再生した自分は、絶望を摂取して生きていく。   作:影斗朔

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幕間 二

俺は、ずっと昔から、ある一つの理想を抱いていた。

 

思い描いていたその理想を実現することは、そう難しいものではない。

 

俺の周りにいる人たちが、いつも笑顔で、幸せでいてくれたらそれでいい。

 

特に、彼女が幸せそうならなおのこと良い。

 

いつも何かに怯え、追い詰められている彼女が、心からの笑顔で俺に微笑んでくれるのなら、それ以上の喜びはない。

 

その笑みが、その元気が、みんなを笑顔にすることだってきっとできるはずだから。

 

きっと、その時・・・彼女の笑みがみんなを幸せにしてくれる頃に、俺はこの場にいることはできないだろう。

 

でも、その時まで俺は彼女の力になると決めた。

 

立派な人になりたがる彼女を・・・、きっと立派な人になれるであろう彼女を、この命を賭して守ると・・・。

 

 

 

―――それなのに、どうして・・・。

 

どうして、こんなことになってしまったのか。

 

どうして、こんな選択を取らないといけなくなってしまったのか・・・。

 

 

 

俺は、みんなの傍から・・・彼女の隣から、離れないといけないのだろう。

 

彼女の一番近くには俺がいた。

 

彼女が気づいていなくても、自然に彼女の傍へと行くようにしていた。

 

俺が彼女を守っていた。

 

彼女に危険が迫ろうとしたら、この身の全て、全身全霊で彼女のことを守った。

 

 

 

だが俺は、どうしても彼女の傍に居られなくなった。

 

この体は未だ動かすことができるというのに。

 

この命は未だ尽きることはないというのに。

 

このまま、俺がここにいるだけで、みんなを・・・彼女を傷つけてしまう。

 

 

 

彼女はいつも俺を目標にしていてくれた。

 

こんな俺のことを・・・、ただ一人の人間として初めて見てくれた。

 

こんな俺を憧れの対象として純粋に見ていてくれた。

 

だからこそ、命尽きるまで彼女のことを守り抜こうとそう誓ったのに・・・。

 

 

彼女のことを支えようと、全力を尽くしてきたけれど、まだ足りない。

 

彼女のことを守ろうと、全力で戦ってきたけれど、まだ足りない。

 

時間も体も何もかも、大切なものを守るには全てが足りない。

 

 

 

だから、俺はこんなところで、彼女の傍から離れるわけにはいかない。

 

離れたら俺は、彼女のために動くことができない。

 

それだというのに―――

 

 

 

なぜ、彼女の傍からいなくなるという選択を取らないといけないのか!

 

彼女のことがわかる俺だけしか、彼女を救うことができないのに・・・!

 

彼女の傍にい続けた俺だけしか、彼女を守ることができないのに・・・!!

 

 

 

―――それでも、いや・・・だからこそ、俺はこうするしかなかったんだ。

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