とある飛空士の重巡航管制機《アイガイオン》   作:篠乃丸@綾香

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初めまして人は初めまして、読者様、これより『ZERO零』としてエスコンの小説を書かせていただく。

これからは読者様の指揮下に入る、いつでもリクエストを……

『エースコンバット』と『とある飛空士シリーズ』のクロスオーバー小説を投稿か、悪くない。

まぁいいや、サァいくか。


第1章〜Metastasis〜
第1話〜沈みゆく白鯨〜


空。

 

果てしなく広がる無限の青い空には分厚い雲が浮かび、その隙間から青々とした美しい海が見え隠れする。いつまでも見ていたい、キャンバスに収めておきたい光景であるが、その空は白い白煙でその一部を塗り潰され、汚されている。その空に流れる筆の様に空というキャンバスを飛んでいる一機の戦闘機がいた。いや一機だけではない、縦横無尽に飛び回るそれはもう沢山の戦闘機達がそこにいた。この空はキャンバスなんかではない、戦場なのだ。

 

航空機が発達したこの世界、この時代で空が戦場になることは珍しくない、むしろ現代戦において制空権はこの上なく重要だ。だからこそ、戦闘機は年を重ねるごとに発達していき制空権を奪い合うために空が戦場となる。

 

だが、この光景を見れば夢かと疑い、頬をつねるだろう。上空、広がる雲海の上を編隊を組んで飛行する巨大な航空機。その大きさから遠目に見れば戦闘機の編隊より爆撃機の群れを想像するだろう、だがそのスケールは爆撃機のそれを超えていた。

 

近づけばその大きさが普通の航空機とは比べ物にならないことが分かるだろう、両方の翼に合計24機の巨大なジェットエンジンが取り付けられ、その巨体を空に浮かべている。エイ、またはジンベイザメを連想する様なフォルムに機体の中央には機首から機体の最後尾までにかけて空母の様な飛行甲板が取り付けられている。

 

信じられないだろうが、この飛行機は戦闘機などの航空機を運用できるのだ。まさに空中空母、さらにそれを護衛する様にコバンザメの様な航空機が4機随伴する。これらも普通の航空機とは比べ物にならない程巨大だ。そんなスケールの航空機がまさしく今、沢山の戦闘機によって攻撃を受けていた。

 

 

「エンジンブロック被弾!パワーコントロール第三エンジン吹かせ」

 

「第二エンジン被弾!推力ダウン、操縦桿引け」

 

「もうだめです司令!」

 

「まだ飛べる、問題ない!」

 

 

マカロフ・イワノヴィッチ大佐は艦隊司令官として、任務を遂行するため部下達と共に必死だった。

 

『エストバキア連邦』アネア大陸東部を領土とするこの国は、1999年の小惑星ユリシーズの破片が落下したことにより甚大な被害を被り経済の基盤が破壊された。産業やインフラは崩壊、国内の慢性的な物資不足が発生、治安は悪化し、行き場を失った大量の被災者は難民と化し、さらには官僚や政治家も混乱した国内から次々と脱出してしまい、政府機能は麻痺状態に陥った。そんな中、政府に変わり各地の「将軍たち」と呼ばれる軍人達が軍閥組織を結成。

 

ユリシーズから立ち直るため世界各国、特に隣国のエメリア共和国からの手厚い支援を受けたものの軍閥同士の内戦が勃発、15年という長い内戦へ突入していった。

 

内戦終結後、旧東部軍閥の有志による軍事政権を樹立。貧窮しきった経済を立て直すため、隣国のエメリア共和国へ奇襲攻撃を仕掛け、領地を奪い取るという暴挙に出た。後にエメリアエストバキア戦争と呼ばれる戦争でエストバキア軍はある切り札を使った。

 

『空中艦隊』

 

P-1112重巡航管制機アイガイオン、全幅963.77m、全長433.3m、全高102.39mという大きさを誇るこの巨大な飛空挺は、エストバキア海軍が運用する重巡航管制機である。内戦時、東部軍閥は、長距離攻撃と空中からの艦載機運用による広範囲の制空権を奪取するため「空中艦隊構想」を発案。そこにベルカ戦争で似た様な開発コンセプトで作られた重巡航管制機XB-0、それを建造したベルカ人亡命者によってその計画は実現した。

 

同じ空中艦隊構想で建造されたP-1113電子支援機コットス2機、P-1114近接防空機ギュゲス2機と共に空中艦隊として運用。開戦当初からアイガイオンは特殊巡航ミサイル「ニンバス」や艦載機部隊である「シュトリゴン隊」などで活躍をみせ、一時は優勢であったエストバキア軍だが、エメリアのエース「ガルーダ隊」などを筆頭としたエメリア軍の反撃により次第にその優勢は崩れていった。

 

そしてこのアイガイオン率いる重巡航管制機編隊には、『空中給油時にレーダーによる空中給油機の計器や人員への被害を防ぐためアイガイオン、コットス、キュゲス全機が前方へのレーダー照射を一時的に止めるしかなく、前方の動体視認がほぼ不可能になる』という致命的な欠点がある。それを見抜かれ、今大編隊による奇襲を受けている。その弱点を補うために搭載していたシュトリゴン隊による偵察飛行、その交代の時間を見計らった完璧な奇襲であった。

 

機体がまた大きく揺れる、エメリア空軍の対艦ミサイルの攻撃だ。彼らは巡航速度や機動性が低い重巡航管制機に戦闘機隊だけではなく、本来なら対地攻撃に使うA-10サンダーボルトで投下爆弾やロケットポット、無誘導の対艦ミサイルなどで空対空爆撃を仕掛けたのだ。

 

多大な威力を誇る対地兵器の数々に空中艦隊の機体は成すすべもなく撃墜され、我が空中艦隊の誇るエース、シュトリゴン隊も既に全滅、もはやこのアイガイオンしか残っていない。

 

機体に衝撃が走る、どうやら今度は空対空ミサイルを被弾したようだ、コックピットの計器にノイズが映る。右翼のはじにあるエンジンユニットが爆ぜ、アイガイオンをパッと照らす。凄まじい轟音が機体を駆け巡る。

 

 

「また被弾です!」

 

「推力更に低下、堕ちるか!」

 

「諦めるな!補助エンジン、出力どうした⁉︎」

 

<<こちら第二機関室!補助エンジンユニット停止、火災が原因かと思われます!>>

 

<<こちらC24ブロック、エンジンユニット付近から火災が!炎がすぐそこまで迫っている、助けてくれ‼︎>>

 

 

左右24機あるエンジンユニットも次々と破壊され、次第に出力が低下、高度も下がってくる。そしてさらなる衝撃、ここにきて致命弾中の致命弾を食らった。奮闘し続けた最後のエンジンユニットが被弾破壊されてしまったのだ。

 

 

<<こちら第三機関室!メインエンジン全機破損!消化不可n……ぐわぁぁぁぁっ‼︎>>

 

「どうした第三機関室!応答しろ‼︎」

 

「全エンジンユニットダウン!出力低下!」

 

「高度が下がります‼︎」

 

 

もはや自力で飛ぶことすらままならず、その巨体は無力なグライダーと化す。再起もままならず機体のあちこちから火災が発生しており、どうやら消火は不可能の様だ。アイガイオンに残ったのはもはやその機能を全うしていないCIC(戦闘指揮所)とこのコックピットの管制室のみである。

 

 

<<ガルーダ1、エンジンユニットを破壊、これで全部よ>>

 

 

通信が混線しているのか、時々敵の無線が聞こえてくる。戦場に似合わぬ凜とした声、女性パイロットの様だ。彼女こそエメリア空軍のエース、ガルーダ1ことタリズマンである、声を聞くまで彼が女性だとは思わなかったが。

 

彼らはガルーダ隊に終始圧倒されていた。

彼女の乗るF-15E(ストライクイーグル)の攻撃は搭載兵器こそ対地ミサイルやら、空対空ミサイルなどの攻撃をしてくる編隊の中では一番軽装備だ、しかしこれらにより対空火器はほぼ全損、シュトリゴン隊も彼女に撃墜され、エンジンユニットもミサイルや搭載機銃の攻撃で全て破壊された。

 

 

<<敵重巡航管制機に致命弾、あと一息だガルーダ1!敵重巡航管制機の息の根を止める、前方から内部を攻撃するんだ>>

 

<<了解、正面から攻撃するわ>>

 

「奴ら、このコックピットを破壊するつもりか、ここでアイガイオンを失うわけにはいかない、ニンバスを放て!攻撃を続けろ!」

 

「ニンバスをですか⁉︎」

 

 

ニンバスとは散弾ミサイルの一種である、マーカードローンなどで誘導する巡航ミサイルのであり、空中を飛翔し、目標上空で炸裂、高温の火球と共に多数の散弾を撒き散らし、広範囲を制圧する事で多数の対空目標の迎撃が可能な特殊巡航ミサイルだ。

しかし散弾ミサイルという特性上、この距離で放てばアイガイオンにもダメージが入ってしまう。

 

 

「アイガイオンを失えばエメリアに制空権を奪われる!それだけは防ぐんだ‼︎」

 

「しかしこの距離では本機にもダメージが……」

 

「もう他の機は撃墜された!他の機に損害を与える事はない、我々しか居ないんだ!ニンバスを撃て‼︎」

 

 

それは最後の足掻きだった。

 

 

<<信じられねえ……まだ飛んでやがる……>>

 

<<いえ、もうこれで終わりよ>>

 

 

ガルーダ1は右旋回して方向転換、アイガイオンと正面から対峙する。ヘッドオンだ、アイガイオンはそれを待っていた。

 

 

「ブースター点火、座標指定よし!」

 

「ニンバス発射(ランチ)!」

 

 

アイガイオンの背中のハッチが開き、多数の巡航ミサイルの姿が現れる。ブースターを点火してアイガイオンから打ち出される大量のニンバス、それらはさながら鯨の潮吹きの様で威圧感があった。対峙するニンバスとガルーダ1、速度を緩めることなくお互いに接近し……

 

そして、ニンバスはガルーダ1の目の前で炸裂した。

 

開発者が「空が燃えている」と称していたとおりの巨大な火球、同時に何千もの高温の鉄球がガルーダ1に降り注ぐ。ニンバスの弾幕、いくらガルーダ隊の一番機と言えども人間だ、乗っているのも人間が作りし戦闘機、とても耐えられるはずがない。何せ、自分たちが開戦初日のグレースメリア戦でエメリア空軍の戦闘機を多数撃墜したのだから。そのとおりにガルーダは死の火球に飲み込まれて言った。

 

しかし、彼らが見たのは……

そのニンバスの火球の合間を縫って、弾幕から飛び出したF-15Eの姿だった。

 

 

「……!」

 

 

まさか、ニンバスの弾幕に飛び込んで抜け出すとは思わなかった。しかし、ガルーダ1も唯では済まなかった様で、F-15Eの機体は所々凹んで塗装は黒く剥げており、片方のエンジンからは黒煙が上がっている。それでもミサイルをぶら下げアイガイオンに向かって飛んでいる。その姿にマカロフ機長の一瞬の判断が遅れた。

 

 

「司令!」

 

「お前達は逃げろ!直ぐに脱出するんだ!」

 

「しかし!」

 

「来い、ガルーダ!私は一歩も引かん‼︎」

 

「司令ぇぇぇぇ!」

 

 

ミサイルはコックピットに直撃、機首は炎に包まれ幾万もの破片を撒き散らす。そして機体の胴体部分が音もなく膨らんだかと思うと次の刹那、アイガイオンの機体中から大規模な連鎖爆発が起きた、残っていたミサイルや燃料に引火したのだ。

 

マカロフ機長及び副機長含むクルー数名は2発のミサイルの爆発に巻き込まれ、死亡。ガルーダ1のF-15Eはそのままアイガイオンの飛行甲板の中を高速で突き抜け、そのまま急上昇し離脱した。

 

 

 

 

 

 

<<敵重巡航管制機編隊を殲滅!大手柄だ!戦局は変わるぞ‼︎>>

 

 

普段は気真面目なAWACSの指揮官、ゴーストアイが大声で喜びを叫ぶ。

 

作戦は成功だ。この作戦にエメリア軍は持てる航空戦力のほぼ全てを投入していた、アバランチ、ウィンドホバー、スカイキッド、スネークピット、ほぼ全てをだ。この作戦が失敗すれば航空戦力に大きな痛手となるにもかかわらず、決死の覚悟でアイガイオンを相手にした。そして見事アイガイオンを撃墜したのだ。

 

 

「やったのね……」

 

<<ああ……>>

 

 

無線からシャムロック(二番機)の声が聞こえてくる。どこか物悲しげな彼の声は墜落していくアイガイオンに向けられていた。

 

 

<<蒼い海へ帰れ……静かに……眠れ……>>

 

 

シャムロックはアイガイオンをなだめるかの様に、静かに、優しく、呟いた。それは沈み行くアイガイオンに向けてのものなのか、それともその搭乗員に向けてのものなのか、タリズマンは聞かなかった。

 

爆煙を上げながら堕ちてゆくアイガイオン、破片を撒き散らし、巨大な翼は折れ、海上に墜落する。こうして翼を手に入れた白鯨は海へと還っていった。

 

 

 

 

 

 

2016年2月20日、アイガイオン及び重巡航管制機編隊壊滅。

死者、約6500名。




登場人物はエースコンバット6で名前が出ている人以外は性格もキャラ名も全て想像で作っています。エースコンバットのキャラの名前って基本TACネームや部隊番号とかだもんね、シカタナイネ。
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