ちょっと?変わったコードギアス   作:はないちもんめ

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どうしてこうなった…


52 夢はでっかく!とは言いますがほどほどに

突然だった。

 

自身に向けられる銃口を見てユーフェミアは、予想外すぎて恐怖よりも驚きの表情を浮かべる。

 

そんなユーフェミアに銃を向けている彰は、無表情のまま告げた。

 

「さて。皇女様。この状況をどうするよ?」

 

話は10分程前に遡る。

 

女の子が兵士に殺されそうになっているのを見て、護衛が止めるのも無視してユーフェミアは立ち上がろうとしたその瞬間

 

「ここにいる。俺だよ」

 

扉を蹴破った男がその勢いのまま、兵士を殴りつける。

 

それにより兵士がよろめいた隙に後ろに回り込み、首を両腕を使用して締める。完全に極っているのか、喋ることもできない兵士を見ながら、侵入してきた男は無表情のまま言い放つ。

 

「木村さんよ。別にあんたがブリタニアを恨んだって別に構わねえ。日本人の誇りとやらを大切にするのも良いだろう。だが」

 

男の目が自然と鋭くなる。

 

「一般人に…それも女に…手を出してんじゃねぇ」

 

その直後、気を失ったのか木村と呼ばれた兵士は動かなくなる。それを確認した男は兵士から手を離す。

 

その謎の男はそのまま、シャーリーとか呼ばれてた女の子の側まで近寄る。

 

その女の子は当初は何が起きたのか分からずに戸惑っていたが、男の顔を確認すると、パッと笑顔に変わった。知り合いなのだろうか?

 

ユーフェミアがそんな疑問を抱いている間に、男は女の子の手が届く範囲まで行き、そのまま

 

「いひゃい、いひゃい、いひゃい!」

 

思いきり、ほっぺたを引っ張った。

 

え?と少し緊張しながら成り行きを見守っていた私を含めた周りの人質は、突然の展開に目が点になる。

 

しかし、男はそんなことは御構い無しに若干青筋を浮かべたまま話し始める。

 

「死にたいのかアホウ!お前が何処の誰か何て俺は全く知らないから全然構わないが、俺が間に合ったのは偶然だぞ!勝算も無しに勝てない相手に喧嘩を売ってんじゃねぇよ、馬鹿たれが!」

 

「わ、わひゃったから!ひょ、ひょりあえずひぇをはなひて!」

 

それから暫くほっぺたを引っ張った後、満足したのか男は手を離した。

 

本気で痛かったらしく、女の子は涙目になっている。

 

その女の子と反対の方向に向きながら男はおもむろに口を開いた。

 

「お前にも譲れないことがあったのかもしれないが、大切なのは生きることだよ。あの人とやらのことは知らないが、あの人とやらの誇りを守るために死ぬくらいなら、あの人のために生きやがれ。俺があの人だったら、その方がよっぽど嬉しいだろうよ」

 

最初は痛さのあまり女の子は男を睨みつけていたが、男の言葉を理解するとクスッと笑った。

 

「うん、いや、はい。何処の誰かは知りませんが…助けてくれてありがとうございます」

 

女の子の感謝の言葉に男は何も答えず、無言で頭をかく。女の子の連れと思われる金髪の女の子は、男の乱入に最初は目を丸くしていたが、今となってはニヤニヤと笑っている。どうしたのだろうか。

 

ユーフェミアがそんな疑問を抱いているとは知る由もない男は、クルッと私たちの方に向き直り言葉を発した。

 

「さてと…悪かったなあんたら。仲間が迷惑をかけた。今から俺があんたら全員をここから逃す。逃げる準備をしとけ」

 

突然の男の発言にザワッと混乱が広がる。誰かも分からない男から、急にそんな発言が飛び出せば無理もない。

 

そんな混乱など知らんと言わんばかりに、男は話を続ける。

 

「静かにしろ。まあ、アンタらの気持ちも分からんでもないが俺は本気だよ。側から見たらただのテロリストだろうが、俺は俺なりに信念があるんでね。死んでも一般人を巻き込むようなことはしないさ」

 

その言葉が受け入れられたのかは分からないが、周りの混乱は次第に収まっていく。これで逃げられそうだと考えた時に、男が拳銃を懐から取り出したのが目に入った。

 

「だが…」

 

男は取り出した拳銃をそのまま私の方向に向けて構えた。

 

「お前は別だ。だって関係者だもんな。そうだろ?ユーフェミア・リ・ブリタニア」

 

 

 

 

 

 

 

そして話は現在に戻る。

 

銃を向けられたのを見て護衛が慌てて前に出ようとするのを、ユーフェミアは手で制した。

 

そんなことをしても、この男が止められないのは明白だからだ。

 

周りの人達はこんな所に皇女である自分がいることに驚愕の表情を浮かべていたり、自分たちを助けてくれると言った男がいきなり拳銃を抜いたことに恐怖していた。唯一の例外は、先程まで殺されそうになっていたオレンジ髪の女の子だけだ。

 

その子だけはどんな感情なのかは分からないが、少し驚いた後はジト目で拳銃を抜いた男の顔を眺めていた。

 

そんな女の子の視線に気付いているのかいないのかは分からないが、男は無表情のまま私に拳銃を向け続けている。

 

ともあれ聞かれた以上答えねばなるまいとは思うが、何と答えて良いか分からないので聞かれた質問に質問で返す。

 

「どうする…とは何のことでしょう?」

 

「決まってんだろ?この状況にどう対処するのかってことさ。このままじゃあんた死ぬぜ?」

 

ユーフェミアにはそこが疑問だった。生かして人質などで取引に利用するならともかく、ここで私を殺すことに何か意味があるのだろうか。

 

「人質にするならともかく、私をここで殺しても逃走に関係ないのではありませんか?」

 

「逃走のことは関係ねぇよ。だが、諸悪の根源たるブリタニア皇族を殺せるチャンスを無視できる訳ねぇだろ。こんなチャンスは早々ねぇ」

 

ニヤリと笑うと男は銃を持つ手の力を強める。それを聞いて、なるほどと思うがそれをさせる訳にはいかない。

 

「申し訳ありませんが、殺される訳にはいきません」

 

「何だ?多くの人の血を浴びて生きてきたブリタニア皇族様が命乞いか?」

 

「はい。そうです」

 

その発言に男は眉をひそめるが、構わずに私は続ける。

 

「ここで死ぬ訳にはいきません。私には私の使命があります」

 

「はっ。日本人を支配するのがか?」

 

「いえ。日本人…いや、ブリタニア人を含めた全ての民族が平等に安心して暮らせる、戦争がない世界を作るという使命です」

 

それは私の夢だ。短い間かもしれないが、日本の現状を見ていて思った。ブリタニアはこのままではいけない。このまま戦争を続けていては、永遠に憎しみの連鎖を生んでしまう。その連鎖は断ち切られなければならない。それがブリタニア皇族に生まれた私の役割だ。

 

「随分と変わった皇女様だな…で?どうやって?」

 

「…」

 

それを言われたら言葉に詰まる。そのための方法など私には分からない。

 

そのことが伝わったのか男は鼻で笑う。

 

「んなこったろうと思ったよ。どんだけ大層な夢を描いても、それを叶える手段や方法がないならただの夢物語だ。戯言にしかならねぇよ。平等?笑わせるな。仮にブリタニアが崩壊したとして、今まで虐げられてきた人々が、ブリタニア人と仲良く暮らしたいと思うか?ブリタニアが滅びれば、今度はブリタニア人が差別される側に回るだけだ。憎しみの連鎖は止まらねぇ」

 

男の言葉は棘のように私の心に刺さっていく。確かにそうかもしれない。私の夢は戯言にしか聞こえないかもしれない。だが、それを諦める訳にはいかない。

 

「今は飛行機がありますね」

 

「は?」

 

突然の話の変わりように、男は疑問符の声を上げる。

 

「何でできたと思いますか?」

 

「科学技術の進歩だろ」

 

「確かにそうですけど、私の答えは違います。私は…人が空を飛びたいと思ったからだと思うんです」

 

本当のことは私は知らない。しかし、私はそうだと思っている。

 

「そんなことは無理だと笑われたかもしれない。馬鹿にされたかもしれません。でも、その夢を諦めずに足掻いて…もがいて…やり抜いたからこそ夢は叶ったと思うんです」

 

「回りくどい話だな。アンタ何が言いたいんだ?」

 

「だから、私も私の夢を諦めません!今は方法がわかりません!でも、最後の最後まで…私は私の夢を諦めません!そうすればきっと可能性が見えてきます!そうすれば、きっと…人が戦争をしないで良い世界になります!」

 

ユーフェミアの声は決して大きな声ではなかった。だがしかし…心からのその言葉は不思議と響いた。

 

皇女様に拳銃が向けられているというあり得ない状況に少しざわついていた人質たちも、気付けば耳を傾けていた。

しかし

 

「戦争がない世界…ねぇ」

 

彰は銃を下ろさない。

 

「本当に実現させるつもりか?ブリタニアなんか関係なく、人類が生まれてから戦争がなくなったことはねぇ。まあ、人間の本能みたいなもんだからな。それを叶えるって?人類史上だれも叶えたことのない壮大な夢を、お前が叶えるって?」

 

「私じゃありません。私たちが…です」

 

彰の言葉をユーフェミアは訂正する。

 

「私にそんな力は残念ながらありません…頭も良くないですし、運動神経も並ですし…だから仲間を探します。私の夢を手伝ってくれる仲間を」

 

ユーフェミアはそう言ってから手を伸ばす。

 

それを彰は怪訝な顔で見つめる。

 

「何だその手は?」

 

「あなたはテロリストみたいですが、それでもブリタニア人の女の子を命がけで助けてくれました…多分あなたは本当は優しい人間なんだと思います…だから」

 

ユーフェミアはニコリと微笑み続ける。

 

「私の夢を…手伝ってくれませんか?」

 

ユーフェミアの発言に流石の彰も目を丸くした。まさか、今にも殺されそうなこの場面で勧誘されるとは思わなかったからだ。

 

「くくく…訂正するぜ」

 

しかし、それでもまだ彰は拳銃を出している手を下ろさない。

 

「お前は馬鹿じゃねぇ。大馬鹿野郎だよ」

 

その直後、静かな発砲音が鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、どうした木村?お前人質の見張りだろう」

 

突然自分たち幹部のいる部屋に部下が来たので、草壁は訝しげに見る。

 

他の者も同じ気持ちだったのか、何故来たのか尋ねている。その質問に木村は頭を下げて答えた。

 

「それは別の者に任せました!人質の中にとんでもない人がいたので、草壁中佐にそれを報告しに来た次第です!」

 

「とんでもない人?誰だそれは?」

 

「ユーフェミア皇女です」

 

その言葉に草壁も含めた部屋の中の全員は驚く。まさか、こんな所にそんな大物がいるとは思わなかったからだ。

 

「そ、それでユーフェミア皇女はどうした!?」

 

「他の者に引き渡して屋上に連れていかせました…恐らくテレビを見れば確認できると思います」

 

慌ててテレビをつけるとテレビの放送で自分たちが占拠しているホテルが写っていた。その先には

 

『ご、ご覧ください!お分かりになるでしょうか!ユーフェミア様と思しきお方が今ビルの屋上に現れました!まさか、人質として捕まっていたのでしょうか!?』

 

ユーフェミア皇女と思われる人物が写っていた。その事実に幹部の一人が苛立ちの感情を含めながら声を荒げた。

 

「馬、馬鹿者!?まずは最初にココに連れて来んか!!」

 

「それがそういう訳にもいかず…何せ、他の見張りを手薄にさせるにはそれ相応の手土産が必要だったので」

 

「何?」

 

ニヤリと笑いながら言う部下の声に、誰かが疑問符のついた声を上げるが、それを見た草壁はある可能性に気が付き、慌てて命令した。

 

「今すぐそいつを拘束しろ!」

 

草壁の謎の命令に、一瞬全員が思考を停止する。その一瞬が致命的な隙となった。

 

「隙見っけ。援護ありがとよ」

 

その瞬間大量の発砲音が鳴り響き、伏せた草壁以外の幹部は全員倒れた。それをやってのけた部下を、草壁は舌打ちをしながら睨みつけた。

 

「貴様…どうやって侵入した?ユーフェミアも貴様の仕込みか?」

 

「んなわきゃねーでしょう。完全な偶然ですよ。とりあえず諦めてくださいな。もう詰んでますし。大人しく降参した方が無難ですよ」

 

「馬鹿な。まだユーフェミアは我らの手中にある。アレがいればブリタニアとの交渉も優位に進められる」

 

「でしょうね。アレが本物だとしたらですが」

 

「何?…まさか、貴様!?」

 

更に激しく睨みつけてきた草壁を尻目に部下はニヤリと笑う。

 

「たりめーでしょう。こっちの切り札をあっさりと渡すかよ」

 

木村と呼ばれた男はそう言うと、自身の顔を掴み変装を脱ぐ。すると

 

 

 

 

「あ、あの…大丈夫ですか?ユーフェミア皇女殿下?」

 

警護は冷や汗を流しながら目の前にいる自分が守るべき皇女に声をかける。

 

助けてくれた男の指示で、見つからないように人質全員で逃げたのは良いのだが、改めて守るべき皇女の現在の姿を見ると、動揺を隠し得ない。

 

「ユーフェミアではありません」

 

しかし、本人はそんなことを気にせずに堂々と答える。そこにいたのは

 

「ハゲフェミアです」

 

ハゲになったユーフェミア。

 

そして代わりに屋上にいて殺されそうになっているのは

 

(いや、俺…皇女じゃねぇんたけどぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!??)

 

ユーフェミアの髪の毛で作ったカツラとユーフェミアの服装をした玉城であった。

 

そして、更に草壁の前では

 

「不吉を届けにきたぜ。なーんつってな」

 

変装を脱いだ彰が草壁に銃を突きつける。

 

とんでもない物語はとんでもない方向に流れていく。

 

 

 

 

 

 

 




コーネリア「クロヴィスの仇取らせてもらう!」

ゼロ「そんなことやってる場合ではない!ユーフェミアの尊厳が奪われるぞ!」

扇「流石はゼロだな…迫真の演技だ」

カレン(演技じゃないのよねぇ…本気なのよねぇ…)



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