ちょっと?変わったコードギアス   作:はないちもんめ

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ちょい短めですが、この期間の投稿は珍しい


27 久し振りに再開した人は結構変わっている人が多い

(くっ…まさか、私一人で毒ガスを持って逃げることになるなんて…)

 

カレンは予想外の展開に舌打ちをする。本来であれば、二人で逃げて一人は乗せてあるナイトメアを使って敵を足止めする作戦だったのだが、もう一人は運悪く、乱射された銃に当たってしまい、帰らぬ人になってしまった。

 

一人しかいないのではナイトメアを使えるはずがない。

 

その結果として…

 

「そこのトラックは今すぐ停止しろ!さもなくば、発砲する!」

 

などという怒号が上空や、後ろから絶え間なく聞こえてくるにも関わらず、逃げるしかできないという状況を生んでいる。もちろん、そんなことを言いながら、雨あられのように銃弾が撃たれているのは言うまでもない。

 

(どうすれば良い!?一体どうやって逃げれば…)

 

カレンは自らの思考回路をフル回転させ、脱出方法を考えていた。そんな時に

 

『はいはーい。カレンちゃんに嬉しいお知らせです。助けてやるんで、今すぐ俺の言う通りに動いてくださいな』

 

無線から最近良く聞く声が響いた。しかし、その声は今この場で聞こえるはずがないものだった。

 

カレンは、あり得ない展開に思わず無線に向かって怒鳴ってしまう。

 

「彰!?あんた何でここにいんのよ!?というか、一体何でこのこと知ってんのよ!?そもそも、私はあんたらに来て欲しくなくて言わなかったのに、何で来ちゃうのよ!!」

 

『質問が多いっつーの。時間があれば、答えてやるんだが、今はそんな暇ないでしょーが。さっさと動け。動いた先にアイツが待ってるから指示に従いな』

 

「私の話聞きなさいよ!てか、アイツってまさか!?何で呼んだのよ!あんたにも、アイツにも関わって欲しくなかったのに…だから、私は…」

 

自分たち家族の恩人である二人を自分たちのエゴに巻き込みたくなかった。カレンの言葉からは、そんなカレンの心情が嫌という程伝わってきた。

 

『お前が俺たちにこのことを言わなかったのと同じ理由だよ』

 

一拍置いて彰は続ける。

 

『俺たちもお前に死んで欲しくなかったってだけだ。それに、お前が居なくなったら俺一人で、あの顔と頭が良いだけのガラスメンタルなシスコンを一人で面倒見なきゃならねーんだぞ?やってられねぇよ、俺は』

 

『何を勝手なことを言っている』

 

また別の男の声が無線から響いた。その声も、カレンにとっては聞き覚えのあるものだった。

 

来て欲しくはなかった者の声にカレンは帰るように言おうとするが、男の方が早かった。

 

『良いか、カレン。異論も反論も許さん。早く、このバカの指示に従って俺のところに移動しろ。言っておくが、お前に死ぬ権利はないぞ。お前は言ったな?俺と俺の大切なものを守ると。ならば、最後まで守り通してみせろ。途中で逃げるな』

 

『別に良いけど、男としてそのセリフはどうなんだ?』

 

『俺がキングならカレンはエースだ。役割分担の問題なのだから、問題ない』

 

『は!上手い例えだな。だったら、俺はジャッカルか?』

 

『ふん。お前がそんなタマか』

 

『なら、俺はジョーカーだな。ジョーカーらしく切り札的な感じで、この戦いを終わらせてやるさ』

 

『お前は何もしなくて良い。俺の初陣だ。黙って見ていろ』

 

『お前こそ、キングなら黙って守られてろ!そもそもだ、この彰君がクロヴィス如きに殺られるかもと思われていたことが我慢ならん。そろそろ本気出して、ジョーカーの力を見せてやるよ』

 

外が戦場なのだということが信じられないくらいに、いつも通りな二人の会話を聞いていると思わず笑みが溢れてくる。

 

そして、カレンは気付いてしまった。

 

自分が何を言ったところでこの二人は私の話など全く聞かずに、自分を助けるために動くであろうことを。

 

自分がまだ死にたくないことを。生きて、また何時もの日常に戻りたいと願っていることを。

 

「全く…助けられる側の意見を全く聞かずに助けようとする人間なんている?」

 

『少なくとも俺は一人知ってるな。人の話など全く聞かずに好き勝手やる馬鹿を』

 

『俺も一人知ってるぞ。何だかんだと理由をつけないと動くこともできない変なところでお人好しのシスコンを』

 

カレンは不思議な気持ちになった。追われている現状は変わらない。絶体絶命な危機なことに変わりはない。なのに、何故だか分からないが…全く負ける気がしない。

 

「分かったわよ…で?どう逃げれば良いの?」

 

『次の道路で右折しろ。そのまま真っ直ぐ行けば地下道に繋がる道があるからそこに逃げろ。そうすれば飛んでるハエは追って来れない』

 

「車は追ってくるわよ?」

 

『そうだろうな。まあ…その時まで動いていられたらの話だがな』

 

直後。後ろで轟音が鳴り響いた。確認すると、後ろの車は木っ端微塵に吹き飛んでいた。

 

『はっはー。派手な開戦の狼煙になったな』

 

「あんた何したのよ!?」

 

『ただ、バズーカを撃っただけだ。それより急ぎな。今ならハエの注意も俺のところに向いてるから逃げやすい』

 

「分かった。気をつけなさいよ」

 

『お互いにな』

 

さてと、と言いながら彰は無線を切り、思考を巡らせる。品川のレジスタンスには、民間人の救助に当たるように命じたが、指揮官が頼りない現状では不安が残る。自分が行けばベストだが、カレンたちと合流を先にしたい身としては、それは悪手。ならば、あまり使いたくない手だが、リョウにでも行かせるかと電話に手をかけた瞬間に電話が鳴る。相手は

 

『よう、助けは必要か?』

 

「貸しなら今度飯奢りますよ。最高のタイミングですよ卜部さん」

 

本当に最高の人が最高の時に電話をしてくれた。保険として、まだリョウに動いて欲しくない彰としては、卜部は最高の助っ人だった。

 

『そいつは良かった。会議をすっぽかした甲斐があったってもんだ』

 

「最高の判断っす!グッジョブ!」

 

『感謝しろよ?お前の分も含めて二人が会議を抜ける言い訳も考えてやったんだからな?』

 

この人本当に気が利きすぎる。女に飢えていると思うので、今度安い風俗にでも連れて行ってあげよう。

 

「そんじゃ、卜部さん。今から俺が教える番号のレジスタンスと合流して、民間人の救助を指揮してください。詳しいことは、また連絡します」

 

『ああ、分かった。気をつけろよ』

 

再びお礼を言って、カレン達の所に向かう彰。戦いの本番が今まさに始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、カレンと合流したルルーシュの前には予想外の人が立っていた。

 

「もしかして…ルルーシュか?僕だよ。スザクだ」

 

「スザクか!?お前…メガネをかけるようになったのか?」

 

 

 

 

 

 




〜日本解放戦線〜
千葉「ん?卜部さんからか?なになに?」

『俺と彰は、乾燥による肌荒れと潤いをケアするために会議を欠席するから、上手く言い訳を頼む』

千葉「…女子高生か!言えるわけないだろうが!もっとマシな言い訳を持ってこんか!」


彰が本当に感謝すべきは、千葉なのではないかという舞台裏。

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