戦姫絶唱シンフォギア 罪人となった装者   作:ぬヰ

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この話は9話となっております。


【9話】塵となる装者

「未来ー?」

 

響は未来を探しにお風呂場に来た。

そこはピカピカでお湯が溜まっている状態だった。

恐らく未来がもう済ませた場所だと響は判断し、キッチンへ向かった。

 

「未来ー?」

 

キッチンへ足を運ぶが、キッチンにも居なかった。

まな板には切り途中の野菜と包丁が綺麗に置かれていた。

 

「未来どこ行ったんだろう……」

 

「響…?」

 

そう呟いているとキッチンの入口から未来が現れた。

手には絆創膏を貼っているようで、響は包丁で手を切ってしまったのだと思って未来に近づく。

 

「どこに行ったかと思って心配したよー」

 

「ごめんごめん、ちょっと切っちゃってね」

 

「大丈夫?」

 

「へいき、へっちゃら。でしょ?」

 

未来がそう言うと響はにっこりと笑い返事をした。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

調は切歌を抱き上げ、小屋へと身を隠す。

エルフナインが引き取ろうとしたが、調は自分でやるといい切歌を手当てし始めた。

 

その頃、クリスとマリアは一歩も譲らない戦いを繰り広げていた。

お互い距離が縮まらずに、ただ時間が過ぎていく戦いだった。

その時、同じ場所で戦っていた奏の背中とぶつかる。

 

「お、クリスか…」

 

「どうよそっちは…」

 

「流石は翼だ、そう簡単には行かない」

 

「こっちも同じようなもんだ」

 

 

「あら翼じゃない」

 

「マリア、さっさと終わらせるぞ」

 

「分かっているけれど、なかなか手強いのよねぇ。あ、そうだ、翼とタッグを組まない?」

 

「ユニゾンするつもりか?」

 

「まあそうだけど、私と翼は共にステージで歌った事もある。多少連携出来るはずよ」

 

「よし、分かった。一気に叩き込もう」

 

クリスと奏は翼とマリアの動きが変わったことに気づき、それぞれ対処していく。

 

「連携ってわけか……!」

 

奏がそう言うとクリスは奏の前に出て矢を放つ。

その矢は空中で何個にも分散し、翼とマリアに降り注ぐ。

しかし、その攻撃はマリアのギアによって防がれてしまう。

 

「くそ、なかなか上手くいかないか……」

 

「これで決めるわよ、翼」

 

「あぁ!」

 

そう言うと2人はクリスと奏に向かって走り込んできた。

 

「なぁ、奏……」

 

「ん?」

 

「今あたしがやろうとしていること、聞いても怒らねぇか…?」

 

奏はそれに少し、ほんの少しだけ間を開けて返事をした。

 

「いいよ」

 

「悪ぃな、」

 

「内容は?」

 

「こーすんだ…」

 

クリスはそう言うと目を閉じた。

背後から見ている奏には到底その姿は見えない。

そして、旋律が鳴り響く……

 

『ーGatrandis babel ziggurat edenal Emustolronzen fine el baral zizzl』

 

「この詠唱は……!!」

 

「まずい!撤退だ!!」

 

マリアと翼はなにか危険を察知し、勢いを止め逆方向へと走り始めた。

 

『Gatrandis babel ziggurat edenal Emustolronzen fine el zizzl………』

 

「絶………唱……だと……?」

 

奏は目を丸くしてクリスを見つめる。

 

「悪ぃな、これしか思い付かなかった。そしてこれは言わせてくれ、先輩とマリアはあたしが殺しちまうだろう……」

 

そう言うとクリスは猛スピードで翼とマリアを追いかける。

 

「まてっ……!クリスっ…」

 

「ほたえなッ!2人共ッ!!」

 

クリスは大ジャンプし、空中でギアが巨大兵器のような形に変形する。

肩に二つのレーンのようなものを背負い、そこでミサイルを撃とうと言う手段だ。

 

「こうなったら私のギアでッ!!」

 

逃げられないと悟ったマリアはアガートラームを展開させる。

 

「翼も手伝って!!」

 

「…あ、あぁ!」

 

そしてクリスから2つの巨大ミサイルが発射された。

そのミサイルはアガートラームのバリアとぶつかり合う。

翼とマリアは踏ん張り、ミサイルをはね返そうとするが、到底出来るわけもなく押し負け、大爆発が起きた。

 

「あちゃー、こりゃ参ったなぁぁ……」

 

ルーカスが頭を掻きながら状況を把握する。

 

「ルーカスー!!!!」

 

その時ミアが隙を付きルーカスに仕掛ける。

 

「おっと、ミアが居たか。悪いけどもうあんたには殺す価値もないよ、引っ込んでな」

 

ルーカスはゾイの方へミアを投げ飛ばし、ゾイはミアを思いっ切り殴り飛ばし、ミアは後方へ飛ばされてしまった。

 

爆発が起きた場所から煙が消えると、そこには無惨に倒れている翼とマリアの姿があった。

奏は翼をじっと見つめ、歯を食いしばる。

 

「翼……アタシのせいで、助けてあげられなかった……ごめんな……ほんとに…ごめん………」

 

すると、目線の端に上から落ちてくるクリスの姿が見えた。

 

「クリスッ!!」

 

奏は走って、クリスを受け止める。

 

「ゴホッゴホッ……クッ……ソ……体が…動かねぇ………」

 

「待ってろ!今手当てを…………ッ!!」

 

既にクリスの体からは古傷から血が溢れ出ていて、目からも口からも血が出ていた。

 

「無駄だ……あたしはもう時期死ぬ……」

 

クリスは息を切らしながら無理矢理声を出して喋った。

 

「バカヤロ!!そんなのアタシが許さねぇ!!クリスは何としてでも助けてやらァ!!」

 

「無理言うな……」

 

「エルフナインのとこに持っていく!お前が死んだら切歌や調はどーすんだよ!!」

 

「……………」

 

「クリス……?おいクリス!!!」

 

奏の呼びかけにクリスはもう反応しなかった。

クリスが死んだと奏は思いたくなく無我夢中でクリスを抱えて走った。

 

小屋に戻るとエルフナインにクリスを預けるとエルフナインは驚愕し急いで応急処置を行った。

 

調もその姿を見て、目を丸くしていた。

 

「はぁーい、どーもー」

 

その時ルーカスが窓から姿を現す。

 

「クソ!次はなんだッ!!」

 

奏は怒りをルーカスにぶつけて言う。

 

「おぉ、怖い怖い。悪いけど調は持ち帰らせてもらうよ、じゃあねぇぇ」

 

ルーカスは調の手を強引に掴むとそのまま姿を消えてしまった。

 

「調………」

 

「クリスさん…応急処置を行いましたが、心臓が停止しています……人工呼吸や心臓マッサージをしてみないと……」

 

そう言われると奏は心臓マッサージと人工呼吸を繰り返した。

 

「クリス……頼むから戻ってきてくれ……」

 

エルフナインは両手を組んで祈るように見つめる。

 

ドクンッ

 

と心臓マッサージをしていた奏の手に感覚を覚えた。

 

「動いた……」

 

エルフナインはすかさず様態を確認する。

 

「どうやら一命を取り留めることが出来たみたいです…ですが、意識が戻るかは……」

 

「あぁ、死なないだけよかった。後はアタシに任せな……クリス……」




ご覧いただきありがとうございます。
この回は一段と暗い話となりました。
翼さん、マリアさんはクリスの絶唱により死亡。
絶唱をしたクリスは意識不明。
調はルーカスに連れ戻される。
と言ったいい事なしの回となりましたが、ちょくちょくのんびりとしたひびみくシーンを入れるので、そのシーンを心の癒しにして頂けると嬉しいです。
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