want to war want to win   作:ゲオザーグ

3 / 4
他の人のデアラ作品見て久々に手付けたけど、まさか3年も放置してたとは・・・


唾棄すべき救いの手と望んでいた遭遇(コンタクト)

 平日のまだ日が昇る時間ながら、生徒はおろか教師も姿を消した無人の来禅高校。その廊下を駆ける生徒が1人だけいた。

 

『まずいぞシン。【No.10(プリンセス)】が様子見に徹して攻めてこない外の連中(AST)に痺れを切らして打って出るつもりのようだ。加えてAST(あっち)AST(あっち)で、見慣れぬ新兵器を持ち込んできた』

 

『新兵器ですって!?急ぎなさい士道!何としてでも先に接触して引き留めるのよ!』

 

「無茶言うな!今でも十分急いでるよ!」

 

 生徒の名は五河士道。先日No.10と遭遇後、いつの間にか姿を消していた民間人その人だが、戦闘中探していた妹の琴里から事情を聴き、彼女達の計画に協力することを決め、そのための訓練(シミュレーション)を積んでいた。

その計画とは、『精霊とデートして、魅了す(デレさせ)る』。傍から聞けば世迷い事にしか聞こえないだろうが、士道を回収した空中艦『フラクシナクス』の艦長と名乗る妹と、その配下に当たる解析官、村雨令音がそう話している。そして士道も資料映像で見たNo.10の(うれ)いを帯びた顔を見て、「救いたい」と思ったからこそ、こうして協力している。

 

 

 

 

 

 しかし彼等は手段にばかり目を取られ、自分達が前提からして間違いを無視したまま、真面目に道化として振舞っていることに気づいていない。

 まずNo.10は現在の容姿(みてくれ)こそ華憐な美少女のそれだが、内面は真逆とも言える数多の戦場を渡り歩いた男のままである。かつての相棒も口調こそ野太い声に反した女性を思わせるものだったが、あくまでお互い嗜好は至って正常であり、野郎()相手にそんな感情を抱くような趣味は断じてない。

 次にそもそも兵士たるNo.10は「デート」どころか「娯楽」自体に興味関心がない。直属の指揮官としても、「そんな暇があったら次の任務(ミッション)をこなせ」と流して聞く耳も持たないだろう。

 そして根本的な話として、No.10は救いを求めていない。士道が決意を決めた愁いを帯びた顔も、AST(相手)の弱さに対する失望や、果たせない任務(ミッション)に対する苛立ちが美貌にうまく噛み合っただけで、決意を語ったところで嘲笑しか得られないだろう。

 要するに『フラクシナクス』側のなすことは完全に無駄足であり、むしろ『ASTとの戦闘(ミッション)を妨害する敵』と認識されればまだマシな方。いくら手を伸ばそうと端から噛み合わないために、彼等の目的(ミッション)をNo.10が察することはないし、万が一にも察したところで、協力する利点(メリット)も必要性も無に等しい。

 言ってしまえば双方の事情は平行どころか対向ですれ違っており、交差したところで争いを『不毛』と避けたがる『フラクシナクス』側がNo.10に蹂躙されるだけに終わる。

 

『間に合わなかったか、グラウンドの中央で戦闘が始まった。すまないが回収させてもらうぞ、このままASTに姿を見られるのは得策じゃない』

 

「ま、待ってください!校舎内から声をかければ……」

 

『やったところで反応しないわ、それより気付かれるリスクが大きすぎる!大人しく退きなさい!』

 

 結局士道は戦闘開始(タイムリミット)に間に合わず、令音と琴里の判断で抵抗虚しく回収されてしまうが、『フラクシナクス』内で乗員達と共に、衝撃の結末を目の当たりにする。

 

 

 

 

 

 

「隊長、間もなく例の兵器が到着するそうです」

 

「わかったわ。各員は兵器が到着次第周囲の警戒に徹し、【プリンセス】が逃亡するか暴走しない限り手出し無用よ。まぁ、向こうの話じゃ私達より戦果が期待できるそうだけど……」

 

 部下からの報告に忌々しげな様子で指示を飛ばす隊長だが、それ以上に敵意を隠そうとせず、今すぐにでも突撃しそうな様子の隊員――鳶一折紙が勝手な真似をしないか目を光らせていると、見慣れない銀色の大型ヘリに吊るされた件の兵器達が姿を現す。

 

『お待たせしました、UNAC(ユーナック)各機投下します。皆さんは後方に下がり、引き続き監視してください』

 

U1(ユーワン)、ターゲット了解、オペレーション開始します』

 

 投下された兵器――UNACのうち、U1と名乗る最前列にいた細身の2本脚の機体が着地すると同時に『黄道十()二天宮・()天秤座()』へと向かって行き、合わせて同じくU2(ユーツー)U3(ユースリー)と名乗ったU1に比べ太い2本脚の機体が続き、鳥のような脚をしたU4(ユーフォー)U5(ユーファイブ)は『黄道十()二天宮・()天秤座()』同様の戦車に似た下半身のU6(ユーシックス)を護衛しながら進み、最後に4本脚で巨大な折り畳み式狙撃砲(スナイパーキャノン)を装備したU7(ユーセブン)が付近のビルに足を引っかけて登り、屋上に到着すると同時に右腕の狙撃砲(スナイパーキャノン)――YAKUMO mdl.2を展開して『黄道十()二天宮・()天秤座()』を狙う。

 

「何だよアイツ等、AC持ってたんならもっと早く出せばよかったろうに」

 

 ようやっと待ち望んだ相手(AC)を相手に戦えることに興奮するNo.10は、早速KAMILLE PC16を発射。迫る2本脚系統3機のうち、避け損ねて直撃した1番重量型のU3は、早くも爆発、炎上して物言わぬ金属塊となる。

 早々に脱落した僚機を一切気にしないU1は両腕に装備したブレード――BD-0 MURAKUMOを構え接近し、援護に回るU2は後に続きながら右腕のガトリングガン――AM/GGA-208と左腕のバトルライフル――Au-C-H30を発砲してくるが、前者はUHC-24/Rで胸部(コアパーツ)を射抜かれ、後者は肩から発射されるミサイル――UVF-17を避けて距離を撮ったところに急接近からの体当たり(ブーストチャージ)で沈黙する。

 

「なんだ?随分大したことねぇな。まさか最近入手したばっかか?」

 

 残る4機のうち、脚部の跳躍力を活かし、跳ね回りながら付かず離れずの距離からレーザーライフル――Au-L-K37とヒートマシンガン――AU25 Kalongを撃つU4とU5、両腕のオートキャノン――AM/ACA-218と両肩から放たれるヒートロケット――AZUSAYUMI mdl.1で弾幕を張るU6に対しては、ひたすらに移動しながら攻撃を繰り返す。向かってくる敵に対しては重装甲と大火力で押し切るのが容易だが、機動力に特化した相手を追うのは大きく劣るために苦手だし、同じ重装甲型の場合は互いの装備次第で千日手になりやすい。それでも何とか足回りを射抜いて、身動きを封じた火力頭のU6を一斉射(フルバースト)で黙らせると、残る逆関節型2機の対処に移ろうとするが、直後射程外だったために弾切れ待ちも兼ねて放置していたはずのU7が爆発し反応消失(ロスト)。逆関節型2機も突如放たれた光線に呑まれ、消失する。

 

 

 

 

 

 

「UNAC部隊が全滅!?しかも新手の反応が()()!うち1つは……そんな、【ナイトメア】!?」

 

「総員警戒を厳に!最悪どちらかだけでも反応消失(ロスト)するまで持たせて!」

 

 無人兵器故か呆気なくやられながらも、全滅するまでNo.10に与えたダメージはこれまで自分達が相手してきた時より与えられていることに歯噛みしていたASTの面々は、即座に3機を片付けた乱入者(アンノウン)の対処に意識を切り替える。間もなく先程UNACを連れてきた大型ヘリの色が違う同型2機に、U7同様の4脚型ACが姿を見せるが、No.10は敵対するどころか『黄道十()二天宮・()天秤座()』を解除し、相手ACが粒子となって消えると共に現れた、少女からは成長しているものの、なだ成人とは呼び難い辺りと思われるゴスロリ姿の女性と、その左右に浮遊するヘリに駆け寄る。

 

「アンジー!?何でお前までこっちに!それにさっきのAC……お前もしかして、No.3か!」

 

「そうよぉ!久しぶりねぇNo.10!まぁ、お互い見違えるどころじゃない凄い変化したから、そう驚くのも無理ないでしょうけど!」

 

『『お久しぶりです、No.10。あなたの帰還を歓迎します』』




()
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。