ちょっと?変わったコードギアス   作:はないちもんめ

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何か、この組み合わせ楽だわー


73 相手が分からないんだから、電話とかドア越しの相手にはとりあえず丁寧に接するのが無難だよ

「や…やっと終わった…事情聴取…」

 

シャーリーはフラフラと歩きながら、全身を疲労感で満たして警察署から出てきた。

 

彼女は例のホテルでのテロリスト襲撃事件の際に人質にされた一人として、警察と軍から事情聴取が行われていた。まあ、それ自体はミレイ達も同じなのだが、彼女は特別拘束期間が長かった。何故なら

 

「あー、もう…彰があんなことするから…」

 

彰と面識があると疑われていたからだ。ぶっちゃけ事実ではあるのだが、あくまでも疑いである上に、証拠など何もないのでこの程度の拘束で済んだのだ。証拠があれば、拷問してでもコーネリアはシャーリーから彰の情報を引き出そうと考えたであろうことは余談である。

 

そんなことに巻き込まれたシャーリーとしては、彰のことを恨むのが筋なのかもしれないが、全く厄介なことに命の恩人でもあるので、恨むことなど根どころか全体が善人なシャーリーには不可能だった。

 

そんな訳で思うところがないわけではないが、別に彰を恨むことはなかったシャーリーだが、あれ以降全く連絡が取れないことには文句の一つくらいは言いたかった。まあ、連絡先の交換などしてないので、シャーリーから連絡が取れないのは当たり前なのだが。

 

無事だと言うことはイブから聞いていたが、助けてくれたことへの感謝の気持ちとか、怪我はなかったのかとか、その他諸々のことを伝えたかったシャーリーとしては不満の気持ちで一杯である。あの男は自分がどれだけ心配しているのか分かっているのであろうか。

 

「…連絡くらいしてよ…馬鹿」

 

「誰がだ?」

 

「うわっはーい!?」

 

ボソッと呟いた自身の独り言に対する背後からの返答に、シャーリーは思わず飛び上がる程に驚いた。驚きのあまり涙まで出てきたが、呼びかけられた声に聞き覚えがあったので、涙目のまま振り向きざまに返答した。

 

「あ、彰!たまには普通に登場できないの!?」

 

「話しかけただけだろ」

 

流石に冤罪のような気もするが、気配を消しながら近寄っていったあたり確信犯なので、間違ってはいないだろう。

 

ようやく動悸が収まって落ち着いたシャーリーは、余りにも何時も通りの彰の様子を見て怒りが湧いてくる。こんなことをする時間があるなら、自分に無事の一報くらいは入れたらどうなのだろうか。

 

「こんなこと考える時間があるなら連絡くらい入れてよ!心配したんだからね!?」

 

「は?何の?」

 

「テロ事件の時のことに決まってるでしょ!」

 

シャーリーからしたら当たり前の話だったのだが、彰からしてみれば、まさかあの事についてここまで心配してくれているとは思わなかったので、何となく居心地が悪くなって誤魔化すように頭をかく。

 

(俺は何時この娘の好感度をそんなに上げたのだろうか…)

 

過去の自分の行動を思い返しても、それほど好感度を上げたようなことをした覚えがないのだが、随分と好感度を上げたものだ。

 

まあ良いかと彰は思考を放棄して話を進める。心配してくれてたことはともかく、連絡を取らなかったことにはそれなりの理由がある。それがなければ流石に連絡くらいはしていたのだから。

 

「そりゃあ、悪かったな。だけど、連絡しなかったのにはそれなりの理由があんだよ」

 

「理由?」

 

「お前、俺が犯罪者だって忘れてんだろ。お前に警察からの事情聴取が続いてたのに、下手に連絡するわけにはいかねぇだろうよ」

 

「…あ」

 

「あ、じゃねぇよ。たく…あの時下手に俺のこと何か庇う発言するから、面倒くさいことに巻き込まれやがって」

 

やれやれと言わんばかりに彰は頭をかく。それについては、確かにシャーリーに非があるのは自身で自覚をしている。だが、そうだとしても…例えそうだとしても…

 

「いや、そもそも彰がこんなに追われてるのって、ユーフェミア様をハゲフェミア様にしたからだよね。完全にする必要がないことを、ノリと勢いで実行したからだよね」

 

「さて、俺はそろそろ行くか。じゃあな、シャーリー。また、今度」

 

「じゃないでしょ!誤魔化そうとしたって誤魔化されないからねって…何処行くの?そっち、警察署しかないよ?」

 

こんなにシャーリーが取り調べに遭うまでの事態に発展したのは、間違いなく彰の影響だった。

 

それを指摘したシャーリーをスルーして帰ろうとする彰の服を、シャーリーは怒りながら掴んだが、彰の向かおうとする方向に疑問符が浮かぶ。向こうには警察署しかないはずなのだが。

 

「その警察署に用があるんだよ」

 

「自首するの?」

 

「アホか。俺は自首するような悪いことはしてねぇよ」

 

(しまくってると思うんだけど…)

 

シャーリーがそんなことを思っている中で、彰は話を続ける。

 

「ちょっと取り戻したいものがあるからな。ちょいとお邪魔するだけだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーい、飯できたぞー」

 

リョウは手慣れた感じで調理場から出てくると、朝飯ができたことを待っている人たちに告げた。

 

その声を聞いた3人は、ゾロゾロとそれぞれがやっていたことを止めて集まってくる。

 

「やっとか…リョウ。少し手際が悪いんじゃないか?」

 

「まあまあ、アヤノ。落ち着いて。怒ったって時間は戻ってこないんだから」

 

「クロの言う通りだよ。コスパ良く考えようよ」

 

「お前がコスパとか言うな引きこもり!何も生産してないだろが!」

 

「良いから食えよ。冷めちまうぞ」

 

リョウの言葉で何とかアヤノも落ち着いたので、四人は少し遅めの朝食を始めた。暫く黙々と食べていたリョウは、チラリとクロと呼ばれている人間を見て呟いた。

 

「何つうか…漸く慣れてきたな」

 

「ああ…そうだな」

 

「二人とも適応能力が低いんだよ。僕たち皆人類じゃないか。気にすることないよ」

 

「「心臓に毛が生えてるお前と一緒にするな!!」」

 

「二人ともそんなんじゃ、これから先を乗り越えていけないよ?色んなことを乗り越えていくのが人生なんだから、もっと強い心を持たないと」

 

「「テメェがここにいることに慣れてきたって言ってんだよ、この馬鹿皇族がぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」

 

「ワサップ!!」

 

他人事のように言ってくるクロヴィスに怒りを覚えたリョウとアヤノは、感情のままに飛び蹴りを炸裂させる。

 

そのまま後ろに倒れて気絶したクロヴィスは、言うまでもないであろうが、ゼロに殺された(ことになっている)皇族である。

 

それが何で、傭兵のテロリスト紛いのことをやっている何でも屋のリョウ達の家に居るのかについては、別話を参照して貰いたい。

 

ともかく、リョウ達の家に住むことになったクロヴィスは、この家ではクロと呼ばれるようになり(万が一にでもバレる可能性を減らすため)、毎日ユキヤと同じように引きこもって暮らしていた。本人からしてみれば、向いてない政治をやるよりも好きな芸術に余すことなく時間を使える現在の生活の方が、少し居心地が良く感じているのは余談である。

 

「あーあ。また、気絶させちゃって。リョウと違ってデリケートに出来てるんだから遠慮しないと」

 

「俺が雑に出来てるってのか!?」

 

「まあ、どうせそのうち目覚めるから問題ないだろ。しかし、私たちは何時迄この皇族様を預かってるんだ?」

 

「そりゃ、彰が良いって言うまででしょ」

 

「それが何時まで何だと言う話だ。全く…ブリタニア皇族様を何時迄も隠し通せるはずがないだろうに。こっちの迷惑も考えて欲しいものだ」

 

「人間変わるもんだねぇ。昔は彰に手伝えることがないか聞いて回って、役に立てただけで大喜びしてたのに」

 

「昔の話だ!そんな古い話を持ち出すな!」

 

昔のことをユキヤに揶揄われたアヤノは顔を赤く染める。別に隠したい過去と言うわけでもないのだが、恥ずかしいことに変わりはないのだ。

 

それに何より…

 

「くそっ…あの野郎、俺を差し置いてアヤノの兄貴面しやがって!」

 

面倒なことこの上ないシスコンが発動してしまうのだ。

 

「見ろ!気持ち悪い病気が発動してるぞ!ユキヤ!お前が責任取るんだろうな!?」

 

「幾ら何でもそれは彰が可哀想な気もするねぇ。どう考えても嫌がってる彰に無理やりアヤノが付き纏ってるようにしか見えなかったし」

 

「いや、別に彰は嫌がってなかったから!アレはアイツなりのツンデレだから!」

 

「ねぇ、それ誰へのフォローなの?過去の自分?」

 

ある意味、いつも通りにあっという間に騒がしくなった3人は止まることなく、更に争いをヒートアップさせる。

 

そんな折に

 

ピンポーン

 

不意に来客の存在を知らせるチャイムが鳴る。

 

最初は無視しようとした3人だったが、あれだけ騒いでいて無視するのは無理だろうと判断して、一番ドアへと近かったリョウが嫌々玄関へと向かう。

 

覗き穴から外を確認したリョウの目に、ピカリと輝く来客の頭が映った。どうやら女性のようだが、良くもまあ、ここまで思いきった髪型にしたものだ。そんなことをリョウが考えている間に、その女は更にインターホンを鳴らして話しかけた。

 

『あのー。もしもし。聞こえていますかー?』

 

ドア越しなんだから聞こえるに決まってんだろうと言いかけたリョウは舌打ちをして、ある程度きちんとした返事をする。何処かで聞いことがある声だと思いながら。

 

「はいはい、聞こえてますよ。悪いけど、金無いなら新聞も勧誘もお断りだよ。分かったらとっとと帰れこのハゲ」

 

『ハゲじゃありません』

 

「はあ?」

 

リョウがそう言うと、女は持っていたバックからピンク色の長い髪をスポッと自身の頭にはめた。

 

その姿にリョウは見覚えがあった。

 

ピンク色の髪

 

間違いなく美人と言える顔立ち

 

意思を感じる凛とした瞳

 

見るからに育ちが良さそうに見える身なり

 

それらの事実にリョウは全身に冷や汗をかく。彼女がこんな所にいるはずがない。だが、それらの事実が彼女があの方なのだということを、嫌でもリョウに理解させる。

 

『カツラです』

 

(第3皇女かよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




さて、この後どうなることやら…

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