ちょっと?変わったコードギアス   作:はないちもんめ

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何故こうなるのだろうか…


70 物を捨てるときは周りの迷惑を考えてから捨てようぜ!迷惑だから!

卜部がレイラと兵舎を歩いていると、目の前から手を振りながら近づいてくる女性を見つけた。誰だろうとレイラの顔を見ると、笑顔になっていたのですぐに知り合いだと気が付いた卜部は警戒を解いた。

 

そして近づいた二人はそのまま握手をした。

 

「レイラ!久しぶりね!」

 

「アンナ!何でここに?」

 

「少し用事があってね。ええと、この方は?」

 

「日本から来て、一年ほどここで仕事をすることになっている卜部さんです」

 

「はじめまして。卜部です」

 

「こちらこそ、はじめまして。アンナ・クレマンと言います。アンナと呼んでください」

 

卜部は軽く目を見開く。レイラ以外にここまで友好的な態度を見せられたことがなかったからだ。だが、レイラの態度から仲の良い人物なのだということは伝わっていたので、それはそのまま苦笑へと変わる。

 

「類は友を呼ぶ…か。至言だな」

 

「え?何のことです?」

 

「レイラさんのように優しい人の周りには優しい人が集まるってことですよ」

 

「うふふ。ありがとうございます。日本人が来ているとは聞いていたけど、優しそうな人で良かったわねレイラ」

 

レイラが日本人の世話係になると聞いたときは少しばかり、アンナはレイラのことを心配していたのだ。別に日本人のことを嫌いと言うつもりはないが、未知の存在には人間であれば恐怖は抱くだろう。

 

そのアンナの言葉にレイラは顔を痙攣らせるが、何とか言葉を発した。

 

「ええ。卜部さんは!凄く良い人ですよ」

 

「な、何?その限定は?そ、そう言えば日本人は二人来ているって聞いてたけど、もう一人はどんな人?」

 

「卜部さんは!凄く良い人ですよ」

 

「そ、それは聞いたよレイラ」

 

「卜部さんは!凄く良い人ですよ」

 

「…も、もう良いよ…分かったよレイラ」

 

「すいませんレイラさん…本当にすいません!」

 

人形のように同じ言葉を繰り返すレイラに何故か恐怖を感じたアンナは、この話を打ち切ろうとする。隣の卜部さんが全力で謝罪しているのを鑑みると、何か訳ありな人であることは分かった。

 

「ええと…暴力を振るう人とかなの?」

 

「「そんな奴ならどれほど楽だったことか…」」

 

アンナの言葉にレイラと卜部は遠い目をして明後日の方向を見つめる。それほど単純な奴ならレイラと卜部はこんなに苦労をしていない。

 

しかしそこまで言われると逆に会いたい気持ちがしてくるアンナは、駄目元で合わせてくれるようにレイラに頼んでみたが、レイラは教育に悪いからと言って断固として断った。あながち間違ってはいない。

 

少し仲間外れの気がして寂しいアンナは膨れるが、レイラに言わせればアレと関わらずに済むのだったら喜んで仲間外れにもなってやろうと思っている。

 

初対面での出来事(レイラに言わせれば初対面ではない)から、疲れで情緒不安定に陥っていると判断されたレイラは2、3日の休養を命じられた。そこから復帰して再びアレと向き合うことになったレイラは、初対面だということを何とか自分自身に納得させて付き合おうと思っていたのだが、対面した瞬間に何故か無くなったと思っていたレイラのバッグを渡された。

 

驚愕の面持ちで何処でコレを?と確認したら堂々と「あの時、間違って持って帰っちまったから返すわ」と告げられた。

 

無くなったと思っていたものが返ってきたので最初はありがとうございますと返事をして喜んだが、冷静に考えればおかしいことに気が付いた。

 

(この人思いっきり私のこと覚えてるじゃないですか!!)

 

その事実に思い至ったレイラは激怒して「貴方やっぱり、私のこと覚えてるじゃありませんかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」と詰め寄ると、「え?当たり前じゃん。まさか、気が付いてないと思ったの?」と鼻で笑われたレイラは、プツンと今までの人生でキレたことのない何かがキレる音が聞こえた。命をかけた鬼ごっこの合図であった。

 

その命がけの鬼ごっこは暫く続いたが、当然のように他の者の目に留まることになるので、追いかけていたレイラだけがスマイラス将軍の説教を受けることになってしまった。できれば原因も考慮して欲しいものだ。

 

人生の理不尽さに引きこもろうかと悩み始めたレイラだが、卜部の心からの謝罪を聞くことで何とか心を持ち直すことができた。自分は間違ってはいなかったのだと。悪いのはあの人なのだと分かってくれる人が現れたことでレイラは大粒の涙を流した。卜部の罪悪感は倍増したが。

 

漸く賛同者が現れたことで、延々とレイラは自分の苦労と悔しさを延々と卜部に告げた。次々と明らかになる事実に卜部の顔はどんどん引きつっていく。アイツは1週間でどんだけ問題を起こしているのかと。コレがあと一年続くと考えるとどうなるのだろうと不安に襲われたが、考えると精神的に良くないので考えることを放棄した。

 

その後もレイラの彰への悪口は延々と続いたが、全て事実なので卜部としても否定のしようがなかった。何であんな人が処罰されないんですか!と至極最もな質問にも本当だよなぁと納得するしかない。アイツが未だに処罰されずに解放戦線に残っているのは一種の奇跡だ。だがまあ、奇跡には少なからず理由がある。苦笑しながら卜部はその理由を話したが、そこから更に1週間が経っても、卜部の言葉の意味がレイラには未だに分からなかった。

 

(何で卜部さんのような方が、桐島さん何かを評価しているのでしょうか…)

 

アンナと少し話しているうちに休憩時間になったので、卜部と別れてアンナと二人で昼食を取りに行こうとしたレイラだが、桐島の話題になったのであの時に卜部に言われた言葉が蘇る。

 

『確かに問題ばかり起こす奴だし、態度も不真面目。おまけに自由奔放だ。正直、ロクデナシなのは間違いないが…アレなりに一応信念は持ってる。そして、その信念を叶える力もな。その内分かるよ。何でアイツが処罰されないのかを』

 

自分が生きている間にその内は来ないのではないかと本気で思ってしまう。少なくとも、今のところその片鱗すら伺えない。

 

そんなことを考えていると、目の前で歩いていた中年の男がレイラを見てニヤリと笑った。

 

「お!コレはコレは…兵舎を鬼ごっこしていた嬢ちゃんじゃないか。有名人にこんな所で会えるなんて奇遇だね」

 

「…どなたかは知りませんが余りその件には触れないでください」

 

自分の黒歴史を堂々と告げられたレイラは顔を赤くして黙り込んでしまう。レイラと彰の鬼ごっこ事件はそこそこ大きな話題となったので、兵舎の半分くらいの人の耳には入る事件だったのだ。レイラにとっては不名誉以外の何物でもないが。

 

しかし、その事件を聞いていなかったアンナは何の話ですか?とレイラに聞いてくるが、レイラは言いたくないを通り越して思い出したくもない話だったので、何とか有耶無耶に誤魔化そうとしているが、その様子を見ていた中年の男はクククと笑いを漏らす。

 

「いや、失敬。お嬢さん。ご友人も言いたくない話みたいだからそんなに触れなさんな。それに聞きたくなくともその内耳に入ってくるだろうさ」

 

その言葉にアンナは渋々納得したが、レイラにとっては冗談ではない話である。こんな黒歴史をコレからも聞かされると思うと、今から胃が痛くなる。

 

そんなレイラの目の端に話題の人物である桐島彰が写った。

 

反射的に捕らえようかと思ったが、良く考えればまだ何もしていない。流石に何かするかもしれないということで自由を奪うわけにはいかないだろうと考えたレイラは、目で追うだけに留める。そんな優しさなど不要な人間だとは思うのだが。

 

そんなレイラの様子に気付いたアンナがレイラを目で追うと、日本人がいたので目を輝かせてレイラに問う。

 

「もしかして彼が例の彰君?」

 

「ええ…まあ、そうですね」

 

「あんな所で何をしてるんだろう?」

 

「…私が知りたいくらいです」

 

レイラとアンナの目に写るのは周囲の状況を確認している彰の姿。何をやっているのかなど正直知りたくないのだが、後で知って振り回されるくらいなら積極的に関わっていこうとするスタンスのようだ。日頃の苦労が伺えて泣けてくる。

 

「お。アレがもう一人の有名人か。ちょっと何をしているのか見てこようかな」

 

そう言って先程までレイラ達と話していた中年の男は、スッと前に出て彰の行動を覗き見しようとした。しかし、それに待ったをかけたのはレイラ。覗き見のようなことは良くないのではないかという訳だ。そのセリフに男はため息を吐く。

 

「何を言ってるの?こっちに来てる日本人に人権なんてある訳ないでしょ?むしろ、覗き見が当たり前。それくらいの覚悟は彼も持ってるでしょうよ」

 

その言葉にレイラは言葉が詰まる。確かにレイラの仕事は卜部や桐島二人の日本人が勝手をしないように見張ることであり、そこには護衛の任務は課せられていない。

 

つまり、どれだけ非人道的なことが行われようとも、そこにレイラが反対する資格はない。むしろ、積極的に自分からやらなければならない仕事である。レイラが納得できるかどうかは別問題だが。

 

レイラが言葉に詰まったのを見て、追い討ちをかけるように男は呟く。

 

「まさか自分の仕事が正義の味方だなんて思ってる?」

 

その言葉にレイラは返すことができなかった。

 

そのレイラの姿を確認すると、男は何も言わずに彰の行動を覗き見するために動き出した。

 

アンナはレイラをフォローしようと顔を覗き見たが、レイラは何でもないと言う風にニコリと笑い男の後を追った。どう見ても空元気であるが、何とかそれを保ちつつ、レイラは男の後を追って彰の行動を監視し始めた。

 

(…しかし、本当に何をしているのでしょうか?)

 

キョロキョロと周りの様子を伺いながら、機会を伺っているように見える彰の様子ははっきり言って不審者以外の何者でもない。

 

まさか、本当に何か良からぬことをしでかす気なのではないかとレイラが心配を始めると、急に彰は動き出し、少し前に捨てられていた雑誌を漁りだす。

 

そして

 

「エロ本を見たかっただけみたいだねぇ」

 

その中のエロ本を真面目な顔をしてじっくりと読み出した。そんな彰を

 

「なるほど…これがEUの嗜好か…勉強になるな」

 

「じゃないですぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」

 

「フバーハ!!!???」

 

顔を真っ赤にしたレイラのツッコミが蹴り飛ばした。

 

レイラのツッコミレベルは1上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




アンナ「おめでとうレイラ!レベルが上がったわ!」

レイラ「何も嬉しくありません…」

アンナ「この調子なら彰君が帰るまでにルーラとか覚えるんじゃないかしら」ワクワク

レイラ「その前にHPが尽きるでしょうね…そうなったら教会には連れて行かないでくださいね。棺桶の中で時が過ぎるのを待ちます」

彰「安心しろ。俺はザオリクが使える」

レイラ「何も安心できません!」泣


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