ちょっと?変わったコードギアス   作:はないちもんめ

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今年最後の投稿ですね・・・間に合って良かった


4日本人の文化・・・それは

「・・・なるほどな」

 

ようやくカオスの状況が収まり、まともな話し合いが行える空気になったので桐島はようやくナナリーとの出会いから今に至るまでの流れを説明した。

 

自身が日本解放戦線のメンバーであり、テロを起こしたグループにいたことだけは黙っていたが。

 

テロに巻き込まれたナナリーの家族であるルルーシュには後で教える予定だったが、他の人には教えない方が良いだろうという判断からだ。

 

イタズラに怖がらせる必要はないし、学生ならば知らない方が良いと思ったのかもしれない。

 

桐島(いや、だって警察とか呼ばれたら面倒臭いし)

 

……思ったのかもしれない。

 

「そっか、そんな状況になりながらナナちゃんを助けてくれたんだ……ありがとう、桐島君」

 

「俺からもお礼を言わせてくれ。ありがとう桐島」

 

「生徒会長である私からもお礼を言わせて貰うわ。ありがとう桐島君」

 

「ありがとうございます桐島様。ナナリー様を救って下さって。本当に何と申し上げれば良いか……」

 

その場のほとんど全員からお礼を言われて桐島も有頂天になる。

 

「いやあ……はっはっはっ。何を言っているんですか。人助けをするなんて当たり前じゃないですか。情けは人のためにあらずってね。日本人なら皆心掛けてることですよ」

 

何て素晴らしい人なんだという目で見られて、更に誇らしげになる桐島。

 

ただのマッチポンプであるのだが、ここまでいくと清清しいものである。

 

「……何なのよ、イレブンの癖に」

 

しかし、ニーナだけはまだ桐島に敵意を向けている。

 

「ちょっとニーナ!失礼でしょ!!」

 

「そうだぜ、ニーナ!!わざわざナナリーを助けてくれた人に」

 

「助けた何てまだ分からないじゃない!こんなイレブンの言うことを信じるなんて皆どうかしてるわよ!あの爆発だって、この人達がやったんじゃないの!?」

 

その通りである。

 

「ニーナ!幾らなんでも言い過ぎよ!そんな訳ないでしょ!!」

 

残念ながら、そんな訳があるのである。

 

「申し訳ありません、桐島様。私の方から謝罪を」

 

「いえ、良いんですよ」

 

当たり前である。本当のことなのだから。

 

しかし、そんな事実など知らない、かのように物憂げな顔をしながら、桐島は語る。

 

「日本人ってだけで差別を受けるのはもう慣れました。でも、思うんですよ……皆が幸せな世界を作れたら良いなって。難しいですかね」

 

寂しそうな顔をして語る桐島に同情的な視線が向く中桐島は考える。

 

(やべぇよ、あの眼鏡の子正解知ってるよ。やべえよ、コ○ン君だよ。何とかあの子を騙せる手段を考えないと)

 

この男は一回くらい死んだ方が良いかもしれない。

 

(何とかあの子の敵対心を和らげる方法はないか……待てよ?何か喜ぶものをあげたら日本人のイメージも良くなるんじゃないか?日本人の文化で眼鏡で地味で大人しい女の子が喜ぶものと言えば……何だ、ちょうど良いものがあるじゃん)

 

「ニーナさん」

 

「な・・何ですか」

 

「もしかして、日本人のことが苦手ですか?」

 

「そ・・・それに何か問題があるんですか!!??」

 

「いや、問題は無いですよ。価値観なんて人それぞれですし」

 

そうは言いながら、徐に彰は自分のバッグを広げて中にある袋をニーナに渡す。

 

「ただ、もしかしたらニーナさんが日本人のことが嫌いなのはもしかしたら日本人のことを知らないからかもしれません。ですから、これを受け取って下さい」

 

「こ、これは?」

 

「日本人の文化です。これを見ればニーナさんも日本人のことを好きになってくれるかもしれません」

 

ニーナは不審に思いながらも袋の中を開けてみる。そこには

 

「こ、これは!!!」

 

ニーナの頭の中に電流が走る。

 

「あなたが神か?」

 

「BL?同人誌?何のことです?」

 

「彰さん・・・」

 

「何でしょうか?」

 

ニーナは顔を赤らめながら手を差し出し、桐島は悪い笑顔を浮かべながら、その手を握る。

 

「日本人の文化って素晴らしいですね!!」

 

「分かってくれて良かった」

 

「「「ええええええ!!!???」」」

 

「ちょっと待てえ!!!!お前一体ニーナに何を渡した!?」

 

ニーナの日本人嫌いを知っている他の面々は驚愕の表情を浮かべ、リヴァルは思わず桐島に詰め寄った。

 

「だから、言ったろ?日本人の文化だよ」

 

「それが何かって聞いたんだよ!!」

 

「何だよ、そんなに女の子の秘密知りたいのか?そんなだから、モテないんだよ。本命の女の子に振り向いて貰えないんだよ」

 

「そ、そ、そ、そんなことねえし!!結構モテてるし!!」

 

「いや、あんたはモテてないでしょ」

 

「「うん」」

 

「会長!!??皆も酷くね!!??」

 

ここぞとばかりに、リヴァルをからかい出す生徒会メンバー。これで話は穏やかな方に流れたかのように見えた。しかし

 

「リヴァルがモテるかどうかはどうでも良いが」

 

「ルルーシュ!!??どうでも良くねえよ!!」

 

「お前の話を完全に信じる気にはなれん」

 

話に加わらずに冷静に見ていたルルーシュは、騙されてはくれなかった。

 

「ちょ、ちょっとルル!!言い方を」

 

「現状、桐島が言ったことは飽くまでも桐島が言っただけだ。俺に話が本当かどうかを確かめる手段がない以上俺に桐島を信じることはできない」

 

「そ、そうかもしれないけど」

 

周りのメンバーは桐島を庇いたかったが、ルルーシュの言葉は正論なので、フォローすることはできない。

 

しかし、そんなルルーシュの言葉を聞いて桐島は内心ルルーシュに好感を持っていた。

 

状況や雰囲気に流されず、冷静に事実だけを見て判断できるその姿が好ましく感じたからだ。

 

「ふう・・・とはいえ、ナナリーを助けてくれたのもまた事実・・・か。会長。皆も遅いし、親も心配だろうから、もう帰って下さい」

 

「ま。そうだな。子供は寝る時間だ」

 

「桐島君も同い年くらいでしょ!!てか、え?もうこんな時間!!??」

 

「やっべ、もう帰らないと!!」

 

「本当だ、もう帰らないと。ありがとう、彰君。日本人について教えてくれて」

 

「変わったわね、ニーナ・・・じゃあ、私も帰るわね。本当にありがとう桐島君。ルルーシュ。あんまり虐めちゃだめよ」

 

「会長の中で俺はどういう人になっているんですか・・・」

 

そんなことを言いながら生徒会の他のメンバーは帰って行った。

 

その姿を笑って見送っていたルルーシュは全員が完全に帰ったことを見送ると一転真顔になり、咲世子に話しかけた。

 

「咲世子さん。申し訳ありませんが、ナナリーを部屋まで運んで貰えませんか?俺は桐島と二人で話したいことがありますので」

 

しかし、その申し出はルルーシュの身を案じる咲世子には受け入れがたいものであった。

 

確かに、ナナリーを助けてくれたことには感謝をしているが、身元不明の不審者を自身の主と二人きりにすることはできない。

 

「ルルーシュ様。それは」

 

「お願いです。咲世子さん」

 

咲世子は断ろうとしたのだが、ルルーシュに真っすぐに見つめられて、それ以上の言葉は出てこなかった。

 

「・・・承知しました」

 

咲世子はナナリーの体を静かに抱え上げ、ナナリーの部屋の方へと運ぶ。咲世子が出て行ったことで、そこにはルルーシュと桐島の二人きりになる。

 

「くくく・・・あんた大分慕われてるな。友達も可愛い子ばっかりだし、人生勝ち組だねえ。羨ましい」

 

「そんな話は良い」

 

立ち上がっていたルルーシュはドカッと椅子に座る。

 

「本当のことを話せ」

 

「本当のこと?」

 

「とぼけるな。お前のさっきの話は本当の話が大部分なのだろうが、嘘も大分含まれているんだろ?だから、お前が話易いように二人きりになってやったんだ」

 

「何の話か分かんねえなあ」

 

「ふん、白々しい。お前の話は所々抜けがあった。お前の住所、現在何をしているか、そして何より何でナナリーが倒れた場面に出くわしたのか。それらの説明が酷く曖昧だった。何より気に食わないのは、お前は自分の話に抜けがあることを承知の上で俺たちに話したように感じられる点だ。まるで、後で本当のことを話すのだから構わないと思っているかのようにな。正直に言え」

 

ルルーシュは冷たい目で桐島を見る。

 

「お前は何者だ?」

 

桐島は感心する。自分が残した僅かな手掛かりを基に、ここまでの推測ができるルルーシュに。

 

(まだ学生でこれかよ・・・天才ってのはいるもんだな)

 

「そこまで分かってるなら、俺の正体も薄々分かってんだろ?ルルーシュ」

 

「・・・テロリスト・・・か、それとも他国の諜報員か。そんな所だろ」

 

「正解、正解、だいせーかい」

 

パチパチと拍手をして正解を祝福する桐島をルルーシュは冷静に見つめる。

 

「改めて、自己紹介といこうかお兄様」

 

すくっと立ち上がって桐島は告げる。

 

「俺は日本解放戦線の桐島彰一等兵だ。以後、宜しく」

 

これが日本を、いや、世界をひっくり返すことになる二人の本当の意味でのファーストコンタクトであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




来年もこれぐらいのペースで投稿できたら良いな(希望)

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