続きものだけど続かない。
「右に同じだクソッタレ」
不良代表のような金髪男子と気の強そうな昭和風の女子。そんな二人に目もくれず猫と遊んでる女子。初対面の私でさえ、個性が強すぎると思ってしまうこの三人を見て思わず、目線を空に向ける。
「あぁ…空がきれいだなぁ」
現実逃避ってスバラシイ。空に意識を向けたまま耳は三人に傾ける。自己紹介を始めた三人に自由だなと感想を抱く。普通は慌てるんじゃないの。三人の反応を見ていたら慌てることすら馬鹿らしく思えてくる。雲はいいな。だって自由だもん。現実逃避をしても何も解決しないことはわかってる。…どうしてこうなった。
数時間前…と言うより、数分前の手紙が原因だろう。絶対に。
なんて書いてあったっけ。なんか全部捨てて箱庭おいでって内容だったはず。そしたら、突然光ったと思ったら…落ちてたわ。私と殿はベーコンに助けてもらったから無事だけど、他の三人と猫一匹は湖に落ちてずぶ濡れだ。手紙を開けたと思ったらドボン。怒るにきまってる。
「で、一人だけずぶ濡れにならなかったお前は?」
「……はい?」
「だから!さっきから空ばかり見てる貴女のことよ!」
「えと、霜月 奏です」
三人の視線が痛い。一人だけ濡れなかったのがそんなに気に食わなかったのか。いいじゃない別に。思わずぷいと顔を逸らす。あれ、なんかうさ耳が見える。…置物、なわけはないか。動いてるし。
「じゃあ、隠れてるやつに聞くか?」
少し不機嫌なその言葉により問題児三人と謎のうさ耳の鬼ごっこが始まった。逆廻くんはすごく跳んだし、力も強かった。久遠さんは鳥さんになんか命令してるし、春日部さんなんか猫のように木を飛んでいる。この人たちは人間なのかとても謎である。もしかして宇宙人か。そんな人間を超越した三人から逃げるうさ耳パネェ。
うさ耳女子が助けてとか言ってるけど知らない。ワタシキコエナイヨ。命の危険がある鬼ごっこに参加とかないわ。出会ってというか見つけて数分のうさ耳のために飛び込むとか無理に決まってるでしょ。あの三人に混ざってうさ耳いじめる趣味もないし、私は見学します。
そうと決まれば暇だ。とてもとても暇だ。鬼ごっこ待ってる間何すればいいの?散歩?え、無理だよ。太陽の下長時間歩くとか現代っ子の私にはなかなか厳しい内容である。
とりあえず、暑いから湖に足でもいれて涼みたいな。湖の淵まで歩いて靴と靴下を脱ぐ。足先から湖にいれると程よい冷たさが足を通って体にじわじわと広がる。
「ん〜!気持ちいい〜!」
想像以上の気持ちよさに少し声が大きくなる。背後で涼んでないでお助けを!とか、悲鳴に近い叫びが聞こえるけど、知らないってば。ワタシキコエナイヨ。うさ耳を無視しながら殿に殿も足いれる?と聞くと阿呆と返ってくる。少し蔑むような表情をしてる気がする。大慌てで先の言葉を否定してもどんどんと視線が冷たくなるだけだ。これは酷い。
「殿、暇だよ。とても暇だよ」
「知らん」
「ねぇ、殿、暇なの」
「お前が暇だろうと私に関係ない」
「殿ーーー!」
殿の冷たい返しが心に刺さりながら懸命に殿に構ってアピールをする。私なりのかわいいおねだりをしても視線の温度が下がっていくだけ。たぶん今は氷点下だと思う。背後で雪が吹雪いてる幻覚が見えた気がした。待って、なんで私が殿より下なの?私、殿のマスターよ?ご主人様よ?どう考えても私が上でしょ。殿が私に頭を下げるべきなのよ。
「殿!私に頭下げて!」
「ついに狂ったか」
やっぱり殿の私の扱いが雑。ちょっと話し合いをしたいから表に出やがれこのハムスター。キッと睨んでも鼻で笑われる。この様子の殿は何を言っても冷たい。殿と遊ぶのは諦めて何か暇つぶしになるものはないか。きょろきょろして辺りを見回しても、あるのは木、木、木。森だものしょうがない。その上に乗っての鬼ごっこは視界からシャットアウト。
「仕方ない、昨日の続きしよ」
「まだ完成してなかったのか?仕事が遅いとは無能だな」
「なんでそんなに機嫌が悪いの」
「うるさい。やるならやってろ」
「ぶへ、」
不機嫌なその声と共に私の作りかけのぬいぐるみを顔面にもらった。おかげで変な声がでるし、また殿に鼻で笑われるしここは理不尽な世界なのか。いや、理不尽なのはどの世界も同じか。ため息をつきながらぬいぐるみに糸を通す。縫い目が歪んだりバラバラにならないようにゆっくりと正確に通していく。ミシンを使えば楽だけれど、私はミシンを使わない派だ。だってミシンの使い方わからない。
試し書き。小説が一冊も手元にないから続きません。
続くお話だけど続きません。