ちょっと?変わったコードギアス   作:はないちもんめ

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月一投稿はやはり難しい…


94 他人のことに気がつくのに自分のことには気づかないって割と良くある

「ううむ…」

 

「まだ、言ってるんですか卜部さん」

 

恐らく先日のことで頭を悩ませているのであろう自分の先輩に千葉はため息を吐く。

 

「私もあの馬鹿の意見に賛成ですね。あいつがトップになるなんてあり得ないですよ」

 

先日、卜部が言った彰が日本解放戦線のトップになれという発言に対する彰の返答は『阿保ですか?』だった。

 

それほど、彰がトップになるという発言は実現不可能なものだった。何せ、トップになるには当然のことながら実務能力以上に様々なことが求められる。その中でも最たるものが「周りの信頼」だろう。

 

彰には卜部などの例外を除いて殆どの者から悲しいまでに信頼されていなかった。本人の態度の問題が原因の大半なので、自業自得ではあるのだが悲しい話だ。

 

「しかし、他に手はないだろう!この状況を打破するには!」

 

「その手を打ったら解放戦線自体が終わりじゃぞ?」

 

まあ、それも一つの手段だがなと溢すのは卜部よりも更に先輩の仙波だ。

 

「藤堂中佐は立場上認められんだろうが、日本解放戦線はかなり苦しい状況にある…部分的に見れば黒の騎士団の方が最早組織としての実力は上じゃろう」

 

正面から堂々とぶつかり合えば勝つのはほぼ日本開放戦で決まりだろうが、組織というのは戦闘力だけでは測れない。そして、戦い以外のほぼ全ての点において黒の騎士団は日本解放戦線に匹敵、いや上回ってさえいた。

 

だからこそ、卜部は彰をトップにすることを提案したのだが周りからの承認が得られない以上、トップになったとしても意味がない。とどのつまり、手詰まりだった。こうなった以上、解放戦線は現状路線を貫くしかない。しかし、それは長期的に見れば衰退の道でしかない。このままでは、戦闘能力ですら黒の騎士団に上回られてしまうだろう。

 

「ゼロ…ここまで考えていたと思うか?」

 

「何処までかは知らんが考えていたのだろうな。こちらも利用していた以上、奴を責めることなどできんが」

 

そして、それはルルーシュが想定した通りの未来だった。ルルーシュと彰しか読めていなかった未来が此処に来て他の者にも形をとって見え始めていた。しかし、それは余りにも遅すぎた。彰が察知した段階で対処していればもう少し何か違ったかもしれないが。

 

そう考えた千葉は軽く舌打ちする。

 

「あの馬鹿。気付いていたなら早く言えば良いものを」

 

「いや、無理だろう。彰が進言したとして日本解放戦線が変わったと思うか?下手すれば内部抗争すら起きていたぞ」

 

そう。今回の問題は日本解放戦線の根幹、つまり、片瀬少将の統率力の無さに起因する問題だ。それを無理やり何とかしようとすれば草壁中佐も過激派を抑えられなくなり、どちらにせよ暴発していただろう。

 

その結果は今とさして変わらない。ゼロがその問題の解決策に共に取り組むような形にすれば多少はマシな状況であったかもしれないが部外者のゼロにそんなことをする義務も義理もない。責めるのはお門違いというものだ。

 

「だからといって黒の騎士団の邪魔をしたところで、ブリタニアが喜ぶだけだしな…」

 

「こうなってしまっては、黒の騎士団の行動を我々が助けることが論理的に考えれば最善じゃろう」

 

まあ無理じゃがな、と呟く仙波は頭を抱える。そんなことを言えば藤堂以外の幹部は激昂し、余計に話が拗れるだろう。

 

「こんな時にあの馬鹿はキョウトに呼ばれてるしなぁ」

 

「このタイミングでキョウト…嫌な予感がするのう。避けられんかったのか?」

 

「無理でしょう。かぐや様からの指名です。ついでに私たちと藤堂さんも呼ばれてますよ」

 

姫の方ではありませんがねと言う千葉に卜部と仙波は眉を顰める。彰だけでなく、自分たちや藤堂も呼ばれているとなるとそこに意図を感じざるを得ない。とは言え、自分達の立場でキョウトの意見に逆らうことなどできるはずもない。

 

嫌な予感を振り払うように卜部はため息を吐くと、平常を装って呟く。

 

「どうせなら女性の方に呼ばれたかったもんだ」

 

「そう言うな。もしかしたら、こっちも女性がいるかもしれんぞ?」

 

「加齢臭が既に漂ってるんですけどねぇ」

 

「加齢臭漂わせながら何言ってるんですか。さっさと準備しますよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜キョウトにて〜

 

(何なんだ?あのシスコンのあの態度…)

 

かぐやの元に向かう途中に彰はルルーシュとの会話のことを振り返る。

 

出立前に、何故か自身がキョウトに向かうことを知っていたルルーシュから「まあ、精々気を付けるんだな」と意味深なことを言われた彰は怪訝な顔を浮かべた。

 

気を付けるも何もキョウトに彰を害する理由は一切存在せず、関係悪化のデメリットしかない。何を気をつけるのか全く検討がつかなかった。

 

「何の話だ?」

 

「ほう?この程度のことをお前がわからんとはな」

 

「キョウトに行くだけだぞ。奴等に俺を害するメリットはない。何に気を付けろってんだ?」

 

「そうだな。確かに奴等にお前を害するメリットはない」

 

何やら含むことが有り過ぎる返答だ。

 

とは言え、本当に心当たりがない。気をつけるのはむしろ、日本解放戦線の方だ。

 

コーネリアの注目は完全に黒の騎士団に向いているが、規模だけなら黒の騎士団を上回る戦力を誇る日本解放戦線が目障りでないわけがない。

 

むしろ、黒の騎士団に集中するためにも早めに決着をつけたいはずだ。

 

「俺としちゃ、こっちの方が心配だよ。コーネリアが本気出したら一瞬で終わりだ」

 

「それには気付いていたのか。そうだな、草壁と片瀬を失った日本解放戦線では持ち堪えるのは無理だろう」

 

「他人事だな、おい」

 

「他人事だからな」

 

冷たいように聞こえるが、別に日本解放戦線と協力関係ではあっても、同盟関係でもない黒の騎士団が日本解放戦線を助ける義理はあっても義務はない。まして、黒の騎士団が加わった所で勝ち目が薄い戦いなら尚更だ。まあ、それは飽くまでも真っ当な方法で戦闘に加わった場合だ。

 

「それを利用して何か悪巧みとかはできそうだけどな?」

 

「くくく、それはノーコメントとさせてもらう」

 

主人公とは思えないほど邪悪に笑うルルーシュに彰は肩をすくめる。こんなののフォローをしなければいけないカレンは大変だろう。

 

「そこまで読めるのに、自分のことはわからない…か。自分のことはよく分からないという言葉はどうやら真理らしいな」

 

「どう言う意味だよ」

 

「そう言う意味だ」

 

このまま付き合っても、この性悪は自分の想定していることを話すことはないだろう。

 

何となく嫌な予感を抱えながらも時間がなかったこともあり、彰はキョウトへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

やっぱり帰ろうかと思ったが、そんなことが許されるはずもなく半ば引きずられるような形で彰はかぐやの部屋の前に立っていた。

 

ここまで来たら腹を括るしかない。

 

半ばため息を吐きたい気持ちを抑えながら、彰は渋々かぐやの部屋の扉を開けた。

 

「まあ、彰様!ようこそお越しくださいました」

 

「来たくはなかったですけどね」

 

しかも会ったかぐやの様子は普段と全く変わらない。そこそこ人の様子を伺うスキルには自信があるが、このお姫様の笑顔の仮面の下を見破るのは容易ではない。笑顔のまま、お茶を差し出してくるが何を考えているのやら。

 

「いつも通りツンデレですのね。男のツンデレに需要はないですよ?」

 

「需要がないなら帰っても良いですかね」

 

「もちろん、私以外に決まっていますわ。私にとってはツンデレだろうとヤンデレだろうとデレデレだろうと、彰様が必要ですわ」

 

「デレデレって何ですか?ただデレてるだけじゃないすか」

 

「まあ、彰様!遂に私にデレてくださったのね!」

 

「すいませーん。会話通じないんで通訳呼んでくださーい」

 

相変わらず何を考えてるのか会話の内容から何も読み取れない。会話の中身が何もないので読み取るものが何もないのかもしれないが、それでも何かを企んでいるのがこのロリ姫の嫌な所だ。しょうがないので、こちらから切り出すしかない。

 

彰は出されたお茶を飲み干すと、単刀直入に切り込んだ。

 

「何を企んでいるんですかね」

 

「企むなんて人聞きの悪い。将来の旦那様候補の方を気遣っているだけですわ」

 

「気遣う…ねぇ。なら、生憎と忙しいので気遣って返してくれませんかね。用事なら藤堂さん達にでも伝えといてくださいな」

 

「彰様が忙しいなんて珍しいですわ。何か気になる所でも?」

 

「知ってんでしょーが。馬鹿なフリしたって無駄ですよ」

 

このロリ姫が今の微妙な状態を知らない訳がない。そんな馬鹿なら俺はこんなに苦労していない。

 

「何の話でしょうか?」

 

「はいはい。知らないふりをするならそれでも結構だ。だけど俺は帰らせてもらいますよ。未来が無い組織だとしても、あそこには世話になったんでね」

 

「相変わらず妙な所で義理を感じる人ですわね」

 

「そんなんじゃ無いですよ。ただ、背負った荷物には責任を持ちたいだけだ」

 

「彰様のそんな所は好きですわ。やはり…保険を打っておいて良かった」

 

「何を…?」

 

そう言っている途中に、彰は自身の手が少し痺れ出しているのを感じた。それだけではない。意識に軽いもやがかかっているようだ。

 

こんな状態に急になるなどあり得ない。とすればあり得る可能性は…

 

そこまで考えて彰はかぐやから差し出されたお茶を睨みつける。それを確認すると、珍しくかぐやは笑顔を消し、真剣な面持ちで告げた。

 

「彰様。あなた様に憎まれても構いません。日本のため…いや、私のために貴方を…ナリタには帰しません」

 

「こんにゃろう…」

 

彰はかぐやに最後の力で悪態をつくと意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ようやくシリアスの原作編に入ったぜ…ナリタまでいくのに約100話かぁ(遠い目)

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