カイジの班長、大槻が1日外出券を使ってアンツィオ高校に行く……!
ただそれだけの話……!

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1日学園艦外出録 ハンチョウ

地の獄……!

 

底の底……!

 

帝愛の抱える劣悪債務者達が……借金帳消しの為に収容される強制労働施設……!

 

一度ここに入ると借金の額によって決められた年数を経過するまで、外に出る事は不可能……!

 

ある特例を除いて……!!

 

【勤労奨励オプション『1日外出券』】

 

これは地下にいながらもチンチロで大金を稼ぎ……『1日外出券』を利用しては外で悠々自適な1日外出を送る……。

 

E班トップ……大槻班長の……1日外出の記録である……!

 

 

 

 

 

『なんだ……?』

 

「1日外出券を……一枚」

 

『わかった、手配しよう』

 

「ありがとうございます」

 

大槻……1日外出券を確保……!

 

「は、班長…、今、1日外出券って……?」

 

この男…大槻の側近の一人、沼川である……!

 

「フフ…、どうした沼川…、何か気になるのか…?」

 

「いえ、前回の外出からまだ日もたってないので気になって……」

 

そう…!勤労奨励オプション『1日外出券』はもちろんタダでは無い……!!

 

価格にして50万ペリカである………!

 

ペリカとは帝愛の地下施設でのみ流通する特別な通貨であり、一円が10ペリカのレートになっている……!

 

とどのつまり…1日外出券は5万円……!いくらチンチロで稼いだところで地下労働者にとって大金……!

 

そう何度も使える物ではないのが道理……!

 

「フフ……、お前の言う事も最もだ、しかし今回の場所…ワシの予想が正しければ外せないのだ……」

 

本来、1日外出券による外出先はランダム……、外出券使用者はどの場所に行くか予想できない……!

 

が、大槻は別……!数多くの1日外出を得て獲得……!ランダムの法則性……!

 

「………」

 

「気になるか……?」

 

「は、はいっ!班長がそこまで太鼓判を押す場所ですから…」

 

「そうか、なら……来るか?一緒に……」

 

「い、良いんですか!ぜ、ぜひ!!」

 

こうして沼川……、大槻に次いで1日外出券を獲得……!!

 

二人、外へ……!

 

 

 

 

 

 

 

大槻、沼川、解放……!

 

「班長…、ここは?」

 

沼川は聞く…波の音……!

 

「くくく…見ろ沼川、やはりワシの予想通り…!!」

 

そこには……広大!

 

果てしなく広がる圧倒的海……!!

 

「あの、班長……、ここは?」

 

「ここは学園艦……、アンツィオ高校の学園艦だ」

 

学園艦……!海上を進む学生達の学舎……!

 

「が、学園艦って…学生共の学校じゃないですか?」

 

これには沼川、落胆……!

 

「フフ…どうした沼川?悲しそうな顔をして…?」

 

「いや、だって…学園艦ですよ?」

 

沼川の落胆も当然……!学園艦とは学生の為の船……!

 

船であるがゆえ、当然…海の上……!

 

とどのつまり…孤島!行ける場所も限定的……!

 

「その……、せっかくの1日外出券をこんな所に使ってしまうのは、勿体無い気が……」

 

「くくく……、お前の言いたい事もわかる、だが……すぐにわかる、ここの良さが……」

 

大槻……移動!沼川も不本意ながら着いていく…!

 

「…あれ?班長、建物が……?」

 

沼川……立ち止まり辺りを見回す……!

 

違和感……!圧倒的違和感……!日本では決して見る事の出来ない景色の数々……!!

 

「気付いたか……?ここ、アンツィオ高校は創設者がイタリア人の学校、つまり……建物もイタリア風!!」

 

まさにローマ……!さながらイタリア旅行……!!

 

「す、すげぇ……、俺の学園艦はこんなオシャレじゃなかったですよ!!」

 

「くく…、アンツィオ高校は女子校だからな、1日外出券でもなければ来る機会も無いだろう……、これも1日外出券の面白い所だ……!」

 

二人……、ぶらりアンツィオ観光……!!

 

ポンペイの巨大宮殿の石柱、パンテオン……!

 

スペイン階段風階段…から覗く、圧倒的絶景……!

 

「さすが班長!まさか1日外出券で海外旅行ができるなんて思いませんでした!!」

 

そう…1日外出券の出発点はあくまでも日本限定……!

 

海外に行くならば当然必要となる……何枚もの重ね掛け……!

 

それが……不要!ここ、アンツィオなら……1日で済む……!

 

「やっぱり班長についてきて良かったです!!」

 

「フフ…、だが…まだだ……」

 

「えっ!?」

 

「観光も周り終えて、そろそろ減って来ただろう……腹」

 

「うっ……!」

 

「そろそろ行くか……、本格イタリアン!!」

 

イタリア風の学園艦……!アンツィオ高校……!!

 

となれば、今回の大槻の目的は当然……!イタリア料理……!!

 

再び歩き出す大槻の後ろを着いていく沼川……!イタリア料理の店に膨らむ期待……!!

 

「おっ…、ここだここだ」

 

「…えっ」

 

沼川……絶句!

 

大槻の立ち止まった先にあるのは……学校!アンツィオ高校の校門……!

 

「ははっ…、冗談キツいですよ班長!ここって普通の学校じゃないですか」

 

どう見ても……ない!イタリア料理のある店など……!

 

「くくく…、それが冗談でもなんでもない……!あるのだ、ここにワシらの求めるイタリアンが……!」

 

大槻……、アンツィオ高校、入学…!続いて沼川も入学……!

 

そこに広がる、圧倒的に並ぶ屋台街……!

 

「班長!今日って学園祭かなんかなんですか?」

 

「フフ……、違うぞ沼川……、アンツィオ高校ではこれが普通なんだ」

 

大槻……、沼川を連れて屋台街へ進む……!目に付いたのは戦車を飾っている屋台……!

 

「まず……ここから行くか……!」

 

「アンツィオ名物鉄板ナポリタンだよ~。おいしいパスタだよ~」

 

大槻……、一軒目に鉄板ナポリタンを選択……、店員は普段地下では会う事もあり得ない女子校生……!

 

「あ、そこのおっちゃん達、食べていかないッスか?」

 

だが……明るい!正体不明の男二人に明るく接客する……女子校生!!

 

「では、一つ……」

 

「あっ…!俺も、じゃあ……」

 

これには大槻、沼川も快く注文をオーダー……!

 

「ますオリーブオイルはけちけちしなーい。具は肉から火を通す、今朝とれた卵をとろとろになるくらいに……。ソースはアンツィオ校秘伝トマトペースト、パスタの茹で上がりとタイミングを合わせて……」

 

慣れた手つきで出来上がる鉄板ナポリタン……!ふわりと漂う美味しそうな匂い……!そしてなによりこの見た目……!

 

「…ごくっ」

 

食欲を刺激されない理由が何一つ……ない!

 

「くく……、イタリア料理の店でこういうのを食べるのも悪くないだろう……、だが、こうして目の前で作っている所を見るのはまさに別格っ……!!」

 

「はい、600万リラ!」

 

「り、リラ?ペリカじゃ……?」

 

「ペリカ?いや……600円って意味なんだけど…」

 

「では、6000ペリカで支払うか……!」

 

大槻、沼川……、鉄板ナポリタンを購入……!

 

「なんかよくわかんねーッスけど…、お買い上げありがとうッス!!」

 

店員に元気よく手を振られ、二人……!鉄板ナポリタンを手にテーブルへ……!

 

「では……いただくとするか……」

 

大槻……箸をとり鉄板ナポリタンに伸ばす……!

 

「………」

 

が……!沼川は動かない……!鉄板ナポリタンを見つめ、箸をとらない……!

 

「どうした沼川……、食べないのか?」

 

「あ、えと……確かに美味しそうなんですが……、しょせん学生の作った料理だなーと思うと」

 

思い出される……!学園祭の記憶……!

 

各クラスの出す……!パサパサな焼きそば……!粉の多いお好み焼き……!

 

(せっかく食べれると思った本格イタリア料理が……!学生が学園祭のノリで作った物なんて……!)

 

「フフ……、いいから食べてみろ……!そこらの学園祭の物とは出来が違う……!」

 

大槻……、鉄板ナポリタンを口に……!

 

「ん…うまっ……!」

 

「うっ……!」

 

美味しそうに頬張る大槻を前に沼川……!気付けば鉄板ナポリタンを口に……!

 

「…こ、これは!」

 

一口食べれば……!もう止まらない……!

 

「くく……どうだ沼川?……そこらのイタリア料理の店とは訳が違うだろう?」

 

「えぇ!学生がやってる屋台とはとても思えないです!!」

 

気付けば二人……完食!

 

「でも班長、なんで学生が作る料理なのに…こんなに美味いんですかね?」

 

「この学園艦は金がない…、つまり……ここにある屋台は全て、委員会や部活動等が予算の足しにする為に営業している……!」

 

「うっ……!」

 

「つまり、予算の奪い合いによる競争だ……!どの店も売り上げ向上の為、味の向上に余念はない……!自然……クズは自動的に排除される……!」

 

「じ、じゃあここにある屋台は全部……?」

 

激しい予算の奪い合いに勝ち抜いた精鋭……!とどのつまり、どの店も味は保証される……!

 

「くく……、しかもそれだけじゃない、この鉄板ナポリタン……いくらだったか覚えているか?」

 

「え?えと……、確か6000ペリカ、ですよね?」

 

「そう、日本円で600円……!2つで600円という事は……一つ?」

 

「300円……!この味とボリュームでたったの300円なんですか!!」

 

「気付いたか……?つまり、安いのだ……!アンツィオ高校の……屋台は」

 

1日外出券の権利は……あくまでも外出するだけ……!

 

その後の食事代は当然……その者の負担、実費……!

 

普段なら無理な豪遊も……ここ、アンツィオ高校では可能!

 

「さ、さすが班長……!」

 

「フフ……、では、いくか、沼川……!」

 

「はいっ!」

 

気が付けば……豪遊……!

 

カルパッチョ……!ピザ……!ラザニア……!リゾット……!パスタ……!

 

〆にデザート……ジェラート……トリプル三段重ね!!

 

大槻、沼川……舌鼓!数々のイタリア料理した後!!

 

就寝……格安学園艦ホテル……!!

 

「ふぅ……班長、昨日は食べましたね……!」

 

「地下ではまず食べれないイタリア料理……、それがここ、アンツィオなら安くて美味しい物がたくさん食べられる……!」

 

翌日、大槻……再び屋台で食べ物を購入し、動き出す……!

 

「班長……、次はどちらへ?」

 

「観光は周り終え、食事もすんだ……!あと一つ、アンツィオ高校に来たら見ておかなくてはならないものがある……!」

 

歩き出す大槻に不思議に思いながらついていく沼川……!

 

「ところで沼川……!戦車は好きか……?」

 

「えっ?戦車……ですか?そりゃもちろん、一度は乗ってみたい憧れはありますけど……」

 

「くく……ならばちょうど良い……」

 

しばらく歩いて立ち止まる……!コロッセオの前……!

 

「あの……班長、ここは?」

 

「沼川……、ここに入る前に一つだけ守って欲しい事がある……、約束できるか……?」

 

「な、なにをですか……?」

 

「ノリと勢い……、それを忘れるな……!」

 

「はぁ……?ノリと……勢い、ですか」

 

「では入るか……」

 

大槻、沼川……コロッセオ、入場……!

 

「これが我々を秘密兵器だー!!」

 

「あぁっ……!!」

 

沼川に電流が走る……!!

 

コロッセオ中央……、イタリア重戦車……P40……!!

 

「班長……これは……?」

 

「くくく……、アンツィオ高校といえば戦車道……、ここに来たからにはこれは外せない……!!」

 

「まぁこれさえあれば大洗なんて軽く一捻りだ!…ん、なんだあんた達?」

 

「ふふ……、アンツィオ高校の戦車道チームのファンですよ、これ……差し入れ」

 

「おぉ!私達のファンか!誰だか知らないが気が利くな!!」

 

大槻……!屋台で購入した食べ物を渡す、盛り上がるアンツィオ高校戦車道チーム……!!

 

(ぐっ……むちゃくちゃ、せっかく買った屋台の商品をそのまま差し出すなんて……、俺にはいったい何がなにやら……)

 

「よーし!お前ら!!せっかく応援に来てくれたんだ!客をもてなさないのはアンツィオの恥!!」

 

「えっ……?」

 

「早速今から宴会だ!釜を炊け!!湯を沸かせ!!」

 

「はい!!ドゥーチェ!!」

 

大槻のこのファインプレーにより……始まる!……アンツィオ流大宴会!!

 

「ドゥーチェッ!!ドゥーチェッ!!ドゥーチェッ!!」

 

「くくく……ドゥーチェッ!ドゥーチェッ!」

 

(まさか……班長、これが狙いで……?)

 

結果……大槻、沼川、1日外出のタイムリミットいっぱいまで宴会を堪能……!!

 

主砲炸裂……!大槻重戦車……!!

 

「大槻、沼川、時間だ……」

 

「はいはい……」

 

大槻……1日外出……。

 

次回はぶらり……プラウダ高校……!!




次回はたぶん無いと思う。


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