ちょっと?変わったコードギアス   作:はないちもんめ

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あかん、こんなことばっかりやってるから話が進まないのに…


69 世の中は多数決。だからって少数派が間違ってる訳じゃないんだよ

「お手間を取らせてしまい、申し訳ございません。スマイラス将軍」

 

「何。良いんだよレイラ。私も昔は良く思ったものだ」

 

頭を下げるレイラの肩にポンと手を置き、笑いながらスマイラス将軍は続ける。

 

「万引きとか買食いとかするのが格好良いと思ったことがな。だが、レイラ。これで一つ学んだだろう?そんなことをしても良いことなど何もないと言うことをな」

 

「違います、スマイラス将軍!本当に違うんです〜!!」

 

泣きながらレイラは身の潔白を訴えるが、まともに相手をしてもらえない。やはりこの世は、こんなはずじゃないことばかりだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある日本人のせいで、商人達に食い逃げ分を働いて返すように言われたレイラだが、今までそんなことをしてきたことがなかったので、本来なら半日も働けば終わるような借金が、働けば働くほど増えていき、気が付けば五日間ほど働き続けることになってしまった。

 

そこまで居なくなれば、流石にレイラが居ないことは表面化して問題になり、調査が始まったことでレイラの居場所は特定された。そこでレイラが食い逃げなどの容疑で捕まっていたことも分かり、その借金が返済されたことで、レイラは漸く釈放されることになった。

 

戻るや否や、心配していたスマイラス将軍の所に行くように伝えられたレイラは、申し訳なさと感謝の気持ちを半々に持ちながら赴いた。まあ、そこで自身が何故そんなことになったのかを伝えたのだが

 

「はっはっはっ。レイラ。君がそんな想像力が豊かだとは知らなかったな」

 

まともに取りあってくれなかった。当然である。

 

「本当なんです、スマイラス将軍!今まで私がこんな嘘をついたことがありますか!?」

 

「分かっているとも。だからこそ、嬉しいんだよレイラ。君も年相応の子供だったんだなぁ」

 

「何も分かってくれてないじゃありませんか!」

 

何とか自分が買食いなどしたのではないということを説明したのだが、相変わらず信じてはくれない。それどころか「レイラ。君の気持ちは分かるが弱い立場の日本人のせいにするのはいけないな」などと優しく注意される始末である。可哀想か。

 

「レイラのその話をもう暫く聞いてあげたいところだが、この後少し立て込んでいてね。続きの話は今度聞かせてもらっても良いかな。もっと面白い話を練り込んできてくれ」

 

「だから作り話じゃないんですよ将軍!」

 

「分かった、分かった。さて、一応今は勤務時間内だからな。これから仕事だ。帰ってきて早々悪いが、君にも関係のある仕事だから働いてもらうぞレイラ」

 

「はい!承知しました」

 

スマイラス将軍の雰囲気の変化からおふざけは終わりだと感じられたので、言いたいことは山のようにあったが、全て飲み込んで職務に徹しようと心がけた。

 

そのレイラの反応に苦笑し、持っていたペットボトルをレイラに渡した。

 

「そんなに硬くなる必要はない。まずはこれでも飲んで落ち着きなさい。まあ、そんなに大した仕事ではない。前から聞いていたと思うが、これから一年ほど二人の日本人がここに来ることになっている。君にはその、監視役を務めて貰いたい」

 

そこまで行ってから「後は直接話した方が早いな」と言って、スマイラス将軍は部屋の外へと出てしまった。恐らくスマイラス将軍は、その日本人二人を呼びに行ったのだろう。レイラは渡された飲み物を飲みながら頭を仕事へと切り替えて冷静になろうとする。だが、そんな暇もないほど意外とすぐにスマイラス将軍は戻ってきた。レイラは慌てて口に含んだ水を飲み干そうとするが、その前に扉へと振り返ると

 

「待たせたね、レイラ。これから一年ここに居るようになる卜部さんと桐島君だ」

 

盛大に吐き出した。

 

「お、おいレイラ?」

 

「だ、大丈夫ですか?」

 

「あらー。随分と派手にやりましたねえ」

 

色々と声をかけられるが、むせて咳き込んでいるレイラにその余裕はない。ゴホゴホと咳をしながら何とか落ち着くと、桐島の方に震えながら指を向けた。

 

「な、な、な、なん、なん!?」

 

「すいません、スマイラス将軍。これはこちらの言語なんですか?」

 

「い、いや、すまないそんなことはない。ど、どうしたんだレイラ?失礼だろう」

 

スマイラス将軍が何やら声をかけてくるが、完全にパニクっているレイラにその声は届かない。居るはずのない人物が目の前に現れたことで、レイラの脳はその事実を処理しきれていなかった。

 

「すまない、先ほどまで色々あってね。混乱しているんだろう。先に自己紹介をして貰っても良いかな?」

 

今のレイラの様子を見て勘違いをしたスマイラスは、先ほど軽く紹介した桐島に改めて自己紹介を頼み込む。

 

「こちらとしては構いませんよ。レイラさん、私は桐島彰と言います」

 

その男は前回会った時では、想像もできないような丁寧な口調でニコリと微笑みながら続けた。

 

「はじめまして。一年間よろしくお願いします」

 

「どの面下げてはじめましてですか!?」

 

ごもっともである。

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、ん、で貴方がこんな所にいるんですか!?」

 

普段のレイラを知るものからすれば信じられないほどの怒りの形相で、レイラは彰のことを睨みつけてくるが、普段から千葉にキレられ続けている彰にとって、この程度大したものではなかった。嫌な慣れ方である。

 

「何でと言われましても…私は職務の一環としてこちらに来ているだけなのですが?」

 

「貴方みたいなのが軍人な訳ないでしょう!!」

 

「止さないかレイラ!本当にどうしたんだね?何時もの君らしくもない」

 

「スマイラス将軍!この人です!この方が、さっき私が話していた私を貶めた日本人です!」

 

レイラの言葉にスマイラスは意外な顔をして彰の顔を見る。レイラのことは信じてあげたいのたが、内容が内容だけに半信半疑と言った表情だ。

 

「すまないな、桐島君。何やらレイラは君のことを知っているようなのだが…もしかして顔見知りなのかな?」

 

「いえ、初対面です」

 

「そんな訳ないでしょう!」

 

「すいません、どなたかと勘違いをしていらっしゃるのではありませんか?」

 

「良くもペラペラと嘘を…」

 

彰が困った顔で応戦するのとは対照的に、レイラの怒りのボルテージは急上昇していく。

 

何となく事情を察した卜部は心の中で謝罪しまくっていたが、まさかここで自分たちの非を認めるわけにもいかなかったので、言葉に出すことはなかった。

 

一方でそんな事情など知らないスマイラスからしてみれば、ただレイラが言いがかりをつけているようにしか見えない。悲しい認識の違いである。

 

「レイラ…君は疲れているんだよ。今日は一日ゆっくり休みなさい」

 

「スマイラス将軍!?しかし、私は!」

 

「いい加減にしたまえ。桐島君がEUに着いたのは5日前だ。君が買食いをした日だぞ?まさか、着いて早々そんな騒ぎは起こさんだろう」

 

残念ながら着いて早々騒ぎを起こす奴もいるのである。

 

「で、ですが私は」

 

「まだ言うのか。良いから早く「まあ、まあ。許してあげてください、スマイラス将軍」桐島君、しかし…」

 

尚も食い下がるレイラに流石のスマイラスも少し強めに言葉を発するが、そのスマイラスの肩を彰が微笑みながら掴む。

 

「しょうがないことです。ここでは私たちイレブンなど差別されるべき相手…そんな相手の顔など全員同じに見えるのでしょう」

 

あたかも悲しいですが慣れていますとでも言わんばかりな顔をする彰に対して、レイラは青筋を浮かべるが、スマイラスにとっては効果的面だったようで

 

「そんなことはないさ、桐島君。レイラも普段であればそんなことを言いはしない。今は少し若気の至りのミスをしたばかりでな。少し疲れてしまっているんだ」

 

「分かります。そんな時期俺にもありましたよ。盗んだバイクで走りたくなるんですよね、無性に」

 

「私にもあったさ。校舎の窓を壊して回りたくなる時期がな」

 

何でこの二人は無駄に息があってるんだろうと、至極どうでも良いことを卜部は考えていた。本当にどうでも良いな。

 

「そんな訳でスマイラス将軍。私にはレイラさんの気持ちが少し分かるんです。例え中二病だとしても。側から見たら痛々しい娘だったとしても。ちょっと気持ち悪くね?とか思っても。大目に見てあげてくれませんか?」

 

「まあ、当人である桐島君がそう言ってくれるなら構わないが…すまないな、桐島君。ウチのレイラが迷惑をかける」

 

「そんなことはありませんよ。美人にかけられる迷惑なんて男の勲章じゃありませんか」

 

「ははは。良い子じゃないか。ウチのメンバーに欲しいくらいだ。ではな、レイラ。私は用事があるのでもう行くが、桐島君の優しさに甘えてこれ以上迷惑をかけんようにな」

 

彰との会話を終えて良い気分になったスマイラスは、笑顔を浮かべたままレイラに軽く釘を刺して部屋を出る。彰は朗らかに笑いながら見送っていたが、当然の如く

 

「…」

 

レイラはそんな気分になれなかった。悔しさのあまり薄らと目に涙を浮かべたレイラは体が小刻みに震えていた。その姿を見てその理由に思い至っていた卜部は、天を見上げながら心中で全力の謝罪を繰り返していた。

 

そして同じく理由に思い至っていた彰は、敢えてそれを隠しながらにこやかに笑いながらレイラに話しかけた。

 

「お気になさらないでください。勘違いなんて誰にでもありますよ」

 

「絶対に勘違いなんかじゃありません!何時まで惚けてるつもりなんですか!」

 

「何時までもと言われましても…何も知らないことにどうやってお答えしろと?」

 

飽くまでもにこやかに笑いながら対応する彰に、色々と余裕がなくなったレイラは徐々に言葉を失っていった。

 

そして

 

「私は…私は…間違ってなんかいないんです〜!!!」

 

目から涙を溢れさせながら、全速力で扉を開けてそのまま何処かに行ってしまった。おい、誰か慰めてやれよ。

 

そんなレイラの後ろ姿を彰は笑顔で見送っていたのだが、今まで黙っていた卜部がスッと彰の側に近寄り、顔を痙攣らせながら言葉を発した。

 

「前から聞きたいことがあったんだが…聞いて良いか?」

 

「何ですか?」

 

「お前の良心は仕事してるのか?」

 

「良心?ああ、あいつね。休暇取ってまだ日本に残ってますよ。多分、週明けくらいには帰ってくるんじゃないですかね?」

 

「…そうか」

 

少なくとも日本で卜部はそいつを見たことがなかったが、口には出さなかった。その代りに、上司兼日本人代表としてレイラさんにしっかり謝らなければならないと強く心に誓った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




卜部「と言うかお前何もなかったって言ってただろ!」

彰「いやあ、こんな偶然あるんですねぇ」

卜部「んなこと言ってる場合か!危うく国際問題だ!」

彰「まあ、結果オーライでしょ。誰も傷つかずに済みましたし」

卜部「レイラさんが傷つきまくってたぞ!?」

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