とある飛空士の重巡航管制機《アイガイオン》   作:篠乃丸@綾香

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これから少し投稿ペースが遅くなるかもです、ご了承ください。
用事が立て込んでいて……すみませんm(__)m


第3話〜遭遇と不安〜

2016年2月21日14::21

 

あれから約六時間が経過した。

アイガイオンには強力なレーダーが備え付けられているが、相変わらず一面噴き出す海の噴水しか映し出さない。

 

レーダーがこんな調子の為、情報収集を目的とした偵察には航空機を使用する事となった。普段ならシュトリゴン隊を飛ばして周辺空域を警戒するが、パイロット達の疲労を考えると偵察飛行には無理があった。

 

そこで、アイガイオンの装備の一つである小型無人航空機(UAV)を飛ばして偵察している。これは元々ニンバスの誘導用に積んでいたマーカードローンである。ニンバスはかなりの射程を持つ巡航ミサイルだ、だがその長い射程の先で目標を確実に破壊するには第三の目が必要であった。その為のUAVである、目標上空に接近し電波信号をニンバスに送信、誘導、起爆させる方式だ。

 

すると、UAVはニンバスの最大射程距離まで飛行できなければならない事となる。その為、結果的にこのUAVはかなりの航続距離を持つ。

 

これを利用して現在、アイガイオン空中艦隊は周囲にUAVを展開し、偵察活動をしている。前方には8機のUAVが扇状に展開、燃料が限界量に達すると帰還命令を出し、放射状、扇に例えれば骨組みの部分を通ってアイガイオンに戻ってくる。同時に別のUAV編隊を交代させる。後方も全く同じだ。

 

そして、その成果はすぐに出た。

我々は再びアイガイオンの会議室に集まり、その報告を受けている。なんでも人が住んでいそうな場所を見つけたそうだ。

 

 

「こちらが偵察機が捉えた島の映像です」

 

 

先に報告を受けた戦術科のヴィクトル中尉が会議室のモニターを前に我々に報告する。

彼の仕事はアイガイオンの砲雷、及び戦術の統括である。最終的な決定権や指示は司令であるマカロフ大佐が行うものの、細かな指示は彼が出すこととなっている。

 

彼は手元のリモコンを操作し、真っ暗だったモニターに綺麗なカラー写真を映し出す、我々は映し出された写真を見て絶句した。

 

この世界に来てから驚いたのは何度目だろうか?マカロフ大佐は偵察に回したUAVの映像を見た。

 

UAVのカメラに映っていたのは()()だった。

島にしてはかなりの大きさを感じる、かなり遠くから撮影しているのにもかかわらずだ。山頂に雪をかぶった山があり、中央に湖があり、海岸線がある。一般的な島とあまり地形は変わらない。

 

だが、その島がある場所が問題だった。ここはあの巨大な噴水の上である、少し高度を下げれば吹き出す海水が直ぐそばまで流れ込んでくる。この噴水が半径何キロあるかはわからない。少なくとも言えることは、この海域に()()()()()()()()()()()()と言うことだ。

 

浮島とは島と呼ばれるものの中で海底に接しておらず、海面に浮いている島のことを指す。基本的には水に浮いた植物の塊が巨大化したもので、植物群と呼ぶのが正しい。最近では人工的に浮島を作り、そこに都市や軍港を築くメガフロートと呼ばれるものをニューコムという企業が計画している。

 

だが、その島はそれら我々の常識をあまりにも逸脱していた。

 

 

「ヴィクトル君、我々は……夢でも見ているのかね?」

 

「いいえ、これは現実です。司令」

 

 

その島は()()()()()()()()

縦長の所々ギザギザした海岸の下には分厚い岩石の塊が見え、島底は海岸に接していない。更には人工的に付けられたと思わしきプロペラや船に使われる操舵装置などがあった事から、ここに住む人間がこの島を操縦することができるようだった。

 

だが、それは空中に浮くにはあまりにも、それこそアイガイオンが霞んで見えてしまうほど巨大過ぎた。

 

 

「まるでノースポイントのサブカルチャーの世界だな」

 

 

先程の例外として、ノースポイント産のファンタジー作品にはよく空中に浮かぶ浮島が出てくる。ファンタジーというものを体現する要素であったり、または物語の重要な要素となる事もあり、また科学的、ファンタジー学的に浮島と呼ばれる理由もあったりする。

 

勿論、我々の世界に空中に浮かぶ浮島など存在しない。

 

 

「こ、これでますます異世界だと感じられますね……」

 

 

最初に異世界説を提唱したセルゲイ少佐もこればかりは衝撃を受けている様子だった。

 

 

「はい、この浮島は高度2000メートル付近を浮遊、大きさは東西およそ9キロ、南北およそ25キロ。さらにこの浮島には小規模の街があります、ついでに飛行場が二つ。軍港らしきものまであった事から、この島には住民がおり、軍隊も存在するという事です」

 

 

次にその島を拡大した写真が映し出された。

確かに湖の周辺に街があり、飛行場が二つもある。街が、と言うことはこの島にはやはり人が住んでいると言うことである。飛行場には航空機らしきものまであることから軍人まで住んでいることになる。島の端には三連装砲を備えた要塞らしき建造物が六つもある。

 

 

「特に、この飛行場にはかなりの規模の航空機が配備されているようです。島の進行方向から見て西側の飛行場は民間の空港なのか、あまり大型の航空機は確認されませんでした。

ですが、島の東側の飛行場には小型機や単発戦闘機、更には雷撃機らしきものが推定200機以上映っていました。その全てが第一世代ジェット機が登場する前のレシプロ機です」

 

 

200機以上、大規模な航空基地とほぼ変わらない数が配備されている事がわかった。どうやらこの世界の住民の文明は科学の力を使って空を飛ぶ事ができるほど発達しているようだ。もしかしたら中世、もしくはファンタジーくらいの低い文明水準かと思ったが安心した。

 

 

「その戦闘機群は我々の知っている航空機か?」

 

 

未だに異世界に来たことを信じられないアズレート中佐が航空機のデータについて質問する。

 

 

「いえ、我々のデータベースにはこれらの航空機は一切確認できませんでした。もっとも、今ではデータの少ないレシプロ戦闘機や雷撃機ばかりなので、大昔に撮られた写真などと照らし合わせただけですが」

 

 

どうやら我々の知らない戦闘機のようだ。確かに遠目から見ても我々の知っているレシプロ戦闘機は見当たらない。

 

 

「以上が、偵察に回したUAVからの画像データです。この後、この偵察機は──」

 

 

と、ヴィクトル中尉は手元のリモコンを操作し、画面を切り替える。

 

 

「──こちらの戦闘機による銃撃を受け、撃墜されました。機体はこの空飛ぶ浮島に墜落した模様です」

 

 

撃墜、その二文字が突き刺さった。

モニターに映し出された写真には左右の翼の端に付けられた二つのローターに二人の人間が着いて操縦する、見たことのないタイプの複座レシプロ機が映っていた。前席の一人が操縦席に座り、もう一人がキャノピーのないむき出しの後席にて身を乗り出し、前時代的なライフルをこちらへ向けている。

銃口の先はUAVだ。

 

 

「撃墜……ですか?」

 

「はい、我々への警告は一切なく、直前まで接近し、銃撃を受けた模様です」

 

 

会議室にどよめきが走る。

せっかく人が住んでいる可能性のある島を発見して希望が湧いたものの、その彼らが攻撃をして来た事に驚かざる得ない。

 

確かに、彼らの領空を勝手に侵犯した我々も十分悪いが、なにも警告を発せずに攻撃というのはかなり野蛮だ。航空機を持つ事から文明レベルは我々ほどではないが高く、それなりに意思の疎通が可能かと思ったが、これでは話をせずに攻撃される事だってあり得る。

 

我々は疲弊している。このまま飛び続ければいずれ燃料は切れ、吹き出す海原へと墜落する羽目になる。例えそれがなくても食料備蓄や弾薬貯蔵量などの問題も山積みだ。

 

この孤独な状況を打破する為には彼らと接触し、コミュニケーションを取り、味方を増やす必要がある。だが、彼らがもしなりふり構わず敵を攻撃をするような軍隊なら、協力は仰げないだろう。

 

 

「司令、どうしますか?私としては危険を冒してでも接触するべきです。せっかく見つかった先住組織です、協力を得られれば食料や弾薬、燃料も補給できる可能性があります」

 

「罠に嵌められる可能性がある、辞めるべきだ!」

 

「少なくとも我々を騙す事で得る利益が少なすぎます。それにまだ接触してもいないのに罠に嵌められるとは限りません」

 

「ま、待ってください……そもそも一体誰が彼らとのファーストコンタクトを取るんです?まさか……疲労が溜まったシュトリゴン隊のメンバーにやらせるつもりですか?」

 

 

様々な意見が飛び交った。

この先が不安なのは皆一緒だが、未知の相手と戦闘になるのもやはり怖いようだ。軍人が怖い、だなどと情けないかもしれないがこの孤独な状況で敵を作りたくはない。更に、戦闘が行われれば弾薬や燃料だって消費する。ただでさえ先が見えないこの状況、それらが不安をさらに煽る。

 

 

 

と、そこはコンコンと会議室の扉をノックする音が響いた。

皆が一斉に静まり、扉を見つめる。私は短く「入れ」と命令する。

 

 

「司令、少しよろしいでしょうか?」

 

 

すると、一人の士官が入って来た。マカロフ大佐や他の士官にかけられた敬礼はビシッとしていて無駄がなく、こんな状況でもかなり真面目に働いてくれているようだった。

 

 

「どうした?今は会議中だ、後にしてもらって……」

 

「それが……先程格納庫で捕まえた捕虜が目を覚まし、機長に会いたいと言っています」

 

 

捕虜

先程報告を受けだばかりだったのでよく覚えている。何でも目を覚ました後、暴れる様子もなくただ機長に会いたい、と言っているとの事。何故私を指名したのか?私が機長兼司令官だから、など様々な理由が思い浮かんだが、マカロフ大佐は今私が彼の要求どうり面会するかどうか少し迷った。

 

マカロフ大佐は少し考えた、この期に及んでアイガイオンに乗っていた謎のパイロット。彼が我々がここに来た理由と何か関係があるのでは?と私は考えた。だとしたら彼はこの事態を解決できるキーパーソンになるかもしれない。私は彼について行くことにした。

 

 

「よし、会わせてくれ」

 

「機長!」

 

「何だね?」

 

「得体の知らない人物に会うのは時間の無駄です!それより今後のことを……」

 

「大丈夫だ、レオナード君。自分の身の安全くらい自分で守るよ。それよりレオナード君こそ、少し心配性なところを直すべきだと思うぞ」

 

「は、はあ……」

 

「君も付いてきたまえ」

 

 

レオナードが止めに入るが彼を少し説得し、一緒に尋問室に向かうことにした。

 

 

 

 

 

 

尋問室

機外は思わず片目をつぶってしまうほど明るいが、尋問室は相反して新月の真夜中のように暗い。コツコツと音を立て、狭苦しい廊下を歩いてようやく闇に包まれたかのような尋問室にたどり着いた。

 

カービン銃を携帯した看守らしきクルーが敬礼をする、二人も慣れた手つきで敬礼し返す。

 

 

「どうぞこちらへ。先程まで取り乱しかけていましたが、今は落ち着いています、それはもう気味が悪いくらいに」

 

 

ギィィと尋問室の扉が開かれる。

暗い電球が一つだけで中を照らし、室内には長テーブルが一つと、パイプ椅子があるだけで、換気扇の音だけが響いていた。

そこにいた一人の男の手には冷たい手錠がはめられているのにもかかわらず、彼は黙って私が入ってくるのを見つめた。

 

マカロフ大佐は取り付けられたパイプ椅子に腰を添えると、初めましてであろうその男に話しかけた。

 

 

「初めましてだね。君が私を呼んだのだろう、私は……」

 

「マカロフ・イワノヴィッチ大佐、ですよね」

 

「⁉︎」

 

 

驚いた、なぜ私の名前を知っているのか。

そんなマカロフ大佐の当然の疑問に答えることなく彼は続けた。

 

 

「空中艦隊司令官兼アイガイオン機長、階級は大佐、48歳、趣味はエストバキアアイスホッケー。ユリシーズ以前からエストバキア海軍に所属し、あの厄災を経験した。そうですよね」

 

「貴様、なぜ機長の事を……!」

 

「レオナード・セムショフ少佐、28歳。内戦時、その類稀なる才能から叩き上げで少佐まで昇格、空中艦隊に所属した努力家」

 

「⁉︎」

 

 

まさかレオナード君まで知っているとは、とマカロフ大佐は二度驚いた。呆気にとられたレオナードだが、再び男を睨み付ける。

 

 

「貴様……名前は?」

 

「機長、まだ分かりませんか?」

 

「何がだね?」

 

「私が誰だか。いくらこの姿になったとは言え、まだ思い出せませんか?」

 

「一体何が言いたい!早く名乗れ!」

 

「では名乗りましょう、私の名は──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──ロレンズ・リーデル」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「⁉︎機長、彼はもしや……?」

 

「ああ、まさか……な…………」

 

 

感は正しかったと思った、この口調、そして冷静な態度、確かにロレンズに似ている。だが、そこに居たのはとても48歳の老兵とは思えない若い20代の男だった。




今回はイスラとの初遭遇を書きました。

皆さんは今度発売されるエースコンバット7の主役機はなんだと思いますか?僕はやっぱりF-18ですね、未だに主役機になっていないので期待しています。

解説コーナー

《UAV》
アイガイオンに搭載されている小型無人機。
ニンバス誘導の為のUAVで、目標上空に接近し電波信号を送信、誘導、起爆させる方式。このカラクリがバレてサン・ロマが強襲されたんだよね。てか、ぶっちゃけこんなものが必要なほどあの巡航ミサイルって射程長いの?
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