ちょっと?変わったコードギアス   作:はないちもんめ

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そろそろ書かなきゃ話が意味分からなくなると思ったので突然ですが、過去編スタート。とは言え、全部やると長すぎますので本編に挟むような形で書いてきます。


66 昔のことを急に夢見たりするときあるけど、アレは何でだろうって時々思う

月明かりが照らす夜の海辺。そこで、金髪碧目の誰が見ても美人と彰は一緒に座っていた。

 

『本当に帰ってしまうのですか?彰』

 

そう言った女の瞳には薄らと涙が浮かんでいた。

 

『我儘かもしれませんが…私は貴方に…側にいて欲しい』

 

ああ、これは夢だ。そう明確に悟る時がたまにある。

 

今日の彰もそれだった。これは夢だと確信した。

 

大体のパターンでは、特に理由もなく悟ることが多い。だが今回だけは違った。明確な理由があった。

 

頬を赤く染めながら、自分を見つめてくる嫁を見て冷静に思った。

 

 

 

 

俺の嫁(アイツ)がこんなに可愛いことを言うわけがない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目覚めると知らない天井…ではなく、自分の部屋ではないがめちゃくちゃ知っている天井が目に入った。

 

何で此処に居るんだっけか。昨夜の記憶を辿ろうとするが、その前にこの部屋の主が呆れた声で彰の背中から声をかけた。

 

「ようやく起きたか。良くもまあ、他人の部屋でここまで図々しく寝られるものだな」

 

声の主である千葉の声を聞いて思い出した。昨夜は確か、珍しく奢るから呑もうと言い出した千葉さんの口車に乗ったのが運の尽きで、延々と藤堂さんの格好良さについて惚気られた後に、藤堂さんの鈍感さについて愚痴られたのだった。何処の罰ゲームだ。

 

しかも飲むだけ飲んで寝やがったものだから、わざわざ俺が部屋に運んだんだよ。それから帰るのも面倒になって、そのまま適当なスペース見つけて寝たんだったな。

 

たく、変な寝方した上にアイツの夢まで見たから何となく調子悪い…

 

「ん?どうした彰。具合でも悪いのか?」

 

そんな俺の様子を目ざとく見つけた千葉さんは、心なしか心配そうに聞いてくるが、この人は俺のことを何歳だと思っているのだろうか。俺が来たときの年齢で止まっているとか思ってるんじゃないだろうな。

 

「大したことねーですよ。見たくもねぇ奴の夢を見ちまっただけです」

 

「ほう?誰だ?レイラとかいうお前の嫁の夢でも見たか?」

 

しかも、たまに妙に鋭いからタチが悪い。返答に一瞬窮すると、ニヤッと嫌な笑いを浮かべて千葉さんは追及してきた。

 

「何だ、何時も悪口ばかり言っている癖に心の底では想っているんだな。大切にしろよ?お前と結婚してくれる物好きなんか、この世にその人しかいないからな」

 

「はっ!さすが、片想いしてる期間が年齢の半分に届きそうな年増の言うことは、重みがありますなぁ」

 

空気が凍った。

 

ニヤニヤ笑っていたはずの千葉の表情は一瞬で固まり、刀を掴んだかと思うとそのまま躊躇いもせずに彰へと抜刀した。

 

彰も分かっていたのか当たり前のように抜刀を受け止めるが、力の拮抗により鍔迫り合いが続いていく。

 

「おいおいおい、千葉さんよ。何でいきなり刀抜いてんの?仲間殺しは大罪だよ?」

 

「なぁに、これは口の利き方を知らない弟分へのしつけだよ。そんな風にレイラにも話してるんだろ?素直になれないツンデレなんだろ?私がそれを矯正してやろうと言ってるんだ」

 

「へぇ、そうですか。それなら俺が人生の先輩として、一向に進展しない姉の恋心を一歩進めるために矯正してあげましょうか?このままだと、下手すれば一生片想いで終わっちゃいそうだし?」

 

お互いに若干イラついているのか、額に青筋を浮かべながら会話を続きていたが、堪忍袋の尾が切れたらしく、思い切ってお互いに距離を取り、お互いの顔面目掛けて剣を振り下ろす。

 

「「死ね、ゴラァ!!!」」

 

日本解放戦線名物の兄妹喧嘩が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

「で、こうなった訳か」

 

「「こいつの(この人の)せいです(だ)」」

 

「つまり、お前らのせいなんだな」

 

騒ぎで呼ばれた卜部は、成長がない二人のやり取りにため息を吐く。この二人は何歳になってまでこんなことをしているのだろうか。

 

当然だが、この結果として千葉の部屋の有り様は酷いことになっている。本人曰く「何時、喧嘩になっても良いように壊れないものを買い揃えた」とドヤ顔で言っていたが、喧嘩しないことが一番良いのだという単純すぎる事実に気付いていないらしい。

 

「全く…千葉もだが、彰も少しは大人になれ。レイラにも言われてたろ?」

 

今、聞きたくないダントツでNo. 1の名前を聞いたことで、彰は顔をしかめる。

 

しかし、そんな彰の態度に気付いているのかいないのか分からないが、千葉は呆れたように言葉を発した。

 

「お前、嫁にまでそんなこと言われてるのか?」

 

「まあ、そう言うな。クセの強いペアなんだから、これくらいは許容範囲だ」

 

「コイツと結婚するような相手を、癖が強いで片付けて良いのかは疑問ですが…ところで、どういう経緯でこの二人は知り合ったんですか?」

 

「あれ?知らないのか?」

 

「知らないですよ。彰からも聞いてないし」

 

「いや、俺言いましたから。多分、その後の結婚っていうフレーズが強すぎて忘れてんですよ」

 

あの頃から少し焦ってたからな、と余計な一言を彰が加えたことで、再び喧嘩が巻き起こる。止めようかと一瞬思ったが、どうせ止めたところでまた喧嘩をするのは目に見えているので、放置しておくことにした。

 

(そういや、レイラも彰に良く怒ってたな。まあ、喧嘩にはならなかったが)

 

事情を全て知っている卜部から見ても、彰とレイラの二人が夫婦になった事実は未だに信じ難い。良くもまあ、あの出会いからそんなことになったものだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜4年前〜

 

「EUへの使者…ですか?」

 

「そうだ。お前が適任だと思ってな。頼めるか?」

 

「いや、まあ良いですけど」

 

卜部は藤堂から直接頼まれた、意外すぎる命令に頭をかく。突然呼び出された時は何かと思ったが、まさかこんな内容だったとは。

 

「と言うか俺が行っても役に立たんと思いますけど。こういうのは、キョウトの役目じゃないですか?」

 

「ある程度の下地が出来ているならな。今はまだ交渉の段階にすらない。実務者同士の顔見せ程度だ」

 

「だったら、俺じゃなくても良くないですか?」

 

「何があるか分からん場所だから、お前に行って欲しいのだ」

 

「…そんな場所、俺だって行きたくないんですけど」

 

「…そこを押して頼む」

 

その藤堂の言葉に卜部はため息を吐く。要するに、危ない場所かもしれんからキョウトのお偉方は人身御供が欲しいと思った訳だ。

 

そんなことは藤堂だって分かっているのは間違いない。そして、そんな危ない場所に部下を行かせて、自分は行かないというような選択肢を取る人じゃないのも知っている。

 

しかし藤堂が行くとなると、今度は片瀬少将からストップがかかる。大事な藤堂をそんな危ない場所に行かせるわけがない。まあ、片瀬でなくとも、組織の大黒柱を一年間も他所に行かせることはしないだろうが。

 

だが、あまりにも下の人間過ぎると相手に対して失礼になる。ある程度の地位の人間が行かない訳にはいかない。そうなると、有名な四聖剣は妥当な選択肢になるのだろう。加えて言えば朝比奈は幼過ぎるし、逆に仙波は高齢過ぎる。千葉な女なので未知の危ない所に行かせるのは気が進まない。その結果が卜部なのだろう。

 

(選択肢というか消去法なんだよなぁ…)

 

そんなことを卜部は考えたが、考えた所で自分が行くことは既定路線な気もするので、諦めて行く方向で話を進めることにした。

 

「俺しかいないんじゃしょうがないですね。ところで誰が一緒に来るんですか?流石に俺一人ってことはないでしょ」

 

「うむ、まあ、後は2、3人だな。それ以上は見つかる可能性が高まる」

 

藤堂の言葉に卜部は思考の海に沈む。

 

2、3人となると完全に少数精鋭になる。そんな場所に足手まといを連れてく訳にもいかないので、ある程度は動けて頭がキレる人間を連れてく必要がある。しかも幹部以外の人間での人選になる。そんな人間に心当たりは…

 

(メッチャあるんだよなぁ…)

 

とてもあった。何を起こすか分からない、リアル版パルプンテのような奴だが、ハマれば驚異的な能力を発揮する人間に。

 

卜部の微妙過ぎる顔を見て、藤堂も誰のことを考えているのか分かったのか、苦笑しながら忠告した。

 

「一応、アイツを連れてくつもりなら千葉にも声をかけておけ。心配するだろうからな」

 

藤堂の言葉を聞いて卜部も苦笑する。この上司も同じ人間のことを考えていた訳だ。

 

「やれやれ…とんだ旅になりそうですね。何が巻き起こっても知りませんよ?」

 

「そう言うな。少なくとも退屈はしないで済むだろう」

 

「…たまには退屈をしたいんですけどねぇ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜EU〜

 

「客人のお出迎え…ですか?」

 

「ああ。今すぐと言うわけでもないが、将来的には同盟を結ぶかもしれん相手だ。ある程度の対応はしなくてはいかん。その対応を君にして欲しいんだ」

 

金髪の少女はその言葉に目を見開く。そんな大事を自分に任せて良い訳がない。断ろうとするが、その前に上司からスッと手を出される。

 

「別にそんな大事ではない。同盟とは言っても、捨て駒にしかできんような猿相手だ。適当に相手をしておけば良い。死んだところで別にとやかくも言われんだろうさ」

 

流石に少女は眉を潜めたが、軍人である自分は地位の違いを意識しなくてはならない。

 

不満の心はかなりあったが、しっかりとした敬礼で少女はこう答えた。

 

「了解です。レイラ・マルカル。謹んでこの任務を受けさせていただきます!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次話で夫婦が初めての邂逅!?

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