想はつくけど。てか、それ私情だろ。

 

加えて、腹だたしいことに戦闘能力は確かに高いが、頭は悪いとのこと。本当に嫌いなんだな。このロリ姫が、ここまでハッキリと人の悪口を言うのを始めて聞いた。

 

しかし、まあ、逆に言えばそんなロリ姫ですら認めざるを得ないほど戦闘能力は高いのだろう。戦士タイプか。カレンとどっちが上かな。

 

実際、ここまで歩いてるのを見ただけで身体能力の高さは感じられた。ここまで高いのであれば、確かに戦闘能力も高いのだろうが……何というか

 

(何だ?このチグハグな感じ)

 

バランスがおかしいのだ。試しに殺気をぶつけたりしたのだが、全く反応がない。一般人なら気付かないだろうが、名誉ブリタニア人として戦ってきて、ここまで戦闘能力が高いこいつが気付かないのはハッキリ言ってあり得ない。異常とも言える。

 

隠してる可能性も考えたが、反応からして本気で気づいていないようだ。

 

今までの経験上こういう人間には二つの可能性がある。一つは死ぬのを恐れず戦闘を楽しむタイプ。そしてもう一つが

 

死ぬために戦っているタイプ

 

直感だが、こいつは後者の気がする。

 

ため息を吐きたくなる。死ぬほど面倒臭いタイプだ。アキトも大概だったが、こいつは、更にその上をいっている。

 

恐らくこいつは、何度も死んでおかしくない戦場に出ている。

 

普通であれば、死ぬのだろうが、戦闘能力だけは無駄に高いこいつは死なずに生き残る。

 

生き残ったということは、戦った相手は死ぬということた。当たり前だが、そいつらは枢木スザクのことを恨むだろう。

 

そして、その恨みを忘れずに抱えて生きていく。それによって、更に激しい死地へと向かう。

 

まさに、地獄のような無限ループ。ドMもビックリのプレイである。

 

何でこいつがこんなことをしてるのか大体の理由は知っているが、理解はできない。

 

あれは別に、こいつの責任ではない。

 

こいつのことを嫌ってるロリ姫ですら、そのことでこいつを責めたことを聞いたことがない。

 

ただ、まあ逆に言えば

 

(誰かに責められたかったんだろうな、こいつは)

 

皆、こいつが私利私欲のためにした訳ではないことは知っていた。

 

だからこそ、責めなかった。咎めなかった。

 

その結果、自分が犯した罪を自分だけで攻め続けて、ある意味壊れてしまったのだろう。

 

ここまでいけば、俺がこいつに何を言った所で何も響かないだろう。今更、こいつが自分を許せるとは思えない。

 

思わず刀に力を入れる。…が、ため息を吐きながら、手を緩めた。

 

楽にしてやろうと思ったが、俺にそんな資格はない。

 

こいつの問題はこいつが解決せねばならない。例え、死ぬことがこいつの望みだったとしてもだ。

 

「着きました!こちらになります」

 

どうやら、そんな物騒なことを考えている間に着いたらしい。誰も居ないようだが…まあ、好都合か。

 

「ご苦労。後は下がっていろ」

 

「は!しかし、一体ロイドさんにどんなご用なのですか?」

 

「お前が知る必要は…ロイドさん?知り合いなのか?」

 

「はい!何回かテストパイロットとして、呼び出されたことがあります!」

 

ふーん。ということは、こいつがランスロットのパイロット候補か。

 

こいつの身体能力を考えれば、パイロットとしても一流なのだということは予想がつく。候補どころか、普通ならパイロット確定だろう。それが、未だに候補止まりということは、名誉ブリタニア人ということが関係してるのだろう。こちらとしては、好都合だが。

 

そんなことを考え、敵地で油断したのが失敗だった。

 

「探偵ごっこは」

 

考えることに気を取られていた俺は背後から近づいてくる男の気配に気が付かなかった。

 

「そこまでだよ」

 

俺はその男が仕掛けていた罠で発生した電撃が炸裂してるのを見た。失敗した…敵地で考え事に耽るとは、素人のようなミスをしてしまった。まあ、喰らったのは俺ではなく

 

「アババババ!!」

 

枢木スザクなのだが。立っていた場所が悪かったな。まあ、何か罠っぽい感じがしたから俺は、その場所には行かなかったのだけれど。

 

「あ、兄貴!?」

 

「こんなガキにつけられるとはねぇ」

 

全身が黒こげになったスザクがピクピク痙攣しながら何とか声を出す。

 

「な…何をするんですか、ロイドさん…僕は、ただこの人を案内しただけです」

 

「ロイドじゃない…兄貴だよ」

 

全身黒ずくめの格好のロイドは、そう答えた。

 

「このガキは確かジェットコースター殺人事件の時の」

 

「ジェットコースター殺人事件って何ですか!?エドガワさん僕とずっと一緒でしたよね!?」

 

「つけてやがったのか!クソが!兄貴!このガキばらしますか?」

 

「どんだけ悪ノリするんですか!?ていうか、何で二人とも黒ずくめの服装に着替えたんですか!?」

 

「いや、銃は不味い。まだ軍の関係者がいるかもしれないからねぇ」

 

「あなたがその軍の関係者ですが!?」

 

「だからこそ…」

 

ロイドは、懐からあるものを取り出す。それは

 

「セシル君が作った卵焼きを使おう」

 

真っ黒に焦げた卵焼き?だった。変な邪気が出ている気はするが。

 

「何でここで卵焼きぃ!?」

 

「何しろ体内から毒が発見されない代物らしいからねえ。まだ、人に食べさせたことはないんだけど」

 

「絶対に食べちゃいけない気がします!ちょ、ま、待って下さい、ロイドさん!いや、マジで!!」

 

そんなスザクの言葉を無視し、卵焼きがスザクの口に向かう。だが、入れられる、その瞬間

 

「何で人の料理をアポトキシン扱いしてるんですか?ロイドさん」

 

笑顔に青筋を浮かべながら現れたセシルがロイドが掴んでいた卵焼きをロイドの眼に眼鏡ごと突き入れた。

 

「ギャァア!?目が、目があ!?」

 

「バ○ス」

 

「エドガワサンは何を言ってるんですか!?」

 

「いや、何か言わなきゃいけない気がして」

 

そんなカオスの状況を無視して、セシルはため息を吐きながら喋る。

 

「全く…スザク君に失礼ですよ、ロイドさん。上司だからってやって良いことと悪いことがありますよ」

 

「セ、セシルさん…」

 

感動のあまり涙が出てきたスザク。だが、その涙は

 

「昨日作った卵焼きを食べさせる何て失礼ですよ。こんなこともあろうかと私がさっき作っておきました」

 

セシルの言葉で止まる。そして、すぐさま態勢を立て直し、その場から逃げようとする…が

 

「そんなにはしゃがなくても良いわよ、スザク君。食べ物は逃げないから」

 

目にもとまらない速度で後ろに回り、首を捕まれたスザクは動きを封じられ、床に叩きつけられた。効果はばつぐんだ。

 

「セ、セシルさん!作ってくださったのは大変嬉しいんですけど、今日僕はお腹の調子が悪くて!だから、ロイドさんとエドガワさんに渡して下さい!」

 

「遠慮しなくて良いわよ、スザク君。少し柔らかく作ったから消化にも良いわよ」

 

「消化に良いっていうか、胃ごと溶かされそうなんですが!?ロ、ロイドさんとエドガワさんも何か言って下さい!」

 

そう言って首を押さえられながらもスザクは何とか周りを見渡すが

 

「あら?あの二人何処かに行っちゃったわね」

 

逃げられてしまった。スザクは絶望のあまり青褪める。

 

「しょうがないわねぇ、あの二人にも食べてもらいたかったんだけど」

 

「そ、そうです!やはり、こういうのは皆で味わうべきです!で、ですから食事は次の機会に」

 

「スザク君に三つとも食べて貰えば大丈夫よね。スザク君。成長期なんだから残さず食べなきゃダメよ?」

 

そう言ったセシルはスザクの前に卵焼き?を並べていく。

 

スザクは目の前に死神が見えた。

 

しかし、そんなスザクを無視して食べやすい大きさにほぐした卵焼き?をスザクの口に持っていくセシル。

 

「はい、スザク君。食べさせてあげる。あーん」

 

「ノ、NOOOOOOOOOOO!!」

 

そのスザクの絶叫は租界にまで響いたらしい。

 




ここのセシルさんのモデルが誰かなんていうことは聞いてはいけない!

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