ちょっと?変わったコードギアス   作:はないちもんめ

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この作品は基本的に紅月家に優しい世界…つまりカレンにも優しい世界…そのはずなんだよなぁ…


45 告白は場所と時間を考えてからやれ!

「そうですか。日本解放戦線とゼロ様が手を組みになったと。個人的には大賛成ですが、解放戦線としては悪手じゃありませんか?彰様」

 

「ここまでいったらなるようにしかなりませんよ、神楽耶様」

 

デスゲームから暫くして、ようやく本題に入れた彰は神楽耶の所に来た理由を話し始めた。その過程で彰がゼロではないことをとりあえず受け入れた(完全に信じてはいない模様)神楽耶は、解放戦線の行動に疑問符を浮かべるが、彰としてはもうどうしようもない問題だと匙を投げるしかない。

 

この問題はルルーシュが言っていたように、避けようがない問題だ。今回の話はその問題を加熱させただけだろう。

 

神楽耶もそう思ったのか、話をスッと切り替えた。

 

「少なくともゼロ様と面識がある彰様から見れば、今回の問題はどっちにも付きづらいですわね。下手なことをすれば、ゼロ様と対立することになりかねませんし」

 

「俺一言も知り合いだなんて言ってないと思うんですが?」

 

「まあ!知り合いじゃないと?と言うことは、たまたま彰様が戦闘に参加したシンジュクで、たまたまクロヴィスが亡くなって、たまたまその時の犯人がゼロ様で、たまたまゼロ様が解放戦線とお会いになられて、たまたまそれを彰様が私にお知らせする役目を授かったと?凄い偶然ですわね。それならたまたま明日世界が滅んでブリタニアが滅亡する可能性もありそうですわ」

 

ニッコリと微笑んで嫌味のオンパレードを捲したてる神楽耶に、彰の顔は引き攣る。

 

だから嫌なんだよ、この人に会うの。

 

無駄に鋭いんだもの。無駄に優秀なんだもの。

 

彰は降参とばかりに両手を挙げる。

 

「はいはい。認めますよ。確かに俺の知り合いですが、正体は死んでも言えませんので脅しても無駄ですよ」

 

「大丈夫ですわ。私時間の無駄は嫌いですし、ゼロ様に直接お聞きしますから。もちろん実は彰様でしたーってオチもウェルカムですわ!」

 

「ねーですよ、そんなオチ」

 

「ここでは、そう言うことにしときましょうか。では、話が変わりますが、あの裏切り者のクズやろうが、ゼロ様に助けられた恩義も忘れて、ブリタニア兵として学園生活を送っているという話をアキトから聞いたのですが、本当なのですか?」

 

「噂によるとそうですね」

 

カレンとナナリーから聞いたので間違い無いのだが、ここではそういうことにしておこう。

 

「そうですか。お会いしたことは?」

 

「二度ほどありますね」

 

「ダメですわ!ちゃんと害虫は駆除しておかないと!」

 

「相変わらずですね、あんた」

 

先程から露骨に嫌悪感を出している神楽耶を見て、彰は嫌われてるなぁと呟く。チラリと後ろに立っているアキトを見ると、ジッと俺を見ていた。その目が何とかしろと言っているのだが、無茶苦茶にも程がある。卵焼き係として苦労してるって言ったら許してくれるかな。

 

ぶっちゃけ、彰が若干スザクに甘いのはこれが原因だったりする。ここまで嫌われてると優しくしてあげたくなるものだ。

 

「まあ、殺すかどうかはともかくスザクの周辺には注意が必要ですね。一応手は考えてるんで監視くらいはしときますよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

所変わって場所はアッシュフォード学園。

 

全く違う場所で散々罵倒されていたが、スザクは案外すんなりと学園のみんなに受け入れられた。

 

日本人だって別に良いじゃない!と空気を読まずにスザクに積極的に話しかけたシャーリーと、ルルーシュの幼馴染と聞いてから目を輝かせてスザクに関わるようになったニーナの存在が大きかったのだ。

 

その二人があまりにも自然とスザクと話すものだから周りも差別などできなくなり、スザクも予想できなかったくらいに平凡な学園生活のスタートを切ることができたのだが

 

(頭良い癖に肝心の所が抜けてるのよね、アイツは本当に!)

 

そんなこととは関係なしに、トラブルというものは起きるものなのである。

 

アッシュフォード学園の廊下を必死の形相で走りながら、カレンは頭の中でルルーシュに文句を言いまくっていた。

 

何故カレンがそんなに必死になっているのかと言うと、ルルーシュからゼロのお面を被った猫を探すように言われたからだ。

 

何でそんなことになるのよ!馬鹿じゃないの!?と散々カレンはルルーシュに文句を言ったが、だからと言って手伝わないという選択肢はカレンには存在せず、嫌でも手伝うことになってしまった。

 

誰かに見られでもしたら問題になるのは明らかなので、二人は別れて先程から懸命に探していた。そんな折に

 

『はーい、皆さん!生徒会長のミレイです!今から報告がありまーす!』

 

校内放送が鳴り響いた。

 

カレンは嫌な予感がした。普段からボケに振り回されているが故に身に付いてしまった悲しい直感である。

 

『今から特別イベントです!校内にいる猫を探し出した人に!来年の部費を2倍にする権利と、生徒会メンバーの誰かからキスをしてもらえる権利を差し上げます!』

 

カレンの嫌な予感が的中してしまった。何を考えているのだあの会長は。カレンは自らのキスが権利に加えられたこともあり、更に必死になりながら猫を探すために移動する。が、校内放送はそこで終わりではなかった。

 

『ミレイちゃん』

 

『ん?何?ニーナ?』

 

『キスの権利なんだけど、それって私が生徒会の人に別の人にキスするように命じても良いの?』

 

『んー、そうねー。ちなみに誰が誰にしてもらう予定なの?』

 

『ルルーシュがスザクにマウストゥマウスするの』

 

『ニーナそれは…面白いから全然おっけー!』

 

『ありがとう!ミレイちゃん!じゃあ、ちょっとアナウンスするから貸して。学校中の我が同胞に告げる!』

 

そう言ったニーナは一拍置いてから続きを話す。

 

『人は平等じゃない!男で男が好きなもの!女で女が好きなもの!児童が好きなもの!老人が好きなもの!趣味は多様だ!だからこそ、人はそれを主張し、自らの感性に従わなければならない!常識の壁を乗り越えるのよ!その先に未来がある!オールハイルBL団!』

 

ニーナの声で学校中から怒号が鳴り響く。オールハイルBL団!オールハイルスザルル!などの声が色んなところから聞こえてくる。もうこの学校BL学園とかにした方が良いんじゃないだろうか。

 

カレンはそんなことを考えて学園を辞めたくなったが、そんな場合ではないと気持ちを引き締める。

 

しかし、圧倒的に人手が足りない。どうしようかと考えていると、カレンの携帯に電話が鳴る。相手はC.C.であった。

 

「C.C.!何なのよ!」

 

『校内放送が聞こえてな。大変だろうと思って手伝いのために電話をかけた』

 

「そんな暇あるならあんたも探すの手伝いなさいよ!」

 

「あれ!?カレンも猫を探してるの!?」

 

カレンの大声が聞こえたのか、遠くからシャーリーが近付いてきてカレンに話しかけた。

 

咄嗟のことで、何と言ったら良いものかとカレンは考えるが電話越しのC.C.が助言をしてくる。

 

『カレン。ここは無難な言い訳で切り抜けろ。復唱しろ!もちろんでしょ!ルルーシュのくちびるは私のものなんだから!』

 

「わ、わかったわ!もちろんでしょ!ルルーシュの唇は私のものなんだからって言えるかぁぁぁぁぁぁぁ!!!??」

 

真っ赤な顔をしたカレンは思わず携帯を地面に投げつける。

 

しかし、その言葉は既にカレンの口から大部分が放たれており、当然側にいたシャーリーの耳にも届いていた。

 

「え!?カ、カレン?今のはどういう意味?」

 

「嘘よ、シャーリー!冗談よ!冗談に決まってるでしょ!」

 

「そんな風には聞こえなかったよ!カレンばっかりずるいじゃない!カレンは好きな時にできるんだから、こういう時には私に譲ってよ!」

 

シャーリーの言葉で赤かったカレンの顔は更にリンゴのように赤くなり、ほとんど反射で反論する。

 

「ば、バカじゃないの!?そんなことしないわよ!シャーリーは私とルルーシュのこと何だと思ってんのよ!?」

 

恋人に決まっているだろうと電話越しのC.C.は思ったが、声には出さない。

 

「じゃあ、別にカレンはこのイベントに参加しなくても良いじゃない!参加するってことは、そういうことでしょ!?」

 

「違うわよ!このイベントには私の唇を守るために参加してるのよ!」

 

「じゃあ、心配しなくても良いわよカレン」

 

「そうね。心配いらないわ」

 

「「ニーナ!?会長まで!?」」

 

真剣に話し合っていたため気付かなかったのか、何時の間にかニーナと会長と他の多くの生徒が側に来ていた。

 

不吉な予感を感じながらも、カレンは二人に言葉の真意を聞く。

 

「し、心配いらないって何がですか?」

 

「キスの件だよ。私たちが猫を見つけたらルルーシュとスザクにキスをしてもらうから、カレンは心配しなくても大丈夫」

 

「それでも心配なら、会長権限でカレンだけキスの対象から外すことにするわ。どう?これならカレンはこのイベントに参加しなくても良いんじゃない?」

 

確かにそれなら、先程の理由ではカレンがこのイベントに参加する必要はなくなる。

 

「そ、そんなことありません!」

 

「何で?どうして?」

 

物凄い良い笑顔になりながらミレイはカレンに追求する。

 

その笑顔をブン殴ってやりたい衝動にかられながら、カレンは言い訳を探す。

 

カレンは自らがこのゲームに参加する本当の理由を言うことはできない。探している猫がゼロの仮面を被っているなどと言えるわけがないのだから。

 

しかし、いくら考えてもカレンには一つの解しか見出せない。

 

そんなことを言いたくはない。だがしかし…しかし…現状はそれしか選択肢がない。

 

カレンは覚悟を決めた。自らの恥ずかしさなど何だと言うのだ。私はアイツを絶対に守ると誓ったのだ。そう、これはその一つなのだ。

 

真っ赤の顔のままカレンは大きく息を吸う。そして

 

「ど、ど、ど、ど、どうしても何も決まってるじゃないですか…他の誰が相手でも譲る気はないんです!!ル、ル、ル、ルル、ルルーシュ君の唇は私のものって決まってるんだからぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

盛大な愛の告白をした。

 

一瞬の間が空く。その後、湧き上がる歓声と悲鳴。

 

「愛の告白が宣言されましたー!彼女として!彼を愛する一人の人間として!彼氏の唇は誰にも渡さないという強い愛!これぞまさに青春!会長として私はここまで熱い思いを間近に感じるのは初めてです!これはアッシュフォード学園に未来永劫残ることになるでしょう!」

 

「やっぱり、最大の関門はカレンか…皆!負けられないよ!」

 

「結局、ルルの唇のためだったんじゃない!でも、カレン!今回は譲ってもらうからね!」

 

皆が思い思いの言葉を残しながら、その場を去っていく。

 

残されたカレンは真っ赤な顔のまま、誰か私を殺してくれと思いながら立ち尽くしていた。

 

そんなカレンに電話越しのC.C.が励ましの声をかけた。

 

『うわぁ…本当に言っちゃったよ、コイツ』

 

「アンタまじで何時かぶっ殺すわよ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 




その後のカレンとC.C.

C.C.「良い音声が取れた。良いイベントだったよ」

カレン「ちょ、アンタ録音してたの!?まさか、ネットに流してたりしてないわよね!?」

C.C.「そんな非常識なことするわけないだろ」

カレン「そ、そうよね。良かった」安心のため息

C.C.「彰とルルーシュに送っただけだ」

カレン「ネットに流された方がマシだったわよぉぉぉぉぉぉ!」恥ずかしさでのたうちまわる

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