ちょっと?変わったコードギアス   作:はないちもんめ

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多分始めてシリアスっぽい感じになった


20 隠したいものはベッドの下に置いておこう

「いやあ、やはり天気が良いというのは素晴らしいね!何てことない景色でも素晴らしく見える!そうは思わないかい?」

 

「仰る通りです、殿下!」

 

「ここに妹がなおさら、良いんだけどね!そうは思わないかい?」

 

「仰る通りです、殿下!」

 

「もちろん、弟でも全く構わないよ!僕は皆平等に愛すからね!全く…何で弟を愛し隊がなかったのか、理解に苦しむ…そうは思わないかい?」

 

「仰る通りです、殿下!」

 

…信じられるか?この二人さっきからずっとこんな会話を繰り返してるんだぜ?本気なんだぜ?ギャグじゃないんだぜ?

 

ここまで不毛なやり取りを繰り返すことができる姿にはある意味尊敬を覚える。お互い楽しそうにしているが何が何が楽しいのか全く分からない。

 

先程の偶然の出会いの際にクロヴィスから「絵を描くから見てみないか?」のようなことを言われて断る術もなくここにいる。

 

そんなことがなければ、クロヴィスにもジェレミアにも用事がない俺がここにいる理由は全くない。

 

まあ、こんな不毛なやり取りをただ見ている時間にも一定の意味はあった。それは

 

「あの二人のためにも、ここを住み良い場所にしなければいけないというのに…全く、どうしてこうも上手くいかないんだ」

 

クロヴィスが他のブリタニア人の貴族のように日本人を特別蔑んではいないということを知れたことだ。(まあ、ブリタニア人よりも下の人種だとは思っているようだが)

 

こいつの言葉が本当なのだとしたら、こいつは別に日本人を差別するつもりはないのだろう。つまり、こいつは別に悪党なのではない。

 

ぶっちゃければ、統治者としては無能なのだ。根本的に統治者に向いていないのだ。

 

「殿下!殿下の素晴らしい支援は私も存じています!たかがイレブンのために、そこまでする殿下の優しさに感動しています!近い将来必ずやその成果は出るでしょう!」

 

出ねぇよ。

 

喉まで出たその言葉を彰は必死に押し込めた。

 

クロヴィスが何をやっているか詳しくは知らんが、こいつの日本人のためにやっているという支援のほとんどは日本人に届いていない。

 

支援の話が事実ならば、その支援とやらのほとんどは日本人に届く前に吸収されている。つまりは、汚職や横領によってブリタニアの偉い奴等の懐にしか流れていないのだ。

 

日本人に支援を行き届かせたいなら、こいつらを摘発しなければならないが、ぶっちゃけ、無理だろう。

 

クロヴィスは権力は持っていても、能力がない。

 

この状態で摘発しようとしたところで、とかげの尻尾切りで終わりだ。

 

そもそも、録に政治経験もない癖に反政府組織の多い日本の統治者になろうとするのが間違っている。そんなもんできるわけがない。てか、良く周りに止められなかったな。

 

…ん?そう言えば何でブリタニア皇帝はクロヴィス何かを日本に派遣したんだ?いきなりこんな難易度が高いところに飛ばしても上手く統治ができないことなど分かりきっている。ブリタニア皇帝がそんなことに気付かないはずがない。

 

ということは、別に上手くいかなくても良いと思っているということになるが…何で?

 

何か自分が核心に近いところに近づいた感覚に襲われた彰だが、残念だがここは敵地であり、長々とこんなことを考えていられる場所ではない。

 

小さく舌打ちをしながら現実へと思考を戻す。

 

後に、この時にもっと良く考えておけば良かったと後悔することになるのだが、そんなことはこの時の彰には知る由もなかった。

 

そして、それと同時に絵を描きあげたクロヴィスが声を上げる。

 

「さあ、できた!ジェレミア見てくれ!そこの君も見ても良いよ!」

 

「流石は殿下!素晴らしい腕前でございます!」

 

「素晴らしいですね…言葉が出ないとはこのことです」

 

ジェレミアだけでなく、絵を見せられた彰も関心の声を上げる。

 

お世辞でも何でもなくクロヴィスの絵が本当に素晴らしかったからだ。

 

(いや、お前大人しくブリタニアで絵を描いてろよ)

 

彰の心からのツッコミだった。こんな意外な才能があるのなら何故敢えて日本でポンコツ統治者をやっているのだろうか。全力で転職をおすすめしたい。

 

「ふふふ。最近忙しくて絵を描く時間がなくなってたからね。こういう安全な場所でのんびり描けるっていうのは、リラックスするねぇ」

 

いや、すぐ後ろにテロリストがいますけどね。

 

クロヴィスは完全に彰の射程圏内にいる。つまり、殺ろうと思えば何時でも彰はクロヴィスを殺ることができるわけだ…が…

 

(ここまで隙だらけだと逆に殺る気が削がれるな…)

 

そもそも彰にクロヴィスを殺す気など無いのだが、例え殺る気だったとしても多分殺す気がなくなってただろう。

 

そんな彰の心情など知る由もないクロヴィスは誉められたことと良い気分で絵を描いていることで、機嫌が良いのか楽しそうに今まで描いた絵を見せてくれた。別に頼んではいないのだけれど。

 

しかし、美術に詳しくない彰でもそれらの絵は綺麗に見えたので単純に楽しみながら絵を見ていた。衝撃で一瞬無防備になる、とある一枚の絵を見せられるまでは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルルーシュは、態度には見せなかったがそこそこ疲れていた。

 

家でナナリーとゆっくり過ごすはずだったのに、来ていたカレンが「良い天気だから、ナナリーと散歩してくるわ」と出かけようとするものだから、シスコン代表のルルーシュに行かないという選択肢は存在せず、一緒に行くことになってしまった。俺の休みを返せと全力で叫びたかった。

 

しかもカレンのいう散歩とは、ルルーシュの定義ではピクニックに近いものだった。何処の誰が散歩で野原を走り回ると思うだろうか。

 

本来のルルーシュであれば、怒って止めていたのだろうがナナリーが喜んでいたのでは、ルルーシュとしても怒りようがない。ナナリーからすれば、過保護なルルーシュと一緒では絶対にできない遊びが出来て楽しかったのだ。まあ、とはいえ

 

「疲れた…あいつの体力は一体どうなっているんだ…」

 

ルルーシュがカレンと同じ運動量を普通にこなせるわけがないのだが。それでも、カレンにとっては本当に散歩の範疇にあるのはご愛嬌である。そんなルルーシュに突然声がかかる。とはいえ、知り合いの声なので焦ることもなかったが。

 

「よーう。お疲れだねぇ、お兄様」

 

「全くお前は…普通に玄関から入って来れないのか?」

 

顔も向けずに来客である彰へと話しかけるルルーシュ。彰も当然のように答える。

 

「登場にはインパクトが大事なんだよ。驚いたろ?」

 

「お前じゃなければな。今更お前がどんな登場をしても驚きはしない。それで何の用だ?大したことじゃないなら、疲れてるから帰ってくれ」

 

「いきなり来た客に冷たいねぇ。何かあったの?」

 

「カレンの散歩に付き合わされてな…あんなものを散歩とは俺は認めん」

 

「やれやれ…体力がないな。あの母親の子供だってのに」

 

その言葉にルルーシュの動きが一瞬止まった。他の人が見れば分からなかったかもしれないが、彰にとってはそれで充分だった。そして、そのお陰で彰の推測は確信へと変わった。

 

「何の話だ?俺の母親は別に「いないんだよ」何?」

 

ルルーシュの言葉を彰が遮る。

 

「知り合いに頼んで調べさせたが、『ランペルージ』というブリタニアの貴族は確かに存在する。いや、正確に言えば存在した。50年以上前にな」

 

彰の言葉で動揺した心をルルーシュは無理矢理押さえ込んだ。

 

「そうか。確かにお前が調べた資料だとそうかもしれんが所詮は資料だ。漏れなど無数に存在する」

 

「はっ。確かに。俺も最初はそう思ってた。まさに、悪魔の証明だ。いないということを証明するのは案外難しい。だが」

 

彰は言葉を続ける。

 

「今日、別件でクロヴィスの所に忍び込んだ。そこであるものを目にしたんだ。本当に偶然だった。流石に目を疑ったぜ」

 

彰は懐から一枚の写真を取り出し、ルルーシュに投げて渡す。受け取ったルルーシュは息を飲んだ。そこに写っていたのは一枚の絵だった。だが、問題はその絵の被写体だった。何故なら、そこにはクロヴィスとユーフェミアとコーネリアの三人と

 

「お前とナナリー…だよな。かなり幼いが。愛されてたんだな。今でも良く書いてるらしいぜ。亡くなった弟と妹に思いを馳せながらな。優しいお兄様だ」

 

ルルーシュは歯を食いしばる。何か言葉を返さないといけない。しかし、返す前に彰の方が先に口を開いた。

 

「ルルーシュ・ランペルージとナナリー・ランペルージが密かに存在していた。もちろん、その可能性もあるが俺はもう一つの可能性の方が遥かに高いと思うぜ?お前らは日本に人質として送られてきた。そして戦争に巻き込まれ亡くなったと思われていた兄弟だ」

 

止めろと怒鳴りたいがルルーシュの叫びは声にならない。その間も彰の言葉は続く。

 

「あの状況を歩けない上に目も見えない妹と良く生き延びたもんだ。さてと、改めて挨拶といこうか。なあ、お兄様。いや、こう言い換えた方が良いか

 

 

 

 

 

 

 

 

第17位皇位継承者ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア」




ご都合主義なのはご容赦を!
そして、『ランペルージ』の話は捏造です。

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