こちらは17話となっております
ドンドン!
扉からノック音がするとキィィと開いた。
装者全員は警戒したが、外から入ってきた姿には皆見覚えがあった。
「ルーカス?」
未来がそう呼ぶと所々怪我しているルーカスが返事をした。
怪我に気付いた未来は
「ルーカス!?どうしたのそれ!!」
とルーカスの体を支えながら言う。
「あぁ、ちょっとな……」
未来の肩を借りたルーカスはそう言って適当に流した。
しかし、誰がどう見てもルーカスの姿は普通ではなかった。
彼女の服はボロボロになった上、体の所々に赤黒い液体が付着している。その液体は自らの体から出てる箇所も何箇所かある。
ルーカスを椅子に座らせた未来は、すぐにタオルを濡らして固まった血を拭き取った。
何かを悟った切歌が包帯などの医療器具を持ってくると、未来は慣れた手つきで手当てを済ませた。
ルーカスの体の傷口には繊細に巻かれた包帯がある。
それを確認したルーカスは立ち上がった。
未来は服も着替えさせようとしたが、ルーカスがこのままでいいと聞かないので、せめて洗うだけと未来が言い返すと、まあ洗うだけなら…と了承を得ることが出来た。
下着姿になったルーカスは服であまり気付かなかったが意外と胸があることに翼は気付き、少しばかり唇を噛み締める姿を奏が見つけると翼の肩をポンっと叩くと翼がギロリと奏の事を睨んできたので、奏はゆっくり翼との距離を置いた。
歩ける事を確認したルーカスはまるでここの住人のようにキッチンへと足を運び、牛乳を取り出し口に含んだ。
「どうしてそれがある事と飲んでいい物だと分かるのよ……」
ここでマリアが小声で呟く。
キッチン担当だったマリアは食材管理にはうるさかった。
机に寄り掛かりながら牛乳を飲み始めたルーカスはここまでの経緯を説明し始めた。
「村が襲われた」
いきなりのぶっ飛んだ内容で皆声が出せなかった。
「私は調の様子がおかしい事が気になって調のことを見に行ったんだ。その時はまだ寝ていた、でも朝来てみると調は居なく、微かに森の奥から煙が立っているのが見えた私は村に向かった。村は驚く事に中心の家が燃えていた、私はなんとか火を止めたけれど、問題はそこじゃなく、人が殆ど死んでいるって事だ」
「人が死んでるって……火事の問題じゃないよな……」
クリスが確認の為に言うとルーカスは頷く。
「火事はまだ
「火事よりも大事な事が起きたから……か?」
奏がルーカスの発言に入り込み、言った。
ルーカスは話を続けた………
◇
「調、本当に意志なのかどうかは放っておいて少しやりすぎだ」
「私の関係ない人だもん、殺してもなんのダメージを受けないんだよ?」
「その関係の無い人を殺すなと私は言っているんだけどな」
「ならさ……」
そう呟いた調は瞬時にルーカスの首元に刀が突き刺す。
「関係のある人は殺していいよね?」
調の瞳はピンク色に光り、シュルシャガナを纏う。
「詠唱無しで……?」
シュルシャガナは持っていた刀に吸い込まれ、シュルシャガナのアームドギアのような形状になった。
シュルシャガナの力を吸い込んだからか、調はシュルシャガナの姿にはなっていない。
その代わり持っている刀が変形し、鋸のようだがやはりよく見ると刀のような形になり、腕だけがシンフォギアを纏ったような姿になる。
「そんな事出来るのか……」
その刀に見覚えがあったルーカスは、記憶を遡り辿り着いたのは
何故調がそんな物を持っているか考えていると…
「ぼーっとしてるなら大人しく殺されて!」
と調が襲いかかってきた。
刀はルーカスの首目掛けて振り下ろされるが、ルーカスは一歩も動こうとしない。
その隙を突き、調は思いっきり刀を振り翳す。
その途端ガシッとルーカスの左手が調の右手を掴む。
ルーカスは刀を無理矢理引きちぎり、刀の効力を解除した。
「クソっ!!」
調はすぐ様シンフォギアを纏い直し、中距離攻撃のヨーヨーを飛ばしてくる。
刀を持ったルーカスは迎え撃とうとする。
「ムラサメは……こうやって使うんだよ」
ルーカスが呟くとヨーヨー自体が真っ二つに割れる。
流石に勝てないと思ったのか、調は大量の鋸を飛ばすとそのまま逃げてしまった。
大量の鋸は流石に抑えきれずいくつか削られたり、刺されたりしてしまった。
「ムラサメの事は私が一番知ってるんだから……」
特殊部隊員用戦闘武器が誕生したのはシーナが死んだ後、新しい隊長から渡されてから何年も使っていた物だ。
今になっては部屋の奥に仕舞っていたはずなのに、、、
◇
ルーカスが今までの経緯を説明すると、切歌は
「調ぇぇ……」
と悲しい声で何処か心配でしょうがないような声で呟く。
「そんで、調は具体的にどんな感じだった?」
切歌の肩に手を乗せた奏はルーカスに詳細を求めた。
ルーカスは腕を組み替えて説明を始めた。
調の目が光ったこと、この刀を持っていたこと、そして誰かに操られているということ、、、
次いでにムラサメという刀についても話す。
「力を吸収する刀か……」
刀を扱っているからか、翼が反応する。
「翼…?何か心当たりがありそうね」
「あぁ、昔どこかの軍隊に力を持つ刀があると小耳に挟んだことがあってな、その軍隊とやらがもし特殊部隊だとしたら……」
「その刀に間違いないって事ね、でもそんな事私達は聞いたことがないわ、少なくとも機密にされていると思うわ」
「んじゃあなんで調のやつが持ってたんだ?」
比較的大人組の翼、マリア、奏と並んでルーカスが話し始める。
クリスは切歌がここに居ても仕方ないと考え、外に出てくると言い扉を開けた。
「あ、私も行く!」
クリスに続き響も外に付き合うと言ってくれたので切歌の事は二人に任せた。
「ミアの奴はどうなんだよ、姿現さねぇじゃんか」
「ミアは大丈夫」
ルーカスは皆に特殊能力の事、ミアに助けてもらったことを説明する。
流石冷静組はなるほど、と言っただけだった。
もしここに響とかが居たら「わー!なにそれー!!」と寄ってきただろう。
「という事はミアは大丈夫そうだな」
と翼が1件を纏めるともう1人、話を聞いていた人物が口を開く。
「お前ら、難しく考えすぎだ、普通にルーカスの奴がまだ操っているとか考えたりしないのか?まだルーカスは仲間だと証明もされてないぞ」
キャロルだった。
外に行かず、共に話を聞いていたらしい。
「待って、私は確実に洗脳を解いたぞ!あなただって見たでしょ?」
「さあ、洗脳を解いたフリをして洗脳解除して無いかもしれないし、別の洗脳方法だってあるかもしれない。後は洗脳解除したが、その後にもう1回洗脳し直したとかな、考え用にはかなりの選択肢がある」
「お前はルーカスを疑っているのか?」
翼がキャロルの態度からそう考え出した。
「逆にお前達は疑っていないようだな、ルーカスは仲間だと慢心でもしてるのか?俺はただ、ありとあらゆる可能性を疑っている、それだけだ」
考え用にはルーカスが敵じゃない証明は出されていないので、ルーカスが演技をしている可能性も無きにしも非ずの状況だった。
キャロルの発言以降、その空間では沈黙が続いた。
「今は疑う事しか出来ないのかもしれない、でも、もし騙されているなら騙された上で乗ってみるって言うのも面白いとは思わない?」
流石ルーカスと言ったところか、信じてもらえず落ち込むかと思いきやそれを逆手に取り笑って見せた。
そのルーカスの行動に一本取られたキャロルは寄っかかっていた壁から背中を離し、ルーカスの提案に賛同した。
「まあ、いいだろ。それもそれで面白そうだしな、もし俺の言ったことが真実だとしたら、俺は容赦なく潰しにかかるぞ」
「その時は返り討ちかな」
キャロルとルーカスは握手を交わし、この2人の間に決して切れる事の無い頑丈な糸が結ばれたような気がして、心無しか危なっかしい同盟が組まれたとそこに居た全員がそう思った。
ご覧頂きありがとうございました!
今回はこの章の敵とルーカスとキャロルの同盟のようなものが組まれた回でした。
つまり、ルーカスとキャロルが一緒に戦う場面も……?
最近更新頻度がガタ落ちですが、なるべく早く次回をお届け出来たらいいかなと思います!
それでは( ´ ▽ ` )ノシ