とある飛空士の重巡航管制機《アイガイオン》 作:篠乃丸@綾香
それから、誤字報告ありがとうございます。
ほぼ全ての話を見てくださった方がいて、1話1話丁寧に誤字報告してくださいました……頭が上がらないです。
本当にありがとうございました。
<<ニンバス
「
「はい!!」
通信でのロレンズとのやり取りをすると、ミツオは後席から身を乗り出し、信号拳銃の銃口を上に上げる。
(まずは1発目で敵の概要を把握する……!)
引き金を撃つ、ポンという軽快な音と共に一筋の光が放たれた。
夜闇が照らされる。
<<な、なんだ!?>>
<<照明弾だ!誰が撃った!?>>
<<敵機です!もう一機、艦隊の中にいます!>>
空賊たちの戸惑いの声が響く。
夜闇に光り輝く一筋の光の玉が、一機だけだと思っていた彼らを困惑させている。その全員が、ミツオたちの機体に目を向ける。
<<あそこだ!直掩機隊、のこのこと照らされているあの飛空機を撃ち落とせ!!>>
途端、ロレンズに刺し向けられていた空賊機の一部がミツオたちに向かって突撃してきた。
すでに銃撃が開始されている。
「滑らせてっ……!」
チハルはフットペダルを交互に踏んで、敵の銃撃を回避する。
ミツオはショットガン、M870に散弾を込めながら前席へ叫んだ。ローターを水平に立てたエル・アルコンは通常のプロペラ戦空機に近い運動性能を発揮できる。
空賊の単座戦空機は低翼単葉、両翼に固定機銃を持つ格闘専用機だった。
速力はエル・アルコンよりも勝っており、機体速度に劣るエル・アルコンは常に後ろをとられるが、機体を滑らせることにより弾丸を当てさせない。
「ヒダリ、ヒダリ、ヒダリ……」
ミツオは後部座席を回転させて追尾してくる敵機へ体の正面を向け、ショットガンを放った。ショットガンの散弾は擬似的な弾幕を張るため命中精度が高い。対空目標にもうってつけだった。
追尾してくる4機も、一度に襲いかかることはできない。両翼に固定銃を持つ機体は機体の首尾線(尾翼から機首にかけての直線)を目標に向けなければ射撃できないからだ。
ならば、敵機が射程圏内に入ろうとする瞬間を見て前席へ伝えればいい。飛空科ではまだ教わっていない技術だが、いつも一人で勉強していたミツオはそのことを知っていた。
「今だ!左へ!」
チハルがフットペダルを左に踏むと機体が左へ滑る。銃撃はエル・アルコンの左側の空を切る。
敵弾を見て回避する。チハルとミツオのチームワークがなければ成せない技であった。
<<嫌味な機体だ!機体性能では俺たちの方が上なのに!>>
「空戦は……機体性能だけじゃない……!」
そうだ、エル・だっていい機体だ。それを駆使すれば空戦だってこなせる。
しかし、このままではまずい。ロレンズの作戦では5分以内に照明弾をもう1発打ち上げなければならない。
が、ミツオたちはこのように追いかけられているし、ロレンズだってまだ空戦に手一杯だった。
このままでは時間がない、追尾されながら機体を上昇させ、照明弾をあげるか?
ダメだ、敵機と空戦しながら急速上昇は危険すぎる。それでは作戦は遂行できなくなる。
つまり、イスラが火の海になる……チハルとの約束、一緒に生きて還ることも無に還る。
(そんなことは絶対にさせない!!)
ミツオはショットガンを構えながら、4機の戦空機を睨む。首尾線を一気ずつ合わせて狙いを絞ろうとしている。
「チハル……右……」
すると突然、こちらへ機銃を叩き込まんとしていた4機が一瞬にして火球と化し、爆砕していった。
「え?」
銃を構えていたミツオには、何が起きたのかさっぱりわからない。
その時、空気を切り裂くようなプロペラの駆動音が聞こえてきた。エル・アルコンのものではない。
そしてプロペラ音はミツオたちの横につき、ようやくその姿が目に入った。
「「バンデラス先生!!」」
ミツオ・チハル機に平行して飛ぶエル・アルコンの後席に、仁王立ちで立つ屈強なたくましい背中。教官のバンデラス先生だった。
「お前たちっ!状況は聞いた、お前たちよく頑張ったな!」
彼の手には硝煙を上げる重機関銃を持っていた。ミツオたちには重くて持てない重機関銃がこれほど頼もしく見えたことはあっただろうか?
「たが、あいにく俺は信号拳銃は持っていない!お前たちはロレンズの作戦を続けろっ!敵機は俺が引きつけるっ!」
「わ、分かりました!チハル!!」
「うん!頑張ろう、みっちゃん!!」
そう言って二人は決意を固めた。
エル・アルコンを翻し、一気に敵艦隊の真ん中へと突入していった。
「ソニア」
「分かってる」
前席、操縦把柄を握ったソニア・パレスはエル・アルコンの機種を下げた。落下して位置エネルギーを稼ぎ、加速する。翼とロータをを水平に立てて後席へと振り返る。
「行くぞ」
「あぁ」
いきなり機種を下げ、機体をねじるように上昇して行く。
<<くっ!敵機が増えた……!>>
<<こいつは強い!照明弾の飛空機の前にこいつを殺れ!!>>
敵機も追尾してくる。左に2機、右に2機、直後に一機。機体性能では空賊機の方がはるかに優っている。
後ろの一機が、首尾線を合わせた。その両翼が光り、曳光弾がこちらへ向かい伸びる。
同時にソニアは上昇しながら急横転を打った。射弾が傍をすり抜ける。
後席、横転しながらも機体の真後ろへ向けられたバンデラスのM2重機関銃が火を噴く。
ズダダダダ!!!
敵機の前面にいくつもの機銃弾が散布され、空賊機はその中に自ら突っ込んでいった。
空賊機に徹甲弾が押し入り、中を割って骨組みを砕き、そして炸薬が破裂する。空賊機の血肉は砕け飛び、新たに火の玉が生まれる。空賊機は悶えながら夜空を墜ちていく。
<<な!?一瞬であれだけの……!>>
<<怯むな!挟み撃ちにしろ!>>
それを見た右の2機がこちらの行く手を遮るように増速してきた。バンデラスのM2が旋回する。機体の横、敵機が移動しようとしている未来位置に機銃弾を叩き込む。
ダダダダダダダダ!!!
飛空士の驚愕の表情が、真っ赤に染まっていく。2機は先ほどの空賊機と同じ運命を辿った。火を吹きながら、彼らは果ての見えない聖泉へと墜落して行く。
瞬く間に三機、いや七機撃墜。息を飲んだのは前席のソニアだ。
バンデラスが行なっているのは見越し射撃……を超越した何かである。
重機関銃の口径は12.7mm、放たれる弾丸は曳光弾、徹甲弾、焼夷弾、炸裂弾の順に並べられ、それらをほぼ同じ箇所へと降り注がせている。
ほぼ4発、たまに8発を撃ってそれのみで敵機を撃墜して見せていた。こんな正確な射撃は正規兵でもできない。
敵の未来予測位置に機銃弾を散布する……いうだけなら簡単だが、実際には回避行動でぐらぐら揺れる機体と横風の影響を受ける。そうやすやすと当たるものではない……筈だが、この大男はいともたやすく命中させた。
「いい腕だ」
ソニアの操縦技術に対していったのだろうが、ソニアはいい意味でお前がいうなと突っ込みたくなった。
(これが……インペリアルエース……!)
ソニアの脳裏を、かつてバンデラスに与えられていたという称号がよぎる。練習機に乗って、わずか一瞬にして七機撃墜である。
ロレンズのフランカーのような高性能機に乗っているわけではないのにこの戦果。もしも、この男を単座戦空機に乗せてこの場に放ったら、どれほどの戦果をあげられるのか見当もつかなかった。
「あとは……任せたぞ!」
バンデラスは空高く舞い上がるミツオとチハルのエル・アルコンに、それだけ呟いた。
「うううっ!うううっ!」
チハルはそんなうめき声を上げながら、操縦把柄に額をくっつけるようにして、こちらを捕捉しているのかわからない弾幕の中を駆け巡る。
もはや夜は消えている。しんとした静寂は、灼熱の曳光弾軌跡で赤く染まり、撃ちあげられる機銃弾は夜の闇の全てを切り裂きそうだった。
「敵の真ん中……!このまままっすぐ上がろう!」
ミツオは信号銃を手に取り、ペアのとんでもない機動に身を委ねて身構える。
「チハル、緊急出力!20秒使って!!」
「うん!」
使えば整備が必要な緊急出力を使用し、エル・アルコンは飛び上がる。すでにスペックの限界高度は超えており、エンジンの出力だけでは飛び上がれるかわからない。機体がガタガタと揺れ、いつ墜ちるか分からない。
そして、ついに彼らはたどり着いた。
「ついた……!」
ここが……敵の真上……。
「今だよ、みっちゃん……!!」
チハルはミツオに掠れた声を送った……
ミツオの右腕が後席から伸びる。照明弾の銃口を目一杯上に向ける。
「いっけぇぇぇ!!!!」
放たれた、4発の光弾。
のたうちながら、夜の海を駆け上がる海蛇のように、まばゆい光の線がロレンズを狙っていた対空砲火の濁流を切り裂いて上昇して行く。
見上げるほどの位置に達して、光たちが弾けた。
夜が明ける。
星空から降ってきたかのような光の塊は、天をかけて零れ落ちる。
きらめく光の真下……翅を開いた蛾のような敵超大型爆撃機24機と直掩空母、ロレンズを追いかけていた沢山の直掩戦空機の姿が、これでもかとあらわに、闇の中に暴きたてられた。
「やった……」
天使の卵のような光弾は、真下の異形たちを次々と暴き立てる。対空砲火が一瞬止まり、銃座についた空賊射撃手の絶望の表情まで明らかに見て取れた。
「チハル、右下っ!!」
言われた方向に目をやる。空賊の単座戦空機5機が、こちらを捕捉した。
<<こいつら……!下段の人間のくせしてよくも……!>>
<<艦隊を守れ!奴らを生きて返すな!!>>
ミツオたちに向かって向かってまっしぐらに空を駆け上がってくる。まるで、照明弾で捕捉されたことに対する八つ当たりのように。
「逃げてっ!!」
また怒鳴られて、チハルは慌てて操縦把柄を握り直した。
「ううう……!」
呻きながら、チハルは照明弾を打ち上げるのに使い切った両腕に、目一杯の力を込める。
把柄を翻し、機体を傾けると、さっきまでいた場所に曳光弾たちが煌めいた。
それは、上からだった。
空賊のパラパラとした軽い音の機関銃とも違う。さらに力強く、それでいて頼もしい機関砲の音だった。
ズドドドドドドドド!!!
空賊機がその機関砲の散布界の中へと自ら突入していった。鋼鉄の鉄板ですらいともたやすく粉砕して貫通する30ミリ弾、しかも、その30ミリは貫通した後に信管が作動して破裂する仕組みになっている。
空賊の機達は密集していたのが仇となり、その凶悪な弾丸に次々と命中していった。機体が貫かれ、中で弾丸が破裂し機体の血肉を食い破る。
空賊機は翼が折れ、胴体から火を吹き出してそのまま墜落していった。
ミツオ達はそれを放った機体を知っていた。
その刹那、耳の空気を切り裂くような力強い音が響いてきた。空賊の単座戦空機とは比べ物にならないくらいの快速で迫る戦空機、プロペラがなく、その代わりに後方のノズルから陽炎の炎を噴き出している。
機体は血塗りに塗られ、雷撃機かと見間違えるほどの巨大な全長を持ちながら、彼らを墜とした戦空機が目に入る。
「「ロレンズさん!!」」
自分たちを守ってくれた、頼もしい機体に通信で声をかける。
「無事だな、二人とも」
「はい!」
「よくやってくれた!照明弾が光っているうちにカタをつけるぞ!」
そう言ってロレンズはフランカーを操り、ミツオ達から離れて上昇して行く。空賊達を引きつける構えだ。
<<血塗りだ!先に血塗りの戦空機を墜とせ!>>
空賊達はロレンズに惹きつけられる、狙い通り。ロレンズはある程度上昇したところで機体を水平にし、煽るように空賊と向き合う。
と同時に右手後方からから敵機が回り込んで来た。運動エネルギーの加速でロレンズの後ろにつき、仕留める寸法だろう。ロレンズは機体を左右に振り、機銃を避ける。
<<墜ちろ血塗りめ!!>>
<<聖アルディスタのために!!>>
ロレンズは操縦桿を握りしめ、そのまま減速しながらシザース機動を開始。失速ギリギリまで速度を落として後ろの空賊機を前に出そうとする。
本来ならば、低速でも戦闘機動ができるプロペラ機の方が有利だが、彼らは今一撃離脱戦法で一旦距離を取ろうとしている最中だと感じた。
予想は当たった。上方から仕掛けて位置エネルギーを手に入れた空賊機は前に突き放され、機銃の射程に入る。
「墜ちるのは……お前たちだ……!」
ロレンズは逃さず機関砲のトリガーを引く。
パキリ、空賊機2機が翼の付け根に被弾し、すぐさま制御不能に陥った。
<<くそっ!一気に7機も落とされた!>>
<<なんなんだあの機体は!化け物だ!?>>
<<そんな生ぬるいものじゃない!あれは……血に濡れた殺戮の天使だ!>>
それを見ていた空賊飛空士達が、一斉にパニックになり始める。7機も落とされたことに驚くもの、それに対して恐怖を抱くもの、そしてあだ名をつけるもの。
<<天使!?まさか、
<<あれはおとぎ話じゃなかったのか!?>>
<<じゃああの機体は
空賊達がパニックになっている隙に、ロレンズは機体をさらに上昇させる。
<<ニンバス、弾着まで20秒!>>
マカロフ大佐から天使の槍の到着が合図された。こちらの準備は整った。この上ないグッドタイミングだ。
「来たか!ミツオ、チハル、それからバンデラス先生たちも!今すぐに爆撃機隊から離れてください!攻撃が来ます!!」
ロレンズは叫ぶようにして彼らに警告した。
「分かった!二人とも聞いたなっ!!何が来るか知らんが、ここから離れるぞっ!!」
2つのエル・アルコンは機体をロールさせ、右方向へ転進。空賊の艦隊たちから一目散に離れて行く。巻き込まれれば、一巻の終わりだからだ。
20……19……18……17……16……
<<奴らが逃げてくぞ、追え!>>
<<どうせ奇襲は上手くいかなかったんだ!八つ当たりしてやる!!>>
空賊達がやけくそのように彼らに集まってきた。ソニアとバンデラスの機がミツオたちを守りながら機関銃で応戦する。
また一機、また一機と撃墜されてもなお彼らは襲いかかる。
15……14……13……12……11……
空賊達はバンデラスの腕前の前に次々と撃墜されて行く。途中の曳光弾の軌跡達は二人の類いまれなる操縦技術の前に空を切る。
突然、彼らの前方から煙を吐きながら高速で進む物体を見つけた。それらは束になって進む。
「!?あそこから何が来る!!」
「あれは……空雷!?」
逃げに徹するチハルは叫ぶようにニンバスを指差す。ミツオはその空雷をその目にしっかりと捉えてた。
10……9……8……7……6……
その間にロレンズはフランカーで一気に高度5000メートルまで飛び上がり、見下ろすようにして空賊艦隊を視界にとられえる。
ロレンズは素早く偵察ポットを起動。送信モードに切り替えて異形の爆撃機や空母達を全てロックオンする。四角いコンテナが、全て赤く染まり、そのデータは正確無慈悲にニンバスへと送り込まれる。
5……4……3……2……1……
「弾着……!」
ニンバスは届いた。
彼らの眼下に、いきなり炎の火球が広がった。吹き上がる爆風で機体が持ち上がった。少し離れたエル・アルコンまで、その風圧と熱量が伝わっていた。
「うわっ!」
「な、何……?」
あまりの衝撃に、彼らを追っていた空賊の戦空機がバランスを崩し、激突した。彼らを追ってくるものは何もいない。
チハルとミツオが見下ろせば、そこは地獄のような業火に包まれた海が広がっていた。
眼下いっぱいに、小さな太陽のような火球がいくつも照りつける。
「空が燃えている……」
ミツオが称していた通りの巨大な火球が夜空に弾けていた。同時に何千もの高温の鉄球が空賊艦隊を襲いかかる。爆風と鉄球達が爆撃機を空母を戦空機を、原型を止めることなく粉微塵にする。
飛空空母の真近くで火球が照りつけた。あの禍々しい飛空空母は火球に吹き飛ばされ、装甲をドロドロに溶かしてしまう。抱えられた戦空機たちが吹き飛ばされ、航空爆弾に誘爆し、もはや原形をとどめずに曲げた鉄パイプのようにしてその姿を飛散させた。
爆撃機は火球に飲み込まれ、そこからぱっくりとバーナーで焼き切られたかのようにプツリと切れ、さらにイスラを火の海にせんと抱えられた何トンもの爆弾達に一斉に火がついた。自らの腹に抱えていた爆弾が全て誘爆、鉄のひき肉のごとく内側から破裂して行き、原形をとどめることなく粉微塵に破壊して行き、凄惨な誘爆の渦を巻く。
ニンバスの高熱の鉄球が近くを飛行していた戦空機たちをも巻き込む。巨大な爆撃機ですらもこの有様だ。戦空機などひとたまりもない。彼らは炎の鉄球が殺到して行き、その細いエンジンを、機銃が内蔵された主翼を、驚愕の表情を浮かべた飛空士をも巻き込んで粉々になった。
もはや、そこには何も残っていなかった。
ただ火球のあった場所の丸い煙と、炎と板金達の破片の灼熱の泥流が、ゆっくりと聖泉めがけて落下していった……。
「す、すごい……」
チハルはそれしか言葉が出なかった。あれだけ大規模な空賊爆撃機艦隊達は全て無に帰り、もはや残骸も残らずなにもかも消し飛んでいた。
「…………」
その光景に、ソニアとバンデラス達も声が出なかった。口をあんぐりと開けてその地獄の業火が空に咲き乱れる様子をただ見ているしかなかった。
あれだけいた艦隊が、たったの数発の空雷で全て撃滅?しかも、空雷とは思えないほどの攻撃範囲を持って空賊達を全て溶かしてしまった。途中で空雷の時限信管を作動させたとしても、その制圧力はたかが知れている。
なのにあの威力はなんだ?たったの数発の空雷であれだけの艦隊が沈むのか?そもそもどれくらい遠くから撃ってきたんだ?
ありえない、それだけ今の光景が信じられなかった。
「すっげえじゃねえか……空中艦隊……!」
その中でバンデラスは一人、悟ったかのように興奮してその地獄の光景に目を輝かせていた。
「……ああ、あれだけの秘密兵器を持っているんだ。これなら、イスラは……」
「イスラは……空賊とだって戦える……!」
ソニアとミツオが揃って感激した。彼らの眼下には業火の火の玉のあったところに咲く丸い白煙が見えた。
彼らにはまるでそれが天使の輪のように見えたであろう。
視界を上に持って行けば、その血塗りの天使が自分たちを見守っている。ロレンズのフランカーはチラチラと残光が残る照明弾に照らされ、美しく光っていた。
やっと書けました……ニンバスの初使用シーン……
前後合わせて18000字以上行きました……いや〜長かった……
そして、ミツオ君生存ルート!これがやりたかった!
あんな健気な子死なせてたまるか!
用語解説コーナー
《空賊超大型爆撃機》
全長約60m、全幅約100m、全高約15mの超大型爆撃機。全翼機型の6発機で、その平べったい形状から偶然にもステルス性能を有している。その爆弾搭載量はイスラを火の海にできるほどのペイロードを誇る。
《空賊直掩空母》
円筒型の直掩専用の空母。対空護衛専用の空母で、搭載機は直掩用戦空機のみ。元々は爆撃機の護衛ではなく艦隊の護衛に使われる空母だったが、その爆撃機にも追従できる快速から今回の作戦に投入された。囮なのは第一陣の木造艦隊と一緒だが、こちらは帰還も考慮されているため直掩用空母が配備された。
同じ囮でも、木造艦隊には護衛がつかず、爆撃機艦隊に護衛がついた理由は不明。通信の内容から二等ウラノス人という言葉がよく出てくるが、現在のところは調査中。