ちょっと?変わったコードギアス   作:はないちもんめ

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またしても一月ぶりの投稿です


82 変な所を歩いている時に限って知り合いと偶然会う

「しっかし、よく考えるとまさか、まさかよねぇ」

 

「何の話だ?」

 

目の前でジュースを飲みながら、感慨深げに空を見上げているカレンを見つめながらアヤノはそんなことを問いかける。久しぶりに遊んでいる中で突然何の話をしているんだ?

 

「アヤノが彰の知り合いなのがよ。数年前に日本に来るまでずっとEUで暮らしてたアンタとEUに行ったことがない私が妙に仲良くなったってだけでも驚きなのにそこに共通の友人ができるなんてねぇ。世間は狭いと言うか何というか」

 

「私は別にそこまで驚きではなかったけどな」

 

彰もカレンもトウキョウでテロリストをやっているのだ。何処かで知り合うのではないか?くらいには思っていた。まさか、ここまで親しくなるとは流石に思わなかったが。

 

「てかさ、アイツって昔からアレな訳?」

 

何かとてつもなく苦い物を食べたような顔で話すカレンに思わず苦笑する。気持ちは非常に良く理解できる。

 

「アイツが変わる訳ないだろ?基本的にアレだよ。全く…少しは成長して欲しいんだがな」

 

カレンの言葉を聞いての発言だったが、何故かカレンは面白い物を見たような顔になる。

 

「アヤノってさ…意外と彰の話する時って楽しそうな顔する時が多いわよね?」

 

「そ、そうか?別に自覚はないんだが」

 

「そうよ。リョウには基本ツンの癖に、彰にはデレがデフォルトよ」

 

「い、いや、それはない!」

 

顔を赤くしたアヤノは思わず立ち上がってカレンの言葉を真っ向から否定する。そんな事実に反することを認めさせてはならない。

 

「あるわよ。隠れブラコンの癖にブラコンが隠しきれてないのよ。そんなだから、リョウが嫉妬するっていうのにねぇ」

 

「誰がブラコンだ!ブラコンはお前の方だろうが!」

 

「いやいや、アンタには負けるわよ。アンタとナナリーのブラコンは永遠のツートップよ」

 

「勝ち負け以前に私とアイツはそもそも兄妹じゃないだろ!?」

 

「じゃあ、何よ?」

 

純粋なカレンの疑問に、アヤノは開きかけた口を閉じる。

 

言おうか、言うまいか暫し悩んでいたが意を決して口を開いた。

 

「…彰には絶対に言うなよ。アイツは私にとって…ずっと…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「市民の生活の調査?」

 

「そうです」

 

頼みがあるとレイラに呼び出された卜部は会って早々、謎の頼みを聞かされた。このお嬢様の考えていることは…まあ、分からんでもないが中々に難しいことを口にする。

 

「また難しいことを言いますね…俺の立場で貴方がそれをするのを助けろと?貴方の身に何かあれば、俺では責任を取れない。日本とEUの同盟関係も結ばれない可能性が高くなる。それか分かって言っているんですか?」

 

「…ええ、そうです」

 

自分が無茶なことを言っていることは自覚している。だが、それでも成し遂げたい思いがある。だからこそ、こんな無茶な願いを卜部に頼んでいるのだ。卜部にはレイラの目を見ただけでその思いが良く分かった。

 

ため息を吐きながら天を見上げる。彰に相談したくとも、アイツは朝からクラウスさんとこそこそ何処かへと行ってしまった。まあ、アイツがいたところで今回に限ればあまり意味はない気もするが。

 

ここは断るのが正解だ。こんな頼みを聞いたところで卜部にも日本解放戦線にも全く利にはならない。だが

 

(真っ直ぐな瞳だな…本当に)

 

卜部はこういう真っ直ぐな思いに弱かった。今となっては、自分には待ち得ない純粋な思いを忘れていない若者にはどうしても力を貸してあげたくなってしまう。

 

とまあ、そんな建前は置いておいて

 

「…分かりました。喜んで手伝わせてください」

 

「ありがとうございます!…あの…何で空を見上げてるんですか?」

 

「…気にしないでください」

 

自分の弟分がかけた迷惑を考えれば手伝わないという選択肢など存在しないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここが貧困街…先程の場所とは確かに環境が違いますね」

 

「まあ、ここも最下層って訳じゃないと思いますけどね」

 

「え?どういうことです?」

 

「その話は歩きながら。それと、あんまり大声を出さないでくださいよ?俺はアイツと違ってそんなに変装術なんて得意じゃないんですから」

 

「アレと比べるのは間違っているかと思いますが…」

 

レイラの脳裏に変装などという言葉で片付けて良いのか分からないレベルの変装をする彰の姿が過ぎる。アレと比べてしまっては、全ての変装は遊び程度にもならないだろう。

 

「嫌でも比べちまいますよ。あんな天才を弟に持つのは結構大変なんでね」

 

「そうですか?」

 

「そうですよ」

 

「その割には楽しそうですけど?仲も良いですし」

 

クスッと笑いながらのレイラの言葉に卜部は頭をかく。別に否定する気もないのだが、他人に言われると中々こそばゆい。

 

「まあ、否定はしませんがね。大変なのは事実ですよ。兄貴ってのは弟に良い格好をしたくなっちまう生き物でね」

 

だからと卜部は続ける。

 

「俺はアイツが誇れる兄貴でなくちゃいけないんですよ。じゃなきゃ、アイツの前で堂々と兄貴顔できないですからね」

 

「別にそこまで考えなくても良いと思いますが…」

 

卜部の言葉にレイラは顔をしかめる。

 

レイラの知る彰は、好きなことしかしないドSの迷惑製造機だ。確かに良い所がないとは言わないし、変装など妙な特技も持っているがそこまで卜部が頑張らないといけないほどの人間だとは思えない。と言うか、ただのダメな弟だ。

 

レイラの顔を見ただけである程度レイラの考えていることが分かったのか卜部は苦笑する。まあ、ほとんどの人間はそのような反応をするだろう。

 

卜部としても別に理解してほしい訳でもないので、話を先に進めることにした。

 

「ま、そんな話はどうでも良いんですよ。何でここが最下層の人たちが暮らす場所じゃないってことが分かるのかって話でしたっけ?」

 

「え、ええ」

 

「まあ、ここに住んでる人達の人種からある程度は分かりますが一番の理由は俺たちが特に問題なく歩けてるってことですよ」

 

「それの何処が判断材料なんですか?」

 

「レイラさんは知らないかもしれませんが、最下層の人なんてのは基本的にその日暮らしの人間の集まりです。だから俺たちみたいな余所者でしかもレイラさんのような美人が来たらそれ相応の行動を取るはずなんですよ」

 

「その行動がここではないと?」

 

「ええ。レイラさんも分かってるでしょ?特につけられたりはしてないってことが」

 

確かに。多少、気を張って周りを見ていたがそれらしい人は見受けられない。

 

「なるほど。では、その場所まで行きましょう。ここより生活レベルが低いとなると生存が危ぶまれるレベルのはずです。早く助けないと」

 

「ダメです」

 

「…人の命がかかっているんですよ?」

 

「ええ。それでもです。こっちもかかっているのは仲間の命だ。それを無視してその場の勢いに任せた行動を取るわけにはいかない」

 

ここまでが卜部が取れる最大限の譲歩だ。これ以上は流石に協力できないし、行かせるわけにも行かない。短い付き合いだが、レイラの人となりを知った卜部としてはレイラのようなこちらに同情的な存在を失わせる訳にはいかないし、何より死なせるような真似をさせたくない。

 

なのでレイラが一人で行くと言い出せば身体を張って止める気ではあったが、予想外にもレイラの方から妥協案を飲むような態度を見せてきた。

 

「仕方ありませんね…分かりました」

 

「どうしてもと言うならって…え?良いんですか?」

 

「良くはないです。でも、卜部さんがダメだと言うなら仕方ないです。あまりご迷惑をおかけする訳にはいきませんし」

 

「また随分と聞き分けが良いですね…正直、絶対揉めると思っていたんですけど」

 

「私だって分別くらいはあります。私の立場とあなた方の立場。それを考えればここまで連れてきてくれた以上のことを望む訳には行きません。それに…卜部さんが私を連れて行けないくらい危ない場所であることは分かりましたし」

 

充分とは言えないまでもレイラにとってはかなりの経験になった。

 

「…貴方は聡明だ。加えて相手を思いやることもできる。側から見ているだけの意見でしかありませんが…貴方のような人に上に立って欲しいと思いますよ」

 

「気が早すぎますよ。私にはまだ若すぎます」

 

「歳なんか関係ありませんよ。アイツと同じだ。貴方は上に立つ者の才気を持っている。そしてアイツと違ってやる気もね。後は人望と実績さえつけば本気でトップを狙えると思いますよ」

 

「トップですか…」

 

この間まではレイラにそんな気など欠片もなかった。だが、レイラは知ってしまった。自分の夢を叶えるには言葉だけでなく、地位も必要だと言うことを。

 

「ま。将来の話ですよ。今はそんなに深く考えなくとも…ん?」

 

「どうしたんですか?卜部さん」

 

「いや、この辺で帰った方が良いと思いましてね」

 

「どうしてです?」

 

「どうやら、この辺りでは売春が流行ってるようですからね。年頃の娘さんが見るようなものじゃないでしょ」

 

卜部の言葉にレイラの顔は真っ赤に染まる。薄い知識でしか知らないが、恐らくそういう行為なのだろう。

 

「ふ、普通に犯罪じゃないですか!軍に連絡しましょう!」

 

「落ち着いて。治安が悪い所なら普通の話ですよ。こういう場所で女が生きていくにはこういうこともしなくちゃいけない」

 

「で、ですか!」

 

「それに俺たち二人じゃどうしようも無いですよ。こういうのは基本的にタチが悪い取り纏めがいるんでね。下手を打てば帰れなくなりますよ」

 

卜部の言葉にレイラは俯いて口をつぐむ。卜部の言葉は正論だ。ここで自分たちが女達を助けるのは偽善以外の何者でもないし、自分たちでは手に負えない数の連中が出てくる可能性もある。

 

だからこそ、ここは退くしかないのだ。例え、若い女の子を見捨てる行為だとしても。例え、知り合いの男二人の慰め行為を阻むものだったとしても。

 

…いや、ちょっと待て。

 

卜部もそれに気付いたのか、レイラと同時に見覚えがある二人の男の顔の方に視線を向けた。

 

そして

 

「いやー、まさかこんな色気のある日本人がここにいるとはな。これは久しぶりに本気出しちゃうよ?もう一人の彰君が顔を出しちゃうよ?」

 

「もう一人のクラウス君も同様だねぇ。いやあ、最近ご無沙汰だったからねぇ。たまには解放してあげないと」

 

「言っとくけど俺が先だからな、ひろしのおっさん。俺が先に声をかけたんだから」

 

「いやいや、何言ってるの。多めに金を払ったのは僕じゃない。だから僕が先よ」

 

「けちくさいこと言ってんなよ。ここは年上としての威厳を見せるとこだろ?寛大な心を見せて後輩からの尊敬を得る所だろ?」

 

「しょうがないねぇ。なら、ジャンケンね。これなら、公平でしょ」

 

「ま、良いだろ。んじゃ、いくか」

 

「「最初はグー、ジャンケン」」

 

「ジャンケンじゃ、ねぇですぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」

 

その二人の男の後頭部にレイラのドロップキックが炸裂した。

 

 

 




この次も来月には投稿したい!

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